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暗殺されたケネディの妻、その後を描く『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

更新日:

エレガントで若く美しく、知的。
まさに最高のファーストレディとして伝説に残るジャクリーヌ・ケネディ。

しかし彼女を有名にしたのは、そうした彼女自身の長所よりも、夫の暗殺時に隣にいたという悲劇的な事件でした。

ピンクのシャネルスーツについた、夫の脳漿と血。彼女がこの悲劇にどう対処したのか。
この作品は彼女にとって最悪の日々に迫ります。

amazonより

Amazonプライムで399円の有料配信されています(2017年12月1日現在)

基本DATA info
タイトル 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』
原題 Jackie
制作年 2016年
制作国 アメリカ
舞台 清、北京
時代 1963年11月22日、ケネディ大統領暗殺のあと
主な出演者 ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード
史実再現度 史実準拠
特徴 ナタリー・ポートマンの熱演を見るべし

 

あらすじ ダラスの銃弾

1963年11月22日、テキサス州、ダラス。
シャネルのピンク色のスーツに身を包んだファーストレディ・ジャッキー(ナタリー・ポートマン)は、夫のケネディ大統領(キャスパー・フィリップソン)
とともに大統領専用車でパレードをしていた。
その時、一発の銃弾が大統領の頭部に命中。
ジャッキーは脳漿がこぼれないよう、必死で夫の頭を支えた。しかし、大統領は即死であった。
華麗なるファーストレディは、一発の銃弾で悲劇の女性となってしまったのだ。

 

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ナタリー・ポートマン熱演の事件再現映像

この映画の出来は、主演のナタリー・ポートマンにかかっていると言えます。

優雅なファーストレディらしい話し方や仕草を身につけた様は見事です。
呆然としながら夫の血を拭う鬼気迫る演技には引き込まれます。

撃たれた瞬間のケネディ大統領。
大統領専用機内でのジョンソン大統領宣誓式。
大統領のおごそかな葬儀。
こうした歴史上のイベントを再現する映像も見応えがあります。

そうはいっても、本作は何が言いたいのかわかりにくい作品です。
時系列は飛びますし、ふらふらと行動するジャッキーに戸惑う観客も多いかもしれません。

結論から申しますと、同事件に興味のある方にはオススメできます。

なんせ、殺されたケネディ本人や犯人に関する映像・書籍は多いですが、なかなか彼女にクローズアップしたものはないのでは。

 

不思議の国のジャッキー

本作のジャッキーは、ほぼすべての場面において錯乱しているようにすら見えます。
夫が横で死んで脳漿と血を浴びたヒロインであるからには、仕方ないことではありますが。

彼女はもう世界のどこにも安全な場所などない、と悟りました。
夫を殺したオズワルドも銃撃されたというニュースを聞いて怯え、我が子をなんとしても守りたいあまり、錯乱気味の言動をします。

安全を求めて髪を振り乱しているジャッキー。

実は彼女の姿は、遠い過去のものではありません。
2017年10月、ラスベガスでも恐ろしい乱射事件があったばかり。
大統領すら射殺されてしまうアメリカにおいて、安全な場所とは一体どこなのでしょうか……。

なんせアメリカで暗殺されたのはケネディだけじゃありません。

・1865年リンカーン
・1881年ガーフィールド
・1901年マッキンリー
・1963年ケネディ
・1981年レーガン(未遂)

未遂事件を入れたら過去に5件。
錯乱状態のジャッキーは、暗殺された大統領の名を次から次へとあげ、リンカーンにならった葬儀にしたいと思い始め、資料を取り寄せます。

「暗殺された著名な大統領を参考にする」
それができるという時点で、血塗られた歴史なのだなぁと改めてぞっとします。

もうひとつは、それがたとえ虚飾だとしても、飾り立てて生きねばならない立場である、ということ。

ジャッキーの時代は、テレビが普及しだしたころです。
彼女がホワイトハウスを案内するテレビ映像は話題を呼びました。

メディアの普及は、国のトップと国民の距離を近づけます。
テレビや取材があるからには、ジャッキーはきちんとした装いをして、マスコミ対応もしなければなりません。
夫が死んで間もないというのに、きっちりと口紅をつけ、ドレスやアクセサリーを選ばねばならないこの状況……。

悲しむ時ですらスタイリッシュなファッションアイコンでなければならない、そんなファーストレディの立場を思うとこちらまで暗い気持ちになります。

 

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キャメロット幻想

ズタボロになり、煙草をふかし、蒼白な顔に口紅をつけたジャッキー。
彼女が目指した「使命」の像は終盤に見えて来ます。

立派な葬儀を行うことではなく、夫の統治した時代は「キャメロット」、即ち伝説のアーサー王の治世のような理想郷であったと、世間に信じ込ませることでした。

彼女自身、それは嘘だと知っています。
夫と夜をともに過ごす日はほとんどなく、夫婦の間で常に意見が一致したわけではない。
ケネディ大統領自身は虚飾を嫌い、妻がホワイトハウスを改装することにすら否定的でした。

そんな彼自身が、妻の広めた甘ったるい「キャメロット」幻想を肯定するかはわかりません。

幻想を広めるために取材に答え、煙草をふかすジャッキー。
その姿からは「歴史」が生まれる過程も見えて来ます。

事実だけではなく、伝えるものの願望によって歴史は決まるのだと。

本作はけだるげで錯乱した雰囲気の中で、ジャッキーという一人の女性が歴史を語り継ぎ、作る瞬間をとらえた作品です。
万人向けではありませんが、興味深い作品です。

著:武者震之助




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【参考】『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命

 




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