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花燃ゆレビュー

花燃ゆ感想マンガ24回「母になるために」新撰組もおにぎり大河のエジキに!

更新日:

こんにちは、武者です。

今週は前回すっとばされた八月十八日の政変に驚く久坂のアップから始まります。

さて今週の文は? どうやら京都から落ちてきた七卿の世話で皆が忙しいので、奇兵隊の食事を作れとのこと。流石におにぎりだけでは芸がないと思ったのか、なんと文が七卿のリクエストである八つ橋作りにチャレンジします! はぁ……甲子園を見ようとテレビをつけたらマネージャーのおにぎり作りが映るようなドラマですよね。

ここで藩政庁の議論の場面にうつるのですが一瞬で終わります。久坂は、伊之助と寿の次男(文の甥)にあたる粂次郎を養子にしたいと言い出します。またご家庭のごちゃごちゃした事情で時間を潰す気ですね。

先週の浮気発覚からひびの入った久坂夫妻の心情がクローズアップされ、ねちねちと描かれるのですが、これも正直どうでもいいんですよね。史実の久坂が辰路とのことにそこまで罪悪感を抱いていたか疑問ですし。

ここでOPが入ります。キャスト欄に沖田総司がいてげんなり。予告で覚悟はできていたとはいえ、出ちゃうんですね、そうなんですね。このドラマの被害者は極力長州藩内だけでとどめて欲しいところですが。

OPから切り替わると、伊之助の前で文が久坂のことに呆れています。夫の愚痴を、既婚者が義兄と二人きりで差し向かいになって言うとは。いつものことながら毎回あきれかえります。

高杉晋作がおぼっちゃまくんのようで・・・

このあとは高杉晋作が出てきます。それにしても彼の有名な散切り頭ですが、もうちょっとこう、何とかならなかったのでしょうか。坊ちゃん刈りぽいですよね。なんでこんなに前髪ぱっつんにしちゃったんだろう。ここでも伊之助が何か偉そうに語るのですが、もう最近は伊之助の声を聞くだけで嫌気がさすようになりましたよ。

おぼちゃまくん

高杉の前髪はさておき、長州藩では来島又兵衛ら進発派(強硬派)が勢いを増しております。このあたりの来島と高杉のやりとりなのですが、高杉の前髪ぱっつんのせいもあってか、なんかこう、長州藩の争いというよりスクールウォーズじゃないかという気がします。それにしてもこのあたり、長州藩内にしろ、あるいは長州と薩摩・会津にせよ、両方の立場からある程度描くべきではないでしょうか。本作は松下村塾のイケメンに逆らう悪い奴がいるという、そこ止まりですので実に幼稚です。ジタバタして「俺ら悪くねえし! 悪いのはあいつらじゃん!」ばかり言われても、彼らの行動がまったく理解できないんですよね。

京都が激動している中、文は三条実美らのお世話を焼きます。ここで三条は京都を戦で焼こうと思うと言います。なんでそんな重要なことをべらべらと文相手に喋るのかも疑問ですが、まさかこれから京都が焼けてもイケメン無罪、悪い麿にそそのかされたとでも言い逃れする気ではないでしょうね。

その頃京都では。

「ドーモ。新選組の沖田総司です」

と、ネオサイタマのニンジャ並の礼儀正しさを持つ新選組登場。

ネオサイタマニンジャ

えっ……?

こんな丁寧にいちいち不審者に声を掛ける新選組って一体。

参考例:一般的な新選組と長州藩士のイメージ

「待てぇい! そこの者、名を名乗らんか!」

「壬生狼や、逃げろ!」

「桂さん、ここはお先に! ぎゃあっ!」

「すまん!……おのれ、壬生狼め、この仇は必ず……!」

hanamoyu20150614

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ほのぼの新選組VS維新の志士

ところが本作は、偽名を使う久坂を取り囲んで「背が高いのって久坂さんですよね。みんな顔を見たことありますか?」とか悠長に言うんですよね。と、唖然としていたら、別の男が。

「待てよ、俺のこと知ってる? オッス、オラ高杉晋作!」

みたいなノリでやって来ます。バカだ、こいつ、バカだ。

本作がひどいことは知っていましたけど、この瞬間、本作は最も知能の低い幕末作品として不滅の大記録を作ったのではないでしょうか。ゾンビが出てくるとか、新選組隊士が巨乳になるとか、そういう作品の方が断然マシ! 比べるのも失礼! どこの幕末に新選組相手に名乗る長州藩士がいるんだ!

