おんな城主直虎感想あらすじ

『おんな城主 直虎』感想レビュー第37回「武田が来たりて火を放つ」

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焼き味噌ジョーク、しかみ像ポージング

始まりました武田vs徳川。
合戦シーンは、ヒャッハーしながら走り回る、武田マッドマックス軍団の映像のみです。
そこで徳川家の皆さんが顔芸をしまくって、この危機的状況を伝えるしかない、と。

そうやって討って出た直後、画面が切り替わるとボロボロになって、「ぶほっ!」と放屁しながら家康敗走。
今回は方久のプロポーズシーンのエコーといい、この放屁音といい、なんだか音響効果、変な方向で頑張っていませんかね。

「臭い! なんか漏れていませんか!?」

家康の尻のあたりから漂う異臭に気づく家臣たち。
戦国ファンにはお馴染みのアレですね。

三方ヶ原の戦い定番、家康のウンコ漏らしエピソードです。

※三方ヶ原の戦いについて詳細を知りたい方は以下の記事をご参照ください。
入門編◆三方ヶ原の戦いとは? 武田と徳川がガチでぶつかり、家康さんはウ◯コ漏らして惨敗に……
中級者◆三方ヶ原の戦い 合戦場を歩きながら諸説を考察! なぜ家康は信玄に無謀な戦いを挑んだか?

「焼き味噌じゃ! 焼き味噌が落ちたのじゃ!」

放屁のSE、焼き味噌ジョーク、しかみ像ポージング、「家康は脱糞をするほどの、大敗北を喫したのじゃ」というキレキレのナレーションで、三方ヶ原の戦いが終わりました……。

脱糞もしかみ像も、後世の創作というのが有力ですが、本作は敢えてわかって入れている演出である気がします。
武田信玄織田信長の衣装スタイルもそうですが、皆がイメージする像をあえて取り入れる部分があるんですね。

「史実ではわかっていますけど、このほうが面白いでしょ」
そういうポーズがちゃんとできるのが、今年の強みです。
調べて、わかった上で遊んでいる。そう視聴者に伝わるんです。

受け手との信頼関係が構築できている作品だと思います。

浜松城に展示されている徳川家康の「しかみ像」photo by 戦国未来

コチラは実物版の「しかみ像」photo by 戦国未来

 

直虎たちの工作で百姓たちは逃散完了

井伊谷の百姓は、直虎らの工作によって逃散完了しました。
川名の隠し里は異次元ポケットというか、もはや何でもアリだな、と思わないでもありません。

行く手を必死で探し回る近藤は、龍潭寺に駆け込みます。
南渓たちは
「皆戦いたくありませんしね~」
「井伊谷の百姓は逃散得意ですしね~」
とシラを切り通します。

「ここはいっそ、武田にくみしてはどうだろうかのぉ」
シレッと促す南渓和尚
さらに弓を空射ちして挑発する傑山。

これに対し近藤は傑山に迫り、
「空射ちは怪我をするぞ!」
そう凄むのでした。

ここで「無礼者!」と言うのであれば、近藤は小者感溢れるんですけどね。こういう細かいところで筋を通すから、この人は嫌いになれなくなってくるんですよ。

 

近藤に毒を飲んで欲しくないのは何故だろう?

そのころ、近藤暗殺指令をくだされた高瀬は挙動不審です。
かわいい高瀬を苦しめる武田が憎い!!

一方、直虎と龍雲丸は、中野直之と協力して井伊谷城に潜入しました。
さて、どうするつもりか?

高瀬は近藤の食事に毒を盛ります。ここで近藤が口をつけるのか、どうするのか。
ハラハラさせられます。
あれ、何故だろう……近藤に毒を飲んで欲しくないのは何故だろう?

高瀬に逃げるように優しく促すし、近藤っていい人なんですよね。
近藤が食事を口にする寸前、武田襲来の知らせが入ります。
高瀬は口をつけなかった椀を取り捨てに行きます。

近藤が家臣に報告を受けていると、何者かがこう言い放ちます。

「それでもまだ戦うおつもりですか?」

男装し、潜入した直虎でした。

 

「井伊谷城にだけ奇跡が起こるとお思いか?」

直虎の声と同時に、中野直之が近藤の喉に刃をつきけます。
この場面、柴咲コウさんの目力、低い声、男装の麗人ぶりが際立ちます。

二千で守る二俣城も落とされた、五百の井伊谷城は持たない。
そう分析する直虎。

第15回で直之に変装した時もしみじみと思ったものですが、柴咲コウさんの男装姿の美しさは、キラキラと光を放つようで見惚れてしまいますね。
豪華絢爛な衣装を着た時よりも美しい気がするんですよね。
ポスト天海祐希さんと言いますか、この路線をもっと見たいです。

綾瀬はるかさんは『八重の桜』で女戦士役に開眼し、『精霊の守り人』で主演をつとめています。柴咲コウさんにもこの路線で何かドラマ作りませんかね。ここで終わりじゃもったいない!

