真田丸レビュー

『真田丸』全50話の感想レビュー38万字を一挙公開!

更新日:

 

第6話「迷走」 ぐちゃぐちゃで面白く、チャレンジブル

こんばんは、武者です。先週の視聴率がやや巻き返し、ぼちぼち出てきた叩き記事もおさまるのではないかと思います。視聴率よりクオリティが大事ですが、落ちると叩きが来ますからね。

そう思っていたらこんなニュースが。

[真田丸]BSで“異例”の高視聴率 | マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2016/02/13/038/

本作は総合テレビでの本放送の前にBSで放映しているのですが、楽しみ過ぎてこの時間帯に見る層が増えているとのこと。実はこのBS+本放送で視聴率推移を見ると、じりじりと増加していて前回が最高値となります。

実は録画率も高いのです。

[月間トルネ番付]首位「真田丸」 2位「いつ恋」 1月ドラマ編 | マイナビニュース http://news.mynavi.jp/news/2016/02/05/569/

そんなわけで総合的にかなり見られている、民放もあわせてこれだけ数字が取れるのは『あさが来た』と本作くらいなのですが、某会長はおわかりでしょうか。

【真田丸】題材にこめられた「今の視聴者のニーズ」とは 制作統括・屋敷陽太郎氏が語る

http://www.huffingtonpost.jp/2016/02/06/sanadamaru-production_n_9178676.html

この記事を見ると、スタッフも地に足を付けてしっかり取り組んでいるのがわかります。どうかこの好調のまま突き進んで欲しいところです。

 

目次

目次

松がイキナリ琵琶湖へ身投げ!?

今週は松を連れた信繁一行が、安土を脱出し明智の軍勢から逃げ惑う場面からスタート。
先週、人質を多数連れ歩くと危険と危惧されていましたが、案の定あっさりと追いつかれてしまいます。小屋に潜んでいた一行を追い詰める明智勢。女を見ると兵士たちはハイテンションになり、やたらと怖いです。
松は女たちに散らばれと指示をし、一人逃れ走るうちに断崖絶壁まで追い詰められてしまいます。佐助によって一時は敵から逃れるものの、松はついに追い詰められ……弟たちの目の前で、崖から落ちてしまう松!

まさかイキナリ琵琶湖に飛び込むとは……!?

まさかイキナリ琵琶湖に飛び込むとは……!?

信繁は崖の下を探すものの、松は見つかりません。夫の小山田茂誠は松の着物を握りしめ、すすり泣きます。真田の郷には居場所がない、松の側にいたい、ここに残ると茂誠は言います。生きていてこそと信繁は説得しますが、果たして彼はどうなるのでしょうか。

昌幸の元には滝川一益から呼び出しがかかりました。行かなければまずい。しかし断るわけにもいかない昌幸は、信幸の意見を求めます。シンプルに信長の仇討ちをするべきだと言う信幸です。

「なぜもっとそれを早く言わん?」

と言う昌幸に「前から言ってるし!」と突っ込む信幸。こんな父親では疲れるだろうなあ。でも、一応意見を聞いてくれるところまでは進歩しましたね。

一益から信長の死を聞いて、臭い芝居で驚く昌幸。当然見抜かれています。一益は信濃の奥まで入り込んでいるので、秀吉のようにフットワーク軽く光秀の元へ向かうことはできません。

昌幸は、

「北条のことなら大丈夫! 信濃の国衆は抑えるから! 真田に任せてくださいね」

と提案しますが、

「その真田のことが一番信用できん。人質を出せ」

と一益に返されてしまいます。これには昌幸、「アハハハハハ」と笑って誤魔化し、受け入れるしかないという。確かに昌幸が一番信用できないと、視聴者も納得でしょう。仕方ありません。ここで昌幸は、一益に賭けると言い切りますが、これももちろん信用はできません。

 

短時間でも迫力満点の鬼武蔵こと森長可(ながよし)さんでした

この頃、やはり信濃の奥にまで入り込んだ織田家臣・森長可(父は森可成で、弟に森蘭丸がいる)も急ぎ撤退していました。姉を失い失意の信繁は、真田の郷を目指しています。その信繁が休憩していると、森の家紋を掲げた一行が。

鬼武蔵こと森長可と出くわしてしまいました。白刃を突きつけられあわやと思った信繁ですが、相手は出浦昌相。そこへ長可がやって来ます。

信繁の背後から寄ってきたのは手浦でした

信繁の背後から寄ってきたのは手浦でした

「おまえら信濃の国衆ども。俺はおまえらを殺る気はなかったけどな、調子こいて邪魔するなら、一匹ずつ捕まえてぶち殺すぞ、ああ?」(意訳)

と言います……出番は少ないけど、怖い。

信繁が昌相に何をしているのか聞き出すと、信用を得ることこそ大事だと言います。信用を武器に世を渡る、信用を失った時が「素ッ破」の最期だと。プロフェッショナルですね、格好よいですね。

昌幸は国衆会議で「今度は滝川につくぞ」と宣言。

室賀正武は、

「話コロコロ変えるなよ! この朝令暮改野郎がよぉ!」

と、さらには恒例の「黙れ小童ぁ!」つきで真田父子を一喝。

今週も来ました、室賀の出番

今週も来ました、室賀の出番

昌幸はこれに「朝令暮改で何が悪い!」と開き直ります。悪いよ! 正武は、信玄の孫にあたる北条氏直に従うべきだと皆の意見を一瞬にしてまとめてしまいます。正武の正は、「正論」の正の気が。昌幸も、正武の提案を場をおさめるために承諾するのですが、信幸は「はぁ!? 滝川様にどう説明すんの!? 北条が攻めたらどうする!?」と全力でツッコミ。

対北条対策は、昌幸の弟・信尹(のぶただ)が担当。当主・北条氏直と、実権を握る父・氏政は、信長の死を好機到来と見ていました。その北条に信尹は織田方を攻めないで欲しいと頼むわけです。

クククク、ホッホッホッと笑う北条氏政がそんな約束をするとは到底思えませんが、とりあえず上野・信濃に攻め込まないという書状を取り付けることができました。案の定、氏政は「戦国の世に確実な約束なんかないじゃん! 騙すのも兵法だぞ、レッツ戦支度!」と超ノリノリで恐ろしいのですが。この氏政、汁かけ飯だけの男ではありませんぞ。久々に怖い北条、出ました。

今度の北条は一味違う!

今度の北条は一味違う!

 

「自分が織田の家臣だと思ったことなんてないしぃ」

伊賀コントで先週視聴者を湧かせたコント集団三河武士代表・徳川家康は阿茶局と本多正信によるマッサージとお灸を受けています。そこへ本多忠勝が明智討伐をしようと進言しますが、家康は冷たい態度です。

「自分が織田の家臣だと思ったことなんてないしぃ」

とヘラヘラする家康に、阿茶局と忠勝は呆然。

先週はニコニコおにぎり、ご飯粒を取り合った仲なのに。滝川一益の援軍要請もダラダラ引き伸ばしてサボタージュしちゃお♪ と家康と正信は意気投合、忠勝はがっかりします。この忠勝、信幸とは気が合いそうですよね。

今週も脱力感満載です、家康です……

今週も脱力感満載です、家康です……

一方、忠勝は忠勝で気苦労が……

一方、忠勝は忠勝で気苦労が……

信繁は松のことを父と兄に報告。覚悟はしていた、これもさだめだと語る昌幸と信幸ですが、やつれた様子の薫は泣き崩れます。良妻賢母像からは遠い薫ですが、現代人に近い視線と親子の情を示すという意味があるのではないでしょうか。こういう役回りの人がいてもよいと言うか、阿茶局、きり、松らの女性キャラも、そういう役所を担っている気がします。

失意の信繁を励ます人はいるのでしょうか。兄・信幸は今北条が攻めてきたら真田は終わりだと現状を語ります。廊下で偶然出くわしたきりは、相変わらず陽気な様子。ここで明るいだけではないのがきりです。松のことは仕方ないと言うきりに信繁が反発すると「本当は【仕方ない】と言って欲しいのでしょう?」と傷口に塩を塗り込むような発言をします。何故この娘は、好きな相手に嫌なことを言ってしまうのか。彼女はひねくれていて鋭い発言によって、信繁の甘えや弱さを暴く役割を担っています。

信繁が次に向かった先は、きりとは正反対で癒やしを与えてくれる思い人・梅の元でした。このあたりには、信繁の弱さと狡さ(と、きりなら言うでしょう)が潜んでいます。梅ならきっと弱音を受け止めてくれる、きりのようにきついことを言わず、許すような言葉をかけてくれる。そんな打算があるのです。

ここでの信繁は、松を救えなかったことへの悔恨だけではなく、兄より自分は優れていると思っていたという、思い上がりについても告白します。その思い上がりも、無様な失敗で消えてしまった、自分には才がない、真田の家にいる意味はないと語る信繁。幼い頃から聡明であった信繁、人生初の大きな挫折でしょうか。

梅が黙っていると、何か言って欲しいと信繁は言います。梅は賢いのしょう、信繁の悔恨については触れず、無事の帰還を喜び、真田の郷を守って欲しいと言います。やはり癒やし系女子として、高ポテンシャルを持つ梅なのでした。

このきりと梅、短い出番ながら対称的です。癒やし系で理想に近い女性は梅なのでしょうが、本質をズバリと見抜き突くのはきりの役割です。もし今後信繁が人生の岐路に立った時、背中を押すのはきりの方かもしれません。きりは錐という含みのある名前なのでしょうか。

梅には甘えてばっかりです

梅には甘えてばっかりです

 

昌幸NOTEに記された大名は滅びる運命!?

そのころ、茂吉という農民の家に、謎の女性が保護されていました。呆然とした様子で匂い袋を握りしめるその女性はなんと松。しかし彼女はどうやら、記憶を喪失しているようです。彼女の次の出番は五月だとか。

昌幸はとりに、滝川の元へ人質に向かうよう頼みます。薫はもう道具とされるのは御免だ、次は自分の番だと怒ります。とりは薫を制し、喜んで参ると承諾します。とりの言動が戦国女性としては正解ですが、薫の気持ちもわからなくはありません。とりも息子に「亡くなるのは真田の郷にさせてくださいね」と、釘を刺します。

きりはとりのお供として沼田城まで向かうこととなります。信繁に別れを告げるべく、堀田家に向かったきり。そこで目にしたのは、仲むつまじい信繁と梅でした。何も言えず二人を見守るしかない、不器用ヒロインのきりでした。

6月13日、明智光秀豊臣秀吉によって討たれました。今年は秀吉の大返しを描かないのに、そのスピードが際立っています。ここで一瞬、「おなごが欲しいのお~」なんて言いながら、上機嫌で部下と酒宴を開く秀吉の姿が映ります。本当に一瞬です。昌幸と視聴者にとって、初めて秀吉が一閃した瞬間でした。

昌幸はこれで一益の目はなくなったと言います。

「俺がつく連中は皆不幸な目に。もしかして、俺、デスおにぎり握っているのか?疫病神か?」

とつぶやく昌幸でした。確かに呪いのデス臣従になっている……ここまで先が見通せない主役級キャラって珍しいですよね。例年、主人公補正のおかげで預言者みたいになっている人が多い中で!

