日本初の歴史・戦国ポータルサイト

BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)

スポンサーリンク

真田丸レビュー

『真田丸』全50話の感想レビュー38万字を一挙公開!

更新日:

とうとう完結した2016年の大河ドラマ「真田丸」

当サイトでは、事前の大予想から1話そして最終回の50話までもれなく、武者震之助氏のレビューを霜月けいさんのイラストとともに、毎週の放送終了後、すみやかに公開してきました。その文字数なんと37万字超!

良いものはよい、悪いものは泣いて馬謖を斬る的確なレビューは、「真田丸 感想」の検索で、ヤフーテレビをおさえて堂々の1位となっています。
「真田丸」三谷幸喜氏「SNSは見ないように」次回作は“ペンネーム”で?(スポニチ)

脚本の三谷氏はスポニチのインタビューに、情緒的な感想のあるSNSでの感想は見ないようにしていた一方、「きちんと作品を分析して書いてくれているブログなどをプロデューサーから教えてもらって見ていました」と話している。具体的なブログの名はないものの、きちんと作品を分析しているといえば武者氏のレビューもそれに該当するに違いないと、まことに僭越ながら確信した次第です。そんなワケで本稿では、レビューを1話から50話まで一挙公開いたしました! 涙のラストをふりかえっていただければ幸いです。

ここから武者氏の本文(5話ごとにページ分割)。まずはその予想から……。

 

大河ドラマ『真田丸』は鉄壁なのか?恒例の大予測 by武者震之助

風になびく真っ赤な旗。その旗の前に座る真田信繁。
赤とは何と刺激的な色なのでしょうか。赤備えの迫力とはこのことか。メインビジュアルからは、期待しか感じさせない、それが2016年の大河『真田丸』です。

NHK大河ドラマ『真田丸』公式サイトより引用

NHK大河ドラマ『真田丸』公式サイトより引用

 

しかし、諸手をあげて歓迎してもよいものだろうか。大傑作になるだろうか。視聴率は高くなるのか。そう考えていくと、はっきりと「もちろんそうなりますよ!」とも言えないのが本作です。

そもそも制作側も万人受けする鉄板狙いかと言われれば、そうではないと思います。かといって、『軍師官兵衛』のような鉄板題材にあぐらをかいた、守りに徹した作品でもない……届くところに届く、そんなヒット狙いかもしれません。そして同時に、二年連続失敗はできないという、背水の陣にある作品でもあります。

三谷さんによる大河前作の『新選組!』は、成功作扱いではありませんでした。当時は熱狂的なファンはついたけれども賛否両論、視聴率はやや低めという評価でした。万人受けする成功作を生み出したとは言い切れなかった三谷さんの再登板は、「万人受けはせずとも、熱心なファンがつく作品にしたい」という狙いがあるのかもしれません。本作は記録的な失敗作のあと、いわば枠が燃え尽きた状態からのスタートです。実は『平清盛』も、同じような狙いではなかったか、と推測します。あの作品も平均視聴率があと3パーセント高く、二桁さえキープできていたらば、『新選組!』と同じ立ち位置、十年後に熱心なファンによって再評価、になっている気がするのですが……。

 

なんだかんだで視聴率の目標値は?

と、ここで脱線しないで、具体的な目標数値をあげておきたいと思います。

平均視聴率目標 『軍師官兵衛』15.8%+1〰3%=17〜19%

題材知名度では『軍師官兵衛』以上で有利、枠としては前年のマイナス影響で不利

最高視聴率目標 『八重の桜』 21.4%以上

久々に20%超えは期待したいところです、と言いたいところですが『軍師官兵衛』19.4%超えでも合格点かも

最低視聴率目標 10.0%を切らないこと

一度でも切るとマイナス印象がつきますので、ここはなんとしても踏ん張って欲しいところです。

しかし重要なのは数字ではありません。きっちり数字が出る分バロメータとしては便利だけど視聴率だけで評価すると『天地人』がここ数年では名作という評価になってしまう。それはないだろう、と。

大事なのはクオリティです。それそのものの予想ですが、これがなかなか難しいのですね。一昨年はどこか守りに入った感じがありました。昨年に至っては、地雷ですらない爆弾が剥き出しに転がっている状態ですから、指さして「ああ、もうだめですね! 燃え上がって破滅しかない!」と見えたままの状態を指摘すれば事足りました。

 

スポンサーリンク

大作ドラマになるのかそれとも駄作ギャラクシーなのか

今年はそうではありません。キラキラ光るものが落ちているのが見えます。しかしそれが宝石なのか、それとも部品がよく反射する爆弾なのか? うーむ……難しい状況です。

ただし、現時点でいくつかの要素を拾い、一体どちらか考えることはできます。まず、厄介なもの、不吉な予感を感じさせるものから見ていきましょう。

キャッチコピーがおかしい:

そう言いたくなる気持ちはわかります。なまじビジュアルデザインが秀逸なだけに、あの馬鹿げたキャッチコピーに怒りすら覚えますよね。しかし、だからといってドラマの中身まで駄作と判断するほどひどいものではないと思います。

ここで過去数作品のコピーとポスター図柄と比較してみましょう。

2016『真田丸』(赤い旗の前に座る主人公)

「今だって、愛と勇気の旗をかかげていいんだ。」

なんかそう言われたら押し切られて「あっ、はい」と言いたくなるけど、冷静になってみると意味がわかりません。

2015『花燃ゆ』(夜明けの屋根の上で山盛りのおにぎりをお盆に載せやわらかに微笑む主人公。周囲には四人の男)

「幕末男子の育て方。」

コピー詐欺。主人公最初の夫はじめ、大抵の幕末男子は育つどころか犠牲になりました。

2014『軍師官兵衛』(日射しの中、まぶしそうな目つきで歩く主人公)

「今だって、乱世だ。」

なんかそう言われたら押し切られて「あっ、はい」と言いたくなるけど、冷静になってみると意味がわかりません。

2013『八重の桜』(軍装の上にピンクに桜柄の裲襠を羽織った主人公が、険しい表情でスペンサー銃を持っている)

「この時代、咲いてみようじゃないの♥」

コピー詐欺。♥マーク、ピンク基調のポスターでスイーツ系かな、と思わせておいて、蓋を開けたら女が砲弾で吹っ飛ばされ、子どもが銃弾になぎ倒される近年随一の鬱展開。

2012『平清盛』(剣を肩に載せた主人公が空を見上げている)

「平成は、平安を見よ。」

なんかそう言われたら押し切られて「あっ、はい」と言いたくなるけど、冷静になってみると意味がわからない。

傾向として、男主人公はなんか威勢がいいけど意味がよくわからない、女主人公の場合はコピー詐欺のようです。ですから、今更失点とみなす必要もないと思います。

こうしたセンスがよいとはお世辞にも言えないキャッチコピーは、ドラマの中身を表すより視聴者の注意を惹きつける役割を担っているのでしょう。ですから、主人公がどんな生き方をしたかより、世相に何となくマッチしたキャッチーな言葉が選ばれるのだと推測できます。

それでもこの馬鹿げたコピーに我慢ならないのであれば、NHKに厳しい意見を送りましょう。来年以降、少しはマシになるかもしれません。

危険度:★☆☆☆☆(マッチの火レベル、危険なし)

 

スポンサーリンク

「武将」というより「軍師」っぽい主人公イメージ

主演俳優のアクションが不安:

これに関しては正直、『軍師官兵衛』の時に私が言った「官兵衛と信繁を演者トレードした方がよかったのでは」を久々に思い出しました。が、ずっとアクションをしているわけでもないし、スタントマンだって使うという手もあるし、そこは何とかなる、と信じたいです。

危険度:★☆☆☆☆(せいぜい手持ち花火)

 

悪夢の土屋CPではないものの

屋敷CP(チーフプロデューサー)……どこかで聞いたような。あっ、『江 姫たちの戦国』のCPじゃないか!:

今年の大河についてこれ以上恐ろしいフレーズはありません。私は昨年の大河最大の問題点はCPと書いたばかりです。泡吹いて倒れそうになる人がいてもおかしくはありません。

この懸念に対して私は頭が痛くなるほど悩み、ひねり出したマシな答えは「彼は土屋CP(昨年)ほど自身のカラーを押し出さず、むしろ脚本家カラーが強くなる作品を作っているのではないか?」ということです。彼は『新選組!』では制作主任、『篤姫』ではプロデューサーです。こちらに近くなると信じたいところです。

危険度:?

ギャラクシー街道路線でギャラクシー大河にならないか

三谷さんのピークは過ぎたのではないか?:

はじめに自分の好みから告白しますと、実は三谷さんのファンではありません。三谷さんはよくも悪くも個性的ですから、万人受けはしません。NHK側もそこは見越した人選かと思います。本作に関しては、軽やかな三谷さんテイストは抑え気味で、シリアスなところやシビアなところは思い切り陰翳をつけて欲しいと思っております。

そんな私の勝手な願いはさておき。このピークが過ぎた説、『清洲会議』あたりから浮上して『ギャラクシー街道』の記録的な大失敗で既に確定したかのように言われております。実際のところどうなのでしょう。脚本は物語の土台ですので、もしガタガタになったら……と、正直これが一番怖いのですが。ただ、現時点で公式サイトや材料を見ていると、不安な部分が少ないのが救いです。序盤を見てから判断しても遅くはないでしょう。

大河は長丁場ですので、『八重の桜』のように中盤以降ガタガタになってしまう可能性もあるので、この点も油断はできません。とはいえ、今年はクライマックスが最終盤に訪れます。よりにもよって最後の盛り上がりが鹿鳴館ダンスという、昨年のようなことにはならないと思います。できれば手に汗を握って、最終回を見守りたいですね。

危険度:?

ここまで書いてきて、次に願望といいますか「これが実現したら本当にうれしいな!」と思うポイントをあげてゆきます。

 

今やアプリでも画像加工できる時代 もっとすごいビジュアルを!

2016年の技術力によってアップデートされる戦国合戦絵巻!

実は私は、歴史ドラマではガンガンVFX(ビジュアル・エフェクツ)を使って欲しい派です。

なぜこんなことを敢えて今書くかと言いますと、なぜかVFXを使っていることを味気ないとか、だまされているようだとか、そういうネガティブなイメージを持つ人をチラホラ見かけるからです。だからこそ声を大にして言いたい。歴史ドラマこそVFXが重要であると。

2013年の『八重の桜』では、VFXにかなり力を入れていました。しかしここで「えっ、『八重の桜』でVFXが凄い場面ってあったっけ?」と突っ込みたい方もいるのではないでしょうか。よいVFXは実写と見分けがつきません。ですから『八重の桜』のVFXがどこで使われ、どう凄かったか、実は結構わかりにくいのですね。私もメイキングを見るまで気づきませんでした(メイキングは期間限定公開で現在は非公開。ソフトウェアの特典映像として収録)。『八重の桜』のVFXに関しては、こちらのインタビュー記事もご覧ください。

NHK 大河ドラマ「八重の桜」映像マジックの舞台裏 : http://bit.ly/106b8MV

2014年の『軍師官兵衛』は、こうしたVFX重視から実写重視になっていたと思います。水攻めの場面などでは使っていたようです(OPでは水が馬に変形するCG,プロジェクションマッピングによる映像などが使用されていましたが)。

と、ここまで書いたところで「そうは言っても『軍師官兵衛』みたいな実写重視の方が好きだし迫力あるよ」と言う方もいると思います。そこで論より証拠、歴史ものとVFXの相性のよさがわかる映像を紹介します。

『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン4 VFXメイキング

Game of Thrones, Season 4 – VFX making of reel from Mackevision on Vimeo.

 

『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン5 VFXメイキング

Game of Thrones, Season 5 – VFX making of reel from Mackevision on Vimeo.

一話あたりの予算が大河の十倍とも言われている『ゲーム・オブ・スローンズ』ですが、撮影に莫大な費用がかかる船、巨大な建築、多数の兵士や馬、そういったものを描くのであればやっぱりVFXとロケ映像を組み合わせているわけです確かに往年の大河ドラマや映画はCGなんて使わないで迫力ある場面を生み出していたかもしれません。しかし、そういった傑作の思い出補正を捨てて今見直してみると、迫力のなさにがっかりすることがあるのではないでしょうか。大画面、ハイビジョンに対応した今こそVFXを多用した大河が見たいと思います。とはいえ、NHK側もそんなことは百も承知でしょう。私がVFXはいいぞと言いたいのは、一部のアンチVFXの方々です。21世紀の今、実写に頼らずとも迫力ある映像は作れます。

クライマックスの大坂の陣で、城をびっしりと取り囲む軍勢がウヨウヨと動く映像を鳥瞰で見るとか。見渡すかぎり兵馬が散らばる関ヶ原とか、そういうのが見たいです。もっと言いますと、役者のバストアップとエキストラがぱらぱらと散らばるだけの合戦シーンはノーモアなんじゃ! 迫力ある映像が『葵』の使い回しだけの関ヶ原は見たくないんじゃ……!

と、思っていたらこんなコンテンツが!

「本格再現! 3DCG大坂城」

http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/information/news/20151216.html#mainContents

これは期待してよいということでしょうか? コーエーの3Dマップといい、視覚的にも21世紀大河としてアップデートされそうで、とても楽しみです。

 

明治時代の講談ではなく史実の「幸村」

史実により近い信繁像

真田幸村といえば言うまでもなくトップクラスの人気を誇る戦国武将です。昔は講談、それから漫画、そしてゲームと、様々なメディアで人気の人物として扱われてきました。ただしそれはあくまで半ば伝説化した「幸村」であって、史実の信繁像はその影に隠れて見えないわけです。

このことに関して、三谷さんはこう語っております。

・【真田丸】三谷幸喜氏、主人公の名前「信繁」に込めた決意(オリコン) – Yahoo!ニュース  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151230-00000328-oric-ent

これに関してはもう全て語り尽くされているなあ、付け加えることあないなあ、という気持ちです。

 

他に関しても楽しみなことが多いです。時代考証ページも力が入っていますし、キャストと相関図に関しては正直なところ期待が上がるばかりなので見るのをセーブしています。今年は信長より家康が若いし(やけに若い信長と若い頃から貫禄たっぷり最終形態の家康はもういりません!)、戦国残酷絵巻の秀次事件もちゃんとやるみたいだし、側室カットもやらないようだし、地方大名の興亡もちゃんとやるみたいだし、勝頼がただのバカ殿にされそうにもないし、いちいちそつがない! 優等生的な作り方と言いますか、抑えるべきポイントを外していない堅実さを感じます。

昨年の反動でまともな大河に対する渇望が高まり、採点が甘くなっていないかと自分でも思うところはあるのですが、現時点では今年の大河はここ数年では最も期待できる作品ではないか、と言うのが現時点での予測です。この予想が当たりますよう、切実に願いつつ放送日を待とうと思います!

