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真田丸レビュー

『真田丸』感想レビュー第49回「前夜」 四百年の刻を経ても色褪せない、ただ好きなように生きること

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こんばんは。
来週で終わりだという現実を受け止めきれないほどです。そんな本作は、数字の上でも話題になっていたとまた一つ証明されました。
◆Yahoo!検索大賞ドラマ部門は「真田丸」NHK作品3連覇(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

さらにはこんな驚異的なイベントも!
◆大泉洋「真田丸」6日連続トークショーに参戦!16日、上田熱狂に拍車(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
もうドラマも終わろうという中でこうしたイベントがあるというのは異例です。スピンオフをあと二年くらい放送して欲しい、という方も多いのではないでしょうか。

発見ニュースもまだ出てきます!
◆「真田丸」初の発掘調査 盛り土や堀の跡発見か | NHKニュース

最終回を前にして熱狂の佳境にある状況。切ないけれど悪くありませんね。
では、今週のレビューへと参りましょう。

 

弟に会うため家を飛び出す信之に周囲の女たちは

ついに追い詰められ、夏の陣目前となった大坂方。
弟から書状を受け取った信之は、幸村の覚悟を悟り、直接会って説得する決意を固めます。

真田丸真田信之

この説得は史実ではありません。記録に残らないような移動をしたという設定になるようです。こうは信之の行動に理解を示すものの、稲は内通の疑いをかけられたらば、信之にとっても真田家にとっても危険であると強い態度で止めようとします。二人ともどうしてそういう行動を取るか理解できますし、強い態度の稲も悪く思えないように描かれていると思います。稲は家を守るためならば毅然として強いという、武家の女性らしさが出ています。
流石の稲も折れ、一切身分がわかるようなものを身につけぬことを条件に、やっと送り出します。妻同士の立場も性質も異なりますが、二人とも信之の身を案じているのです。

真田丸稲小松姫

信之と幸村の姉・松は、幸村への土産を信之に託します。
どこまでも楽天的で明るい松は、祖母・とりのようなどっしりとした落ち着きも身について来ました。うっとうしい、能天気過ぎるとすら一部視聴者から言われていた彼女ですが、今となってはこの楽天的なキャラクターが救いです。
旅立つ信之に、こうは六文の銭をお守りとして渡します。序盤はうるさくて嫌われていた本作の女性たちですが、今は殺伐とした中でオアシスとして機能しています。

しかしそんなオアシス系ヒロインだけではないのが本作。出陣を前にして、秀忠の妻・江は、夫に松岡修造系の暑苦しいエールを送ります。この人は娘の千姫はともかく、姉・茶々の身は案じていません。この暑苦しさは力強いものではあるのですが、なかなかの圧力で、秀忠の苦労が想像できるんですよね……。

真田丸松霜月けい

 

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「豊臣の血は根絶やしにする! 父上は甘すぎる!」

大坂城では幸村が献策を行います。幸村が出した京都への出撃案は、秀頼を伏見にまで出るものでした。
しかし、大蔵卿はそれを嫌がり突っぱねます。
毛利勝永と後藤又兵衛は、天王寺に出撃し秀頼は城から出さない策を出します。これには大蔵卿局も安心。作戦は決まります。
バラバラだった牢人が一致団結して出撃する姿は心強いものがありますが、ここまで追い詰められなければまとまらなかったんだよなあ、と複雑な気分に。

ここで、すっかり視聴者に嫌われてしまった大蔵卿が、茶々と秀頼母子のために尽くしている――と幸村と語り合うフォローのような場面が入ります。
彼女なりに思う所があっての行動ですから、この場面はよかったと思います。もっとも、彼女は牢人は大嫌いだそうです。

真田丸大蔵卿局

徳川方は、家康秀忠父子・本多正信・正純父子が策を立てています。高齢の正信は疲れたのか、うとうとと居眠りしております。
家康は牢人さえ処分するならば秀頼を助命するという案を出しますが、秀忠は珍しく激昂し「豊臣の血は根絶やしにする! 父上は甘すぎる!」と叫びます。
家康はあきれたように「恐ろしい男に育ったのう」とつぶやきます。

二代目としての秀忠がついに完成しましたね。秀忠は容赦なく、時には己の血を分けた兄弟までも、断固として改易していきます。江戸幕府の強固な土台を踏み固めたのは家康だけではなく、秀忠の功績も「大」なのです。