大名にとっては味方に付けないのが正解でした……

大名にとっては味方に付けないのが正解だったようで……

 

昌幸「大博打の始まりじゃ!」(これで何度目だろう…)

信繁が真田の郷の見張り台に立っていると、昌幸がやって来て父子の会話となります。松の悲運は自分のせいでもある、力が欲しいと嘆く昌幸。嫡男信幸には見せない本音と弱気を、次男には見せるのですね。

信繁はこの信濃の景色が、人間同士の諍いを見て笑っているようだ、と詩的な感慨を語ります。さらにこの景色が好きだ、信濃は日本の真ん中だ、信濃に生まれたこと、父上の子として生まれたことを誇りに思うと続けます。昌幸はそんな息子をじっと見守り、「よき息子じゃ」としみじみ語り信繁の肩を叩きます。この場面、ただの親子のふれあいではなく、伏線になっています。

不気味な存在感を示していた北条は、明智光秀が討たれたと知ると上野へ出陣します。多勢に無勢で迎え撃つ一益は、徳川の援軍も真田の援軍も見込めず焦り出します。一益さんが気の毒です。

昌幸はこのとき、どうするか、いよいよ表明。森林資源(=燃料、現代ならば石油)、馬(=軍事物資、現代ならば軍用車両)があり、川で物資を運び、東西を結ぶ信濃こそ頼りにすると宣言します。この要の地をチップに、敵を操りギャンブルをやってやる、ということです。一益には上杉を抑えるために北へ出陣すると知らせ、息子や家臣たちには沼田と岩櫃を奪還すると宣言。沼田から人質を取り戻せば、もう一益に従う義理はありません。

「大博打の始まりじゃ!」

毎週そう叫ぶ昌幸、今週もラストで絶叫しました。ここで今週のサブタイトル「迷走」が入るのがニクい。信繁の青春迷走かと見せかけて、昌幸の暴走に巻き込まれて真田家まるごと迷走するんじゃないの、というふうにも見えますね。

昌幸を見ていると、「ナビを信じない抜け道お父さん」を思い出します。渋滞にハマったとき、「こういうのは抜け道があるんだ」と言い出して、わけのわからない小道を進んで身動きが取れなくなるお父さんのことです。

信幸は「そんな変な道行くより、おとなしく待つ方がいいよ」と助手席で言う息子です。昌幸のドライビングテクニックは最高、道なき道を駆け抜ける腕前は最高です。見ていて面白い。でも本当は、カーナビを信じる信幸の方が正しいのでは、ということなんですよねえ。

真田に学ぶ生き方とかビジネスとか、書店ではそんな本あるでしょうけど、現代人はむしろ真似するなと言っているような、安定の三谷脚本でした。

結局は正しいことを言ってる信幸お兄ちゃん

結局は正しいことを言ってる信幸お兄ちゃん

 

今週のMVP:出浦昌相&森長可

今週は突出した人がいたような、誰も捨てがたいような、そんな回でした。昌幸が最高の殿堂入りなのは言うまでもありません。

この二人は、短い出番ながら主人公に決定的な現時点での経験や格の差を見せ付けました。森長可は血のバレンタインギフト! そこにいるだけで周囲の空気が血腥くなりそうな不穏さがありました。そして出浦昌相は、信繁はまだ所詮「小倅」に過ぎないと植え付け、さらにプロとしての「素ッ破」の生き様を短時間で見せ付けました。

 

総評:

今週はタイトル通り、どう進めばよいか、もがく回でした。まさかの松失踪、そして信繁の失意、自己嫌悪、自身喪失、そして心の迷い。出浦昌相だけではなく、きりや梅との会話でも彼の青さがあらわになります。その青さゆえの迷いを受け止めたのが、曲者の父という流れもしんみりしました。

迷う弟とは対照的に、兄の信幸は着実に先へと進んでいます。父の大ばくちに振り回され、毎週のように室賀正武に「黙れ、小童ぁ!」と怒鳴られてはいるのですが、自分の中で状況をどう受け止めるか変化しています。信繁が密かに自負していたように、視聴者の私たちも「平凡な兄、天才肌の弟」と思っているかもしれません。本作はその思い込みをゆさぶります。

そんな青春の躓きを描くのかと思っていたら、ラスト数分で物語が一気に動き出します。貯まった水が一気に流れるようなカタルシスを感じましたね。爽快感はあれども、信幸視線で「ええっ、それでいいの!?」と戸惑ってしまう。ぐちゃぐちゃの天正壬午の乱を、ぐちゃぐちゃの真田昌幸を、ぐちゃぐちゃでありながら面白く描こうという、そんな今年のチャレンジを断固支持します!

第7回「奪回」で視聴者の心をまたつかめた?ゲスの極み昌幸の大勝負は始まったばかり

こんばんは、武者です。先週の視聴率は大幅ダウン。第五回がかなり好き嫌いの分かれそうな出来でしたので、その結果を反映してのことかと思います。ただしBS流れ組もかなり多いようです。

【大河・真田丸】ネット上では「早丸」の愛称で人気 BS視聴率が好調なワケとは? – 産経ニュース

http://www.sankei.com/premium/news/160221/prm1602210020-n1.html

 

昌幸は電光石火の勢いで沼田城を奪回! しかし……

さて本編。今までも、息子を騙したり、臣従した相手を騙したり、ろくでもないことをしてきた真田昌幸。しかしここまでは軽い準備運動のようなもので、今週からは本格的に「自分の城絶対取り返すマン」として、ウザすぎる謀略を繰り返します! 昌幸が今後やることといったら、城を取り返すために汚い手を次から次へと繰り出すことばかりです。

先週、昌幸は北条と滝川を焚きつけました。北条に攻められた滝川一益は大苦戦し、敗北してしまいます。

北条家には名前の区切り方がわからない人物として定評のある、板部岡江雪斎が初登場。某刀ゲームのおかげで知名度があがっている人物です。北条氏政はこの江雪斎の報告を受け、布団の中でグフフ笑いします。氏政は汁かけ飯だけではなく、気持ち悪い笑い方も特徴になるのでしょうか。

この先、名コンビとなるんでしょうか……

この先、名コンビとなるんでしょうか……

クククッ

クククッ

昌幸は電光石火の勢いで沼田城を奪回(火事場泥棒とも言う)。しかし、人質は一益に連行されていたようです。勝手に城を奪回したと一益にバレたら、ヤバイんじゃないですかと今週も焦りまくる信幸兄さんですが、昌幸は「こうなっちまったからには仕方ねえじゃねえか!」と開き直り、人質を捜すことにします。

しれっと一益の元へ向かう昌幸と信繁。ここで一益がうれしそうにするのが切ない。昌幸は渾身のいい人演技をして一益に接します。吐き気を催すレベルの偽善演技に、見ているこちらは思わずガッツポーズ。面白いから仕方ない。一益は、昌幸の母は息災だが人質として旧武田領内脱出まで連れて行く、と丁寧に言います。こんな人のいい一益さんを騙す奴は、本当に反吐が出そうな悪党だぜッ! 主人公の父親のことなんだけどな!

昌幸に翻弄される滝川一益。可哀想だけど仕方ない

昌幸に翻弄される滝川一益。切ないけど仕方ない

 

「真田の城なんだけどな、おまえに返すことにした」

人質となったとりときりは、それなりに元気にやっています。きりは侍女として最悪の対応をするのですが、ばばさまには勝てずあしらわれてしまいます。

きりはとりの頼みを受けて水をもらうため、番兵にかけあいます。するとそこへ、人質捜索のために潜入してきた信繁が。大喜びで抱きつくきり。ここでも空気を読まないツンデレぶりが炸裂し、視聴者の憎しみが集中しそうに思えてきますが……キャラ改変あるのかな。信繁たちは、とりあえず今日は助けられない、いずれまた来ると告げて脱出します。

昌幸は一益に、沼田と岩櫃のことをおずおずと切りだします。

「真田の城なんだけどな、おまえに返すことにした」

【悲報】昌幸、一益さんの善人ぶりを見誤る

ギャアアアアアア! 本当に先が読めるならこんなことにならなかったんだよ! 策士が策に豪快にダイブして溺れまくりだよ!

それにしても昌幸の自業自得とはいえ、針のむしろみたいな会話になっています。一益が本当に善人としか思えない言葉を語り続けていて泣けます……善人が酷い目にあうのが戦国時代なんだ……辛い、辛すぎる!

昌幸は「やべえ。こんなあっさり返してくれるなら、もうちょっと待つんだった」と焦り出します。この人、結構駄目な奴なんじゃないか。

策に溺れて何が悪い?まさゆき

策に溺れたってしょうがない、まさゆきだもの

一益は、北条で自分たちが苦戦していり間、沼田と岩櫃を真田がちょろまかしていた真相を知ります。案の定、一益激怒。ここはもう百パーセント一益に感情移入してしまいますね。

今更実行できるプランBがない真田家。開き直って謀略を進めるしかありません。信繁はこそこそと小諸城に入り、人質奪還を企てます。この信繁が出会うモブの小諸の兵士がこれまたいい人でしてねえ。台所におにぎりまであるから食べて行きな、とか言うんですよ。そんないいひとばかりの小諸城を騙しまくり、とりときりを奪回する信繁たち。ここでもきりは空気を読まずに、櫛を忘れたと取りに戻るんですよ。もうこの娘ときたら困ったもんだ。

きりが忘れ物したせいで、人質奪回作戦は危うい展開に。きりにヘイトが集中する作りではあるのですが、まあ誰かがバカをやらないとあっさり終わってしまうんですよね……とはいえ、これ以上きりを残念な子にするのはかわいそうですぞ。

 

立ちふさがる木曽義昌 武田憎しで我らも危ないか!?