私だって、今年は期待できると予測して、それが実現されたいと思っているんですよ。そうなりますように!!

 

第1回「船出」は洋々!”2年ぶり”の大河ドラマだ!MVPは悲哀漂う武田勝頼!

日曜八時だ、大河の時間だーッ! こんなにこの時間が楽しみなのは本当に久しぶりです。

本作はアバンタイトルがなく、いきなりテーマ曲から始まりました。スタッフロールの時点で考証に錚々たる戦国研究者が連なり、さりげなくVFX効果が施された映像が映し出されます。音楽も色味を抑えた映像も、実にシブい。しかしじわじわと味わうとかみ応えのありそうな、スルメ系のOPです。

今回のOPの特徴は、六文銭の間から本編が少し挿入される『獅子の時代』オマージュのようです。映像も音楽もシブめに抑えてきて、しかも最後に私が事前予想で見たいと書いたワラワラと群れて動く兵馬が出てきて感激しました。なんだか期待できそうだぞ!

そして有働アナのナレーション、いきなり武田家存亡の危機と語られます。子役なしで最初から堺雅人さんの信繁登場。のっけからベタ褒めするのも気恥ずかしいのですが、過剰にならないコーンスターチ使いで山にかかる霧を表現し、そこから徳川勢がのぞき見えるのが何とも思わせぶりでよいです。信繁は徳川勢を偵察していたのですが、川に転落し見とがめられてしまいます。つかみでよくある本編のクライマックスを見せるのではなく、こうした場面で将来対峙する真田と徳川を見せるというのはうまいですね。ここで逃げる若き信繁から大坂の陣の信繁に切り替わるのが、本当に巧みです。

sanadamaru-nobusige

 悲哀の勝頼 一癖ありそうな梅雪 大泉さん信幸もちゃんと見える

場面は切り替わり、諏訪上原城。ここで武田勝頼、そしてもの凄く『信長の野望』っぽいマップが見えてきます(※CGは実際に信長の野望・コーエーから提供)。『タイムスクープハンター』でも証明されてはいますが、デジタルな表示と時代ものの相性って意外といいんですよね。大河で久々に、まともな若年層に希求する要素を出してきた、と言えるのではないでしょうか(若年層といってもノブヤボ直撃世代は30~40代が多い気がしますが)。

ここで勝頼や穴山梅雪が出てくるわけですが、これがまたよい! 特に勝頼の悲哀に満ちた目が素晴らしくて、でも哀しくてですね……ここで真田昌幸と信幸の父子が出てきます。昌幸はくせのある雰囲気が出ていて、これまたよいです! 褒めてばっかりだ、でもよいものはよい!

sanadamaru-masayuki

穴山梅雪の、一見誠意あふれるようで結果がわかっていて見るとひっかかる雰囲気も「おおっ」と思います。こうしていきなり人を大勢出し、個性を描き分けるのはなかなか大変なことだと思います。そして『まれ』のことは忘れたい大泉洋さんの信幸ですが、真面目そうにちゃんと見えます。始まる前は不安を感じたキャスティングですが、ちゃんと似合っています。

sanadamaru-anayamabaisetu

ここで場面は新府城へ。真田の家族が人質にされているとナレーションで語られますが、「人質」という概念の使い方がちゃんとしていてこれまた好印象。公家出身の昌幸正室・薫(山手殿)はどこか浮き世離れしたお嬢様、信繁の姉・松など、家族の面々も出てきます。松の現代的な口調は賛否両論別れそうです。ここでどうして長男が源三郎で、次男が源次郎なのか、というツッコミトークが入ったりします。ちょっとコミカルです。

続いて信幸、信繁の兄弟の会話が入ります。四角四面で几帳面な兄と、フットワークが軽く明るい弟、という個性が描き分けられます。この短い会話で、兄弟の性格付けをちゃんとしています。初回らしい手堅さです。

sanadamaru-nobuyuki

昌幸が一転、「武田家は滅亡する」、「この城は捨てる」と断言

そうこうしているうちに、家族の元へ当主・昌幸が帰ってきました。この一家が集まる場面で、薫だけ妙に浮いたきらびやかな装束なのが目を引きます。化粧も濃く、公家の娘という出自がまだ影響しているのですね。

そのお姫様気質の薫が、裏切りが判明した家の若い娘や息子が磔にされたと哀しそうに語ります。ところが昌幸は、まるでご近所の犬が死んだだけみたいな、うっとうしそうな対応をするんですよ。これが戦国だ! 女子供が磔になっても「まぁそういうこともあるよね〜」と流しちゃう残酷さが戦国なんですよね。何気ない会話にこうした時代の空気を織り込んで来ております。家族の有様を描くという点で「ホームドラマ」ではあるのですが、当時の厳しい価値観を入れていればぬるくなりません。

このあと昌幸は息子二人を前にして、「武田家は滅亡する」、「この城は捨てる」と断言。つい先ほどまで「ここにいれば安心」と言っていたのですが……本音と建て前の使い分けですね。この新府城は武田の新本拠地なのですが、もう駄目だと昌幸は見切りをつけてしまいます。主家が滅びても、真田家は残すと決意を表明する昌幸。い、いきなり大ピンチだ!

信幸は父の態度に困惑し、弟と二人になると弱音を漏らします。この場面で緑ゆたかな大地が目の前に広がっていますが、こういう奥行きのある豊かな風景もまた見所です。VFXも豊富に使っていると思います(断言できないのは使っているとしても合成がうますぎて判別できないので)。

勝頼は父の位牌に手を合わせ、父が存命であればこんな時どうしていただろうかと言います。父であればここまで追い詰められなかった、とさらに続ける勝頼。この父の名に縛られた勝頼、なんとも哀しくて……穴山梅雪はちょっと大げさなくらいの励ましを述べます。昌幸は「家臣がついている」、「富士山や浅間山が噴火でもしない限り家は滅びない」と断言するのですが……。

次の場面、浅間山が48年ぶりに大噴火します。

 

真田の岩櫃城は危ない! 岩殿城へ行きましょう

呆然と噴煙を見守る昌幸。「火山だからたまには噴火する」と慰める信繁。コメディタッチではあるのですが、同時に梅雪の裏切りが報告されるわけで、笑えないですね……。

梅雪の裏切りに動揺する武田主従。決戦を進言する中、昌幸は岩櫃(いわびつ)城に移動するよう提案します。ここでポエムを詠むのではなく、ちゃんとなぜ岩櫃に籠もれば盤石か、昌幸が説得力をもって語るのがいいですね。こうした基本ができているだけで心情的に加算したくなるのは、一昨年(官兵衛)や昨年(花燃ゆ)があまりにポエム展開が多すぎた反動かもしれません。

昌幸は勝頼を迎えるため、岩櫃に向かいます。ところが、小山田信茂らが岩櫃へ向かうことへ強硬に反対。「真田は北条に通じている」とまで言われ、勝頼は迷い始めます。信茂は岩櫃城より岩殿(いわどの)城がよいと進言。さらに駄目押しとも言える「亡き父上」まで出されて、結局、昌幸の岩櫃案を捨てることになります。

そんな緊迫した中、真田兄弟は将棋の駒を作った山崩しで遊んでいます。そこへお忍びで勝頼が訪れ、岩櫃には行けないと兄弟に告げます。「甲斐を捨てられぬ」と告げ、昌幸に詫び、兄弟は岩櫃に向かうようにと勝頼は語ります。勝頼は人質を解くと証文を信幸に渡し、さらに護衛に百名つける、小山田に嫁いだ姉・松も連れて行けと提案。殿がいい人過ぎてなんだか泣きそうなんですけど。

信繁は信玄の呪縛から逃れて欲しいというようなことを言うのですが、勝頼は寂しげに笑い立ち去ろうとします。ここで信幸は弟をたしなめ、手勢が多い方がよいはずだ、餞として護衛を返すと言います。忠義は素晴らしいのですが、これで真田家の岩櫃までのルートがベリーハードモードになることが確定しました。

 

燃える新府城で武家滅亡の残酷さをこれでもか、と!

勝頼を見送り信幸は、勝頼は優しい御方だといい、さらに信繁が「哀しい御方です」と付け加えます。信繁はやっと作った新府がもう灰になるなんてね、とボヤきます。哀しくなるとき、こうして明るく濁す性格のようです。ここでさりげなく佐助も登場しています。

兄弟は母にグッドニュース・バッドニュースを報告。人質から解放されたというグッドニュースに母は大喜びですが、そのあとここから岩櫃まで移動しなければならないというバッドニュースを告げます。薫はうろたえ、いきなり移動するなんて嫌だと落ち込みます。慌てる薫に対して、兄弟の祖母にあたるとりはどっしりしています。

翌朝、信繁の姉・松は夫の小山田茂誠(おやまだ しげまさ)と別れます。すぐ再会できると茂誠が言うのがフラグに見えて仕方有りません。

この俳優さん、誰?と話題になった小山田茂誠。声優の高木渉さんです

この俳優さん、誰?と話題になった小山田茂誠。俳優ではなく声優の高木渉さんでした

慌ただしく支度をし、出立しようとする真田家ですが、薫は準備に手間取っているようです。信繁は勝頼一行が立ち去る様子を一人見守っています。武田の赤備えがこうして去って行くのを見るのは、なんとも切ないものがあります。昼過ぎ、やっと真田一族は新府を出立。場違いなほどあでやかな女装束が、いかにも狙われそうで見ているだけで冷や冷やします。振り向く一行の目に映るのは、燃える新府城。家が滅びる残酷さをこれでもかと見せ付けます。

勝頼一行は味方の敗報、裏切ったという知らせを聞きながら移動します。一行は出発時の六百から百以下まで減っていました。岩殿城を目の前にして、小山田信茂と茂誠が迎える準備をすると列を離れます。ここで信茂、茂誠に木戸を閉じろと命令。茂誠は意味がわからないと戸惑うのですが。

岩殿城を目の前にして、無情にも閉じられる木戸。木戸の上には茂誠が立ち、小山田信茂は「織田方につく、通すわけにはいかない」と涙ながらに叫びます。勝頼は激昂する家臣の前で無言のままでしたが、やがて「もうよいのだ」とつぶやき馬首を逆方向に向けます。泣き崩れる茂誠。これは裏切る方も辛いです。

家臣からどちらへと聞かれた勝頼は、疲れ切った顔で「わからん」とつぶやきます。武田家、滅亡寸前です。ちなみに茂誠を演じる高木渉さんは、声優としても有名ですね。ドラマは初出演だそうです。意外性のあるキャスティングも前作と違って滑っていません。

 

氏政の汁かけ汁に家康の爪噛み、そして貫禄ある信長像

ここで上杉、北条、織田、徳川、織田の各勢力が映し出されます。北条氏政が汁かけ飯を食べていたり、徳川家康が爪を噛んでいたり、それぞれ個性ある行動を取っています。

父の北条氏康に前途の暗さを嘆かれたという氏政(実際はそんな凡将ではないと思いますが…)

父の北条氏康に前途の暗さを嘆かれたという氏政(実際はそんな凡将ではないと思いますが…)

信長の安土城に赤い蝋燭があったのはさておき、ワインレッドの装束に風格あふれる彼本人の姿はとても決まっておりました。やっと久々にまっとうな信長を見た気がしますよ。やけに若作りの尾張のうつけより、こういうどっしりしていていかにも強そうな、貫禄ある信長像が見たかったんですよね。

そんな錚々たる面子のあとで映るのが真田一族。怒りの甲斐ロードを歩く一行は早速ヒャッハー軍団に襲われます。ただ移動するだけでも命懸け、まさに戦国乱世が始まりました。ここで「波乱万丈の船出である」とナレーションとバイオリンが印象的なBGMが重なるのがいい!

真田家の前途は多難でも『真田丸』の船出は絶好調ではないかと盛り上がった初回でした。

 

今週のMVP:武田勝頼

彼自身が悪いのではない、むしろ父の名がいろいろな意味で重すぎた……悲哀を漂わせ、運命に抗う気力すら失いながらも、主人公兄弟に優しさを見せる姿に初回から目頭が熱くなりました。

sanadamaru-takedakatuyori

総評

2007年の『風林火山』が終わった時、2009年はその続きのようなドラマなのではないかと期待していました。そのあと三作続けて「これじゃない」戦国大河が続き、ここにきてやっと、あの後を継ぐような作品が来たことに喜びを隠せません。『風林火山』を意識し過ぎると、勘助が転生して家康になっているので混乱してしまますけどね。

褒めすぎるのはやめよう、こらえよう……と思いつつ、現時点では減点要素がない作りでした。真面目に作っているのがわかります。

見た目について言えば、奥行きを感じさせるクリアな屋外と、照明効果に雰囲気が出ている屋内の映像。馬の多用。VFXを使用していると思われる雰囲気と迫力のある映像。『信長の野望』マップは本当にそのまんまゲーム画面でしたが、見やすいしこれはアリだなと感じました。私が個人的に見たいんだよな〜〜と熱望していたワラワラ兵士鳥瞰図もありそうで、本当に満足です。予算を潤沢に使っている感じもうれしいのですが、予算配分はいつまで持つかわからないので、そこは今後どうなるか心配ですね。

考証面やシナリオもばっちり。三谷さんの得意であるユーモアはやや抑えて気味。浅間山噴火コントのような場面もありますが、シリアスな局面なので笑いごとにならない絶妙なバランスがあります。個性の描き分けも見事で、真田一族はもちろんのこと、あの短い顔見せだけで上杉、北条、徳川、織田といった錚々たる面子のキャラクターが見えてきたのもすごい。こういうのは、本当に歴史をしっかり勉強した上で、世界観を構築していないと出来ないと思うのです。

事前予想というか、半分願望で書いたことを現時点ではちゃんとクリアしています。戦国ファンの見たいところ、作劇として面白いところ、映像として見応えのあるものをきっちりと手堅く抑えつつ、新たな試みもちゃんと付け加えてくる。ちゃんとNHKは歴史ドラマを作れるんだぞ、という気合いを『あさが来た』に続いて感じています。この勢いのまま失速しなければ、年末は大坂の陣で皆盛り上がっているのではないでしょうか。

演者も申し分ありませんが、堺さんはまだティーン設定で若く演じている状態です。若干軽く見えるのも仕方の無い大河名物でしょう。これは仕方のないことです。

『真田丸』という船は、船出早々穴が空いて傾くようなことはありませんでした。次回が楽しみです!

