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『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』北斗の拳世代必見のアクションは、あのデブゴン仕込み!

更新日:

サモ・ハン。
以前の芸名はサモ・ハン・キンポー。

ジャッキー・チェン、ユン・ピョウとのトリオが有名な巨漢であり、かつては「デブゴン」という愛称で呼ばれておりました。
日本では水島裕さんの吹き替えが有名ですね。

知名度ではジャッキーには及ばないながら、アラフォー以上の方であれば
『懐かしいねえ』
と、ちょっとした感傷に浸られるでしょう。

しかし本作は、それ以上にアラフォーを直撃する要素があります。

むちゃくちゃ『北斗の拳』の世界なのです。あたたたた~!!

 

基本DATA info
タイトル コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝
原題 危城(英語タイトル Call of Heroes)
制作年 2016年
制作国 中国
舞台 中華民国、普城(普通の町という意味。普通の町が、危険な町となってしまうというタイトル)
時代 1914年
主な出演者 劉青雲(ラム・チンワン)、彭于晏(エディ・ポン)、古天楽(ルイス・クー)、呉京(ウー・ジン)
史実再現度 ざっくりと時代背景を借りてはいるが、場所と人物は架空のもの
特徴 ジェネリック実写版『北斗の拳』だ!! しかも本家より断然効きます

※今ならamazonプライムvideo『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝 (字幕版)』で500円です(2018年4月21日現在)

 

千葉繁氏の声で読みたい あらすじ

1914年、中国大陸は戦火に包まれた――。

内戦に荒れ果て、北洋軍閥がはびこり、全ての人々は絶望したかの様子。
しかし、英雄の心は滅びていなかった!

北洋軍閥の脅威にさらされる普城。
その村を守るべく、楊克雄は日々目を光らせていた。

ここに一人の英雄・馬峰、そして軍閥将軍の息子・曹少璘が訪れたことから物語は始まる。

村人を殺す悪党・曹少璘。
てめえに今日を生きる資格はねえ!

正義の心を持つ英雄たちは、ついに立ち上がる。

 

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眉の太い原哲夫氏作画の男だらけの世界

本作に入る前に、哀しみについて語りたいのです。
実写版『北斗の拳』という哀しみ……。

「『北斗の拳』に実写版なんかあったの?」

と思えるアナタは幸せ。
知らなくていいし、知っていても忘れた方がよいのです。

見ない方がよいのです。

 

アレは見なくていいから、こっちを見るべきだ、というのが本作でしょう。

そこは眉の太い原哲夫氏作画の男だらけの世界(アシスタント作画は除く)

幼い子供達は泣き叫び、老人たちは明日を夢見ながら暴力に倒れ!

罪のない村人たちはヒャッハー系悪党によって蹂躙され!

眉の太い男たちの間には何か熱い絆があり!

英雄の前に現れる因縁がありそうな男は、同門の兄弟子で!

悪党は徹底してゲスで早く死んでくれと願いたくなり!

「強敵」と書いて「とも」と読む!

おいおい、主題歌も、クリスタルキングっぽいぞ!

 

『北斗の拳』の元ネタは『マッドマックス』だけではない

『マッドマックス』を見た若者が、
「この映画『北斗の拳』ぽいですね」
と言ったなんて笑い話を小耳に挟んだことがあります。

『北斗の拳』が『マッドマックス』を参照した――というのが正しいんですね。

そしてもうひとつ。
『北斗の拳』に影響を与えている映画がありまして。

ブルース・リーです。

初期のケンシロウはブルース・リーを意識しているであろう外見。
あの有名な「あたたたたた! ホアアッチャア〜」という声も、ブルース・リーの怪鳥音を意識している。

『ドラゴンボール』もそうですが、当時はそういうカンフー映画っぽさを取り入れている点が、作品の特徴だったのです。

ブルース・リーだけでじゃありません。
中国のカンフー映画、武侠モノの要素も『北斗の拳』にはあります。

あの有名な「経絡秘孔」も、元を辿れば「点穴」という東洋医術。「ツボ」のことですね。
針を刺したり刺激したりして治療を行うものです。

これが武侠ものですと、ツボを突くことで相手に大ダメージを与えたり、麻痺させて動きを封じたりすることができます。

ツボを突くことで人体が内側から破裂する描写は『北斗の拳』独自のアレンジですが、元ネタはそのあたりにあります。

それ以外にも、
・因縁のライバルが同門の弟子であるとか
・流派ごとに争いがあるとか
そうした要素は中国の武侠ものをベースとしている部分が多いわけです。

『コール・オブ・ヒーローズ』が『北斗の拳』みたいに思える――それもある意味当然なのです。

 