そして沖田も悠長に「刀を抜いたら死にますよ」とか言っているんですよ。新選組と言ったら相手を囲んだら刀を一斉に抜いて有無を言わさず取り囲む。そういう恐ろしい集団ではないですか。早く刀抜けよ!

さらにここでドヤ顔高杉がピストルを相手に突きつけるから、もうハルパゴス状態が止まりません。この至近距離ならピストルの優位点、ないから。

本作の長州藩士がバカということはもうわかりきったことで、救いがありません。しかしその長州藩が歴史の勝者であるわけで、本作の佐幕側はもっとバカで間抜けでなければならないわけだと、この短い新選組の場面で確認できました。これ以上幕末に人物を汚染しないでいただきたい。お願いですから、なるべく歴史上の人物を出さないでください。いや、だからといって文の愛情クッキング教室ばかりでも困るのですが。以前はもっと歴史イベントや人物を出してちゃんとして欲しいと思っていたのですが。本作に出たらバカにされるので、もうお願いですから極力出さないでください。

そう願っていたら、文のクッキング教室八つ橋編になりました。ねちょねちょとスライム状の生地を練る文。それにしても料理が重要な役割を果たすわりに、本作の調理シーンや料理はあまりおいしそうに見えないのはなぜでしょう。うーん、前言撤回。文のクッキング教室もつまらないや。もうここは潔く打ち切ろう!

と、思っていたら料理は早めに終わり今度は文と伊之助の不倫もどきですか。つまり本作は、

一、歴史上の人物が汚染される歴史場面

二、どうしようもなくつまらなくて不味そうな文のクッキング教室

三、ダラダラと鬱陶しい文と伊之助の不倫もどき

四、何か引っかかる家族場面

五、伊之助無双

で、構成されていると。うん、やっぱり打ち切ろう! 激動の幕末をこんなにつまらなくできるなんてすごいや。

あきれはてていると、どうやらだらだらと粂次郎養子の件を引き伸ばすようです。サブタイトルが「母になるために」だから嫌な予感はしていましたが。先週の辰路の自分語りも鬱陶しかったのですが、今週の寿の自分語りもどうしようもありません。狭い室内でうつむいて、視聴者にとってどうでもいい話を延々とやられてもな。こういうのはどうでもいいから激動の京都を、と思わずにはいられませんが、それで描かれるのが先ほどのズッコケ新選組だと思うと、夢も希望もあったもんじゃありません。

だらだら長い姉妹トークのあとで、久坂から来た書状を文が読みます。この内容が久坂は新選組がうろうろしている京都で自分探しやってんのか!と突っ込まざるを得ないもの。一体この作品での長州藩は何をしているのやら。史実の久坂が持っていた政治的な部分、冷酷とも思える計算高さがないのは、役者の個性にあわせた結果か。それとも文の夫として無垢な青年にすべきであると思ったからか。いずれにせよやりすぎて、ただのぼんくらになっています。

と、思っていたら一応長州藩の重臣椋梨藤太はこの状況を考えているようです。問題は、そこを文が立ち聞きできてしまうセキュリティ体制でしょうかね。現代だったらあやしいメールの添付ファイルをクリックして、個人情報入り端末が軒並みウイルス感染起こしていそうなレベルなのでした。やっぱりバカだ(史実ではなく、あくまで本作では)。

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今週の大河ニュース

さて今週の大河報道は。

・井上真央:背筋“ゾクッ” 女の園には「静かな怖さがある」 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/mantan/news/20150611dyo00m200007000c.html

女の園とかどうでもいいんですけどね。何この、中ジョッキを頼んだらカルーアミルク入れて寄越す居酒屋みたいな感じは? そういうの求めてませんが。

・「花燃ゆ」館 5万人 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINEhttp://www.yomiuri.co.jp/local/gunma/news/20150607-OYTNT50378.html