そしてついに、ぐずぐずしていると一益がやって来て信繁と出くわしてしまいます。ミッション失敗。一益は「人質を取り返すということはもう敵に回るんだな?」と言い出します。ミイラ取りがミイラになってしまった信繁と頼幸。きりはまた空気を読まずに「こんな奴らが奪回なんかできるわけないでしょ!」と毒づきます。あんたが忘れ物したからだよと頼幸につっこまれますが、「どのみち失敗したでしょ!」と開き直ります。おまえなあ〜……。

真田の郷では、堀田作兵衛が武装し、その妹の梅も屋敷を守る人のために食料を持参して来ました。薫は不穏な空気を感じています。昌幸は滝川一益が小諸城に止まっているとの情報を佐助から得ます。どうやら木曽義昌が足止めをしているようです。

真田丸木曽義昌霜月けい

木曽義昌は真っ先に武田家を裏切り織田についたのに、今更武田家を滅ぼした織田家臣は許せないと言い出したようです。秀吉は中国をぶっちぎっていたのに、どうやら清洲会議に遅刻しそうな一益さん……可哀相すぎます。彼にとって信濃は魔界なのか。

祖母ともども人質となった信繁は、木曽へ向けて移動中。木曽一族は織田家に寝返ったことにより、勝頼にあずけていた人質を処刑されています(第一話)。武田家臣を恨むあまり、真田一族にも危害を加えてくるかもしれないと言い出す信繁。さあどうなるのか。

木曽義昌は真田家の人質を要求。これでやっと一益は清洲会議に向かうのですが、遅刻して天下取りレースから脱落します。辛い。現実辛い……。

一方、木曽一族に捕まった信繁たちは、義昌から「おまえらは俺が大名になるための駒だ! わはははは!」と小物感剥き出しの演説を聴かされます。人質としてローテーションされる主人公一行。きりはわがままを言いまくり、真田に帰りたいとべそべそ泣くし、困ったもんです。

信繁がきりを慰めていると義昌がやって来ます。ところがとりの前に来ると、まるで祖母に対する孫のような態度になります。信玄の前でおもらししたとかバラされる義昌。さらにとりから武田家を裏切ったなと叱られ、ビンタされる義昌。なにこのかわいい生き物? とりは人質を返せ、せめて信繁だけでも返せと交渉開始。ばばさま無双じゃないですか。信繁は「ええっ、ばば様を奪い返すために来たのに、ばば様にかえって救われるなんてそりゃないよ~」と言うわけです。ついでにうるさくて鬱陶しいきりも信繁にくっつけて返せと言い出すとり。強いぞ、いいぞ、ばば様!

霜月けい真田丸真田信繁

木曽義昌に捕らえられるものの、ばばさまの一喝で脱出成功

 

上杉を内部分裂させて北条に攻めさせればワシが戦功第一よ!

昌幸は、出浦昌相から室賀正武はじめ国衆は北条についたと報告を受けます。昌幸は昌相に、自分は北条につかないけれども、出浦はとりあえずついて様子を探って欲しいと指示を出します。

二週連続で人質救出に失敗した信繁はどんより落ち込みながらも、真田の郷に帰還します。ぶーたれる弟に対し、信幸は「俺も岩櫃任されて手一杯。慰められなくてごめんな」と正直に言います。この裏切り者だらけの中、誠実な信幸は一服の清涼剤です。

信幸お兄ちゃんは真っ直ぐですなぁ

信幸お兄ちゃんは真っ直ぐですなぁ

昌幸は上杉家にしつこく押しかけます。上杉家は露骨に迷惑そうな態度を取りますが、上杉景勝はついに断り切れず受け入れることになります。直江兼続、本当に「うわっ……」という顔をしていて笑えました。だって昌幸がつくと呪いかかるもんね。そりゃ断りたいよね。

人質奪回を失敗した信繁は、昌幸に「勘に頼り過ぎるな!」とお説教。しかしここは「おまえが言うな」とツッコミたい。昌幸は「でもおまえは勘に頼りすぎるから面白いんだよ。兄の方はクソ真面目でつまらん。二人でユニットを組め。そうでないとおもしろくない」と一体アンタそれでいいのか!?という結論に達します。絶対この会話、信幸には聞かせたくありません……。

ここで昌幸は次のミッションを信繁に託します。

「上杉家の春日信達を裏切らせろ。俺が北条につくときの手土産にする。春日に上杉の背後を突かせ、北条と挟み撃ちにすれば俺が戦功第一よ!」

ゲ、ゲスの極み……ッ! だから昌幸を臣従させたらいかんのだ! 真田の大勝負は始まったばかりって汚い、流石真田汚い。

昌幸にダマされるのか?

昌幸にダマされるのか?

景勝の重臣・直江兼続も困り顔

景勝の重臣・直江兼続も困り顔

 

今週のMVP:ばば様こととり(&木曽義昌)

男どもがジタバタ空転し、きりはウザさの極みとなっている中、唯一まっすぐ地に足を付けて歩むようなばば様無双でございました。

今週の聖人枠:滝川一益

戦国時代にそれでいいのかと思うくらいホワイトエンジェルであった一益さん。本能寺の変のあとといえばみんな秀吉快進撃に注目するのですが、信濃という魔界にいたばっかりに、天下取りレースからひっそりと消えた彼を時々思い出してあげてください。歴史って残酷ですね。

 

総評:

Q:本作はなぜ家族愛を強調するのですか?

A:本作の家族愛とは「家族のためならどんな汚い手を使ってもそれは愛」の略です。先祖が築いた城や人質となった家族を取り戻すためなら、裏切り謀略なんでもありの世界です。でもそれをそのまま全面に打ち出すわけにはいかないので、誤魔化しています。中身はヒーロー映画の『ベイマックス』が、宣伝ではやたらと家族愛を強調していたようなものです。

Q:本作の「今だって、愛と勇気の旗をかかげていいんだ。」というコピーはおかしいのではないですか?

A:本当は「戦国だから、策と謀を正当化してかかげていいんだ。」があっています。でもそれだと番宣に使いにくいでしょ? 本当はゾンビ映画なのに、宣伝では感染がどうこう、ブラピが家族を守るとか誤魔化していた『ワールドウォーZ』みたいなもんです。

思わずそんな想定問答集を考えてしまいました。本当にさわやかさがかけらもないひどい回でした(褒め言葉)。特に昌幸のド外道ぶりが際立っています。ギャグっぽい演出が賛否両論の本作ですが、シリアスに昌幸の行動を描いたら毒気にあてられて辛くなりそうなので、苦肉の策という気はします。

真田家は波間を漂う小さな小舟だったのが先週までならば、今週からは「むしろ波を積極的に起こすスタイル」に転換しました。自分の船だって危ないけど、巻き込んだ周囲の人間をどす黒い渦に巻き込み沈める様子は、まさに呪われた船に乗る海賊です。自分で勝手に策に溺れるならばまだしも、周囲を巻き込むから始末が悪いという。

こんな難しい題材、本当によく挑むなあと毎週思います。今後絶対「主人公父子がド畜生過ぎる」という理由で視聴率は伸び悩むと思いますが、真田という題材の時点で予測できる事態でした。むしろ真田に何を期待していたんだ、と。真田という題材の時点で大博打が始まっているわけで、あとはこのチキンレースをどこまで逃げずに続けられるかという、スタッフの胆力勝負ですな。

最後に、まだどうにも意図がわからないのが、きりです。

同じく不評女性枠だった松は、先週の一時退場前は他の人質を逃がし指示を出すという機転を見せていました。ところがきりは人質奪還作戦では脚を引っ張るわ、主人を置いて帰ることを喜ぶわ、無責任で自分勝手で今のところよいところがひとつもありません。声のトーンがやたらと高い演技であることも災いし、きりは相当なウザキャラになっています。

ただ、きりの場合、彼女は作中で他の人物から嫌な女、うるさい、鬱陶しいと軒並みけなされているんですね。彼女が欠点のある人物であるのは、脚本としては想定通りということです。昨年のヒロインのように、脚本の意図では理想の女性として描いたはずが最低最悪の性格に仕上がっていて、周囲も褒めまくる、そういう滑り方をしているわけではないのです。脚本の意図はどのへんにあるのか、まだわかりません。今週の場合はどうしても信繁は失敗しなければいけないわけで、その尻ぬぐいをきりに押しつけているようにも見えます。損な役回りのヒロインです。

 

そんなわけで視聴率は乱高下の本作ですが、出演者が話題性十分なのは朗報。

真田信繁の正室・春(竹林院)役は、松岡茉優さんに決定!

http://www.nhk.or.jp/sanadamaru/information/news/20160221.html

海はないけど山はある~っ! 真田家の信繁正室というわけですね。元気いっぱいキャラかな。若手でも屈指の実力派なので楽しみです。

そしてこちら。朝ドラで人気となった・・・

ディーン・フジオカの「真田丸」出演が内定か 旋風続く?

http://news.livedoor.com/article/detail/11199133/

スポーツ紙の記事なので信憑性はさておき。以前、伊達政宗役はどうかと予測したことがあるだけに、気になるところです。

五代才助

『あさが来た』五代才助で大ブレイクのディーンフジオカさんが…?

第8回「調略」 何かと騒がしい真田の女性たちも分析してみました

こんばんは、武者です。先週はきりが大炎上しております。確かにきりは賛否両論で否の方が多いとは思いますが、個人的には真田昌幸のクレイジーギャンブラーぶりのほうがある意味悪質だと思います。先週で「生き残るためならばやむを得ない必要悪である策略」から「策を喰らわねば生きていけない謀略依存症」であるとわかってきたのではないか、と。きりにイラついているならばその間トイレタイムにするでもスマホでネットサーフするでもして乗り越えられるかもしれませんが、真田昌幸の本質について行けないとなると、本作はかなりの苦行になると思います。

そんな中、こんなものが。

分析すると、年齢層があがればあがるほど厳しい意見が多くなると。その一方で、ツイッターやSNSでの話題=若年層での人気は高いようです。このペースを保ち、年間視聴率平均『軍師官兵衛』+1~3%獲得すれば、本作は「若年層にアピールできた良作」評価は堅いとみました。

 

高坂昌信の息子・春日信達を調略せよ!