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民の力と中国の歴史を感じる

本作は基本的に『七人の侍』や『マグニフィセント・セブン』中国版といったところではあります。
が、中国独自の歴史背景もきちんと抑えています。

馬峰と張亦は同門同士という設定。
彼らが過去所属していたのは「ヒョウ(金+票)局」という組織です。

これは中国独自のもので、長い旅路において金品等を輸送する際につける護衛団のことです。
実際、日本語訳では「護衛団」とされています。

楊克雄の組織は「自警団」とされています。
中国語では「保安団」となっています。

これは秦代あるいは宋代に起源を求めることのできる制度で、行政単位ごとに武装して安全を確保するという制度でした。

映画『SPIRIT』主人公の霍元甲、『ドランクモンキー 酔拳』や『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』の主人公である黃飛鴻らも、「保安団」を率いていたとされています。

楊克雄の一団に女性メンバーがおり、かつ夫人の周素素が強いのも中国らしさです。

中国の武侠ものではパーティメンバーに女性がいることも、英雄の妻が「女侠」と呼ばれて滅法強いのも、ごく伝統的なものです。

黒人、先住民、アジア人をメンバーに加えた『マグニフィセント・セブン』ですら、女性は七人には入りませんでした。
それを中国ですといとも簡単にやってのけます。

子供達が馬峰に呼びかける声が「孫悟空」になっていますが、元は「大侠」と呼んでいます。
終盤には楊克雄の娘が「私も将来、江湖の女侠になりたいな」と言います。

「侠」というのは弱き者のために戦い人々のことで、本作のテーマはまさしく、中国の英雄伝の根底に流れて来た「侠」の精神。

このように、中国の歴史に根ざした背景があります。

そういうことを抜きにして楽しめる映画ではありますが、知っておくとより楽しめます。

時代設定は20世紀初頭。
中国大陸では戦乱のたびに民衆が苦しんできました。

そんな中、立ち上がる英雄たちは、どの時代にもおりました。

「世紀末救世主伝説」ならぬ「王朝末救世主伝説」。
普遍的な英雄の姿が、本作では描かれます。

 

アクションに惚れろ! ゲスの極み悪党に本気で怒髪衝天しろ!

サモ・ハンがアクション監督をつとめた、迫真の戦闘場面もみどころ。

ジャッキー・チェンより恐ろしくて殺気にあふれていることに定評のあるサモ・ハンです。
彼のアクションはダメージ描写が半端なく、撮影中に死人が出ていてもおかしくないようなヘビーさです。

しかも演じるのが、ドニー・イェンに匹敵すると言われるほどのウー・ジン。
パッと見たところは、カンフーが得意な荒木飛呂彦氏の従弟みたいな雰囲気ですが、彼はともかく凄い!!

絶品です。
特に終盤の槍を手にしたアクションは本物のド迫力です!

様々な武器を駆使した動きも最高です。
楊克雄は鞭、周素素はなんとザル!
華麗な動きで敵を圧倒する本物のアクションを堪能してください。

そしてこれまた『北斗の拳』ぽくて本作の見所なのが、ルイス・クー演じる曹少璘でして。
軍閥将軍である父の七光りでゲスの極み野郎です。

ニヤニヤした笑い方、卑劣な手段、女子供老人も手に掛ける卑劣さ。
見ていて思わず「てめえに今日を生きる資格はねえ!」と叫びたくなります。

ここまでゲスで強烈で腹が立つ悪党って、今時珍しいと思うんですけれども、こいつに怒っただけ、ラストのカタルシスがスッキリしますので、どんどんムカついてください。

そんなわけで、ジェネリック実写版『北斗の拳』として、本作はオススメ。
しかも本家より断然効果あり!!

ごく最近の作品なのに何故か懐かしく、そして斬新な大傑作ってなかなかお目にかかれない。

カンフー映画好きだけではなく『北斗の拳』直撃世代の方も是非ご覧ください!




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著:武者震之助

【参考】コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝 [Blu-ray]

 



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