第2回「決断」 コメディおりまぜ視聴者を振るい落とす決断やいかに

こんばんは、武者です。続々と本作関連ニュースも出てきました。毎度出てくるエロが最終兵器という記事は無視します。

私の心の琴線に触れたニュースはコレ!

・「真田丸」冒頭の迫力シーン ハリウッドの最新技術「ロボット馬」を使用 #ldnews http://news.livedoor.com/article/detail/11050144/

ロボット馬だーっ! 過去大河をオマージュしつつ、ノブヤボコラボといい、こういう滑らない新要素を取り込む精神が好きです。

そして視聴率ですが。

・【真田丸】初回視聴率、関東19.9%、関西20.1| ORICON STYLE http://www.oricon.co.jp/news/2065186/full/

事前予想と目標では、年間平均『軍師官兵衛』+1〜3%を目指して欲しいと書きましたが、初回で『官兵衛』初回+1、最高+0.5ですので達成できそうです。地元長野では30%超えです。

・「真田丸」好発進32.4%…県内視聴率 : 読売新聞

http://www.yomiuri.co.jp/local/nagano/news/20160112-OYTNT50358.html?from=tw

くどいようですが大事なのはクオリティです!

・「真田丸」武田勝頼役の平に賛辞殺到/芸能/デイリースポーツ online http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2016/01/12/0008715459.shtml

メディアからも高評価な武田家最期の当主・勝頼

メディアからも高評価な武田家最期の当主・勝頼

・2016年の大河ドラマ「真田丸」が名作の予感! キャスト、脚本、音楽の魅力を徹底分析キャリコネニュース https://news.careerconnection.jp/?p=19942

・大河ドラマ『真田丸』第一話 歴史オタ絶賛の内容だった! – Excite Bit コネタ(1/2) http://www.excite.co.jp/News/bit/E1452580705859.html

・「真田丸」解説わかりやすいと評判 [R25] http://top.tsite.jp/news/buzz/o/27212234/?sc_cid=tcore_a99_p_taff_0_tw__2A171F8785191B1B-40001106E001A57F_

・NHK大河『真田丸』、三谷幸喜の脚本は歴史的に非常識? (タイトルは厳しいようですが、中身はそうでもありません)

http://biz-journal.jp/2016/01/post_13313.html

と、概ねニュースも好意的です。一番下に関しては、昨年の今頃いきなりパソコンフォントに突っ込むニュースがあったことを考えると、遠い目になりますね。

・「真田丸」で大抜てき! 声優・高木渉への反響にNHKも驚き

http://www.tokyo-sports.co.jp/entame/entertainment/495151/

昨年はナレーションで声優さんを起用しましたが、話題になったのは序盤だけでした。今年はいかかでしょう? 先週見た限りでは、良い味を出していて私も期待しています。

とはいえ、序盤はご祝儀的な好意見が多いのは毎年のこと(昨年ですら第一回を絶賛する記事はありました)。特に今年は昨年の反動で、空腹という最高のスパイスが脳内でどばどば出ていて何を見てもうまい、最高だと絶賛してしまう傾向がある気がします(自分も含めて)。

そして現地も盛り上がっています。

・真田信之:夫婦石像の沼田公園にお目見え 群馬 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160111/k00/00m/040/051000c

大河主人公のきょうだい夫妻の像をゆかりの地に建てるといえば、何かそんな企画がどこかであった気がしますが……こちらは無事に建立され名所になりそうですね!

今回のレビューの前にお断りがあります。今年は昨年のようにねちねちと「ありえないだろ!」と考証に突っ込むことはしません。今年はその道の実力者である時代考証の先生が複数ついており、しかもしっかりと三谷さんと話し合いを行い、チェック機能が働いているからです。諸先生の判断にケチをつけてもかえってこちらが恥をかくだけですので、火傷する前に手を出さないと宣言しておきます。本作について勉強するのには、時代考証三氏の本を読むのが近道なので、今更つついても天に向かって唾を吐くようなものなのです。

シェフの気まぐれメニューがすべらなければ期待

昨年はその道の研究者も見放しあきれ果て、考証担当者が公式サイトで怒りのデス解説を展開し、あのCPが史実なんてどうでもいい的なことを堂々と口に出していましたので、今年とはまったく事情が別だと書いておきます。

個人的な考え方ですが、大河における各人の役割を飲食店でたとえると、

主人公=メインの食材

考証担当者=契約生産農家・食材提供者

脚本家=料理人

政策統括(CP)=マネージャー

のようなものかと思います。「三谷さんの料理センスはどう?」と問われたら、私は「味のよい素材を、素晴らしい生産者から提供されているのですから、素材のよさを生かしてください」と注文したいところです。屋敷Pは前作のCPと違って、メニューにはあまりには口を出さず、店の見栄えやBGMにこだわるタイプのようです。シェフのきまぐれメニューで事故でも起こさなければ、今年の大河レストランはなかなかの味を提供してくれるのではないでしょうか。

もうひとつ、言葉使いです。現代風なのは仕方ないと思います。完全に再現したら『タイムスクープハンター』のように字幕が必要になりますからね。ただし、女性登場人物の女言葉は私も実はひっかかっていて、できればない方がよいかと感じてはいます。女言葉はどうしても人工的に作った不自然なものの気がして、かえって古くさく感じるといいますか。

放映前まで本、ニュース、公式本を読み、わくわくしながら迎えた日曜。新聞のラテ欄もまともで安心します(昨年は恋の神が舞い降りるとか、ドレスで光の世界とか、ものすごいポエムを読まされたので……)。

先週に続けてアバンなしでOP。信繁が理想の城を持っていたら、ということがコンセプト。バイオリンソロから始まり、音が重なりゆくテーマ曲は、信州の山奥から天下に打ってでる真田一族の運命と重なっているような気がします。

本作は六文戦をバックに文字が出て、ナレーションが読み上げるところから始まります。あらすじがわかりやすく、どこか懐かしい演出です。

今週は岩櫃城を目指す真田家ご一行からスタート。危険の少ない平坦な道を行く兄・信幸に、弟の信繁は山道ショートカットがよいのにとこぼします。兄弟の性格の差は、こうしてちょくちょく出てくるようです。

生真面目お兄ちゃんとは性格的に反対な主人公・信繁

生真面目お兄ちゃんとは性格的に反対な主人公・信繁

 

足をひっぱる京都出身のおかあさまと最近鬼門の女性キャラ

兄弟の母・薫は歩き疲れてしまい(装束が甲冑並に重たそう)、もう無理だと言い出します。薫は京都からやって来た時は、信州の景色を見ながらなんという田舎かと思ったものだが、今はここが故郷としみじみと言います。松役の木村佳乃さんは乗馬をマスターしております。

薫には、大納言である菊亭晴季の女(むすめ)という記載もありますが、これは流石に身分が高すぎるので信憑性はないとされています。ただし最近の研究では彼女を「京の御前」と記載した史料が発見されており、京都出身であることは確定しているとのこと。武田信玄の正室である三条夫人は公家の出身ですから、その侍女として甲斐まで来ていた女性が、昌幸の妻になったのではないか、などと推察されています。ちなみに信幸の次男である信政の側室である小野国子は、京都の才女・小野お通の娘です。お通自身も信之の側室説があります。真田一族と京都の女性はなかなか深い関わりがあると言えるでしょう。

薫をなだめすかして何とか進もうとする一行。すると薫の足下にぶすりと矢が刺さります! このあたり、松が偵察していたのに駄目じゃないのか、隠れていたら偵察したって見つけられるわけないじゃないと、姉弟で会話が入ります。このコントのようなやり取りは、賛否両論かなというところ。緊迫感が欲しい人も絶対に出てくるでしょう。とりあえず女性キャラは鬱陶しくなりそうな予感……今回初登場の阿茶局あたりを見て、判断しましょうか。

山賊に囲まれた一行。身代金狙いではなく、兵糧狙いと判断した信繁は、薫の衣装箱を開けて高そうな装束を投げ捨てて注意を惹きつけ、なんとか撃退に成功します。

岩櫃の昌幸には、勝頼たちが岩殿に向かったという知らせが届きます。小山田信茂が気にかかる昌幸は、佐助に様子を探らせに向かいます。

温水さんの小山田信茂が、何とも怪しくて……

温水さんの小山田信茂が、何とも怪しくて……

田野村にまで追い詰められた勝頼は、天命を悟り木賊山(天目山)に向かうと決めます。この山はかつて勝頼の先祖・信満が自害し甲斐武田家が滅亡したところです。再興された甲斐武田家はまた同じ地で滅亡することになります。

真田家一行は、百姓に化けて進むことを提案。薫は立腹しております。顔に泥を塗るように言われて怒る薫ですが、とりや松は割とノリノリで塗りあいます。信幸は、薫は気品があるからとおだてながら、泥を母の顔に塗りつけます。そこにどこかの武士らしきものがやって来ますが、とりの演技もあってあっさりと引き揚げて行きます。

一難去ってまた一難、武士の一行がまたやって来ます。ところが薫が臭い演技をした結果、綺麗な扇を懐から落としてしまいピンチが! 下馬した武士は、本当に武士なのかと問い質します。ここで松、相手が小山田の家来である小山田八左衛門だと気づきます。八左衛門は助けに来たのだとさわやかに語ります……喜ぶ一行ですが、さわやかすぎる気がする、と思っていたら信繁も同じように怪しんでいます。

 

田野村の勝頼は、滝川一益に攻められ覚悟の自害を果たします。死を目の前に父に詫びる勝頼の目の前に、信玄の亡霊が浮かび上がります(演じるのはこれが遺作の林邦史朗さん、長年大河の殺陣を担当されておりました)。父の幻に振り回された一生でした。

「四郎を、たっぷり叱ってくださいませ……」

という台詞が何とも哀しい。コメディセンスが持ち味の三谷さんですが、びしっと締めるところは締めます。ただ、編集が残念な出来で平さんの熱演がもったいなかったかな。勝頼の描き方を見ていると、勝頼同様残念な敗者扱いされる秀次、三成、そして秀頼らもきっちりと描かれるのではないかと期待できます。

ちなみに勝頼のここに至る経緯が詳しく知りたいという方には、時代考証担当者でもある平山優先生の著作がおすすめです。

ついに天目山で命尽きた武田勝頼

ついに天目山で命尽きた武田勝頼

重要人物が亡くなると皿が割れるとかそういう演出はよくありますが、本作では昌幸が脳トレに握りしめている胡桃が割れ、照明が消えました。そしてここにも信玄の亡霊が。馬の嘶きと蹄の音が入るのが、武田らしい演出です。

ちなみに信玄公の亡霊は、関ヶ原ウォーランドという素晴らしいレジャー施設にも出没しておりますので、興味のある方は是非ご訪問ください。

・関ヶ原ウォーランド:http://www.rest-sekigahara.co.jp/war_land/ ・「どうして信玄公がいるの?」http://www.rest-sekigahara.co.jp/war_land/QandA.html

そこへ佐助がやって来ます。昌幸は勝頼の死を悟り、ここへ来てくださればとつぶやくのでした。昌幸は泣くわけではありませんが、涙が目に浮かんでいます。死を悼むだけではなく、何を託されたのかと自問自答する昌幸。

武田の軍師が家康に返り咲く?

一方新府城には、徳川家康がやって来ています。

sanadamaru-ieyasu

「武田が滅びたのはめでたいことじゃが、ちっともうれしくないのは何故だ!」

と叫ぶ家康に、一部の視聴者は「そりゃアンタ九年前は武田家に仕えていましたし」(『風林火山』)と突っ込んだと思います。家康はしんみりと武田の滅亡をしのんでいるのですが、ついうっかり焼けて熱い香炉を拾ってしまい火傷を負います。ちょっと間抜けではあるんですが、私も同じ事をよくやらかすので親近感が湧きましたね……ここで本多正信(大阪一のお父様から徳川一の謀将にクラスチェンジ)が、火傷に効く薬があると勧めて喜ばれます。家康は健康オタクの薬マニアですので、ちょっとした火傷も気にするということでしょう。小心者ぽくは見えるのですが、その慎重さゆえに天下を取れたと見ることもでき、チンピラ臭い嫌な奴にはなっておりません。

一方、八左衛門の向かう方向が甲斐に戻る道だと気づいた信繁は、八左衛門に質問をします。そしてここで八左衛門ニヤリと笑い「生け捕るのじゃあ〜」と本性を剥き出しに。大ピンチだと思っていたら、「捕らえよ!」と叫んだ八左衛門の肩に矢が刺さります。

「迎えに参ったぞ!」

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

なんと昌幸です。やはり父上はカッコイイ! 佐助も参戦し、アクロバティックに戦います。堺さんは『塚原卜伝』主演経験のためか、殺陣がちゃんとしています。相変わらず薫は邪魔アンド絶叫要員。鬱陶しくはあるのですが、薫にがばっと抱きつかれた昌幸は実にうれしそうで、奥様としてはとてもかわいらしいんだと思いますよ。この状況下では京出身であることが足手まといそのものなんですが、平時は「かわいらしくてセンスもいい、自慢の妻!」ってところかな(そうでも思わないと薫が不憫ですし、ね)。一方でゴッドマザーとりは余裕綽々です。喜ぶ一行の中、真面目な信幸は勝頼について父に尋ね、その死を悼みます。信繁もまた、穏やかな顔ながら胸中複雑なようです。素直なようで、感情を表に出さない性格なのでしょうか。

徳川の陣では、家康が茶を阿茶局に淹れさせてくつろぎモード。健康マニアらしく、薬研が傍らに老いてあります。今日は疲れたからもっと茶をと所望する家康に、阿茶局はよい顔をしません。お茶って、当時の人にとってはカフェイン入り健康ドリンクのような感覚もあるでしょうし。阿茶局はツッコミ要員で「裏切り者は嫌だとか言うけど、唆しているのは誰だっていうのよ」とか何とか、ぶつぶつとつぶやいております。