今週は、先週欠席だった徳川家の様子からスタート。先週の不在はやはり大きかった! こんなに癒やし系とは思いませんでしたよ。のっけから北条の勢いにおろおろする家康はもはやアイドルですね。とりあえずぶりっこポーズみたいな両手爪かみがかわいいです。次の狙いは信濃とわかって、ほっとする家康です。

今回は初っ端からマスコット登場です

今回は初っ端からマスコット登場です

北条家では、氏政が汁かけ飯を熱心に食べています。なんでこんなに汁かけ飯を真剣に食うんだ、氏政。食べるところから汁をかけよ、それがわしの食べ方だ、と汁かけ飯で北条の軍略を語る氏政。もう汁かけ飯が好きすぎておかしくなったマニアのようにも見えますが、これはシリアスな場面です。北条を迎え撃つ上杉家はかなり焦っています。

真田は上杉家についた以上、北条の矢面に立つことになります。信幸らは焦っていますが、昌幸は調略待機中です。

その調略の鍵を握るのは、昌幸の弟・信尹(のぶただ)と信尹の息子・信春を名乗る信繁でした。二人は、旧武田家臣で上杉家中では冷遇されていると悩んでいるらしい春日信達に接近します。

春日信達は、高坂弾正昌信(春日虎綱)の息子です。昌信といえば、武田二十四将の一人。あの有名な信玄が書いたラブレターの送り相手で衆道の相手でもありました。武田家の三弾正の一人、「逃げ弾正」という異名もありました。ちなみに昌幸の父・幸綱(幸隆)は「攻め弾正」と呼ばれています。

これが実に悲劇的な二代目です。本能寺の変の混乱では、嫡子を鬼武蔵こと森長可に人質として取られ、殺害されています(本作の第六話あたりです)。さらにはこの十八年後。川中島を支配することになった森長可の弟・忠政が、兄の撤退を邪魔したからという理由で、春日一族を見つけ出して処刑してしまいます。武田家臣の中でも屈指の悲惨さです。

さて、ターゲット信達と酒盛りを開くと、不満を煽るようなことを植え付ける信尹です。弱みにつけこむ汚い、流石真田汚い。信尹はさらに、上杉景勝から冷遇されているのではないか、世が世なら一国一城の主ではないか、と煽ります。

さらに昌幸は北条につくとけしかける信尹。信達は怒り席を立ちます。本当につくのかと疑念を持つ信繁に、目はあると言う信尹。本当につかないのであれば、話にのったふりをして主君に言うはずだ、あと一押しだと。ここで信繁がもう一押しすると立候補します。

今回のミッションは信達の調略!

今回のミッションは信達の調略!

 

不自然なほどに真田の参加を喜び持ち上げる氏政

ここで今日のきりちゃん梅ちゃんコントタイム。「信繁が私を助けてくれたとき、超かっこよくてぇ、目がキラキラしてたのぉ〜〜〜」と自慢げに語り、梅を牽制しているようにも見えます。きりはバカな子ではなくて、バカを装った腹黒い子なんじゃないかと思えてきました。ここは笑顔できりの話を聞きながら、「あの女ムカつく!」みたいな感じで、バァンと叩きつけるように薪を割る梅がよかったです。梅は無言なのに、気持ちはよくわかりました。女子ウザイと言われるけど、このくらいの息抜きとトイレタイムはありですね。

女子コントはすぐ終わり、信達調略タイムになります。信繁は、正体が昌幸の息子だと明かします。信達は戦友である昌幸を懐かしみ喜びます。本当に切なくなるほどよい人の信達です。かつての武田家の名将の子同士が、上杉家の城で花を眺めているとしみじみ語る信達。主家が滅びる辛さですね。信繁は理路整然と信玄の恩をとき、信玄の孫である北条氏直につくべきだ、あなたはこのままではただ利用されるだけの駒だとたたみかけます。信繁は優秀なのですが、ちょっとやりすぎたようです。理屈で固めすぎたな、固めすぎるとかえって相手は警戒すると、信尹は信繁の報告を聞いて分析するのでした。

昌幸は調略に時間がかかりすぎていることを憂慮し、もうそろそろ北条氏直の元に向かうべきだと腰を上げました。岩櫃で待機している信幸は、父が上杉を裏切り北条についたことに困惑。地侍の堀田作兵衛も臨戦態勢ですが、「北条を倒す」と宣言し、妹の梅に「上杉よ」と訂正されています。昌幸の下につく者も大変ですね。

昌幸より先に来ていた室賀正武は嬉しそうに昌幸を牽制。氏直は昌幸の遅参に激怒します。氏直の北条善彦さん、演技を氏政役の高嶋政伸さんに似せていて、とてもうまいですね。出浦昌相のとりなしも、昌幸の春日信達を裏切らせたという報告もまったく聞かない氏直。そこへ「アハハハハ」と笑いつつ、氏政が登場します。小田原から息子の陣中見舞いに来たそうです。

出番は少ないけど、存在感はピカイチな出浦さん

出番は少ないけど、存在感はピカイチな出浦さん

氏政は真田が味方についたと知ると大喜び。まさに鶴の一声。室賀正武がむっとするほど、昌幸が目立ち始めます。むさ苦しいおっさん同士が薄暗がりの中で顔をつきあわせ、ごちゃごちゃ喋っているだけで、何でこんなに面白いんでしょうかね。こういうのが本当に三谷さん、うまいな。

氏政の真意は、氏直の牽制でした。まだ若く未熟な氏直を制しておかねばという気遣いです。氏政はここで退場です。氏政の側でおろおろしている板部岡江雪斎、私は本当に好きです。演じる山西惇さん、本当にいい味出してます。

クククッ

クククッ

この先、名コンビとなるんでしょうか……

また来た、迷コンビw

 

「武田さえ滅んでいなければ、こんな苦労はしなかった……」

上杉家には、昌幸が北条についたという報告が入ります。激怒する景勝を前に、信尹は兄と弟は別の道を歩む、もう決別すると宣言。信尹の立場を想像すると、いくら策でもおそろしくてたまりません。相手がまだ話の通じる景勝だからよいのであって、森長可が相手ならばとっくに死んでいますね。

信繁はひぐらしの鳴く中、信達を呼び出します。ここで信尹もやって来て、もう一押し。北条につけば海津城は信達のものになる、上杉のもとでは城代どまりだとゆさぶりをかけます。

「武田さえ滅んでいなければ、こんな苦労はしなかった……」

そう苦しそうに語り始める信達。昌幸のように窮地だからこそ生き生きしているのがむしろ異常なのであって、大抵の家臣は信達のように苦しんでいるんですよね。本作では二話目で滅んでしまった武田家、その滅亡の残響が何とも苦しいのです。本作の英雄二代目は、皆苦しみ悲しんでいます(昌幸は除く)。

昌幸は調略成功を知ると、佐助を使ってさらに何か企みます。

昌幸らの企みを知らない信達。ついに氏直の花押入りの書状が届きました。信尹はこのとき、信繁に「わしのようになりたいと申したな? これだけは言っておく、わしのようにはなるな」と言います。彼もまた汚れ役として辛い思いをしているのでしょう。ここで場面が転換。

 

北条は撤退、上杉も新発田征伐のため越後へ

川中島では北条と上杉が対峙します。室賀正武が連れてきた現地の猟師によると、上杉は大軍とのこと。ん、この猟師おかしいな、と思っていたらその正体は何と佐助。つまり上杉は大軍ではないということでしょう。

上杉勢の前には磔柱が立てられています。腹部を刺され、死んでいるのは春日信達! この腹部を刺されたものの、切腹には見えない傷口が不審です。企みを悟られた、このまま攻めるしかないと昌幸は激怒する氏直に進言します。出浦昌相も昌幸に賛同しますが、氏直は顔をひきつられます。徳川が甲斐に入った、このまま徳川に攻められたらどうする、と言い出す氏直。昌幸の献策は却下され、北条は撤退することに。昌幸は殿をつとめて少しは役に立て、と氏直から言われてしまいます。室賀正武は昌幸の度重なる失態に嬉しそうです。

ほくそ笑んでおりますが……

ほくそ笑んでおりますが……

皆が去ったあと、昌幸と出浦はうまく行ったなと言い合います。北条は撤退、上杉も新発田征伐のため撤退します。

えらいことになったのは甲斐の徳川です。上杉ではなく徳川に向かうことになった北条と敵対することに。家康、またも焦ります。

ここで信繁が映り、時間軸が過去へと戻ります。

 

あるべき姿の直江兼続がようやく登場

氏直からの証文をもらった信達は、これで父上も喜んでいるだろうとしみじみと語ります。

そこへ迫る信尹の凶刃!

なすすべもなく腹を貫かれ、信達は斃れます。信尹は信達の死体に刀を握らせ、相手が斬りかかってきた正当防衛を主張できるように小細工。さらに景勝に、信達が裏切ろうとしたので未然に殺したと嘘の報告をします。このとき、景勝の横にいる直江兼続は胡乱な目を信尹に投げかけています。迷作『天地人』から七年、やっとあるべき直江兼続像が上書きされました。めでたいことです。

確かに冷酷感が漂ってますよね…

確かに冷酷感が漂ってますよね…

  • 「天地人」とは一味違う「真田丸」の直江兼続 クールさ前面に

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/02/28/kiji/K20160228012116390.html

演じる村上新悟さんは本当にいい声、いい演技です。イケボ(イケメンボイス)と呼ばれるのも納得。

かくして春日信達は、川中島にあった磔死体となったのでした(史実だと妻と幼い娘つきでさらにエグい)。信尹は信繁を先に逃がします。

信達の死体に手を合わせる信繁の前に、景勝が現れます。武田の者だからとないがしろにするつもりはなかった、むしろ信じていたのに残念だ、人の心はわからないと語る景勝。信達はこの誠実な景勝を信じ切れなかった。そしてこの破滅を招いてしまった……一番悪いのは真田なのですが。なんとも後味の悪い、やりきれない結末です。この悲劇の片棒を担いでしまった信繁は、父と叔父の考えと策に戦慄します。私も恐ろしいです……ひっ。

 

なんだかんだで北条も上杉も信濃から撤退!

弟からこの話を聞いた信幸も困惑。信繁は、昌幸の狙いは信濃の空白化ではないかと分析します。ひとっ風呂浴びてきた昌幸は、酒瓶と酒器を持って「久々にパパと団らんしよっか〜」と息子の前に座ります。見た目は風呂上がりにビールを飲む気のいいおっさんなのに、こんなに腹黒いなんて怖いよ! このほのぼの感が辛いよ! こんな話聞いたあとで一家団らんとか知らねーよという顔をした息子二人も見ていてしんどい。これはあれだ、懐かしの「暗殺の後の茶もまた格別」by『信長の野望 天翔記』みたいな世界じゃないですか。もう二度と親子団らんを微笑ましい気持ちだけでは見られません。こいつ、本当に大河史上最低の父親だと思いますよ(真顔で)。この番組、宣伝で「家族で乗り越える!」とか言っているんだよなあ。だがそれがいい!

