真田昌幸時代の上田城古図(上田市デジタルアーカイブポータルサイトより)

真田丸レビュー

「天正壬午の乱編」 大河ドラマ『真田丸』では描ききれない詳細を城視点から解説

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当初は対上杉を想定して北側の防備を堅く

上田城は、徳川家の資金援助と徳川家家臣の大久保忠世などが築城を助け、短期間の突貫工事で築城されたと云われています。北信濃最前線の城として、対上杉家の拠点に定めたのです。

現在の上田城は大手門が東側を向いています。しかし、今では陸上競技場になってしまっている上田城の北側を流れる外郭の水路は東から西へ引き込まれ、人工的に直角に南へと流れを変えて、千曲川の古舟の渡しの横を流れていきます。
海津城のように、城自体が巨大な馬出型の縄張りで上田城の戦闘正面は、北の街道を向いています。現在の上田城でもその名残は残っていますね。

真田昌幸時代の上田城古図(上田市デジタルアーカイブポータルサイトより)

一方、城の東側は、今とは違い、多数の沼によって守られていました。沼と沼が水路でつながれることによって水堀の役割を担い、軍の直進的な侵攻を阻んでいたことが予想されます。

これこそが対上杉家を想定した上田城初期の縄張りでした。

 

上杉方も黙っちゃいない 北に砦群を築き上田城に対抗

上田の町は、沼地が点在する東側の方が標高が高く、西に向かってなだらかに下がっていく地形です。

千曲川の南側は、広い川幅と高い崖で阻まれ、そもそも攻城に向いていませんし、渡河ポイントも押さえられているので渡ることすらできません。ここに徳川方の後詰めが東の高台から加勢すれば、勇猛な上杉家と言えども、甚大な被害が予想されます。

お城野郎ワンダーキャッスルジャパン20160320-8

対する上杉方は、葛尾城を中心に、上田城の北部・虚空蔵山の山上の尾根沿いに多数の砦群を築き、山全体を城郭化して上田城を威嚇します。このように真田昌幸の上田城は縄張りの段階でvs上杉家、主に北西からの攻撃を想定して築城されていました。
ちなみにこの時点で、上田城という呼称はなく、築城当時は「伊勢崎城」と呼ばれていました。上田城として名前が定着するのは第二次の上田城の戦いの前からです。しかしややこしいので、ここでは上田城で統一しますね。

 

昌幸の意に反し徳川と北条は和議をチョイス

さて、気がつけば真田昌幸が徳川方に味方しているという裏切りに北条父子は焦ります。これは西上野の沼田が徳川方になってしまったことを意味します。北条家にとっては徳川家に背後へ回られた形となり、俄然不利な状況になってしまいました。
当然、北条父子は昌幸の離反を許さず沼田城を攻めます。昌幸は上杉家を裏切ってまで回避したはずの北条家による沼田攻めを、今回はなぜ回避しようとしなかったのでしょうか。

実は前回と今回で情勢が大きく変わっています。最初に上杉家に従属した時は、北条家が織田家の西上野を全軍を投入して勝ち取った直後で、沼田城も勢いに乗った北条家の主力部隊による総攻撃を受ける可能性がありました。
しかしその後の北条家は対上杉の川中島や、対徳川家の新府城攻めにおいて軍の勢いと圧倒的兵力差があったにも関わらず、終始、消極的な采配に留まっており、大国同士の激突を最も回避したがっている様子が明らかです。

また今回の北条家の主力は、上野ではなく甲斐や信濃の徳川家に向いています。沼田城攻略に向けられるのは北条家の別働部隊に過ぎず、それであれば沼田城は持ちこたえると昌幸は判断したと思われます。実際、沼田城攻めには北条家の別働隊であり、昌幸は難なく攻撃を退けています。

大国の狭間でうまく沼田城を守ったかにみえた矢先、今度も昌幸の手の届かないところで北条家と徳川家が和睦をしてしまいます。

甲斐、信濃を徳川家に、沼田領を北条家にすることで和議が成立しました。

昌幸は「沼田は自ら切り取ったのであって徳川家に与えられたものではない。もう徳川家の言うことなんて聞いてられるか!!」と激しく抵抗します。

思えばここから真田昌幸の反徳川体制が始まったと考えられます。

 

「真田昌幸の合戦・上田合戦編」は次週(3/28に公開)

 

 

筆者:R.Fujise(お城野郎)

武将ジャパンお城野郎FUJISEさんイラスト300-4

日本城郭保全協会 研究ユニットリーダー(メンバー1人)。
現存十二天守からフェイクな城までハイパーポジティブシンキングで日本各地のお城を紹介。
特技は妄想力を発動することにより現代に城郭を再現できること(ただし脳内に限る)。

 

※編集部より

R.Fujise(お城野郎)の日本城郭検定・二級合格証書を掲載させていただきます。

FUJISEさん城郭検定2級

 



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