いだてん感想あらすじ

『いだてん』感想あらすじ視聴率 第11回「百年の孤独」

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モヤモヤした気持ちの金栗は

ストックホルムのマラソンコースを走りながら最終調整を重ねる金栗
そんな彼の前を、ラザロら選手が走ってゆきます。

声をかけても、金栗の声には気付きません。
彼らも必死です。

嘉納はああいうけれど、当然ながら金栗にも相当な重圧はある。
金栗は、400メートル予選に備え、トレーニングを積む三島の元にやってきます。

トレーニング中の三島がマッチョです。がんばっているなあ。
三島は敗北したことを淡々と語りつつも、明日走ることが楽しみだと言うのです。

「こうなったら徹底的に負けてやるさ、ははは」

そう語る快男児三島。
しかし、金栗はモヤモヤした気持ちがつきまとうのです。

国内・羽田での予選は完走だけで精一杯。しかし、今はいろいろプレッシャーがあります。

「我々は、走ればよか。精一杯やれば、それでいい」
「それができんからつらいですよ!」

熊本弁まで使いやがってとキレる金栗。しかし、三島は君がそう言ったんだろと思い出させます。

「精一杯走ればよか。それでよか」
「あれは短距離の話じゃけん!」

短距離はそれでいいけど、長距離は違う。2時間以上あるから考えちゃう〜〜! ってか。

 

人間ってこうして切磋琢磨して、強くなるんだな

「そのモヤモヤは君、プレッシャーだよ」
「プレッシャー?」

全身にのしかかる重圧を説明され、しかもそれが西洋人にもあると知り「そぎゃんですか」と開眼する金栗。

「正体さえわかれば、これはもう怖くなかです!」

そう振り切る金栗。単純で微笑ましいですね。
しかし、同時に【スランプ】という言葉を聞いてしまい、新たな一抹の不安がよぎるのでした。

7月12日、三島最後の400メートル予選です。
大森監督が病気であるため、本日は金栗がコーチも務めます。

400mレースは、実に5人中3人が棄権で、2着まで予選通過なのですが、それでも三島は走ります。

五輪に車では、かなり余裕のあったお坊っちゃま。
しかし今はそうじゃない。生々しいアスリートとしての姿がそこにはあります。

人間ってこうして切磋琢磨して、強くなるんだな。
そう思える力走です。

ゴールして倒れこむ三島。
もう一人では動けなさそうな三島。準決勝まで残りました。

「次は……ないです。準決勝、やめます」

 

百年かかっても無理だ……

三島は棄権を宣言しました。

日本人には短距離は無理、百年かかっても無理だと語ります。

写真は撮れなかったと知ると、三島は叫びます。

「もうはしれーん! 勘弁してくれ」

楽しかったと聞かれ、そうだったと答える三島。
準決勝は棄権、三島の五輪はここで終わります。

写真撮影を終えると、表舞台から去る三島弥彦です。

7月14日、こうしてマラソン競技当日を迎えます。

冷水浴、快眠快便。
さぁ、金栗の勝負です!
白夜でモヤモヤして眠れなかったものの、金栗はレースに挑みます!

「プレッシャーと二人三脚で走ります!」

ここに三島も、冷水浴に参加するのでした。
今日も暑くなると言いながら、二人は冷水を浴びるのでした。

 

MVP:三島弥彦

三島のオリンピック挑戦。
決勝まで進めないとそれだけで終わりになるはず。結果だけ見れば、そうなんですよね。

しかし、その中身が、いかに濃厚であったか――それが描かれました。

全てのアスリートに、物語がある。それこそ大事だ。メダルの輝きは二の次。
そう思い出させてくれた彼の物語に、もう感動してしまって止まりません。

ありがとう、三島弥彦!

 

総評

だいたい魅力を語った気がする。
そして皮肉なことに、『いだてん』とアスリートの境遇が重なってしまっています。

今回は、このニュースを取り上げないワケにはいきません。

◆「いだてん」公式サイトからピエール瀧容疑者の写真が削除 NHK「逮捕を受けて」「対応は検討中」

大河枠にとって、とどめの一撃になりそうな重大事件。
繰り返しますが『いだてん』という作品ではなく、大河枠そのもの、ひいてはテレビ業界全体に影響があるように感じます。

何が悪いのか?
どうなったのか?