霜月けい真田丸真田信幸

それにしても、今回の計略は実に綱渡りで、しかもそこに昌幸は信繁を投入しているんですよ。信繁のまっすぐな純情すら計略に使えると睨んだのか。信幸も第三話で計略に巻き込みましたが、今度は輪を掛けてひどいわけです。露見して上杉に誅殺する可能性もあったわけです。昌幸は本当にひどいことをしています。春日信達だけではなく、信繁をも危険にさらしたのです。げ、外道……!

昌幸はリラックスした様子で己の狙いを語ります。北条が徳川を攻め、上杉が撤退すれば信濃は空白化する。昌幸は地図を広げそう語ります。信幸は昌幸に大名になりたいのかと問います。昌幸はそうなりたいがなあとぼやき、俺は信濃の国衆で治めたい、我等だけの国を作ると言います。そもそも武田領なんだから、武田家臣が治めて何が悪い、とも。同じ武田家臣の春日信達を謀殺しておいてそれを言うか! それにしても、こういうのが一番の危険思想なんだよなあ。ホラ、今でも「国家の思惑なんて知るか!」とがんばる小さな勢力が厄介じゃないですか。しかもなんか雄壮ないいBGM流しやがって!

今週のラストは徳川家康。北条を迎え撃つべく甲冑を着ながら、今回の動きは真田の策ではないかと疑う家康。家康は本作最大の宿敵のはずですが、なんだか悪の真田軍団を倒すべく立ち上がる正義の味方に見えてきてしまいました。正義の味方・家康が、悪の化身・腹黒昌幸を九度山に封印する物語、うん、違和感仕事しない。ラスボスなのに癒やし系? 徳川主人公ものより輝いているような気がするんですけれども。「きつい! きつい!」と言う家康の横に「調略 完」と出るのがこれまたニクい演出です。確かに今週はきつかった!

そういえば、このあと信繁は上杉家に人質として出されるのですが、この状況でそれはものすごくきついと思います。見ていて胃が痛くなりそうです。

来週も活躍期待かもしれません

来週も活躍期待かもしれません

今週のMVP:真田信尹・春日信達(聖人枠兼任)

「わしのようになりたいと申したな? これだけは言っておく、わしのようにはなるな」

の一言が強烈。あの短い台詞で彼の中にある葛藤を語り尽くした感があります。次点は春日信達。短い出番なのに彼の死が惜しまれて苦しくてなりませんでした。先週の滝川一益も辛かったけど、今週はずっと辛い……。

 

総評

こんなニュースがあります。

  • 酷評どこ吹く風…好調「真田丸」は三谷幸喜の“作戦勝ち”

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/176145

「余りにもチャラチャラした演出でがっかりだ」

「ドラマの脚本や演出にコミカルな場面が多すぎて、史実との整合性の真偽、臨場感、長く続いてきた大河ドラマとしての重みや深みがイマイチ伝わってこない」

「動き、表情のどれも軽々しく戦国時代とはミスマッチだ」

といった意見に対して、

「どうじゃ、おまえらが軽い、緊張感がない、ギャグが多いと文句ばかりだから、ガチ本気脚本演出で調略してみたぞ!」

と本気で答えちゃった回が今週だと思います。まず結論から言いますと、私の中では脚本ベスト回。こういうのが見たかった、とガッツポーズです。脚本がともかくキレッキレで、それに答える役者のキレッキレでした。もうハマリ役しかいない感。

見ている最中は胃のあたりが重たくなり、磔にされた信達が出てきたあたりはちょっと吐き気すら催したのですが、そのくらいやってこその戦国だと思いました。今週、昌幸と信尹のやり方に戸惑い引いていた信繁は、視聴者の姿でもあるでしょう。もう素直に、面白いとはしゃぐことはできない。主人公一族の手は血まみれであると、今週の外道展開はまざまざと示したわけです。

史実では、春日信達の誅殺にあそこまで真田が絡んでいるわけではありません。改変してむしろ真田側を黒くするなんて思い切ったことをするものです。この勇気と思い切りに感服しました。

今週は、春日信達の悲劇的な運命を中心としたメインプロットも見応えがありました。それだけではなく、北条、上杉、そして徳川の鼎立状態で争い始めた「武田遺領争奪ゲーム」そのものもとても面白い。『信長の野望』のマップが本当に生きています。敵が二カ所いるからこそ集中できず、あちこちへと動き回る勢力図が実におもしろい。そしてそこまで動き回るのも、真ん中の信濃で昌幸がいろいろ企てているからというのが利いています。合戦場面が少ないと言われる本作ですが、おっさん同士が腹を探り合う謀略戦だって面白いと魅せてくれます。

昌幸が酷すぎて視聴率が下がりそうですが、この路線を黒く貫いて欲しいものです。

 

そしてこんなニュースが。

哀川翔「真田丸」で13年ぶり大河!信繁の盟友・後藤又兵衛役(スポニチアネックス) – Yahoo!ニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160228-00000151-spnannex-ent

どんどん話題性のあるキャストが追加できるのはよいことです。ちょっと想像できない配役ですが、今から楽しみですね!

おまけ考察「本作の視聴率が低迷するとしたら原因は何か?」

あくまでおまけですので、興味のある方のみおつきあいください。ちなみにこのニュースを意識しています。

「真田丸」の視聴率が迷走している9つの理由

http://www.excite.co.jp/News/reviewmov/20160221/E1456015426854.html

  1. BS視聴への流出があるから
  2. 女キャラがバカで見ていて不快だから
  3. 真田昌幸がド外道だから
  4. 信繁がなかなか活躍しないから
  5. 三谷作品は好みが分かれるし、アンチが多いから
  6. 先が読めず不穏だから
    だがそれがいいと思う人もいるとは思うんですが、自分が知っているところだけ見たいという層もあるんです。今年なら天正壬午の乱より本能寺、山崎の戦い、清洲会議を描け!と
  7. 結局負けるから
    それを言うなら織田信長も最期は燃え尽きるんですよ、豊臣秀吉だって息子の代で滅びるんですよ、と思うんですが、そういう人はいるんです
  8. 「俺の知っている戦国とは違う」現象
    今年は考証担当者の方曰く「最新学説を豊富に取り入れる」方針です。ところがこれをやると「俺の知っている戦国とは違う」とムッとする人がいるそうです。「これが正しいんですよ」と指摘すると「俺の夢を壊すなぁ!」と怒られるとか云々。本作と黒澤明作品を比較して駄目出しする人もいるそうですが、比較自体どうかというのはさておき、『七人の侍』なんかは、最新の学説ではまったく通用しないプロットですし(刀狩り以前設定ならば農民は武装しています)。高年齢層に受けないのも、この要素が大きいと思います。「俺が好きなんだ、史実なんてどうでもいいから真田十勇士を出せ!」もこの層とみた
  9. 道徳的に得るものがないから

戦国武将から学べるビジネスだの生き方だの、水素水が健康にいいと言うくらい怪しいと思っているんですけれども。戦国ものはエンタメとして面白ければ正義、別に道徳的に得るものがまるでなくてもいいと思うんですよね。教育要素を期待するにしても、歴史を学べるということで十分だと思います。ところがどうも、世の中には大河は道徳的ではないと、という層がいるらしいんですな……高年齢層に受けないのも、この要素が大きいと思います

それにしてもSNSでは絶好調ですから、厳しい意見が多いというのはちょっと信じられないくらいです。この状況はおかしいぞ、と思った方は各自NHKまでメールでも。

メールによるご意見・お問い合わせ

http://www.nhk.or.jp/css/goiken/mail.html

 

ではここでツッコミ「本作の女はなぜバカな行動を繰り返すのか?」

  • 真田丸登場の女性が愛される理由とは? とり・薫の魅力│NEWSポストセブン

http://www.news-postseven.com/archives/20160227_388778.html 

いや……流石にそれはなかろう。というのはさておき。

まず指摘せねばならないのは、本作の女が全員バカではないということ。とりはむしろ超人レベル、阿茶局は聡明、梅も自分が言うべきこと、すべきことをわきまえた性格です。このことを考えると、三谷さんが女性を描けないから駄目なんだということではない、ということです。

これについては、実は「本作の真田の男がバカだから」ではないかと思います。男がやらかしてしまっているミスのめくらましに、女が目立つバカなふるまいをしているのではないか、と。

新府から岩櫃までの移動(一話・二話):ここでは薫と松の行動が悪目立ちしていました。しかし、実は信幸の判断がかなり甘いのです。義理堅さゆえに勝頼がつけると言った護衛を断っていますし、あまり判断力に信頼のできない松に斥候を任せ、小山田八左衛門の罠も見破ることができませんでした。信繁が「姉上は敵がいないって言ったじゃないですか〜」なんて言っていますが、それならば自分で確認するか、せめて家臣を使えと。

安土から真田の郷までの移動(五話、六話):松が鬱陶しい場面でしたが、実は松の夫である小山田茂誠も役に立っていません。それどころか足手まといになる他の人質を連れて行くという松の判断をたしなめなかったばかりか、信繁にと念押ししています。松が琵琶湖に転落する際も、信繁や佐助らは結局彼女を救えていません。

人質奪回作戦(七話):これはもう身も蓋もない話ですが、そもそも昌幸が火事場泥棒で城をかすめ取るような真似をしなければ、あんなに話がこじれていません。また、きりが「私の忘れ物がどうこう言うけど、そもそもあんたらじゃ救出なんて無理でしょ」と言うのも一理あります。捕まったら人質として利用される信繁を奪還作戦に派遣した昌幸の判断からして、根本的に間違っているのです。

つまり正しくは「本作の真田の男はなぜバカな行動を繰り返すのか?」ではないかと思います。信幸と信繁は、演じる役者のせいでわかりにくいのですが、劇中まだ高校生くらい、「小童」です。判断が甘いのは仕方ないでしょう。梅や阿茶局といった真田家以外の女が比較的まともなのも、偶然ではありません。

 