家康は穴山梅雪に面会しなければいけないけど、ああいう裏切る奴って嫌いなんだよね〜、と石川数正に愚痴ります。「あんなふうに裏切る奴うちから出たらたまんねえよな〜」と言う家康に、「もちろんですよ!」とさわやかな数正……今後の展開を考えると実にいい笑顔だ! 「分かる奴だけ、分かればいい」(『あまちゃん』の花巻さん)ですね。このあと家康、満面の笑みを浮かべて梅雪を接待する場面はサラリーマンコメディみたいです。

武田家の重臣ながら真っ先に飛び出した穴山梅雪

武田家の重臣ながら真っ先に飛び出した穴山梅雪。御家存続という観点からは正解な判断だったかもしれません、このときは…

勝頼を裏切った小山田信茂は、信長の嫡男・織田信忠に面会。これからよろしくお願いしますと頭を下げる信茂ですが、いきなり腕を捕まれます。信忠は「おまえみたいな裏切り者はいらん、斬首せよ!」と死刑宣告。ここで一益が親切に「他の奴らは調略で裏切ったけど、お前はただ情勢にびびって裏切った卑怯者だから、死ぬしかないよな」と親切に解説。こういう事情があるから、事前に寝返る先に接触しておく必要があるんですね(昌幸も北条相手に書状を送りやりとりをしておりますので、岩櫃に勝頼が来たらもしかすると、というのも否めないよね……『あまちゃん』のベロニカ)。信忠と一益は、とどめとばかりに信茂に対して勝頼の首を見せ付けます(桶入り)。先週彼が裏切った時、「なんて奴だ! 死んでしまえ!」と呪詛のようなつぶやきをしていた人もいると思うんですが、これは見ていて「ここまでやれとはいってない……」と引いているかもしれませんね。舞台劇のようなセットや演出も手伝って、もの凄いブラックコメディを見ているように感じます。これは絶対に賛否両論だと思いますが、個人的にはこういうの、好きなんだなあ。オチに斬首が使えるコメディなんて、時代ものじゃないと無理ですもんね。

と、思っていると松の夫・小山田茂誠が悲痛な顔でおののいており、これまた肝が冷えるのでした。演じる高木さんは、ここは声優出身なのに声ではなく、顔芸で頑張っています。

 

いつも切り返される真面目なお兄さん。。。

真田家中は、今後の去就を家臣に尋ねます。そのやりとりを外で信繁と三十郎が会話中。華々しい討ち死にについて語る三十郎に対し、甲斐領を治めてから攻めて来るからまだちょっと時間はあると信繁は説明します。能天気なようで、きっちり自分の頭で考えております。

結局、家臣と話し合っても結論は出なかったのか、昌幸は息子二人を呼び出します。

昌幸「武田家が滅びてしまうなんて、わしは己のふがいなさを責めるのみじゃ」

信幸「何をおっしゃいます! 父上に非はございません!」

昌幸「いや、わしもそう思うんだ」

信幸「えっ……」

えっ?

えっ?

こんなの笑うしかねーだろ! この三人の会話、信幸兄さんが真面目なツッコミ役、昌幸と信繁は天然ボケっぽい演出になっています。二対一でボケ優勢はつらい。

昌幸は勝頼が自分の岩櫃撤退案を受け入れなかった以上、織田と戦う理由もないと結論づけます。そこで二択。

上杉:領土も近いし、織田との緩衝になる真田なら迎えてくれるはず

北条:以前からやり取りもしているし(武田を裏切っていたわけじゃないぞ、とここで昌幸の苦しい言い訳)、きっと暖かく迎えてくれるはず

というわけで、どちらもメリットがあって決められないから赤と黒のくじ引きをして決めると迫る昌幸。信幸はドン引きしていますが、信繁は大はしゃぎ。そんなことをくじ引きで決めていいのか戸惑う信幸に「大事だから神頼みだ!」となんか妙な説得力で迫る昌幸。信幸は意を決して引こうとするのですが、決められません。そりゃそうですわ、と思っていたら昌幸が今更「こんな大事なことくじで決めていいのか」とか言い出します。私が信幸なら胃に穴が空くわ!

ここで信繁が「上杉にしましょ!」と理由を語りだし、信幸が駄目出し。

上杉:織田との緩衝になるっていうことは、真っ先に織田と戦うことになるぞ!

北条:北条は既に織田に臣従しているから、織田に突き出されるぞ!

真田家……駄目じゃん! 終わってるじゃねーか!

ここで昌幸、くじを燃やして「わしゃ決めた!」と絶叫。

「どちらにもつかん。織田も迎え撃たん。真田は織田につく!」

あ、その手があったね! ここまでギャグテイストなのに、「敢えて火中に身を投じるのだ」からの台詞、信長に面会に行くと宣言する昌幸はカッコイイのである意味反則です。

今週のMVP:小山田信茂

あまりに最期が酷くて(褒めています)、画面の前で凍りました。親切かつ残酷な解説をする滝川一益も好きです。

総評

今作はおそらく最高視聴率は初回ということになるかと思います。二週目でふるい落としにかかってきたからです。アンチも大量に発生し、感想コーナーなどは嵐が吹きすさぶように荒れると思います。これぞ乱世の極み、というくらいに。

三谷色が薄かった先週と比べ、今週は45分ほぼコメディ色びっしり、やけにハイテンションでした。この雰囲気が嫌いな人は今週ごっそり抜けると思います。

私も正直、真田一家コントはあまり好みではありません。特に松と薫が重度のアホネタキャラにされており、今後鬱陶しくなる予感がひしひしとあります。来週新登場のきりも不安要素です。

しかし、ゆかいな徳川家、オチが斬首の小山田信茂、そして真田父子のくじ引きコントは嫌いではありません。笑わせには来ていますが、かなり情報量が豊富です。事前に交渉して裏切ったらセーフでもそうでなければアウト、上杉と北条につくメリットデメリットと、きちんと説明されているのに説明台詞に聞こえないのは流石です。エンタメ要素も盛り込みながら、戦国をわからせる巧みな作りになっていると思います。生徒を笑わせながら授業をする歴史の先生みたいなドラマになっています。

そもそもに真田含め、本作は敗者ばかりのドラマです。その悲哀を端正に茶化さず描いたら、『八重の桜』の時のように「辛気くさい」「真面目過ぎる」「見ていて暗い気持ちになる」「エンタメとしては駄目じゃん」って言われると思うんですよね。暗くなりがちなシリアスな時代を滅法明るく、というアプローチはありではないでしょうか。

ここでふと思い出したのが、ノンフィクション作家の高野秀行氏の著書にあった話です。悲惨な紛争地域に暮らす人たちは、いつも暗い生活を送っているのかと思われがちだけれども、実際に行ってみると、明るくあっけらかんと生きている、と。あまりにハードモードだから悩んでも仕方ないじゃん、ってなるのかも。昌幸や信繁のハイテンションも、「どうせ明日死ぬかもしれないなら、明るく生きるぜ!」という、絶望しすぎてハイになっちまったということかもしれません。

 二年連続このネタかよ、って我ながら思うんですけど、この『マッドマックス 怒りのデスロード』も世界観が本当に悲惨なんですよ。そんな中で戦っているお兄ちゃんたちは絶望に開きなおっちゃって、「ヒャッハー!」「V8!V8!」と叫んだり、火炎放射するギターをかきならしたりして、それなりに楽しく生きているように見えるんですよね……どう生きても、考えに考えても明日死ぬかもしれないんじゃね、と思ったら明るく生きてもいいんじゃないかな、という解釈でいいやと思いました。乱世の極みはハイテンション、ということで!

第3回「策略」 ありのままの黒い姿を魅せるのよ

こんばんは、武者です。まずは謝罪からです!

「真田丸」2回視聴率、大台に乗る 丸絵も話題「昌幸とうさん、大好き」 http://www.huffingtonpost.jp/2016/01/17/sanadamaru-audience-rating_n_9006306.html

よかった、うれしい予想外です。先週初回視聴率が年間最高になると書いた予想が外れました!
とはいえ、視聴率はその回ではなくその全回の評価が反映されますので、まだまだ油断はできません。今後視聴率が下がったら絶対に「やはり三谷は軽い」とか掌返し来るからな! この表裏比興のマスコミめ!
チラホラと既に「言葉使いが軽い」「現代的」という叩きが出ていますけど、よもや同じ口で『八重の桜』の時「わかりにくいんだよね〜」とか言ってませんでしたよね……? いやホント、『八重の桜』は辛気くさい、会津訛りも幕末史わからないし〜と文句つけておいて、今年は軽いだの何だの言っていたら本当に制作側が気の毒だと思う次第ですよ。どうしろと。

 

地元は、湧いています。

大河「真田丸」地元・長野が熱狂!視聴率30%超え連発 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能 http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/01/24/kiji/K20160124011914400.html

大河「真田丸」出陣 長野で群馬で…観光客誘致へ一気呵成に – BIGLOBEニュース http://news.biglobe.ne.jp/domestic/0123/san_160123_2639836387.html

市が勝頼ゆかりの地をPR
http://www3.nhk.or.jp/lnews/kofu/1045188961.html?t=1453609013991

レビューや感想では、賛否両論です。どちらの意見も納得できます。気がついたのは、好評意見でも面白いと思うポイントが結構ずれているところです。私としては目に余った薫のバタバタぶりが楽しかったという意見も多いのです。
そこで、この作品は万人向けスラップスティックコメディと、「わかる奴だけ、わかればいい」歴史小ネタと、笑いどころでも二種類仕込んでいるのかなと気づきました。歴史解説も細かいですし、間口は広く作ってある。でも歴史好き、大河好きにもアピールしていますよ、というわけです。

 

NHK大河『真田丸』 男優が牽引も女優がぶち壊しとの評│NEWSポストセブン
http://www.news-postseven.com/archives/20160123_379559.html

こういう意見も理解できますが、女優さんのドタバタでほっとしている人もいるでしょう。耐えられない層は「女優が出たらトイレタイム」と割り切るのもありだと思います。本筋にあまり関わりありませんしね。
また本作は、スマホ片手に実況し、フォロワーとツッコミネタにしながら鑑賞するスタイルではないかと思いました。本作が軽いという批判は既に出ていますが、このくらいの軽さだからこそ、ゆるく45分間飽きずに見られるというのも確かだと思います。昔の大河をリスペクトしつつ(だからこそ、OPの六文銭背景にレトロなフォントが重なるあらすじとか、ダサいスローモーションを使う殺陣とか出てくると)、21世紀型大河にアップデートしようという試みがあるのかなと思います。
2010年代の「大河2.0」を模索する流れとして、頑張っている感じはあるんですよね。こういう頑張る気持ちがある大河は、少なくともそんなもんがない作品よりおもしろいです。視聴率につながるかは、また別問題として。
始まる前はどうなるかと思われていた「ノブヤボのアレ」も好評のようです。標高差がイメージできるのも便利ですよね。
「真田丸」3D地図が話題 「信長の野望」とタッグの意図 制作に約1カ月 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能 http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/01/23/kiji/K20160123011907800.html

桜舞い散る緑豊かなこの山里に信繁たちが戻ってきた

今日の第三回は「策略」。今年は二文字縛りのサブタイトルでしょうか。とりあえず「初恋」ではなくてよかったですね! 一月放映回のサブタイトルに「恋」が入るのは嫌な予感しかしないので。

今週は一族が真田郷に戻って来たところからスタート。のちのち主人公たちが「真田の里に戻りたい」と懐かしむ場所。桜舞い散る緑豊かなこの山里は、とても美しく撮られています。ここで高梨内記の娘・きりがうっとりと信繁を見つけています。

先週ドヤァと「織田につくぞ!」と宣言していた昌幸ですが、そう簡単にいくはずもありません。そもそも織田にしてみれば真田と組むメリットもありません……自信満々のわりに、確証はなかったと。そしてここでおそらく、顔には出さずともガッカリしているのが、昌幸の弟・信尹です。北条との交渉を担当してきたのに、ギャンブラーな兄によってひっくりかえされたわけですから。昌幸の叔父・矢沢頼綱は「うちってギャンブル気質だし!」と豪快に笑い飛ばしておりますが、そのギャンブルに振り回される家族は辛いでしょう。

今週も表裏比興・昌幸さんのお知恵がグルグル回転か/イラスト・霜月けい

今週も表裏比興・昌幸さんのお知恵がグルグル回転か/イラスト・霜月けい

信繁は何かの箱を、綺麗な紐でラッピング中。真田紐への伏線かな。ここで叔父・信尹と信繁の弟による会話が入ります。本作は主役が次男ということもあってか、嫡男と次子の立場をきっちり描いております。嫡男は嫡男で大変だし、次男は次男で苦労があるとわかるんですね。ここの短い会話では、兄を支える弟としての心づもりがあらわれています。

信幸にはこうという妻がおりました。こうは夫同様生真面目ではあるのですが、病弱なようです。ある意味、一番辛い妻です。本人は悪い人ではありませんが、武将としてのサポート役や癒やしを求めることはできないわけで、夫としては辛いわけですね。こうは真田信綱(長篠の戦いで討ち死にした昌幸の兄、信幸の伯父)の娘にあたる清音院殿のことと思われます。いとこ同士の結婚というわけですね。

 

潔癖症の信長を迎えるため、家康慌てて準備を進める

昌幸の懸案は国衆のこと。一筋縄ではいかない国衆をどう説得しまとめ、織田につかせるか。ここでノブヤボ地図を使った国衆の解説。小県郡の真田、室賀らの国衆議をどうまとめるかがポイントです。

奥では薫ととりが世間話。薫は朝ドラのよのとよい勝負の天然お嬢様のようで、姑のきつい嫌味も通じないようです。薫は、別れたままになった夫の小山田茂誠を思い、食事も喉を通らないという松を心配しています。とりは「茂誠は死んでますね。生きていたとしても、裏切り者ですからもう戻れないでしょう」とバッサリ。流石乱世の女、容赦ねえな!