そして大坂城の秀頼も、徳川からの最後通告を蹴り、ついに両者は手切れに。家康は豊臣と大坂城の終焉を悟り、喜ぶどころかどこか複雑な顔を浮かべます。

真田丸徳川秀忠

 

後藤又兵衛に35万石のオファーを出すだけでええんじゃ

信之は真田の陣にたどりつきました。ちょうど真田信尹も幸村に会いに行くそうです。

四月二十九日、大野治房・塙団右衛門が浅野方が樫井にて衝突し、戦いが始まります。ここで塙団右衛門は頭部に銃弾が命中しあえなく戦死。城内に運び込まれた遺体を見て
「いずれは皆も、この男の横に並ぶのですか?」
と茶々はつぶやきます。
慌ててきりにたしなめられる茶々。彼女は美しい死神です。今の茶々はいわばジェットコースターで登っていくような気分なのでしょう。いっそ落ちてしまえばまだマシで、転落に向けてカタンカタンと登ってゆく時は本当に嫌なものです。あとは墜ち、死まで降る坂道へと、彼女たちは登りつつあるのです。

真田丸茶々(淀)

幸村たちは台所で策を練ります。後藤又兵衛と木村重成が道明寺に向かいます。
しかしこの策は家康に筒抜けでした。大坂から何らかの手段で情報を得た家康はルートを変更し、道明寺方面には伊達政宗が進むことになります。
この会話をぼーっと聞いていた正信は、家康に「もう帰れ」とまで言われますが、突如「又兵衛が気になりますな」と言い出します。そして、調略を使うことを献策します。

正信の命を帯びた徳川方の使者は、又兵衛に播磨三十五万石をオファー。又兵衛は即座に断りましたが、この噂話が豊臣の陣に広められます。又兵衛はこの噂を打ち消すために焦るだろう、そうなれば陣は乱れる。
れが正信の調略です。本当にこの人はおそろしい。

真田丸後藤又兵衛

真田丸本多正信霜月けい

 

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「黙れ小童ァァァ!」の室賀・息子が信之たちを取り調べ

真田信尹と信之は、徳川義直の陣で取り調べを受けています。
そこを通りかかったのがスルメをくわえた平野長泰。食料輸送作戦は失敗していたようです……そこへどこか見覚えのある青年がやって来ました。

信尹は家康の密命を帯びているという書状を出します。青年は尾張徳川家の家臣・室賀久太夫と名乗ります。あの室賀正武、真田昌幸の策で暗殺された「黙れ小童!」の人の息子さんです。生きていたんですね!

真田丸室賀正武霜月けい

本人も真田の名に気づいたのか、父の死の恨みを語り出すのですが、そこで……
「黙れ小童ァァァ!」
「すみません」
信之が一喝。
世代を超えたまさかの「黙れ小童!」返しでした。本作のファンにとっての流行語大賞は、この一言でしたぞ!

信之と信尹は、ついに幸村と対面します。
信尹は前回説得に来た際はまるでやる気がありませんでしたが(第四十六回)、今回は幸村の命がかかっているだけに真剣です。父・昌幸が欲してやまなかった信濃一国四十万石という条件を伝え、説得にあたります。

信之は、弟の心中を察し、説明します。徳川に従いたくないならそれでもいい。それでも死んではならぬ、今度もまた赦免を勝ち取る――。幸村はぽつりと「それでまた十四年」と言葉を挟みます。
このあたりが長男と次男の差なんでしょうね。生き延びて、何としてでも家を存続しなければいけない、背負うものが多い長男。身軽かもしれないけれど埋もれがちで、何とかして歴史の中できらめきたい次男。その気持ちはやはり弟である信尹の方が理解できそうです。

それでも信之は、昌幸・信之・幸村の三人で酒を酌み交わそうと誓ったことを思い出させ(第三十五回)、説得を続けます。父は亡くなったけれどもまた兄弟で酒を酌み交わしたいと言います。幸村はそれならばここで酒を、と言いますが信之は断り帰ります。
「兄上と酒を酌み交わしとうございます! 兄上……」
「これは今生の別れではない!」
兄弟は盃を交わすことなく、別れてゆくのでした。

真田丸真田信尹

一方で信尹は甥の頰を撫で「生きたいように生きればよい」と告げます。
かつて信尹は、「わしのようにはなるな」と幸村に告げました(第八回)。その言葉の通り、別の生き方を選んだ幸村に彼は理解を示しているのです。




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