真田の女たちを分析してみます

ではここで、真田の残念な女たちはどういう役割なのか分析したいと思います。

松の場合「夫を守る盾」

演じる人の愛嬌と脚本で誤魔化されていますが、実は作中屈指の駄目人間認定をされても仕方ないのが松の夫・小山田茂誠です。彼はとりと信幸が指摘している通り主君を裏切りながらぬけぬけと腹も切らずにいる時点で、かなり駄目な男です。さらに逃げろと言われても真田の郷にしばらくとどまるのですから、「戦国ではなく現代の倫理観で動く」という非難は彼にもぶつけられるべきだと思います。安土からの脱出ではさして活躍もしていません。そんな彼を演じるのは、声優としては人気が高くとも、演者としてはこれが初出演になる高木渉さんです。そんな彼に「あんな役は死んでしまってもいいよ」という、今松に向けられているような憎しみやバッシングがぶつけられたら、彼のキャリアはスタートの時点であやうくなりかねません。松と松を演じる木村佳乃さんが弾よけになって、茂誠と高木さんへの非難をかわしているのではないかと思うのです。

薫「策士の恋女房」

薫は大河の主人公母としては珍しいほど駄目な女性に思えます。批判も理不尽なまでにされており、娘の死に嘆いたら嘆いたで「戦国の女らしくめそめそするな」と言われ、立ち直って食事を取る場面があれば「娘が死んだあとなのに飯が喉を通るとは薄情な母親め」と罵られる始末。「いくさは嫌いです」とポロリとつぶやけば、これもまた叩かれてしまいます。観念的な「いくさはいやでございます!」ではなく、薫の場合は実際に嫌な目に遭っているわけですし、出身を考慮しても自然な台詞だと個人的には思うのですが。もはや彼女は、出てくるだけでサンドバッグにされています。

そんな彼女ですが、視聴者と姑は厳しくとも、夫は実に甘いのです。謀略を駆使し、敵は容赦なく罠に掛ける彼女の夫・昌幸ですが、妻を強くたしなめることもなければ、「おなごは黙っていろ」と容赦なく言葉を封じるようなことをしていません。贅沢だ、浮き世離れしていると批判される薫の衣類や京風趣味の扇子ですが、ああしたものを彼女が楽しめるのも、昌幸が許可しているからでしょう。

なぜ昌幸は妻に甘いのか? 二人の馴れ初めは描かれておりませんが、昌幸側にはおそらく恋愛感情があった、政略結婚ではなかったのではないか、と思わせる要素はちらほらとちりばめられています。私は昌幸が武田信玄正室の侍女としてついてきた薫を見初めたのでは、と推測しております。信州の山奥で育った毛皮を愛用する昌幸が、京都から着た世間知らずの娘に惚れ込んだ。そんなかわいい恋女房だから、どうしても甘くなってしまうわけです。二話で薫が夫に助けられた場面で、彼女は夫に「こわかったぁ〜〜〜」と小娘のような声をあげて抱きつきました。昌幸もまんざらでもない様子。この場面を見た時、実はこの夫婦まだまだラブラブなんだな、と思いました。薫は謀略野郎である夫の昌幸に、やわらかな人間味を与えているキャラクターなのです。

きり「本質まで切り込むゆえに嫌われるアンチヒロイン」

嫌われ者のヒロインの中で、最も憎まれているのがこのきりでしょう。ヤンキー、現代人感覚、ツンデレ、ウザかわいい、ともかくバッシングが集中しています。

ではなぜきりは「ウザい」のか。実は口調や戦国らしからぬ価値観以上に、別の理由があるのではないかと思うのです。確かに彼女が主筋の人間に態度が悪いという、かなり深刻な欠点を抱えています。真田の家に嫁がせたい父親が娘の言動を知ったら嘆き激怒することでしょう。

きりを何故こんなキャラにするのか。美人で真田重臣の娘なのですから、暴れ馬をなだめるなりやんちゃ坊主を助けるなり、あざとい個性アピールをしてとっとと信繁とくっつけば、批判なんてさして出ないんですよ。

きりは、ツッコミが鋭すぎるのです。本質をズバッと突いてぐりぐりと抉るからこそ、痛いところを突かれて視聴者は腹が立ってしまうのです。いい子ぶりっこだから、頭が鈍いから、そういった理由とは違います。むしろ頭はキレキレではないか、不自然過ぎるほど鋭いのではないか、と思わせる部分があります。恋愛面では信繁、梅、そして自分という三角関係の中で、信繁と梅が相思相愛であることを見抜いています。

さらに信繁の自信過剰な態度を射貫くような言動をし(六話)、七話では人質奪還作戦そのものが最初から失敗するはずだと言い切っています。

前述の通り、六話と七話では信繁が作戦に失敗しています。さらに七話では人質奪回作戦を立案した昌幸が悪い。視聴者がそれに気づいて疑問を感じる前に、きりがしたり顔でそれに突っ込むものだから、きりへの反感によって疑問が覆い隠されてしまうのです。

そしてなぜ、この二話で信繁と昌幸が愚かなことをやらかしているかと言いますと、作劇上の都合です。信繁のはっきりした動きが史料に出てくるまでは、まだ時間がかかります。信繁はこのころ元服すらしておらず子ども扱いされているのです。かといって主人公成人までドラマの開始時点を遅らせると、武田滅亡から本能寺の変を経た信濃の混乱期が描けなくなってしまいます。まだ幼いはずの主人公を成人に演じさせ、歴史上のイベントにからませるのは大河作劇上の必要悪といえるのです。そしてそんな必要悪でも、伝説の信長スタンドつき伊賀越えをやらかした『江』より、本作ははるかにまっとうであることは比べるまでもありません。が、やはりどうしても、信繁が成人するまでのは無理のある展開が続くことでしょう。その無理から目をそらせるために、きりは鋭すぎて作品の本質まで抉るツッコミをしているのではないか、と思うわけです。

実はきりそのものが、囮として機能している。そんな特殊なヒロインなのではないでしょうか。きりがイラッとしたら、こいつのこのムカつく台詞の真意は何なのか?を考えて見ると落ち着けるかもしれません(保証はしませんが)。

 

今後の展望:サンドバッグからネゴシエイターへ?

ここまで読んで、ヒロインを盾にして男の駄目さ加減を誤魔化すなんてずるいと感じた方もいるかと思います。これは本作に始まったことではありません。

かの名作『独眼竜政宗』では、小田原参陣前に母親が政宗に一服盛ったためとんでもないトラブルが発生します。ドラマ制作時は史実とされていましたが、現在ではこの事件は捏造の可能性が高いと言われています。ではなぜ史実として流布していたかと言いますと、江戸期以降伊達家の記録でそう書かれていたからです。実際になかったことを、考えの浅い女のせいでそうなったのだと捏造し、政宗をかばったのだと見ることができるでしょう。

こうした現象は古今東西あります。のぼせあがった皇帝が駄目な政治した主犯なのに「おまえが美人過ぎて国を傾けた!」と責められた楊貴妃。実際は先々代の国王から浪費して財政が破綻していたからその責任はほとんどないのに「おまえの浪費癖のせいだ!」とつるし上げられたマリー・アントワネット。より大きな責任を回避させるため、その近くにいた女がつるし上げられるのはありがちなことです。

本作でも、そうしたつるし上げられヒロインの定番とも言える淀が出てきます。彼女をどう扱うのか? 信繁や秀頼のミスをかばうために悪女設定されるのか、それともひねってくるのか? そこまで見てからでないと、本作におけるヒロインの扱いは判断できないでしょう。

また本作の女性登場人物で、真田がらみ以外で最も早くキャスティングが決定していたのが阿茶局と大蔵卿局であることも、実はポイントではないかと思っております。この二人は交渉役として活躍した人物です。物語に彩りや癒やしを添える花としての役割ではなく、実務を行うキャラクターです。後半では、女性が実務的に活躍する可能性もあるのではないかと思います。

もうちょっとトーンダウンして欲しい女性陣の暴走ですが、終盤は「あんなにキャアキャアしていた女たちがこんなおとなしくなって……」としんみりするかもしれません。

第9回「駆引」 偉大な父の影を意識しながら生き抜く子の物語

こんばんは、まずは朗報。現時点ではとりあえず好評報道が多いようです。

  • 「真田丸」視聴者満足の理由に「スピード感」本能寺の変など最小限 ― スポニチ Sponichi Annex 芸能

http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/03/05/kiji/K20160305012158540.html

そうなんですよ。もっと描けという声や報道も見かけましたが、本能寺の変はあのくらいでいいと思います。

  • [月間トルネ番付]「真田丸」2カ月連続首位 「フラジャイル」がランクイン 2月ドラマ編 | マイナビニュース

http://news.mynavi.jp/news/2016/03/04/192/

の御方もえびす顔のようです。

もーみーいー会長ぉー! 今更のぉこのぉこ、何が感謝だ、もっと先にすることがあるんじゃないのかぁ?(北条氏政口調で)……感謝より先に、井上真央さんと楫取夫妻の墓前で土下座したんですよね? とりあえずあなたは、数字が落ちたからと無茶ぶり介入しなければそれでもういいんです。口出さないでください。

 

先週は反響が大きかったようです。スタッフ渾身の謀略を駆使した先週の感想をみていますと、くっきりわかれています。スタッフは「女性はついてこられるか?」と不安がっていましたが、そこはむしろ問題ないでしょう。むしろ先週の黒さに衝撃を受けていたのは、

50代「子どもの頃、わくわくしながらテレビにかじりついて人形劇『真田十勇士』を見ていたのに!」
60代「いくらなんでもここまで卑劣な奴は見たくない」
70代「俺の好きだった、正義の真田はどこへ行った……」

といった、幼少期に正義の真田にあこがれた世代ではないかと思います。ちなみに本多正信を演じている近藤正臣さんもこの世代で、徳川方のオファーを受けてがっかりしたとか。ただし今は、正信役を楽しんでいるそうです。

家康をたしなめる重要な役どころ・本多正信さん

家康をたしなめる重要な役どころ・本多正信さん

一方、『信長の野望』世代(20〜40代)は「やはり例の一族(『信長の野望』で異常にパラメータが高い一族。真田家、島津家をさす)」、「汚い、流石真田汚い!」「昌幸パッパ、ぐう畜やな」とネタ的にもおおいに受けている印象です。昔の大河を楽しめた層と違い、今の若者はゆるいものじゃないと駄目だ、みたいな印象論がありますが、実は逆なのではないかと。そういえば『八重の桜』の時も「戦争シーンが残酷できつい」という意見が、結構高年齢層から出ていて驚いたんですよね。