髙遠城に入った家康は、潔癖症の信長を迎えるためクリーンアップ作戦中。慌てた様子でやたらと細かく「馬糞も拾え!」と指示を出す家康の、よい意味での中間管理職的小物感。正信と歩いていた家康は、本田忠勝の姿を認めます。演じる藤岡弘さんは本物に近い30キロほどの装備を身につけているとか。ちょっとアイツウザいんだよな、という顔で戻ろうとする家康に対して、忠勝は仁科盛信の自害した跡を見に行きましょうと誘います。慎重な家康は、城の外に出て武田の残党に襲われたら嫌だと苦い顔。正信に促され、しぶしぶ家康は外に出ます。

家康は盛信の自害跡へ向かいながら、勝頼の手厚い供養をすると宣言。信心深く素直な忠勝はこの気遣いに喜びます。

ドラマスタートのMVPは武田勝頼さんでしたね

ドラマスタートのMVPは武田勝頼さんでしたね

今年は城内の屍や血の跡など、結構生々しい表現を頑張っております。感激する忠勝と違い、老獪な正信は、勝頼供養への手厚い供養は武田家の遺臣の人心掌握に役立つと言い、家康も我が意を得たり、という顔をします。

そこへ何者かがやって来て、「ひぃ〜〜〜!」「うわあああああああ〜〜〜っ!」と、と家康も闖入者も叫びます。

家康、先ほどまでの落ち着きから一転してのすごい顔芸だ! 逃げる男もすごい顔と声……ん? なんと逃げていたのはすっかり落ち武者化した茂誠兄さんでした! どうなるんだ、これから!?

 

「黙れ小童ぁ!」迫力満点、室賀の恫喝

まさかの茂誠に喰われましたが、今週もコント集団三河武士の皆さん、頑張っていました。
家康の人気はここ最近低迷しているように思えます。かつては究極の成功モデルとして、山岡荘八氏の小説などで人気を博した家康。しかし国民的作家S馬R太郎氏からケチョンケチョンにけなされ、信長や秀吉と比べてあまりに地味で優等生過ぎるおもしろみのない狸親父扱いに落ち着いているように思えますな。

しかし家康だって個性的で実はキャラクターとして面白い。本作にはそんな家康再発見の機会を与える役目があるのではないでしょうか。出れば出るほど、おもしろくなっています。
思えばここ数作の大河では家康のカンスト問題がありました。つまり、初登場からレベルがカウントストップしている99状態、大坂の陣レベルになっているということです。いきなり風格あって、いかにも天下人ですと初登場から見せ付けておいて、覚醒も何もあったもんじゃない。そういう作品が続きました。

内野聖陽さんが、また良いですよね

内野聖陽さんが、また良いですよね

ちなみに信長の場合これと真逆で、無理矢理尾張のうつけ時代から出し、イケメンイメージを重ねて若くレベルが半端ぽい役者を使うため、「信長がカンストしない」問題がありました。今年の信長は老けすぎとも言われていますが、私は信忠との兼ね合いも考えると、むしろよいと思います。ちゃんと最終形態の信長です。

さて、その信長がいよいよ信濃入り。昌幸は国衆の説得開始します。室賀正武は昌幸をまったく信用していないようで、くってかかっております。室賀の「黙れ小童ぁ!」という叫びは最高。目つきが鋭く、赤と黒の衣装が格好よい出浦昌相が大物らしさを出しています。ただ者ではなさそうです。

この国衆をちゃんと出すのも本作のよさです。駄目な作品なら、雑魚モブ処理してしまいそうなところです。皆生きて、自分の領地を守るために必死なのだと感じさせます。

このあと、国衆をまとめるのは皆のため、私欲のためではないのになぜ反発されるのかと悔しがる信幸ですが、「うまくやれば小県全部俺のモンなのになあ」と私欲剥き出しの昌幸。それにドン引きする信幸……彼にはそっと胃薬を差し出したいです。

 

山林資源をめぐり村人たちの合戦は石つぶてから

生真面目な兄が胃をキリキリさせつつ、父にドン引きしているころ。弟の信繁は気になるかわいい娘、梅をじっとみつめています。これが気に入らないのはきりです。このあたりはベタな三角関係で、きりは信繁に片思いをしています。そんな気持ちに気づかない信繁は、梅にプレゼントを渡してよ、ときりに頼みます。

きりは好きという気持ちが伝えられないらしく、かえってからかう口調で嫌味を言ってしまいます。一応、きりにも信繁は櫛を用意していますが、しまむらのアクセサリーコーナーで買ったものを、ビニール袋に入れて渡すレベルでした。差が露骨すぎんだろ。

きりに強引に誘われ、梅に会いに行く信繁。黒木華さんが初々しく、これはそりゃ信繁も惚れるよねという可憐さです。梅へ贈った櫛は、きりがしまむらなら、デパートの婦人フロアで買ったレベルです。きりは流石にグサッときてしまっているようです。「薪って広げて乾かすんだ~」と意味不明のことを言いながら、誤魔化そうとするきり。不憫ヒロインポジションでしょうか。

櫛を持って梅のもとへ……

櫛を持って梅のもとへ……

そこへ梅の兄・堀田作兵衛が帰って来ました。再会を喜び、軽々と信繁を持ち上げくるくる回す作兵衛。そこへ村の者が、室賀の連中が真田の領地で枝打ち(森林伐採)をしていると報告に来ます。

この時代、水源や森林資源をめぐって、村人同士の争いはよく発生しました。『タイムスクープハンター』などでもおなじみだと思います。信繁たちは現場をおさえるべく、駆け出しました。こういう戦国を皆生きているという感覚が心地よいです。時空を超えたジャーナリスト沢嶋雄一が紛れ込んでいても、違和感なさそう。

弟が甘酸っぱいリア充ライフを送っているころ、兄・信幸は、昌幸から上杉に密書の返事を届けるという重大な役目を任されていました。弟が幼なじみ系とツンデレ系、二人のヒロインに挟まれていますが、信幸の妻は病弱でよろよろしていて、トキメキとかそういう感じではちょっと……。この差は何なのか。この信幸の動きは筒抜けで、室賀にも出浦にもバレていました。

信繁らは室賀の村人たちに追いつき、山の上に回り込むと乱闘へ持ち込みます。ここで信繁たちは相手に石つぶてをぶつけますが、これも当時の立派な戦術です。石つぶてによる闘争も『タイムスクープハンター』でありましたね。ここで梅、薄倖そうな見た目にあわぬ怪力ぶりを発揮。あの兄の妹ならば当然かもしれません。

ここでは悪役にされている室賀の人たちも、自分の土地の山林が焼けてしまって苦労しているんですね。戦国時代は、相次ぐ戦乱、大規模な建築、製鉄などのために森林も荒れ果てていました。日本は森林面積の比率が大変高い国ではあるのですが、それでも江戸初期までにかなり減少していたようです。失われた森林資源の回復は、江戸幕府の優れた保護政策によって実現されることとなります。

室賀の者たちを追い払ったあと、一行は下山します。ツンツンしながらも信繁が気になるきり。わざとらしく「脚やっちゃったかなあ~」(チラッチラッ)と言い、信繁におぶってもらいます。ニコニコ笑顔ではあるのですが、そこへまた何者かが登場してすぐおろされてしまいます。どこまでもタイミングの悪いきり!

現れたのはすっかりボロボロになった茂誠でした。それにしても高木渉さんの顔芸、凄いなあ。一体どうやってここまで来たのかはわかりませんが、すさまじい格好になっています。

やっぱり来たか!小山田茂誠さん/イラスト・霜月けい

やっぱり来たか!小山田茂誠さん/イラスト・霜月けい

 

昌幸が信幸に向かって「おまえ、芝居できないじゃん?」

弟が幼なじみをおぶって青春しているころ、兄は室賀・出浦の手の者に襲われて密書を奪われました……なんなんだよお、お兄ちゃん可哀相すぎるだろ! しかもこの過程で佐助が斃れてしまいます。悲痛な声で「佐助!」と叫ぶ信幸。それにしても密書、表に上杉と書いてあって何かわかりやすすぎるような……?

密書を奪われた信幸は、父に報告すると責任を感じて切腹するとまで言います。しかしここでなんと、室賀と共に密書を奪ったはずの出浦がやって来ます。

真田丸出浦昌相霜月けい

物静かながらキレッキレイメージな出浦さん

「室賀はひっかかったぞ」
と報告する出浦に昌幸は、いい笑顔。そしてここで昌幸がネタばらし。わざと密書を室賀に奪わせ、織田に上杉からスカウトされるほど真田は重要なのだと思わせる作戦でした。それにしてもこの親父、ノリノリであります。ここで信幸は何故教えてくれなかったのかと父に詰め寄るのですが、
「だっておまえ、芝居できないじゃん?」
とひどい返事。ひぃーーーー!! さらに斃れたはずの佐助もフェイクを使ってぴんぴんしていたと知り、信幸ますます唖然。人間不信の頂点にいるような顔をしています。お兄ちゃん……お兄ちゃん……。あっ、真田屋敷ってそういえばギミックだらけで忍者屋敷みたいな仕掛けがあって、いいですよね。
一人部屋に戻った信幸は、拳を握りしめつつすすり泣くのでした。

そりゃ切ないよね……お兄ちゃん……

そりゃ切ないよね……お兄ちゃん……

 

刀を抜いて切腹を迫るストレスフルな信幸兄ちゃん

堀田家に匿われた茂誠は、松と再会しラブラブぶりを見せ付けます。信繁はとりあえず茂誠をどこかへ匿おうと提案しますが、松は絶対に嫌だと断ります。このあと信繁は出浦とすれ違うのですが、出浦は悩んでいる兄を気遣ってやれと言われます。

ふらふらと歩く信幸は、弟の姿を見つけると父について相談しようとしますが、信繁はそれを遮って相談があると言います。その相談とは茂誠の処遇。愚痴りたいときに。新たな難題が立ちふさがる信幸……ついに真面目なお兄ちゃんがキレた! 茂誠に腹を切れと迫り、さらに抜刀し迫る信幸。そのストレスがわかる、わかるぞ。

キレる信幸を周囲がなだめ、この場は何とかおさまります。これはもう、「今夜は疲れた」と言う信幸に同情せざるを得ません。とりあえず信幸は茂誠の処断は明日以降にするということで、暗に逃げるように言いくるめます。

信幸が立ち去ると、信繁は気を利かせて姉夫妻を二人だけにします。ここで茂誠が「信繁殿!」と言うので、てっきり御礼を言うのかと思ったら「ちと寒い」と言います。何とも愛嬌があるといいますか。茂誠兄さん、愛されキャラになりそうです。

バッチリ愛されてキャラに育っております/イラスト・霜月けい

バッチリ愛されてキャラに育っております/イラスト・霜月けい

昌幸の計算は当たり、信長から参上するよう書状が届きます。信繁に同行しろと言う昌幸に、信幸ついにガチ切れ。「なんで俺、そんなに粗末な扱いなのお!?」と叫ぶと、昌幸は「いや、おまえは大事な嫡男だよ。あとを託すんだからちゃんと留守番しような」と宥めます。あっさりとこれに納得する信幸。どこまでいいお兄ちゃんなんだ。
こうして、昌幸と信繁は信長の待つ諏訪へと向かうのでした。

 

今週のMVP:

真田信幸。弟が青春しちゃっているのに、兄は一体……騙される演技が気の毒で、見ているだけで胃が痛くなりそうでした。頑張って、お兄ちゃん!

終始、振り回されそうな生真面目さが、後に昌幸・信繁と……

終始、振り回されそうな生真面目さが、後に昌幸・信繁と……

総評:

いいんじゃない? 今週!
と、先週から掌返しして書いてしまいました。先週はコメディ部分と他の部分の整合性がちょっととれていないとか、コメディ部分が滑っていたかもしれないと思えるところがあったのですが、今週はうまく馴染んできましたぞ。

懸念していた女優陣、特に初登場のきりと梅ですが、個性が出ていてよかったと思います。退屈になりがちな主人公初恋パートに、隣村の連中との森林資源争奪戦をからめたのがよかった。戦国時代は侍だけではなく、村人たちもたくましく生きて戦い、彼らなりの秩序で生きている雰囲気が出せました。そんな中で、意外と怪力の梅とか、脚をくじいちゃったアピールのきりとか、ヒロインの個性を見せたのがうまいです。

そうした甘い青春パートの合間に、信幸騙されパートを挟んだ構成もにくいですね。弟がレモン味の初恋なら、兄は太田胃散味の苦難ですね。その背景に、手抜き大河ならわかりにくいからとすっとばす国衆の小競り合いも描かれているわけで、エンタメとしておもしろい味付けをしながら、戦国時代の山里に生きる人々の暮らしをきっちりと設定として見せてくれているわけです。

昌幸が息子をも騙すほど食えない人物だとちゃんと描かれていて、しかも腹黒くても魅力的であることも大きいです。一昨年の官兵衛は終盤までロンダリングされていましたからね。ありのままに黒い謀将が描かれているというのは、心地よいものです。来週の真田父子と信長、家康の出会いが楽しみです。

第4回「挑戦」 超高速“本能寺の変”は真田から見てベストバランス也

こんばんは、武者です。

第三回の視聴率は低下し、そろそろ叩き記事が出てきました。

◆裏の日テレが強すぎるわけじゃ、ない…? NHK大河ドラマ『真田丸』雲行きが怪しくなってきた視聴率 http://otapol.jp/2016/01/post-5450.html

そもそもが万人受けを狙っていないと思われる作品ですので、合わない人はそうだろうな、というところですかね。

しかしそれでも! こちらは好調。

◆「真田丸」館、1万人達成 : 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/local/nagano/news/20160128-OYTNT50370.html?from=tw

昨年は一年通して5万人弱の大河ドラマ館もあっただけに、絶好調ではないでしょうか。

 

そんな中でも絶好調なのはこの人です。

小山田茂誠/イラスト・霜月けい

小山田茂誠/イラスト・霜月けい

◆ネット検索で急上昇。「真田丸」で注目の小山田茂誠役の高木渉ってどんな人?(女性自身) – Yahoo!ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160126-00010006-jisin-ent

◆“声優界のバイプレイヤー”高木渉、大河きっかけに男版・戸田恵子となるか? | ORICON STYLE http://www.oricon.co.jp/news/2066113/full/

密書を奪った室賀正武は、織田・徳川へお先に密告!