六月の時点でこれですか。例年に比べてやはり伸びが鈍いですね。

・歴史好き漫画家「『花燃ゆ』はいちいちビビりすぎ!」 - 週刊女性PRIME [シュージョプライム] http://www.jprime.jp/tv_net/drama/13820/

うーん、「主役が誰だかわからない」というのは歴史劇の場合欠点じゃないんですよね。ソレを言ったら『三国志』も『平家物語』も駄目ってことになりますよね。来年の『真田丸』を、幸村の祖父の真田幸隆や父の昌幸の時代から始めても私は別に構わないと思います。幸村を置き去りにして、延々と兄の信之について描くことがあったらむしろうれしいです。九度山謹慎時代の幸村が真田紐を作る様子をだらだらやるより、はるかにおもしろいでしょう。大河の主役はプロモーションやクレジットの便宜上必要ですが、別に主役が出ずっぱりでなくともよいのです。そこに文句をつけるのはおかしいのです。

あと「伊藤博文のセクハラが見たい」とかこういうのは本当にやめて欲しいんですけれども。毎年もっとエロを出せ、女優を脱がせろと、ゲスな意見が出てきますが……今年はW不倫の時点で十分ゲスです。そういうのが見たいなら、Vシネマのくノ一ものでもご覧になってください。

確かに『花燃ゆ』は駄作です。しかしこういう調子外れの、とりあえず叩いておけばいい的なノリもどうかと思います。毎週叩きに叩いている自分が言うのも、何ですが。

・NHK「花燃ゆ」 伊勢谷友介と東山紀之の共演NGで史実ブレまくりhttp://news.livedoor.com/article/detail/10206392/

・NHK大河ドラマ「花燃ゆ」 史実と違いすぎるとの批判絶えずhttp://news.livedoor.com/article/detail/10208446/

むしろ一部群馬の熱い思いが暴走して、伊之助無双になっている気がしますが。

それにしてもこのように、史実と違い過ぎるという批判が出てくるのはよいことだと思います。

花燃ゆでなぜ孝明天皇が出てこないのか

ついでにここでちょっと、本作で消えた人物について言わせていただきます。

本作では重要な人物がなぜか存在を消されています。どの大河でもある程度は仕方ないことですが、今年は特にひどい。杉三姉妹長女で度胸があり、松陰と一番親しかった千代。消えてはいないけれども史実と真逆の寿。吉田松陰に大きな影響を与えた佐久間象山。出番があってないような桂小五郎。おそらく今後まともに出番がありそうにない島津久光、徳川慶喜、松平容保。本作は改変あるいはカットされた人物が多数おりますが、その中でも最重要級の人物は孝明天皇でしょう。今回はそこに突っ込みます。

なぜ出てこないのか? それは長州藩にとって、孝明天皇がこそが最も不都合な史実だからでしょう。

一昨年の『八重の桜』では、はっきりと孝明天皇の長州藩への怒りと嫌悪感が描かれておりました。あれは概ね史実です。

長州藩は、毛利家の祖先が天皇家の血筋を引くこともあってか、他の大名よりはるかに朝廷に近いという自負がありました。ところがあまりに攘夷が過激化したこと、孝明天皇側近の公卿を抱き込む政治的なやり口が孝明天皇の不興を買うこととなりました。

天皇が長州を嫌っていると耳にした松陰の弟子らは、「嘘だッ!」と否定します。「きっと天皇は悪い奴らに洗脳されているんだ!」「天皇が長州を嫌っているなんてデマだ! ステマだ!」的なことを書いた史料が残っていて辛いです……自分にとって気に入らない事実はそうやって陰謀論で否定する。なんだか既視感のある光景ではありますが。

長州藩に嫌気がさした天皇が信頼を寄せたのは、京都守護職を引き受けた会津藩主・松平容保(かたもり)でした。これが長州藩にとってはおもしろくありません。よりにもよって徳川家の血を引く会津松平家が、天皇家と縁が深い長州毛利家よりも天皇に気に入られるなど、到底許せないことでした。

