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『魔界転生』歴史ファンなら見て損はない!「歴史人物転生モノ」の元祖作品

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無念の死を遂げた歴史上の人物が、現代や別世界に転生し、戦う――。

現在では漫画やゲームでよく見かける設定であり、「なんだよ今更www」と思われるかもしれませんが、その元祖とも呼べるのが『魔界転生』です。

しかも同作品は日本映画界に新しい息吹を投じた角川作品の一つ。
それだけで見てみたい気にもなりますが、事前に史実を知っていた方がより楽しめます。

色々とブッとんだ設定ながら、歴史ファンから見ればたまらない要素が随所にあるのです。

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基本DATA info
タイトル 『魔界転生』
原題 Samurai Reincarnation
制作年 1981年
制作国 日本
舞台 日本各地
時代 江戸。開始時は寛永15年(1638年)、完結時は明暦3年(1657年)という、不可解な時系列
主な出演者 千葉真一、沢田研二、佳那晃子、緒形拳、室田日出男、真田広之、丹波哲郎、若山富三郎
史実再現度 史実ではなく伝奇系
特徴 怨恨死者によるオールスターバトル

 

あらすじ「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」

寛永15年(1638年)、島原。
神を求め戦った者たちは敗れ、ことごとく惨殺された。
天草四郎の首は、他の者と並び、さらされていた。

勝利を祝い、幕府軍が能を鑑賞していたところ、雷鳴が鳴り響く。
稲妻の輝きとともに、そこには蘇った四郎の姿があった。

「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」

神の教えを捨て、悪魔の力を身につけた四郎。
彼は各地をめぐり、無念の死を遂げた者たちを蘇らせてゆく。

・細川ガラシャ
・宮本武蔵
・宝蔵院胤舜
・伊賀忍者・霧丸

現世への恨みをつのらせた「転生衆」たち。
彼らの姿を目撃した剣豪・柳生十兵衛は、その野望を阻むべく立ち上がる!

 

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剣豪オールスターバトルからの改変

本作は山田風太郎『魔界転生』を大胆にアレンジした作品です。

原作は長編であり、忠実な映画化は不可能。
柳生十兵衛という最強の主人公相手に、実在した剣豪をぶつけるべく、作者得意の忍法を駆使したという設定です。
オールスターバトルを展開するための設定といえましょう。

映画版は原作にあった「恨みを抱いた者が蘇り復讐を遂げる」という部分を重視しています。
二人目に復活する「転生衆」が細川ガラシャであるという時点で、原作とは別物だと印象付けるのです。

原作ですと忍術の性質上、転生できるのは男性のみで、メンバーも天草四郎以外は剣豪であることが条件。
両方を満たしていないガラシャが加入することで、テーマが違うのだとハッキリ示します。

山田風太郎は原作アレンジに寛容な人物で、自作タイトルを冠した成人指定作品が大量に作られても、特に気にしませんでした。
特に「転生衆」へのガラシャ加入は、本人が驚き「その手はなかった」と脱帽したとか。

 

歴史ファンならニヤリとさせられる場面だらけ

本作は歴史上の人物が多数出演します。

なまじ人物が多いだけに一瞬しか出てこない人物が大半ですが、そのわずか一瞬で「歴史ファンが考える最大公約数」的な場面を切り取るのが見事です。

ガラシャの目の前で他の女とたわむれ、ガラシャが無反応だと激怒する細川忠興
天草四郎に一瞬で倒されてしまう松平伊豆信綱。

一方で、「転生衆」はあの人物をこんなアレンジをしてよいのか、と驚かされます。
宮本武蔵と宝蔵院胤舜は、吉川英治版およびその漫画化である『バガボンド』等のイメージを正面からブチ壊します。

ここの歴史背景を知らずとも引き込まれる力量を備えた作品ですが、歴史背景を知ればより楽しめます。

大胆に元ネタをリミックスし、つなぎ合わせた楽しみ方があるのです。

 

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大胆な作品を作るためには、基礎体力が大事

本作が大胆な吹っ飛び方をしつつも、歴史ファンをうならせ、高い人気を得たのには、ちゃんとした理由があります。

山田風太郎作品の根底にある価値観や人物像を踏み外さないのです。

前述の通り、ガラシャは「転生衆」加入条件を満たしてはいません。
しかし、その人物像は、山田風太郎作品に描かれたガラシャ像からはみ出していません。山田風太郎作品に登場するガラシャは、聖女としての一面だけではなく、人間らしい邪悪な欲望をちらつかせる女性です。
本作の人物像と一致するのです。

時代劇としての様式美もあります。
千葉真一の柳生十兵衛は、今見ても歴代でも屈指の素晴らしさがあります。
彼があの装束を身につけ、刀を振るうだけでもうっとりとさせられます。

そうした時代劇としての基礎体力だけではなく、斬新な演出も魅力的です。

辻村ジュサブローの案による天草四郎の衣装。
四郎の生首が吹っ飛ぶ場面。
現場の指示で突然入れられたという四郎と霧丸のキスシーン。
ラストシーンの衝撃。

そもそも、なんでこんなに天草四郎がビジュアル系なのか。
今見ても「これはありなのだろうか?」と驚かされます。

特殊効果は現在見るとどうしても安っぽいのですが、逆に現在では出せない迫力もあります。
燃えさかる炎の中での撮影は、実際にセット内で燃やしていました。
火傷を負う出演者も出ました。

「心頭滅却すれば火もまた涼し」

そんな言葉を地でいくような撮影は、良いか悪いかは別として、脱帽させられます。
こうした基本的な作りがしっかりしているからこそ、本作は奇想天外な設定であっても、本格的な作品として鑑賞できるのです。

「歴史人物転生もの」の元祖として、現在においても色褪せない『魔界転生』。
歴史ファンなら是非ともご覧ください。

著:武者震之助




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【参考】『里見八犬伝

 




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