さて、今週の「挑戦」は信長との謁見に挑む昌幸・信繁父子の綱渡りです。

お留守番中の信幸は、頭痛の種と向き合う予感。諏訪の法華寺に入った昌幸は、これも一つの戦、父の戦いぶりを見ていろと信繁に言います。ここで昌幸、家康がいることに気づきます。

昌幸と信繁は、「そういえば昔三方原で家康と戦ったけど、アイツがビビって逃げた姿思い出すと今でもウケるわ」「父上のあの話好き、超面白いよね!」と笑いあいます。家康が恐れた男ランキング(多数)に、もう昌幸はランクインしていました。

ここで室賀正武がドヤ顔でお出迎え。正武は密書を奪っておきながら、「上杉との密約がバレているから気をつけろよ、ともかく詫びろよ」と昌幸にそっと打ち明けます。昌幸は今になって怖じ気づいたんだなと分析。結構な綱渡りですよ。

その頃、家康は穴山梅雪に会っていました。不安そうな梅雪に、アポあり裏切りなら大丈夫ですよ、と励ます正信。同じ裏切りでもランクがあるわけです。

真っ先に武田家を裏切ったのは穴山梅雪でした……

真っ先に武田家を裏切ったのは穴山梅雪でした……

ここで正信は、あの武藤喜兵衛が来ていますよ、と家康に伝えます。昌幸は三男ですので、真田家を継ぐ嫡男とみなされておりませんでした。その知勇を信玄に評価され、武勇の誉れ高い武藤家を継ぎ武藤喜兵衛と名乗っていたのです。それが長篠の戦いで兄二人が戦死し、真田家を継いだのでした。家康、トラウマを思い出したのか複雑な様子です。

 

忠勝・家康を前にして「もっと下っ端かと思っていました」

信繁は織田の備えを見に行くとウロウロし始めます。流石弓の手入れができていますね、と手入れ中の忠勝に近づく信繁。そこへ家康もやって来ます。

メンテナンスがとても行き届いていますね、と褒められてまんざらでもない家康。信繁は「でもうちの方が上ですよ。うちは弓立てにキャスターをつけているんです。ぼくのアイディアなんですよ!」と調子に乗っています。そこへ昌幸が来て「お前、そのへんウロウロするなよ」と息子を軽く叱責。そこで家康、昌幸に挨拶をします。

信繁は「えっ、この人徳川様だったんだ! もっと下っ端かと思っていました」といきなりNG発言をしてしまいます。真田、感じ悪いよね~(忠勝視点)。

のっけから家康をディスる信繁さん

のっけから家康をディスる信繁さん

昌幸は、信長に贈るプレゼントはどうすべきか、家康に相談。家康は定番の名馬ではどうかとアドバイス。家康はこんなふうに、信長に謁見を願う相手へのアドバイザー役でもあったわけです。

ここで家康、「そういえば、おたくにいた武藤喜兵衛って知ってます? すごく強いから有名なんじゃないかな、って思って」としれっと昌幸に聞くのですが、これまた昌幸「いやあ、俺、外様なんで知らないッスね!」とトボけます。狐と狸の化かし合いのようです。やっぱり真田、感じ悪いよね〜(家康視点)。

 

善良で堅物だけれども、昌幸は愚かではない

一方、生真面目な信幸は、リラックスするどころか不安で仕方ありません。そんな折、姉の松がどこかへこっそりと出かけて行く姿を目撃。尾行すると行き先は堀田作兵衛の家でした。これを目撃していたのは信幸だけではなくきりもです。

案の定、松はかくまわれている茂誠とこっそり会っているのでした。きりは堀田の家に行くと、何か隠し事しているんじゃないの、と梅に探りを入れています。そこへ信幸登場。隠れ家に踏み込むと、松と梅しかおりません。とぼけず茂誠を出せと姉に迫る信幸。どう見ても二人分ある食事を見て問い詰める信幸。そこへきりが入ってきて、

「私たち三日に一度はここで女子会してるんで~。男の人は出てってもらえます?」と機転を利かせます。

「最近かかとがカサカサになっちゃって〜」
「それってもしかして潤い不足?」
「心の潤いもお肌に出るって。最近寂しいんじゃない?」

とかなんとか始まるガールズトークに気まずくなった信幸は、出て行ってしまいます。真相はちゃんとわかっていて、作兵衛には「父が戻るまで何とかしておけよ」と釘を刺す信幸でした。善良で堅物だけれども、愚かではないんですよね。苦労しているなあ、お兄ちゃんに笑顔を。

きりが家に戻ると、父の内記が「フラフラ出歩くな。地侍に過ぎない堀田家の者とは距離を置きなさい」と娘を叱ります。何かと不評のきりではありますが、ちゃんと親に叱られたら反省するだけの分別はあります。ギリギリでうっとうしさが許容範囲になるのは、こういう場面があるからですね。

 

昌幸と家康の舌戦が冷や冷やで目が離せず

昌幸はいよいよ信長と謁見かと思ったところ、信忠による圧迫面接(一次)がスタートしました。信忠は、

「ここに二通書状があるけど、なぜ織田と上杉に同じような内容を送るわけ? コピペかよ」

と、突っ込み。面接には家康も参加しており、書状を見せてくれるように信忠に頼みます。昌幸は、

「コピペじゃないですよ、ちゃんと読んでください。上杉からオファーがあったから、ちょっと返事するまで待ってもらえるかと頼んでいるんです」

と言うわけです。家康も書状にそう書いてありますよ、と認めます。

昌幸と家康の舌戦スタート!

表裏比興・昌幸の芝居スタート!

「織田につくならば、上杉に待ってくれなんて言わずに断ればよかっただろ」

と信忠、至極当然なツッコミ。うっ、見ていて胃が痛くなりそう。

「そうは言いますけど、織田に会いに来ている間、上杉に襲われたら困りますし。うちみたいな中小だと上杉相手にどうしようもないんです。上杉を騙すのは悪いかもしれませんけれども、こちらも苦しいんです。お察しください。でも困ったな。そんな重要な手紙が届いてないって本当に危険ですよ。上杉からちゃんとうちのこと守ってもらえますよねえ?」

昌幸、相手を言いくるめるだけではなく「俺たちの味方、してくれるよね」と逆に頼んでしまいます。しかしここで家康が、気になる点があると言い出します。

「でもこれ、自作自演ぽいんですよねえ。こちらが入手することを計算して引っかけようとしていませんか? いるんですよね、そういう小細工して自分が大物であると思わせたい人って」

家康が昌幸を問い詰めるのは伏線ですかね……

昌幸を問い詰める家康。伏線ですかね……

ズバリ、家康、真相を究明しました。やはりただの小物ではありません。私が昌幸なら脂汗まみれになりそう。家康はさらに続けます。

「実は上杉も織田と和睦したいから、仲介頼まれているんですよね。上杉側担当者の直江がアポ取ってここに来ているんで、ちょっと直江を呼んで来て確認してもいいですか?」

家康、ついに本気で昌幸を殺りかねない提案出して来ました……!

「呼んでくればいいじゃないですか。嘘なら俺、切腹しますんで。でも本当だからしょうがないんだよなあ」

昌幸、もはやハッタリを続けるしかない!

家康と昌幸、目から火花を散らすような対峙です。家康もここで、相手が真実を言っていたらまずいと判断したのか、書状は本物だと認めるのでした。ようやく昌幸、一次面接を通過し、信長と謁見できることに。ここで家康、「流石武藤喜兵衛殿ですね」とバラし、昌幸にゆさぶりをかけます。こいつ、ただ者ではないぞ。

そしていよいよ最終面説。コツコツと足音が響き、よく磨かれたレザーブーツが映ります。そしてカメラがあがっていくと、和洋折衷の衣装を着た信長が!

ついに対面、織田信長!

ついに対面、織田信長!

これがもうこれ以上レベルアップしない、最終形態信長! 声低い、ライティング怖い、もう全体的に無茶苦茶怖い! 私があの場にいたら腰抜かしそうです。信長は「よき面構えじゃ」と感想を述べ、無事真田家は最終面説も通過しました。家康もここで、おめでとうございますと祝いの言葉。もちろん結果は知っていますが、ハラハラしました!

 

信長にボコられた光秀は恍惚の表情を浮かべ……

「勝った勝った! ガッツだ気合いだ!」とポーズを取り、喜ぶ昌幸。しかし、沼田と岩櫃という2つの城を差し出すことが条件と滝川一益から知らされ、ショックを受けます。昌幸、失望が顔に出ています。ここでノブヤボマップが入るのですが、本当にごっそりと領土が減ったことがわかり、昌幸のショックがよくわかりました。

滝川一益・昌幸の影響力を利用として少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

滝川一益。真田昌幸の影響力を利用しようとして、少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

信繁はわくわく気分で、矢沢頼幸に信長を見た感想を語ります。平時であんなに怖いんだから、怒ったらさぞかし怖いだろうといった直後、信長による光秀への過激過ぎるパワハラが目の前で繰り広げられます!

光秀を怒鳴りつけ、欄干に何度も何度も頭を打ち付ける信長! あまりにバイオレントな光景に、信繁も家康も、家康の隣にいるもの唖然。額から流血し、倒れた光秀を抱き留め、額を懐紙で拭う家康から優しさを感じます。ちなみにこの場面、信長がなぜキレたかというと、特に何もしていない光秀が「今回の武田攻め、私も頑張った甲斐がありました」と口にしたせいでした。「はあ? お前は何もしてねえだろ、ふざけんなよ」としかり飛ばしたとか。

作家の岩下尚史氏が大河で俳優デビュー「キモーッとか言われて気持ち悪がられると思う」 – SANSPO.COM
http://www.sanspo.com/geino/news/20151229/geo15122905000003-n1.html

この光秀役の岩下尚史氏、選ばれた理由が「キモいから、殴られてもうっとりとしていそうだから」だそうです。確かに桜が舞い散る中、妙にピンクがかった照明を浴びつつ、スローモーションになり、血を流しながらも恍惚とした目線を信長に向ける光秀は、確かに何とも言えない雰囲気がありました(しかもBGMは神々しい女声ボーカル入り)。すごい、ドMだ。ドMがここにおるぞ!

公式サイトの本能寺の変の解説に、様々な動機が想像できる事件だから、クリエイターたちが様々な解釈をとって面白い作品を作り出している、という旨の記載があります
http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/special/history/history09.html )。

今年はシンプルに光秀怨恨説を取るのかと思ったら、ひねりがありました。

「ヤンデレBL(武将ラブ)説」とでも名付けましょうか。殴られても、冷たくされてもやっぱり殿が好き、でもそんな殿が手に入らないならいっそ……みたいな。SNSもあやしい信長と光秀の関係(と、ついでに光秀をお姫様のように抱く家康)にざわついております。

アラフィフドM家臣と、ドSな上様コンビが贈る、ヤンデレ!?ラブコメディが2016年の大河スタートを飾る!

って感じ(元ネタ http://www.tbs.co.jp/damekoi/intro/ )。

これはすごい挑戦だな!

 

城も取られ、人質も送り、弱小勢力はつらいよ

昌幸は真田郷に戻ると結果報告。信幸は喜んでいますが、出浦昌相らは自領を織田勢が支配することに「まあ仕方ないかな」と複雑な顔。さらに昌幸が安土に人質を出すと言い出します。昌幸は母(とり)にしたいと言いますが、信繁は姉・松を強く推します。

国衆たちは、まぁ納得するしか……

国衆たちは、まぁ納得するしか……

信繁は松の一行に茂誠を紛れ込ませ、ほとぼりがさめるまで待たせるつもりでした。これにははじめこそ怒っていた松も、大喜びです。ナイス!

息子のいないところで昌幸は「城も取られる、人質も出す。弱小勢力って本当につらいよな」と悲哀を漂わせ語ります。息子には見せない、弱気な姿です。

松を人質に出すとなると、薫は娘に抱きついて「私のかわいい松に何てことを!」と泣き出します。その様子を見かねたとりが「松ではなく私が行きます」と提案。松と信繁は何としても松を出そうとするのですが、昌幸もやはり松が不憫と感じているようで、とりにしようとします。結果がわかった上での会話ですが、ちゃんとハラハラさせ、笑いも入れるのが巧みですね。信繁は姉の送迎役に立候補します。

昌幸は叔父の矢沢頼綱に、城の引き渡しを報告。ずっと手入れしてきた城を手放すことに、二人は無念を募らせます。強がりながらも寂しげな二人のやりとりから、城への切々たる思いが伝わってきます。この真田一族の沼田と岩櫃への思い入れが、今後重要なポイントとなります。

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん、いいっすよねー

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん

 

あっという間に散るなんて、清々しいほどの挑戦なり

真田家は信長に馬を献上し、松を人質として送り出します。信繁の目に映る安土の町は、明朝風や西洋風のインテリアが見られ、グラスでワインを飲む人々がくつろぎ、南蛮人らが市場を営む活気溢れる場所でした。あまりの壮麗さに喜ぶ信繁。こっそりと松の家来に紛れ込んだ茂誠は、にこにことうれしそうです。CGで再現された安土城にも、ロマンを感じます。

茂誠は松と自分のために、おそろいの匂い袋を作っています。妻の側にいえることが本当に嬉しいんですね。高木さんが毎回可愛らしいなあ。一歩間違えれば相当ウザキャラになりそうな松と茂誠夫妻ですが、いいカップルです。癒やし枠ですね。

こうして安土に落ち着いた信繁たち。しかしその頃、京都では……

「敵は本能寺にあり……敵は本能寺にあり……!」

えっ、今年の本能寺の変、早すぎ? 私は残り数分で「敵は本能寺にあり」と聞こえてきたとき、そうか、来週に信長が死ぬのかと思っておりました。ところが今週、信長は散ってしまいました。超高速本能寺の変!

登場した直後に本能寺の変!?

登場した直後に本能寺の変!?

こんな挑戦をするとは思ってもいませんでした。本能寺の変は視聴率の稼ぎどころですから、ここぞとばかりに力を入れることが多いんですよね。『軍師官兵衛』なんて本能寺の変スペシャル番組まであったくらい。今年はそれをやらないとは、清々しいほどの挑戦です。

でもかえってこういうの、私は求めていたんですよ。昨年の戊辰戦争カットと並べてはいけませんからね。

戦国ものが多い中、ほぼ隔年で信長は燃えてきました。そうするとやはり食傷気味、「本能寺の変疲れ」が出てくるんですよね。そうならないよう、くノ一に首を絞められる光秀とか、信長の亡霊が幼女のあとにくっついて行くとか、変なアレンジを入れてきて、それがどうにも滑ってきたわけです。

真田から見た本能寺の変は、これがベストバランスだと思います。もっとあの信長・信忠親子の姿は見たかったのですが、それでいいんです。あんな信長どうでもいいや、とならない今年のバランス感、いいですね。本能寺の変そのものより、そのことによって追い込まれる各人の「窮地」こそが見所です。

それにしても「チクショオオオオオ信長めえええ!」と予告で昌幸が絶叫していましたが、確かに私が昌幸でもそう叫びますね。せっかく頑張ったのに、全部リセットかよ!