分析してみましょう。

1.「お蔵入り」の範囲を決めてこなかった

どこからがダメで、どこからがよいか。
これは以前も指摘しましたが、何らかのトラブルが起きたときの線引きをしてきませんでした。

オールオアナッシング思考の弊害です。

新井浩文氏の件も、これは強く感じたことです。
犯罪の程度や刑期、被害者の有無、過去まで遡るのか、広告やドラマといった作品との分け方、電波なのか配信なのか。

こういう条件と取り締まり範囲のガイドライン策定をしてこなかったことが、裏目に出ています。

ともかく悪ければ一律に封印――そんな硬直した対応が裏目に出ているのです。

個人的には、個人的な不始末である薬物使用と、被害者のいる性暴行では性質が違うと思います。
過去に遡ってまで、電気グルーヴの作品まで配信停止するのは適切なのでしょうか。

2.歴史の復讐

こうしたオールオアナッシングがあった結果、何が生まれていたのか?

【口封じと隠蔽】
です。
被害者が黙ればいい、そんな風潮です。

性犯罪の場合だと、映像関係者から被害者バッシングすらありました。

「この程度のことで」
「被害者にも落ち度はあった」
そんな理由で、あいつさえ黙ればこちらは困らないという暴言がまかり通っていたのです。

事件と被害者は突然出てきたのでしょうか?

そうではないでしょう。黙らされてきたのです。
そうした過去を含めた負債に向き合うべき時が訪れたのです。

そしてこれは、大河ブランド低下の現れかもしれません。
あまりに絶大なブランドゆえ、以前ならば揉み消された事件がなかったと言えるのでしょうか?

⒊連鎖

この事件だけで、収まるとは私には思えません。

『いだてん』出演者の中には、既にアスリートへの侮蔑としか思えない発言をテレビでした人物がおります。
本作に容赦ない目線が注がれる中、過去に遡ってまで掘り出されないとは言い切れません。

そしてこれは『いだてん』だけで済む話じゃない。

過去、未来。大河の作品枠に延焼し、配信が続々と止まってゆく。
ブランドそのものが燃え上がる可能性は否定できません。

一連の流れで、一番影響が大きいのは、性犯罪とハラスメントです。
#Metoo運動の余波は、世界から遅れて日本に到達します。

今後、性犯罪とハラスメント加害者によってお蔵入りする日本の映像作品は、爆発的に増えるかもしれないのです。

個人的にはそれはそれで結構なことだと思います。それが時代の趨勢です。
敗勢が見えてくると、悪いことは重なるものです。

それでも逆転できるだけの勢いと底力があれば、一矢報いることもできなくはない。
ただ、本作と大河枠の場合は、覆せるとは思えない。

こうなった場合の次の一手は「撤退戦」です。

 

大河枠そのものへの不安が消えないどころか

◆岐阜、大河ドラマ効果に期待 「観光の命運、視聴率にかかっている」との声も

うわー、これはやはりもうダメだ。

観光の命運という意識は、実はもう薄れています。

漫画作品。
歴史をあつかったアクションゲーム、ソーシャルゲーム、乙女ゲーム。

そういうメディアのほうが、長い年月、さらには海外にまでアピールできるので、よほど効率がよい。
勘のいい自治体は、既に大河招致合戦から撤退しています。

こういう流れについていけないのは、かなり高年齢の層です。
しかし、彼らの権限が強い。そのため、意見が通ってしまう。

実態に即していない観光戦略が通り、しかもそれが大河へのプレッシャーとなります。

大河ドラマが背負っていた、高い視聴率と観光効果という強み。
この栄光が今や重荷となってしまったのです。

そして、これに対してどういう策をとるか?

【過去の安定した勝ちパターン、しかも実行が楽、短時間で可能なもの】
を選択することでしょう。

具体的にいいますと2014年『軍師官兵衛』パターンです。

側室を持たなかった黒田官兵衛櫛橋光の路線をなぞるようにして明智光秀明智煕子の愛を強調し、高度成長期のホームドラマ調にするわけです。

しかし、先行きは暗い。
成功する官兵衛に対して、光秀は三日天下なのですから、どうしたってバッドエンドが待っている。

明らかに結末が異なる人物にアプローチするのに、同じ戦術を選ぶことは敗北へ直結するのではないでしょうか。

同じ戦闘条件が繰り返されることはなく、勝ちパターンも同じものなど存在しない。

ひとつの勝ちパターン、たまたまうまくいったパターンに固執すること。
それは破滅につながる道です。しかし、もうこの先にはそれしかないのです。

今年『いだてん』が若年層には受けているのは、こういうニュースと重なるからでしょう。

◆体操協会、宮川選手に反省文要求 池谷幸雄氏に厳重注意:朝日新聞デジタル

立場が上の、頭の硬い保守的な価値観のせいで、苦しむアスリートたち。
暗い世相が選手生命を奪うほどに、傷つけてゆきます。

先の見えない世の中で生きる年齢層は、そのことに共感するでしょうけれども、そうではない層は?
東京オリンピックを盛り上げたい、懐かしい青春を味わいたい、そんな層は?