長くなりそうなので、ここで長州と孝明天皇(ついでに会津藩)ごく簡易まとめ

熱烈な尊皇思想を持つ吉田松陰、孝明天皇のためにも攘夷を決意

松陰の弟子・久坂玄瑞ら、孝明天皇の威を借りて攘夷をしつつ、ついでに倒幕を実現しようともくろむ

孝明天皇、公武合体を進めつつ攘夷を行うべきだと方針転換。勝手に公卿を抱き込み工作をする長州に不快感を示す

孝明天皇の意をくんだ薩摩藩、会津藩らが長州藩を追い落とす(八・一八の政変)

孝明天皇、誠意ある対応を行う会津藩の忠義に感動。天皇と武家で力を合わせて国難を乗り切ろうとご宸翰と御製(天皇直筆の書状と和歌)を贈る

追い詰められた長州藩、暴走の極みである「禁門の変」で御所に砲撃。完全に孝明天皇を怒らせ、諸藩をドン引きさせる

不可解な状況での孝明天皇崩御、薩長同盟成立などで長州藩窮地を脱する。幼い明治天皇は薩長や尊皇派公卿の意のままに動くおうになる

長州藩、明治天皇に従い恭順すると示す会津藩に、容保の首を差し出すようにと要求を突きつけ戊辰戦争の泥沼に突入。さらに敗れた会津藩士を極寒の地・斗南に流す

時が流れ明治。会津藩士・山川健次郎、困窮した会津松平家のために政府に資金援助を要求

長州の伊藤博文、山県有朋、その要求を突っぱねる

山川、ご宸翰と御製の存在を示唆「いいんですかね、これを世に出されても?」

山県有朋、ご宸翰と御製慌てて買い取ろうとするも松平家は断固断る。ただし、山川らは松平家への援助を引き出すことに成功。交換条件としてはご宸翰と御製、および『京都守護職始末』出版延期であった

かなりはしょっておりますので、気になる方は各自調べてみてください。ちなみにこのあたりの一部経緯は『八重の桜』で描かれていましたね。また公式サイトの歴史解説でも、八月十八日の政変を「策に溺れた長州藩」とはっきり書いております。

ドラマ本編ではそう描かないのが、本作の限界点です。当然、都合の悪い孝明天皇を出すわけがありません。孝明天皇を中心にして見ると長州藩には擁護できる部分がまるでありません。だからおそらく孝明天皇は本作に出ないだろうと、私は覚悟しておりました。

しかし……そうすることで、本作は逃げきれたとは到底思えません。

今年孝明天皇を出さないということは、大河最新の孝明天皇は一昨年『八重の桜』で市川染五郎さん演じた像のまま、更新されないということです。要するに本作が出さなかったらば、視聴者はあの孝明天皇像を補完して本作を見ますよ、ということです。

一昨年、大河ドラマは「会津は都を守るために、孝明天皇に忠誠を尽くして戦った。なのに、なぜ会津が朝敵になったのか?」という大きな問いかけを残しました。今年はそれに対して誠実に答えるべきでした。ところが今年は勝負そのものを投げました。答えることすらせず、誤魔化す道を選びました。邪魔だから天皇の存在すらまともに描かない……『平清盛』で一応歴史的根拠のある天皇家の「王家」呼びに怒り狂っている方々は、このことをどうお思いですか?  私は「王家」よりずっとひどいと思います。

本作は一昨年のように、史実にしっかり取り組んで、姑息なごまかしをせず長州藩の失敗も、成功も、両方描くべきでした。おにぎりイケメンスイーツに逃げて長州藩の不都合な史実を隠したところで、まったく効果はありません。そんな一年がかりの不誠実な答えを、喜んで見るほど大河視聴者は甘くはないのです。

本作がどうしようもなくつまらなくて、不愉快で怒りすら感じさせるのは、主役が目立たないだのそんな些末なことではありません。史実から逃げていて、不誠実で、ごまかしだらけだからです。来年以降の大河は、史実への誠意を取り戻すところから始めねばならないでしょう。

武者震之助・記

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