そして、茂誠とぶつかっただけでいろいろチビっていそうな家康も予告に登場。もう予告の時点で顔がビビりまくっている家康。こんな家康で大丈夫でしょうか? 家康が途中で影武者に入れ替わっても違和感なさそうです。ハードモードの伊賀越え、やっぱりこういうのが見たかったので来週が楽しみです。

 

今週のMVP

織田信長&織田信忠父子、明智光秀

この三人から絞れない! 昌幸と家康もいいけど、まだまだ彼らは出番があるのでこの三人で。

織田信忠義役の玉置玲央さんは、公式サイトでも取り上げられました。
http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/special/subject/subject04.html

玉置さんは、スチル写真より動いているところを見た方が、その魅力が三割増しする印象です。動き、そして声が実によいんです。台詞は伸びやかでよく通り、抑揚もしっかりついていて、発声がクリアで本当に聞き取りやすいです。流石劇団で鍛えられただけのことはあります。細い髭、月代、装束や甲冑も似合っていますし、気品も激しさも感じさせます。「本能寺の変」といえば信長が散る事件ですが、今年は「あんなに英邁で、将来を期待させた信忠まで散ってしまったのか!」と、損失が例年になくこたえます。

吉田鋼太郎さんを信長キャスティングしたのは、シェイクスピアの演劇をイメージしてとのことです。戦国にシェイクスピアとはミスマッチなようですが、実は真田信繁とシェイクスピアは三歳差。国は違うとはいえ、ほぼ同時期を生きた人です。シェイクスピアは、英国の戦乱状態が続いた頃を舞台とした歴史劇を数多く残しています。

制作側ではリア王のイメージとも書かれていましたが、本作の信長は『ジュリアス・シーザー』のシーザーのような位置にいます。この劇で描かれるのは、カエサル(シーザーはカエサルの英語読み)という巨星が突如失われたあとに生じた、権力の空白と混沌です。本作もまさに、混沌の渦へと向かってゆきます。少ない出番で強大な権力を表現しきった吉田さん、素晴らしい!

 

安土城の演出や安土城のCGを担当されたスタッフの皆様もお疲れ様でした。少しの間で、安土の見る者の度肝を抜くような先進性や伝わって来ました。

信長とその周辺が巨大に描かれたからこそ、作品にメリハリが付きました。もっと見たかったと思わせる、そのバランスもまた秀逸です。

そして光秀。恍惚被虐のマゾヒスト! 上様が好き過ぎてヤンデレ化した光秀による本能寺の悲恋、そんな際どい設定に説得力を持たせた岩下さん、これが俳優デビューとは思えない熱演でした。

昨年私は、美男美女を集めてきても既に別の番組で人気がある新鮮みのない顔ぶればかりで、しかも適材適所で使っている感覚が乏しく、キャスティングに面白みがないと文句を言いました。今年は玉置さんといい、高木渉さんといい、本作が契機になってブレイクしそうな役者さんが既におります。平岳大さんも演技評価が上がっているようで、今年は昨年とはまったく違うんだぞ、ということを見ていて感じております。

 

総評

弁舌による昌幸と家康、そして信忠のやりとりは、まさに「頭脳戦」でした。結果が分かりきっているのに、これはもう駄目なんじゃないかと思ってしまったほど。歴史ものは結果がわかっているのですが、なぜその結果になるのか、どう切り抜けるのか、その過程でハラハラさせれば十分にスリリングになります。こういう会話劇を巧みに描けるのは、流石三谷さんといったところでしょうか。脚本家の技量が光りました。

室内でおっさんが喋っているだけですと、どうしても単調に思えます。そこは照明はじめ演出も頑張っており、本作の織田家のテーマカラーである黄色をいかした絵がとてもよかったです。黄色い光が、何故か見ている側を不安にさせるんですよね。黄色は警告の色でもあるんだな、と再認識しました。

そうした最高の舞台で、役者さんが火花を散らす演技合戦。まさにこれは「戦」でした。

そして今週タイトルの「挑戦」は、ある意味ドラマとしての挑戦でした。あの本能寺の変、こういうのもあるんだ、とハッとしました。昨今の陰謀説には個人的にちょっと疲れていたので、こういう原点回帰がむしろ見たかった! 真田から見たから高速で終わるというのも新鮮でした。

 

おまけ考察タイム

「本作の登場人物は現代人と同じ思考回路なのか?」(長く、公式サイトの歴史解説でも十分なので、時間がある方のみお読みください)

本作への批判で「登場人物の思考回路や行動が現代人そのままだ!」とありましたが、それだけは違うと言いたいのです。

二話で昌幸が、上杉につくか北条につくか、こよりで決めると言い出した場面がありましたね。あれなんか、まさに戦国の考え方です。

一応ですが、ここで言う上杉は遠藤憲一さん演ずる景勝さんです

一応ですが、ここで言う上杉は遠藤憲一さん演ずる景勝さんです

 

あの場面がおもしろいのは、

中世人の昌幸:こうなったら神の声をくじで聞け! 神意は尊い

近世人の昌幸:いや、神意とかいくらなんでもおかしいだろ。今更それはない

と、彼の中で中世と近世がせめぎあっているところとも解釈できますね。戦国時代というのは中世から近世への過渡期で、神様だから問答無用で尊いという、そんな考えは合理主義にとってかわられつつあります。そのグラデーションの過程にある戦国の人としての価値観が、あの場面にあらわれていました。 そういう小難しいこと抜きに面白い場面ですけれども。

三週でも戦国の理論で動いています。現代人は、隣町の人が境界線超えて木を伐採しているからって、石ぶつけて追い払ったりしないじゃないですか。よし、あいつらめ、と物置から槍出して来ないじゃないですか。交番や役所に通報するではないですか。描写は軽く見えても、生き延びるためなら何をしてもいいと割り切っているあたり、本作の登場人物は戦国の価値観で動いていると思います。

戦国の価値観というとよくある誤解が「無法地帯」の中で生きている、というものです。例えば松やきりのような若い娘が昼間っから歩いていて誘拐されないの? 内戦状態のシリアみたいなものじゃないの? というような誤解です。

結論から言いますと、本作に出てくる真田周辺の女性は、真田の領地にいる限り、むしろ現代日本の女性より安全かもしれません。松や真田家重臣の娘であるきりが道をふらふら歩いているからと、どこかの悪い奴が襲うということは、まずないでしょう。領主の関係者を傷つけるということは、領主領民全員に喧嘩をふっかけるに等しい行為であり、自分自身だけではなく家族にまで危険が及びます。

また戦国時代の女性が自由に出歩く様子は当時の宣教師によっても驚きとともに記録されていました。屋外では武家の男女は会話できない『八重の桜』の八重や、表を出歩くなど考えられなかった史実の杉文より、松やきりは行動の自由度は高かったでしょう(去年の『花燃ゆ』では屋外で文が義兄や松下村塾生とイチャコラしていましたが、あれは時代考証を丸無視していたからです)。

もちろん真田家の領土から出てしまったら、まったく別です。新府から岩櫃への道のりで、何度か松は拉致されそうになっていました。妾にして子を産ませる、遊郭に売り払うなどでき、人身売買市場では若い女性の方がより高値となるため、真っ先に狙われます。

先週の森林伐採をめぐる小競り合いでも、暴力はふるっても命のやり取りまでは行きません。腕っ節で解決できる時代だからこそ、エスカレートして死人まで出たら相手も仇を討つまで止まらなくなります。何をするのも自由だぜ、ヒャッハー! という世界ではありません。戦国時代の人間は「無法地帯」「無秩序」「混沌」の中で生きているのではなく、「現代人とは違う彼らの秩序」の中で生きているのです。

ちなみに現代人まんまと不評のきりですが(その狙いについては公式サイトに答えがあります)、室賀との小競り合いの場面で「喧嘩はやめてよ~」とか言わなかったので、個人的にはセーフ。ルールを破った隣村の奴を殴るという点で、きりと梅はまだ許容範囲です。見た目や仕草はしっとりとしたおしとやかであっても「いくさは嫌でございます!」「なぜ人は争わねばならいあのでしょうか……」とかなんとか、上から目線現代人視点で平和平穏を説くヒロインの方が個人的には苦手です。

同じく不評の松ですが史実でも彼女は、大坂方についた弟・信繁とも文のやり取りをしていた人です。リスクはあっても、どうしても愛する人とつながっていたい、そういうキャラクターにするつもりかなとも思いました。また、きりや松は行動をたしなめる家族がいるので、去年の暴走ヒロインより随分マシに感じます。

ちなみに時代背景については、公式サイトがかなり詳しく書いているのでそちらもご覧ください。今年の時代解説は本当に詳しくて、読んでいるだけで本当に勉強になります。軽いだの何だの言われていますが、時代考証の先生ががっちりと手綱を執って、作品を作っているのが本当によくわかります。だから昨年のように本当につっこめない。現代的でヤンキーやツンデレしていても、根っこの部分に戦国らしさがあるんですよね。視聴者の苛立ちを集める薫にせよきりにせよ、「戦国時代の困ったウザい女」止まりなんですよね。行動の基本に戦国の価値観があるので、多少困ったことをしても許容範囲にとどまっている印象です。

結論:本作の登場人物は、軽そうに見えて戦国していますよ。

第5回「窮地」でも笑ってはいけないクス

こんばんは、武者です。先週やってしまった本能寺の夜に月があった件ですが、再放送ではカットになったそうです。

それにしてもすごい本能寺でしたね。NHK側は何故か今週のテレビラテ欄に「本能寺の変」と入れて来ましたが、先週終わっているんじゃありませんか。明智M秀という呼び名や、「今までは山崎で散った光秀可哀相だったけど、今年は上様を自分だけのものに出来てハッピーエンドじゃない……?」とヤンデレの本懐を称える意見などぼちぼち見られました。

いくらなんでも「本能寺の変」が短いのではないか、という視聴者向けにNHKが補う動画を作っていました。

大河ドラマ「真田丸」~『本能寺の変♪』スペシャルムービー(*編集部注、現在非公開です)

「信長が、死んだ! 日本中が大さわぎ!」

今年のNHK……何かこう、違うな。『歴史にドキリ!』や『タイムスクープハンター』ともコラボしないかな。なんて。こういうことをやればやるほど、「お前は何をしているのかわかっておるのかあ!」とブチ切れながらNHKの頭を欄干にボコボコぶつけたくなる人も増えるんでしょうし、視聴率も伸びないとは思うんですけれども、個人的にはこういうノリ嫌いじゃないんで、このまま突っ走ってください、と。

いや。今年、我ながら甘いと思います。昨年のせいでいろいろ勘が狂っているのかな、というのは思います。それはもう、織田信長の森長可に対する対応くらい甘いんですけれども。実のところ、テレビの前で「おのれやりおったな!」と怒る気持ちはあるんです。でもそれを上回る「だがそれがいい!」という気持ちがあるんですよね。作中の真田昌幸自作自演にマジレスかっこわるいみたいに、ここで怒るのも負けかな、みたいな感じもあるし。

ひどいとは思いますよ。本作が大嫌いという気持ちもすごくわかります。だってひどいじゃないですか。ヤンデレ光秀せいで本能寺の変が起こって、日本中が大騒ぎって。でもまあいいよ! 今年はこうなんだよ! って自己催眠かけていますからね。

  • 絶好調!大河ドラマ『真田丸』真田・徳川家の子孫が明かす「謎と真実」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/47582

ニュース関連ではこれが最高でした。

今週のバッドニュースはこちら。

・早くも暗雲立ち込める大河ドラマ「真田丸」 "NHKのドン”が異例の対応!? http://biz-journal.jp/2016/02/post_13609.html

頼むからあなたは大河にさわらないでくれ、としか。視聴率なんて気にしないで頑張って欲しいと言いたいところですが、低視聴率を受けて変なテコ入れがされるとかなわないので、なんとか踏ん張って欲しいところです。

 

ひさしぶりの主人公補正なしが心地よし

さて今週。本能寺の変の余燼からスタート。玉置さんの信忠の最期を見られたのは、嬉しい予想外でした。信長の切腹より信忠を優先するのは、独特ですね。この信忠さえ生きていれば……。

安土では、信繁が異変の気配を嗅ぎ取り京都まで向かおうとします。主人公でも先がまったく読めず、変事においては右往左往する様子が、主人公補正がなくてよいです。信繁は今日、安土から京都に行って戻る展開となるわけですが、メインではありません。

登場した直後に本能寺の変!?

登場した直後に本能寺の変!?

 

絶対に笑ってはいけない伊賀越え

さてその頃、旅行中の徳川家康は本多忠勝より凶報を聞きました。

いよいよ今夜のメインイベント! 「絶対に笑ってはいけない伊賀越え」です。一週間、これが楽しみで楽しみで仕方有りませんでした。途中で家康、影武者に入れ替わるんじゃないかと思うくらい、あの家康だと無理そうで。まあ、脇にはいざという時変身できそうな忠勝がいるわけですけれども。

家康チームの作戦会議。絵図を前にルートを決めようとする一行ですが、どこへ向かっても危険だと迷いに迷い出します。そのうち家康はカーッとなって「逃げ道なんてない! もうこのまま京都に戻って上様を救うぞ!」とか言い出します。

「もし生きていたら上様に怒られる! 怖い!」

と口走る家康に「光秀が上様を討ち漏らすはずがない」と、忠勝が指摘。家康はここで伊賀ルートならいけるんじゃないかと言い出します。意表はついているけど、山道で危ないのではと石川数正と穴山梅雪は反論。忠勝と家康がここを押し切って、伊賀越えが決まります。

一方、真田の郷ではまだ情報が伝達していないので平和な雰囲気。家臣の高梨内記は、年頃になったきりの行く末を考え始めたようです。そのきりは、堀田家に入り浸っておやつをぱくついています。作兵衛は妹の梅に「真田源次郎様、おまえに気があるみたいだよ。近づいてみなよ」と言います。梅は「兄はあんなこと言うけど、私ごときが好かれているなんて思えないし」ときりに言います。きりは「謙遜と嫌味が紙一重なんだよ!」とツッコミ。不器用ヒロインきりは、どうやら恋のライバルを手伝ってしまう人の良さがあるようです。

内記は、きりに真田家に奉公するようにと持ちかけます。奉公しているうちに信繁とよい雰囲気になれば、と狙う内記。今日の休憩タイムはこのあたりですね。

家康一行は絶賛伊賀越え中。そんな中、穴山梅雪がそわそわし出します。

sanadamaru-anayamabaisetu

「ついて行きたいのは山々なんですけど、私腰痛持ちで。別行動した方がよくないですかね?」

そう言う梅雪の手を、家康はしっかと握りしめ送り出します。家康を見送ると、梅雪は「おまえと心中なんてやってられんわ」とつぶやきます。「少しも痛くないわ♪」というふうに、杖まで肩にかついでしまう梅雪。ありのままに裏切る梅雪なのでした。そこへ重なる、梅雪は落ち武者狩りにあって死亡というナレーション。アナ雪こと梅雪さん、冥土の彼方へとレリゴーしました。

 

佐助よりは役立ちそうな服部半蔵と思いきや

家康一行が休憩をしていると、ある男が目の前に。伊賀育ちの服部半蔵正成です。心強いガイドだ、これでもう安心だ、とほっとする家康です。そんなに楽に行くかな?

