歴史ドラマ映画レビュー

北斗の拳世代必見『コール・オブ・ヒーローズ 武勇伝』のアクションはデブゴン仕込み!

サモ・ハン。
以前の芸名はサモ・ハン・キンポー。

ジャッキー・チェン、ユン・ピョウとのトリオが有名な巨漢であり、かつては「デブゴン」という愛称で呼ばれておりました。
日本では水島裕さんの吹き替えが有名ですね。

知名度ではジャッキーには及ばないながら、アラフォー以上の方であれば
『懐かしいねえ』
と、ちょっとした感傷に浸られるでしょう。

しかし本作は、それ以上にアラフォーを直撃する要素があります。

むちゃくちゃ『北斗の拳』の世界なのです。あたたたた~!!

基本DATAinfo
タイトルコール・オブ・ヒーローズ 武勇伝
原題危城(英語タイトル Call of Heroes)
制作年2016年
制作国中国
舞台中華民国、普城(普通の町という意味。普通の町が、危険な町となってしまうというタイトル)
時代1914年
主な出演者劉青雲(ラム・チンワン)、彭于晏(エディ・ポン)、古天楽(ルイス・クー)、呉京(ウー・ジン)
史実再現度ざっくりと時代背景を借りてはいるが、場所と人物は架空のもの
特徴ジェネリック実写版『北斗の拳』だ!! しかも本家より断然効きます

※今ならamazonプライムvideo『コール・オブ・ヒーローズ/武勇伝 (字幕版)』(→amazon)で407円です(2020年3月29日現在)

 


千葉繁氏の声で読みたい あらすじ

1914年、中国大陸は戦火に包まれた――。

内戦に荒れ果て、北洋軍閥がはびこり、全ての人々は絶望したかの様子。

しかし、英雄の心は滅びていなかった!

北洋軍閥の脅威にさらされる普城。その村を守るべく、楊克雄は日々目を光らせていた。

ここに一人の英雄・馬峰、そして軍閥将軍の息子・曹少璘が訪れたことから物語は始まる。

村人を殺す悪党・曹少璘。
てめえに今日を生きる資格はねえ!

正義の心を持つ英雄たちは、ついに立ち上がる。

 


眉の太い原哲夫氏作画の男だらけの世界

本作に入る前に、哀しみについて語りたいのです。

実写版『北斗の拳』という哀しみ……。

「『北斗の拳』に実写版なんかあったの?」

と思えるアナタは幸せ。
知らなくていいし、知っていても忘れた方がよいのです。

見ない方がよいのです。

 

アレは見なくていいから、こっちを見るべきだ、というのが本作でしょう。

そこは眉の太い原哲夫氏作画の男だらけの世界(アシスタント作画は除く)

幼い子供達は泣き叫び、老人たちは明日を夢見ながら暴力に倒れ!

罪のない村人たちはヒャッハー系悪党によって蹂躙され!

眉の太い男たちの間には何か熱い絆があり!

英雄の前に現れる因縁がありそうな男は、同門の兄弟子で!

悪党は徹底してゲスで早く死んでくれと願いたくなり!

「強敵」と書いて「とも」と読む!

おいおい、主題歌も、クリスタルキングっぽいぞ!

 


『北斗の拳』の元ネタは『マッドマックス』だけではない

『マッドマックス』を見た若者が、「この映画『北斗の拳』ぽいですね」と言ったなんて笑い話を小耳に挟んだことがあります。

『北斗の拳』が『マッドマックス』を参照した――というのが正しいんですね。

そしてもうひとつ。
『北斗の拳』に影響を与えている映画がありまして。

ブルース・リーです。

初期のケンシロウはブルース・リーを意識しているであろう外見。
あの有名な「あたたたたた! ホアアッチャア〜」という声も、ブルース・リーの怪鳥音を意識している。

『ドラゴンボール』もそうですが、当時はそういうカンフー映画っぽさを取り入れている点が、作品の特徴だったのです。

ブルース・リーだけでじゃありません。
中国のカンフー映画、武侠モノの要素も『北斗の拳』にはあります。

あの有名な「経絡秘孔」も、元を辿れば「点穴」という東洋医術。「ツボ」のことですね。
針を刺したり刺激したりして治療を行うものです。

これが武侠ものですと、ツボを突くことで相手に大ダメージを与えたり、麻痺させて動きを封じたりすることができます。

ツボを突くことで人体が内側から破裂する描写は『北斗の拳』独自のアレンジですが、元ネタはそのあたりにあります。

それ以外にも、
・因縁のライバルが同門の弟子であるとか
・流派ごとに争いがあるとか
そうした要素は中国の武侠ものをベースとしている部分が多いわけです。

『コール・オブ・ヒーローズ』が『北斗の拳』みたいに思える――それもある意味当然なのです。

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