本作は性別より年代によって受け止め方が異なるのではないかと思います。若年層はSNSで盛り上がってもNHKに意見を送る発想がなかったのか、高年齢層による厳しい意見が多いことに焦りだし、「メールフォームで送ろう!」という呼びかけが始まっています。SNSだけでは足りないことは『平清盛』で証明済みですからね。このレビューでも、その動きを応援させていただきます。好評意見、今週は増えているようです。

お問い合わせ窓口 http://www.nhk.or.jp/css/

そんな先週のポイントは、氏政の汁かけ飯のエピソード。「汁を一度でかけないからお前は駄目なんだ」と父・氏康が嘆いたこと(史実かどうかは別)を逆手にとり、「俺は食べるところからかけるんだ、それがやり方なんだ」と逆転したそうです。何がすごいってこの発想そのものもですが、演じる高嶋政伸さんがこの氏政と同じ食べ方をしていて、父の高島忠夫さんから氏政の故事を引いて叱られたことがある、という話ですね。公式フェイスブックに詳細がありますので、興味のある方はご覧ください。

https://www.facebook.com/nhksanadamaru

こちらもどうぞ。

クククッ

今んとこ、従来の氏政像をひっくり返しそうな勢いですね

 

対北条戦で追い詰められた徳川軍が真田を味方に

はい、ではそろそろ本編へ。

今週は全開の春日信達謀殺事件で心に深い傷を負った信繁くんのセラピーと、今日もいきいきと暗躍する昌幸パパを描きます。

上杉攻めから反転して甲斐の徳川を攻めた北条軍は絶好調。徳川軍は追い詰められております。家康はあまりに早い北条の反転に焦り、忠勝はもう「全力でぶつかるのが策」と言います。

脳筋武将な忠勝さん

脳筋武将な忠勝さんを演じるのは「藤岡弘、」さん。名前についた「、」がなんだかなぁ

「そんなものは策でも何でもない!」

と、ここで本多正信が正論を述べます。最もすぎるツッコミ、真面目なのに笑えます。正信は武田旧臣・真田昌幸を使うことを提案。その頃真田では昌幸親子たちが面と向かい合っておりました。

信幸は父に感心していますが、信繁は先週の事件のせいでパパなんてもう信じないよ、という暗い顔をしています。

真田の計略にかかった上杉景勝は激怒。いつか成敗すると誓います。直江兼続は上杉に残っている真田信尹をとらえようとしますが、謀略プロエージェントである彼は既に逃れていました。叔父上、さすが黒カッコイイ! この短い上杉パートは、来週以降パンチとなって効いてくるようです。

信濃は国人衆で統治する! それが昌幸の提案だったが……

昌幸は国衆による信濃統治を提案。大名になるべきだと提言する出浦昌相と高梨内記ですが、昌幸は、自分はその器ではないと固辞します。しかしそうなると、信濃国衆ナンバーツーの室賀正武の説得が必要になります。

「アイツ嫌い。顔からして嫌い」

と、どうしようもないことを言い出す昌幸。一方で信繁は「パパなんて大嫌い! 策って本当に必要なの? ぼくは策なんて知りたくないんだ!」と青春まっさかりの反抗期ぶりを示します。例年なら信繁はケツの青いしょーもねーガキ扱いでしょうが、先週が鬼畜展開過ぎたので今年はまあ仕方ないな、というのがお茶の間に流れる空気ではないでしょうか。

そんな信繁に、昌相は「春日は上杉景勝を不服に思い己の意志で裏切ったのだから、自業自得だとは思わないのか? お前は優し過ぎる、もっと強くなれ」と言われるのですが。うーん、まだ信繁はティーンエイジャーだしなあ。ただし、あの汚いとしか思えなかった謀略に別の一面が見えたのも確かではあります。

信幸は国衆による統治案に心酔しており、妻の前でその意気込みや歴史的意義を語ります。しかし妻のこうは病弱過ぎて、会話どころではないのでした。この全く話し相手にならないパートナーというのが、今回のポイントでもあります。

傷心の信繁を見て、内記はこれがチャンスだ、慰めて接近しろと娘のきりをせっつきます。あー、おまえの娘は駄目だ! 客観的に見てみようよ、美人でスタイルもいいけど、性格がね。

昌幸は室賀正武説得開始。正武は北条を裏切るなんて冗談じゃないぞとつっぱねます。

が、一方で領地を北条に渡したくないという昌幸の言葉に、ついにデレます。武田が滅んでから大名を渡り歩いたが、この大名なら安泰と思ったことはない。誰にも従わず国衆で信濃を治めるなんてふざけたことを、だが面白い、と満面の笑みを浮かべます。これでお茶の間の「黙れ小童」への期待感はしぼみましたが、昌幸の工作は成功しました。

今週はもう「黙れ!小童」の見せ場はないかぁ……と思ったら

今週はもう「黙れ!小童」の見せ場はないかぁ……と思ったら

 

武田家の頃は隣村に食物を荒らされる心配もなかった

きりは信繁の部屋にやって来ます。帰れと言われてもあがりこみ、スイーツを差し出すきり。これが昨年なら、スイーツパワーで全て解決するところですが、今年この時間に放送しているのはまともな大河なので、そういう展開にはなりません。信繁は出かけてしまいます。

真っ白に燃え尽きた顔の信繁は、堀田作兵衛と出くわします。作兵衛は、作物を隣村に荒らされて困っている、武田家支配下のころはこんなことはなかった。昌幸が治めればいいのに、とぼやきます。信繁はきりを放置して、そのまま堀田家へ。

梅は信繁の話を聞きます。春日信達にはも申し訳ないことだが、策で戦を防げてよかった、と梅は言います。戦が起これば田畑が荒らされ、生活基盤が危うくなり、大切な人が死ぬ。今年の場合、戦による山村の荒廃も描いてきたため、例年の「いくさはいやでございますぅ〜〜〜」的な、現代平和思想とはちがった実感があります。

弱い殿様のもとで村が荒れるのも困る。かといって、戦が起こり、生活が危うくなるのも困る。堀田家の人々は、地に足をしっかりとつけた民の姿です。戦乱の時代だからといっても、戦っていることより失うことが多い層の人は、なるべく戦いたくなかった。そんな当たり前のことが、丁寧に描写されているのが本作の強みです。

こんな賢い返答をする梅に、すっかり信繁の傷は癒されます。先ほど書きましたが、今回出てくる男女の会話にご注目を。信繁は梅から癒やしを得ますが、信幸はそれができません。

あたたかい梅との会話を経て自室に戻った信繁は、初恋の進展にドキドキ。そこでふと目をやると、叩きつけられた無残なスイーツを見つけるのでした。

昌幸を担ぎたい出浦

昌幸を担ぎたい出浦

 

「黙れ小童!」ノルマもこなしてくれました

北条氏直は、真田が動かないことにブチきれています。短い出番ながら、この氏直のキレ芸は磨きがかかってきました。

一方で昌幸は正武とコンビを組んで国衆を説得して回るのですが、どうにも反応は芳しくないようです。正武はいきいきと前向きで、信幸にたしなめられる始末。そしてここで、今週の「黙れ小童!」ノルマもこなしてくれました。ここで出たか! これ、そろそろ着ボイス配信しませんか、NHKさん。

意外な場面で突如「黙れ!小童!」とは……。視聴者に飽きられないよう、工夫して発言させているのかもし

意外な場面で突如「黙れ!小童!」キタ━━(゚∀゚)━━!!視聴者に飽きられないよう、工夫して発言させているのかもし

話を終えた正武は信繁を見つけ「おまえの親父の顔嫌い! で、でもっ、他の大名にこの地を取られるよりはマシなんだからね。アイツ、一人で立つこともできたのに、この私に声を掛けるなんて……なかなかの男じゃない」

とツンデレトークを繰り広げていました。

デレる正武の一方で、その裏で出浦昌相が昌幸をしつこく大名になれと口説きます。

信幸は止めるのですが、昌幸の気持ちはぐらぐらと動き出します。幼なじみ系ツンデレ正武ちゃんと、クールなようでパッションもある昌相ちゃん。二人のヒロイン(みたいなおっさん)の間で揺れる昌幸の心なのでした。

 

家康に手を貸し恩を売ってやろうではないか

信繁の部屋にはしれっときりが入り込んでいました。きりの気持ちなんて無視して、梅によって策に開眼したと語る信繁。きりはスイーツを差し出します。これが昨年だったらまた別の展開でしょうが、今年は違います。信繁は梅とのことで怒るなら筋違いなんだよ、おまえと俺は何もないだろと言います。きりは「別にアンタのこと好きじゃないし! 父に言われただけし!」と言うとスイーツをブン投げて去って行きます。

こっちは、デレないなあ。ウザイと悪評まみれのきりちゃんですが、だんだんと面白くなってきました。それにしてもスイーツを食べるのではなく投げつけるのは、昨年大河との決別を表すのでしょうか。はは、まさかね。

昌幸は亡き信玄に語りかけます。この世に武田信玄公のかわりが務まる者などいるわけない、と逡巡する昌幸。そのまま夜が明け、何者かが近づいて来ます。昌幸はトランス状態にでもなったのか、てっきり信玄公の亡霊かと思いますが。そんなことはなくやって来たのは信幸です。信幸が持って来たのは、家康からのオファー書状でした。

昌幸は、これはおもしろい、負けそうな家康に手を貸せば恩着せがましくできるぞ、利用してやる、と言い出します。もうこいつ何とかしてよお! ここで昌幸、いずれ大名になると腹をくくった宣言。喜んだ昌相は臣従を誓い、ここで正武ルートは消えたことになります。ニヒルでクールな彼にしては珍しく嬉しそう。一方で国衆統治賛成派の信幸は「ちちうえええええ!?」とあきれ果てます。

ほんと色々と楽しい昌幸さん像ですなぁ

ほんと色々と楽しい昌幸さん像ですなぁ

 

弟・信尹も策を食って生きている そんなエナジー感じます

昌幸は信尹を徳川に派遣。この弟も、兄同様、策を喰らって生きる顔していますわ。

信尹は家康に臣従条件を出します。諏訪、甲斐に二千貫文相応の所領、さらに上野の沼田を真田領として認めると迫る信尹。本多忠勝はいくら何でも図々しいと怒りますが、家康はいなして「いいよいいよー、そのくらい安いものだ」と快諾。徳川真田間で揉める「沼田領問題」の火種が撒かれました。それにしてもエージェント信尹って、地味だけど凄いですよね。こんな胃に穴が空きそうな役目を次から次へとよくこなしますよ。