皮肉なことに、東京オリンピックに寄せる期待は、年齢によってかなり違いがあります。

若年層には、オリンピックの持つマイナスポイントを印象づける。
高年齢層は見ない。
オリンピックアピールどころか、別の方向に進みそう。ドラマとしてはそれがあるべきものですが、それは果たして作り手総大将の目的にかなうことなのかどうか。

そうは思えません。

戦略が誤っているからには、戦術を変えたって無駄なことです。
『軍師官兵衛』の関係者を起用し、戻そうという気配もあります。その結果はこうですね。

高年齢者層:若すぎる信長はじめキャストと、取り入れられる新学説に不満で離れる
弱年齢者層:ホームドラマ大河に辟易、動画配信サービス(その一例として『MAGI』がある)へお引越し

『いだてん』に対するNHKへの意見ですが。
なかなか興味深い結果でして。

◆みなさまの声にお応えします(NHK)

これと併せて『MAGI』のレビューを見ると、いろいろと納得できます。

来年は、
「視聴率のために守りに入るか? それとも新規開拓のために攻めに入るか?」
となるわけですが。

どちらを選んでも結果は同じことではないでしょうか。
もう反撃のタイミングは逃しました。
どちらを選ぼうと終焉が見えているのです。

終焉を逃れるかどうかが、焦点ではありません。
いつ終わるのか。
どう終わるのか。

着地点の見出し方。
そこまで来ていると感じますが、しかし!

来年の大河が駄作になるとは言い切れません。
「大河枠が終焉に向かう」ことと「作品自体の成否」は別の話です。

撤退戦で輝いたからこそ。
敗北で武勇を見せつけたからこそ。素晴らしいと賞賛される武将は存在します。こんな時代だからこそ、輝くチャンスもあるはずです。

『いだてん』にせよ『麒麟がくる』にせよ、しょうもないバッシングはあるでしょう。
しかし、そんなものには負けない強い輝きがあると信じています。
そして、それがあれば賞賛したい。そう思っています!

 

クドカン氏は半端ない

あ、そうそう。
クドカン氏が「勉強嫌いで時代劇は書けない」という指摘がありましたが、間違いでして。

ちゃんと調べましたか?
歌舞伎にも脚本提供をしております。
江戸時代以前を舞台にした作品だってちゃんと経験済み。時代ものを得意とする劇団☆新感線の脚本も手掛けております。

むしろ、
「ナゼ、大河を今までやらんかったの?」
と思うくらいです。

彼には、こんなスゴイ作品があります。
『メタルマクベス
です。

 

メタルバンドの攻防と、シェイクスピアの『マクベス』を組み合わせるという、変態しか思いつかないような世界観の大傑作。

何がスゴイって、ここで紹介したような楽曲始め、ふざけているようで専門家監修付き、シェイクスピアの書いたセリフがいちいち元ネタになっているんですわ。

◆宮藤官九郎「シェイクスピアが観たら『これだ!』って叫ぶと思う」 マクベスの台詞をすべてメタルの歌詞にした劇団☆新感線の舞台「メタルマクベス」 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット) 

こんな、労力が無駄にかかるわ、頭を絞りに絞ってギリギリにしてやらなきゃいけない脚本家って、クドカンさんくらいしかおらんじゃないの?
っていうくらいドのつく大傑作です。

日本史どころじゃない、スコットランド史。
日本文学どころではなく、イギリス古典の世界。
それとヘヴィメタルを組み合わせるんですよ。

そういう半端ない筆力であるということは、理解しましょう。

マクベスはそこまでワルじゃない? 実はよく頑張ったスコットランド王の統治事情

クドカンさんが今回の大河でコケてもどうでもいいっす。

『メタルマクベス』みたいなこと、世界規模でやって欲しい。
絶対ウケますって!!

ちなみに、以下の方が出ております。

『真田丸』のきりでおなじみ! 長澤まさみさん!

『おんな城主 直虎』の今川氏真がラブリーだった尾上松也丈!

(このお二人は、公演ごとに出演状況が違いますので、ご確認ください)

『おんな城主 直虎』の近藤康用を熱演した橋本じゅんさん(全公演)!

大河ファンにもお勧めできる大傑作ですので、ぜひご覧いただければ。

本当に無茶苦茶面白いんです!

※『いだてん』も『八重の桜』もU-NEXTならネット(スマホ)で見れる!

※他にも多数の朝ドラ・大河作品も視聴できます(時期によって対象番組が異なりますのでご注意を)。

文:武者震之助
絵:小久ヒロ

【参考】
いだてん(→link

 



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