「井伊谷城にだけ奇跡が起こるとお思いか?」
直虎はそう言います。

あぁ、彼女は変わってしまった……。

 

奇跡は起きない だからこそ厳しい決断を

幼い頃から、可能性をこじあけ、無理矢理にでも答えを見つけてきた直虎。
城主になって以来、不可能を可能とできるはずだと挑み続け「なんとかなるじゃろう!」と言い続けた直虎。

そう信じても、肝心な時に奇跡は起こりませんでした。

愛する者は死に、家は滅びてしまった。ここまで生きてきてはっきりとわかったのは、奇跡は起きないということ。
奇跡を待つより、現実を。
無力な者なりの、解決策を。
最小の犠牲で切り抜けることの重要性を、直虎は学びました。

だからこそ、直虎は降伏を迫ります。そして近藤も決断を下しました。

「三十六計逃げるにしかず、か。よかろう、そなたの言う通り皆とともに逃げよう。ただし帰順はせぬ!」

近藤は武田に城を渡すことだけは拒みました。
直之は苦悩の表情で「ここが落としどころでしょう」と直虎に告げます。

城を敵に渡さないために燃やすのは常套手段ともいえます。意地と命のせめぎあいの落としどころと言われればその通り。直虎は目を見開いて燃えさかる城を見つめます。

直之は逃亡の指揮を執る一方で、直虎は高瀬と龍雲丸を救いに城内に戻りました。
龍雲丸は炎に吸い寄せられるようにさまよっていた高瀬を救出し、直虎と合流を果たします。

燃えさかる井伊谷城で焼死した者はおりませんでした。
しかし、これだけの被害で終わるのでしょうか。

高瀬の件も、堺行きも、結論は先送りにされました。

 

MVP:近藤康用

次点は高瀬か焼き味噌家康。

近藤というのは何とも困った男ですよ。
第33回のあとは、憎しみしか抱けなかった視聴者が大半でしょうに。今はもう「この人、結構いい奴なんだな」と振り上げた拳をおろしようがない、そんな気分にさせられます。

高瀬や直之への態度も丁寧です。
目下の人に頭を下げる人っていいですよね。

政次のことをふまえますと、彼は善人とは言い切れないけど、あたたかみというか、味があります。
本当にただの嫌な男なら、直虎や直之も見捨てていたっておかしくはないでしょう。
彼なりの武人としての義の通し方、人間性、不器用さ。そういうものがつたわってきます。

演じる橋本じゅんさんの演技も大きいですね。
「政次の最期については、高橋一生くんと話して、僕なりにお芝居でお別れをさせてもらいました」橋本じゅん(近藤康用)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

 

総評

今回は恐ろしいことに気づいてしまったんですね。

ハバネロ展開に慣れてしまって、今回のようにほっと一息付ける回があると「物足りないんだよなあ」と思ってしまうことに。

第30回くらいからボコボコにされてきて、今週はこんなぬるま湯でしょう? 政次退場の第33回あたりは見終えたあと阿鼻叫喚、虚脱状態でしたからねえ。

サブタイトルもおどろおどろしかったし。

こんな、誰も死なない、不幸にならない回だと気が抜けてしまうのです。龍雲丸が高瀬を救って焼死くらいするかと思っていましたよ。安心したのはいいけれども、拍子抜けです。

……こういう状態、刺激中毒状態にしてしまうのが本作の恐ろしさなんですよ!
とはいえ不安でもあります。

直虎が龍雲丸と堺に行き、我が子を抱いておとなしく暮らす、なんて展開にはならないでしょうから。龍雲丸との別離も先延ばしにされただけの気がしてしまいます。

「イケメンはリレー方式ですので、直政登場までは龍雲丸でつなぎます。しかし直政が出たからもうこれでおしまい」
そんなことになるのではないでしょうか。
ジェットコースターが登るときのように、これからの衝撃に備えてしまっている自分がいます。

しかし、これからは、明るくなるかもしれません。
政次の死が最も暗い時で、これからは光が射し込んできているのかな、そんなふうに思えた回でした。
全体を通して見ると、キャラクターの持つ推進力でくいくい進むような回でした。

直虎の茶目っ気と凛々しさ、家康のびびりぶり、近藤の優しさ、傑山の目力、娘の決断を後押しする佑椿尼などなど。
ある程度推進力をつけた自転車が漕がずにすーっと走るような感じです。
エンジンはかかっていません。

エンジンをふかして走り回るのは、青年直政登場からでしょう。

武者震之助・記
霜月けい・絵

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おんな城主直虎がわかる!
主要キャラの史実解説&キャスト!

井伊直虎(柴咲コウさん)
井伊直盛(杉本哲太さん)
新野千賀(財前直見さん)
井伊直平(前田吟さん)
南渓和尚(小林薫さん)
井伊直親(三浦春馬さん)
小野政次(高橋一生さん)
しの(貫地谷しほりさん)
瀬戸方久(ムロツヨシさん)
井伊直満(宇梶剛士さん)
小野政直(吹越満さん)
新野左馬助(苅谷俊介さん)
奥山朝利(でんでんさん)
中野直由(筧利夫さん)
龍宮小僧(ナレ・中村梅雀さん)
今川義元(春風亭昇太さん)
今川氏真(尾上松也さん)
織田信長(市川海老蔵さん)
寿桂尼(浅丘ルリ子さん)
竹千代(徳川家康・阿部サダヲさん)
築山殿(瀬名姫)(菜々緒さん)
井伊直政(菅田将暉さん)
傑山宗俊(市原隼人さん)
番外編 井伊直虎男性説
昊天宗建(小松和重さん)
佐名と関口親永(花總まりさん)
高瀬姫(高橋ひかるさん)
松下常慶(和田正人さん)
松下清景
今村藤七郎(芹澤興人さん)

 



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