真田郷ではついに、昌幸と信幸の元に本能寺の報が届きます。さらに明智の使者を迎えた昌幸は、「今夜はゆっくり温泉に入ってね」と持ちかけます。

「いえ、これから他の国衆にも行きますんで」

と使者、ここでいらんことを言います。

昌幸はなおも、

「えっ、俺の風呂が入れないの? 十日でもゆっくりしていってよ」

と強引勧誘。十日どころか永遠に風呂に沈められそうな雰囲気ですが……使者の持っていた国衆への手紙は全て没収されました。

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

父ちゃん、やっぱりカッコイイ!

内記は「今こそチャンス、織田勢に取られた城を取り戻しましょう!」と持ちかけますが、昌幸は乗りません。信幸と二人きりになった昌幸は、「チキショーーーー! せっかく頭下げて馬まで贈ったのに、なんで死んでしまうのだ、信長めええええ」とガチ切れ。

信幸は「信長が死んでも織田を敵に回してはいけませんよ」と言います。昌幸は各地の大名が立ち上がるぞ、織田が持ちこたえられるかと反論。

「じゃあどうしたいんですか、本心をお聞かせください」と迫る信幸。

「本心? まったくわからん! 俺どうすればいいんだよ、教えてくれよ、源三郎!」

と、昌幸ソウルフルに絶叫。どうするんだ、これ。信幸もこれには困ります。ここで彼も気づいたでしょう。

「親父、なんかすごく深い考えがあるようで、実は何も考えていなくてハッタリかましているだけじゃないの?」

ということに。さてこのことは彼にどんな影響を与えるのでしょうか。

sanadamaru-nobuyuki

家康一行は落ち武者狩りに遭遇。家康、ガイドの半蔵を信じたのに、困惑します。

「半蔵、村の連中にはちゃんと話つけてたって言ったよね!?」

「だいたいは!」

「だいたいって……」

「全部つけたとは言っていません。ここは押し切りましょう!」

は、半蔵ォォォ! やむなく家康、すごい顔芸で強行突破です。もうだめ、腹筋が限界!!

ちょっと雑なハンゾーさん

ちょっと雑な性格で、でも憎めないハンゾーさん

昌幸はもうこれはどうしたらわからんね、と信幸の前で心情を吐露。

「乱世マジ荒波。この海どうやれば渡りきれるんだよ。もうこうなったら、俺もワイルドサーファーとして生き延びるしかねえな!」

本作のテーマを織り込みつつ、俺は負けない宣言をする昌幸でした。本能寺の変のせいで、皆荒波をかぶっているんですね。信幸は「織田に従ったなら織田につけばいいのに」と納得いかない顔です。結果から考えると、織田の後継者になる秀吉を頼るのが成功への近道であるわけで、実はシンプルな思考回路の信幸が、正解を出している気がするんですよね。昌幸は実のところ、策士策に溺れている部分があるのです。

夜、昌幸の部屋に薫がうきうきした顔でやって来ます。

「信長死亡確認、よかった♪ ああいう神仏を敬わない人には天罰が当たるんですよね。おかげで松もお役御免で帰って来るでしょうし」

「松か、まずいぞ」

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん、いいっすよねー

マイペースでドラマに違った空気をもたらしてくれる松姉ちゃん、いいっすよねー

妻の言葉に反応する昌幸。

「明智はこのまま織田の人質を取るはず。松を明智に取られたら明智に味方する羽目になるぞ」

昌幸は佐助を呼び出し、何か指示を出します。昌幸はあまりのことに頭が煮詰まって、娘のことすら忘れていたようです。

信繁と頼幸は京都で信長の死を確認し、安土に向かうことにします。

ガイドの半蔵は、家康探検隊一行をどう見ても崖としか思えない道に案内します。ここが一番の近道だからついて来て下さい、とひょいひょいおりてゆく半蔵。あとをついてゆく家臣。家康も迷ったあと、叫んで走り出します。もうこの家康、今回はずっと弱音だけではなく、いろいろ漏れていそうです。

昌幸を問い詰めるのは後の伏線か……

 

名将と思ったらばくち打ちと見破られ

小県の国衆は昌幸に激怒。室賀正武は「お前みたいな当てにならないばくち打ちについて、行けるかあ!」と叫びます。正論出た。ついでに今日も「黙れ、小童ぁ!」と怒鳴られる信幸。もしかして、これが室賀の名物になるんでしょうか。もうこれ、個人的に本当に好きなんですが。メール着信音にしたいくらいです。

昌幸は「俺は織田を見限る、これからは上杉につく。あいつらはなんだかんだで小県の価値を知っているからな。織田は上杉に追い払ってもらう」と宣言します。正武は「やってられるかあ!」と決別宣言します。無理もないですね。

昌幸の弟・信尹は上杉家に支援を頼みに向かっておりました。上杉景勝、そして先週家康のブラフ要員にされた直江兼続もいます。

真田丸直江兼続霜月けい

景勝は昌幸らの臣従は認めるものの、織田勢を追い払う件は断ります。弱っているような者に戦いを挑むのは上杉の義に反する、とかなんとか。義とか今更何眠たいことぬかしとんねん、と言いたいところですが、この言葉は額面通りに受け取れるのでしょうか。

昌幸は「上杉の義」の本音を見抜いています。織田に追い詰められた上杉は、要の魚津城を失い、さらには家臣の反乱まで起こるなど、かなり苦しい状況で、昌幸の支援などできないのでした。ともかく、ここで昌幸のプランは失敗。織田を完全に切るべきか迷っていると、滝川一益から呼び出されるのでした。

真田丸上杉景勝霜月けい

家康はやっとゴール間近。楽しそうにおにぎりを食べて盛り上がる一行。大河でおにぎり……うっ、頭が。ここで家康と忠勝が、互いのほっぺについた米粒をとりあって口に運ぶのですが、先週の信長と光秀の場面に続いて困惑が広がります。何故おっさん同士がイチャイチャするんだよお! それにしてもおっさん同士のイチャイチャでやけにSNS盛り上がっていますが。某会長はこの反応を見て、イケメン大河よりこういうおっさんのイチャイチャが受けると学んでいただきたいですね(というより、おそらく各個のキャラ立ちに差が)。

しかしここで非情のガイド半蔵、先には明智の軍勢がいるから「押し通りましょう!」と言います。現地に詳しいガイドかと思ったけど、強行突破ばっかりじゃねーか!! 家康、またも変顔絶叫で猛ダッシュ。転んでも負けずに頑張る家康、伊賀越え、つらいね!

 

なにも知らない滝川一益 逃げキャラ定着の家康

昌幸を呼び出した一益は、どうやら信長の死を知らないようでした。一益は上様が天下を統一したら戦はもうなくなる、ゆっくり温泉にでも行きたいとニコニコ語ります。一益さん、なんだかよい人ぽいですね。それにしても何故、一益のもとには情報が届かないのでしょうか。山の中で使者が討たれてしまったのかもしれません。この一益は真相を知らないという状況が、なかなかスリリングな伏線になっています。「新しき世」だの「戦のない世」だの、このあたりはもう陳腐な大河のテンプレと化していて、誰かが言うと「はいはい……」とツッコミたくなるのですが、ここでは説得力がありました。本当に一益は信じていて、だからこそ信長に一生懸命ついていったんだろうな、と思えたのです。「上杉の義」とその種明かしでも感じたことですが、このあたり、三谷さんの力がものすごく出ているのでは。そして一益のこうした一連の言葉から、信長が恐ろしいだけではなく別の面があり、日本に新たな時代を生み出すことができたのだと表現しているわけで。本能寺の変がいかに大きな損失であったか、そのことを直接的にではなく、語っているわけです。

それにしてもこの一益の、つきものがおちたようなさわやか笑顔。何も知らない、このあと衝撃の事実が伝わるのかと思うと切なくなってくるものがあります。滝川一益はどちらかと言えば地味な武将の気がしますが、彼も人気が出そうです。知ったあとの一益の動揺が今から怖いです。

滝川一益・昌幸の影響力を利用として少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

滝川一益・昌幸の影響力を利用として少しおもねるような段田安則さんの雰囲気がいいっすよね

信繁らは安土にようやく戻ります。松は既に織田勢に連れ去られ、安土城内にいるそうです。混乱しているから結構すんなり入れるかも、と繁誠。本当にこのあとすんなり入れました。混乱しているからね、仕方ないね! そして信繁、あっさりと松に再会。松は他の人質も連れて帰りたいと主張。信繁は困りますが、繁誠も「ああ言っているから!」と松の肩を持ったため連れて行くことに。流石にこれだけ人質がいるとすんなり門通過作戦は使えないようで、抜け穴を使います。信繁は狸が不自然に井戸から出入りしていることを見ており、おかしいと感じていたのでした。このあたりあっさりしとしていると感じるほどテンポが速いです。今日の見せ場は伊賀越えですからね。

そして家康はついに阿茶局の膝にゴォォォォル! ボロボロになってよろよろとしております。

「死ぬかと思った〜〜……」

とつぶやく家康。確かに見ているこっちもこいつ死ぬかな、と思いました。よかったな、家康!

抜け穴ダンジョンを抜けた信繁たちは、これから真田へ向かうようです。アフター本能寺、ひとまず終了でしょうか。来週はいよいよ秀吉も登場します。

今週のMVP: 徳川家康はもう殿堂入り。家康の逃げリアクションは完成しています。この調子で最終回まで逃げ惑うかと思うと笑いが止まりません。

ハマカーンの浜谷健司さんによる服部半蔵も。結局力押ししかないすがすがしさに笑いました。彼も本業俳優ではありませんが、本当に今年はゲストの使い方がうまいです。頼りになるのか、ならないんだか、ちょっとわからない味わいがありました。

総評:

先週が知恵対知恵の戦いだと思っていたら、今週は一気にギャグでフルスロットル来ました。なんだあの伊賀越えは! 最高じゃないか! 45分間、視聴者を引き込むのにちょうどいいギャグっぷりだと思います。史実では二百名程度犠牲になっていますが、本作はこれでいいんじゃないですかね。これでも家康絶品の逃げキャラっぷりが確立したので、これだけでも今年後半までいけるんじゃないでしょうか(余計な介入がなければ、ですが)。

じゃあギャグだけなのかと言えばそうでもなく、昌幸パートでは戦国の策略と近隣事情が盛り込まれていました。明智の使者を容赦なく捕まえる黒さ、室賀正武が的確につっこむばくち打ちっぷり。「上杉の義」も出てきましたが、昌幸からすぐに家が苦しいから誤魔化しているだけだ、と喝破されていました。史実における上杉家の動きも、このあたりは特に義でも愛でもありません。アフター本能寺としてよくまとまっていました。昌幸が智恵者のようで実はギャンブラー過ぎていかんのでは、と信幸目線で見せたことも今後の伏線になりそうです。

そして今まで名前すら出てこなかった秀吉が、いよいよ満面の笑みとともに出てきます。ここまで触れなかったぶん、予想外の男がいきなり天下のトップに踊り出た感が出ています。鬼武蔵こと森長可も出てくるそうです。秀吉は言うまでもなく、一部である意味人気急上昇の鬼武蔵、とても気になるところです。「マッド武蔵 怒りの信濃ロード」になってしまうのでしょうか。早く来週が見たい!!

スポンサーリンク

続きは次ページへ

 

次のページへ >





1位長篠の戦い 注目すべきは…


わろてんか伊能栞
(高橋一生さん)のモデル
小林一三とは?


2位 西郷隆盛49年の生涯!


3位 史実の真田幸村とは?


4位 最上義光 名将の証明


5位 ホントは熱い!徳川家康


6位 意外と優しい!? 織田信長さん


7位 直虎の後を継ぐ井伊直政とは?


8位 毛利元就の中国制覇物語


9位 伊達政宗さんは史実も最高!


10位 最期は切ない豊臣秀吉


注目! 史実の井伊直虎とは?





井伊家 井伊直虎 井伊直政 小野政次 龍雲丸
織田家 織田信長 濃姫 織田信忠 織田信雄 織田信孝 三法師 平手政秀
徳川家 徳川家康 結城秀康 徳川秀忠 松平信康 酒井忠次 榊原康政 本多正信 水野勝成
豊臣家 豊臣秀吉 豊臣秀長 豊臣秀次 福島正則 加藤清正 豊臣秀頼
伊達家 伊達政宗 伊達成実 義姫
最上家 最上義光 鮭延秀綱 山形城 大宝寺義氏 山野辺義忠
毛利家 毛利元就 毛利隆元 吉川元春 小早川隆景 毛利秀元 陶晴賢
島津家 島津義弘 島津の退き口
真田家 真田幸村 真田信之
立花&高橋家 立花宗茂 立花道雪 立花誾千代 吉弘統幸
浅井・朝倉家 朝倉宗滴 姉川の戦い 金ヶ崎の退き口
前田家 まつ 豪姫 前田利長 前田利常
黒田家 官兵衛が長政を叱責の真相
北条家 河越夜戦 小田原征伐 のぼうの城の真実
細川家
仙石家
長宗我部家
武田・上杉家
諸家 足利義輝
剣豪・武術・忍者 宮本武蔵
キリシタン ルイス・フロイス
合戦 桶狭間の戦い 長篠の戦い 手取川の戦い 厳島の戦い 月山冨田城の戦い

◆薩摩藩 西郷隆盛 島津斉彬 大久保利通 小松帯刀 西郷従道
◆長州藩 木戸孝允 木戸松子 高杉晋作 山県有朋


◆古代 安倍晴明
◆江戸 葛飾北斎
◆世界史 クレオパトラ ルイ16世 チェ・ゲバラ


わろてんか あらすじ&感想レビュー

-真田丸レビュー
-

Copyright© BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン) , 2017 AllRights Reserved.