その約束がトラブルのもと……

その約束がトラブルのもと……

昌幸は夜、薫の寝室にやって来て膝枕。そのための薫の膝でございます、という台詞から薫は昌幸の癒やし役なのだとわかります。問題があると言われる薫ですが、ちゃんと聞き手になるという点では合格なのです。信幸の妻・こうはそれどころではないし、きりは全く駄目ですからね。愛妻に子どものように甘えて、膝を撫で撫でする昌幸はなかなかお茶目です。「お前にもお城作っちゃう〜〜」「やだあ、お城ですかあ」と、ラブラブではないですか。若い頃からこの調子だったのかな。作中で明言されていないけど、こりゃやっぱりこのカップル、恋愛結婚でしょう。あれをあげる、これもあげる、お前のためなら俺は何でもしちゃう、と口説いた昌幸が想像できます。

デレたり甘える昌幸の顔を引き出せるのは、薫の役目です。とはいえ、このあたたかい空気が続くのは、昌幸が人質のことをしれっと言い出すまでですが。薫はきっぱりと断ります。子犬のような目で困った顔をしても、昌幸はそれ以上言えないんですよね。「では、おやすみなさい」とすごすご去るしかないという。惚れた妻には弱い男、昌幸なのでした。

真田の裏切りを受けて、北条氏政は内心腹を立てるのですが、表向きは「雑魚に関わっている暇はない」と言います。これがのちのち、重大なミスとなります。今週はのちにつながるフラグがたくさん立っていますね。

小県の国衆は徳川について行きます。ノリノリの室賀正武を見ていると、昌幸は例の国衆合同統治破棄を言い出せないようです。そりゃあの調子を見ているとねえ。これはもう室賀さん、絶対次の被害者になりますね。いつか、黙れ小童を思い出してきっと泣いてしまう……。

北条を攻めることになった真田家。その軍議で信繁は内山城を攻める正攻法ではなく、物資輸送のためには必ず通過せねばならず、落としやすい小諸城を落とすべきだと献策。一同も見事な策だと納得します。この場面でよいのは、信繁以上に実は信幸の気がします。弟に発言させ、嫉妬するようなそぶりもなく、むしろさわやかに褒めます。弟は自分の大事なサポート役だと信じているからこその態度です。そしてこの場で信繁は末席から「おそれながら申し上げます」と切り出し、促されるまで待っているんですよね。ちゃんとそういう決まりは守っているのです。

この小諸攻めは絵画駆らず、ノブヤボマップでのみ示されます。予算は上田合戦につぎ込むと信じていますよ。それにしても回を追うごとにこのマップの芸が細かくなっていて、CGチームの奮闘を感じます。

北条は物資を立たれ苦戦。家康は「よっしゃー!」とガッツポーズです。昌幸もうまくいったと息子を前にして嬉しそうです。ところがそこに衝撃の知らせが! なんと北条と徳川が同盟を結んでしまったのです。家康にしてみればまだ敵は多く援軍も頼れない状況。和睦はありがたい話でした。満面の笑みを浮かべ、互いにほっぺをぷにぷにしながら同盟締結! この絵はおもしろすぎてもはや卑怯だ! やらかい大福さん(by『あさが来た』の新次郎)の持ち主はあさだけじゃなかったぞ!

そして昌幸は策士、策に溺れきり、裏目に出ましたねえ。愕然とした昌幸の顔、いいぞ、その顔が見たかった! お前みたいな腹黒策士、ちょっとは痛い目を見ろ! 正直ざまあみろと思っちゃったぞ!!

予告で「真田殺してもいいよね?」「真田死ねばいいのに」といろんな人から言われまくりますが、思わず頷きそうになってしまいます。真田最低、だがそれがいい!

 

今週のMVP:室賀正武

「べっ、べつにおまえの親父が好きなわけじゃないぞ!」

って。ベタベタなツンデレ幼なじみはきりだけじゃなかったのか! いやむしろきりより可愛いのではないかいう笑顔。しかし彼は知らない。いい笑顔の人ほど本作は酷い目にあうのだ(滝川さん、春日さん)……おのれ真田昌幸!

特別功労賞:

CG班の皆さんとシブサワ・コウさん

複雑怪奇な「天正壬午の乱」をすっきり見やすくでき、戦闘場面をカットしてもそれなりに説得力があったのは、CGマップのおかげです。鷹を飛ばしたり、馬を動かしたり、芸が細かくて見ていて楽しいです。

今週の一言:

「この世に武田信玄公のかわりが務まる者などいるわけがない」by真田昌幸

これは、本作の通底するテーマではないかと思います。本作は偉大な父の影を意識しながら生き抜く子の物語です。そしてまた、スタッフも過去の名作の影を意識しながら、新たな平成の大河を目指している。そんな気負いを感じます。

懐古的になって「昔と違う! 昔はよかった」と言い続けたところで、過去の名作を再度作れない。代わりなぞいないのです。ならば、新たな名作を作り続けるしかない。そんなスタッフの、偉大な背中を見ながら乗り越える決意を感じます。

総評: 

「息子よ、何故わしが先週あのような外道行為をしたかわかるか?」

「わかりませぬ」

「今週、おぬしは命を損なわないための戦だの、女のためなら戦えるなぞ、大河のケツの青いガキ主人公にありがちなことを口走る……」

「ええっ、そんな!」

「例年ならば、そのようなことをほざいた奴は、何眠たいことぬかしとんねんとボコられるまでよ」

「ええっ、そんな!」

「だが今年はこの父がおまえをとことん追い詰めてやったわ。おかげでおまえが何をほざこうと、それも仕方ないねとかえって同情する……ククッ、視聴者なぞ戦国は厳しい、もっと緊迫感をなぞとほざいておいっても、いざ容赦ない外道行為をすればコロッと甘ったれたことを言い出すものだからな」

「父上の深慮遠謀ですか。しかしあまりに真田にあこがれる視聴者の夢を破壊しているのでは?」

「いいか源次郎。これから先、わしはえらい目にあう。因果応報じゃ。主役が酷い目にあうと視聴者は嫌な気分になる。しかしわしが鬼畜行為を繰り返せば、その思いも軽くなるんじゃ。『八重の桜』みたいに主役側が誠心誠意動いているのに殴られまくると、視聴者はヒーヒー泣き叫びながら厳しい意見を送るようになる! せっかく一生懸命作っても文句ばかりなんだ」

「えぇ……結局どうあがいても大河ってボコられるじゃないですか」

「そうだ! 武将JAPANなんてサイトのレビューは特にひどいぞ! だからもうここは、三谷の好きなようにさせるしかないんだ!」

という会話を妄想してしまった今回です。策士・三谷幸喜が描く策士・真田昌幸、視聴者の反応まで掌にのせてくるくる回している感覚があります。三谷氏の力量もさることながら、このどこまで黒くできるかのチキンレースに挑み続ける屋敷Pも剛の者です。しかもこの人、『江』も担当していたんですよね。あの大河史に残る汚点からよくぞここまで到達できました。一度徹底的に挫折したからこそ、陽(ひ)はまた昇ったのでしょうか。がんばれ、屋敷Pもがんばれ!

それにしても、武田→織田→滝川→上杉→北条→徳川……毎週掌返しばっかりしていますよね。それでも飽きさせない、結局同じことばっかりしていると思わせないのは、軽妙なギャグと黒い策略をテンポよく、バランスよく配合しているからでしょう。春日信達謀殺のようなえげつない策はなかったものの、やはり今週もえげつないことをしています。そもそも本作って、黒さがボジョレーヌーボーのコピー並じゃないですか。

第一回「ここ数年の大河で一番黒い主人公父」

第二回「まだ序盤だが味の濃い黒さが堪能できる」

第三回「策略は上々で息子を巻き込み申し分の無い黒さ」

第四回「家康と渡り合う中々の黒さ」

第五回「窮地の中でも陰謀味が豊かで上質な黒さ」

第六回「迫り来る不安と、可能性に賭ける決意が調和した黒さ」

第七回「ギャグでも誤魔化し切れない、滝川一益を裏切る、コクのある黒さ」

第八回「視聴者を圧倒する、狡猾きわまる地獄の底のような黒さ」

第九回「ソムリエも納得、奥深い酸味もある、まさに匠の黒さ」

毎週黒い、毎週毎週汚いことばっかりしやがって、という意見も当然あるとは思います。ただ、これこそ取り得る最良の戦略だと思うのです。根性のない脚本家ならブン投げてしまうし、視聴者も頭が混乱しそうな「天正壬午の乱」を、昌幸の黒さとテンポのよいギャグ、そしてノブヤボマップで表現するというのは、うまいなあとうなってしまいます。

懸案だった女性陣の描き方も落ち着いて来ました。きりは面白くなってきたし、薫は甘えモードの昌幸を引き出す役目を果たしました。梅はむしろ出来過ぎているような感もありますね。

梅といえば、会話で戦への嫌悪感をうまく表現しました。信繁の策への嫌悪感も説得力がありましたが、このあたり実感がないまま展開すると薄っぺらく、嘘っぽくなってしまいます。

今週は次週以降の伏線もたくさんありました。思えば信長の死から僅か数ヶ月で、上杉、北条、徳川に中指立てている真田家。大名に翻弄されるどころか、大名を煽りまくる真田家。一艘の小舟どころか武装海賊船のような真田家。この厄介な災難を呼ぶ船が、漆黒の帆を掲げてどこへ向かうのでしょうか。

第10回「妙手」で愛染明王らの怒り炸裂

こんばんは。

脚本家の三谷さんが、一喜一憂しているとか。

・(三谷幸喜のありふれた生活:792)視聴者反応に一喜一憂:朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/DA3S12251370.html

本記事の全文を読むには会員登録が必要ですので、中身を要約してみます。

第八回までは否定的意見が倍くらいあったことで、凹んだ三谷氏。しかし第九回の放映後はそれまでの十倍ほど意見が届き、しかもその九割が好評意見でした。好評意見の多くはメールによる若年層からのものだったとか。応援したいなら、届けよう、ということですね。ここから送信できます。

http://www.nhk.or.jp/css/

とはいえ、視聴率は低下気味でこんな批判も出てきます。

・「真田丸」視聴率ブレーキ 史実と異なる“家康”に問題あり?

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/177084

何度も書いておりますが、私は時代考証の三氏がオーケーを出しているものに、突っ込む気はまったくございません。こちらを見てもわかるように、今年はむしろガチです。

・大河ドラマ史上初の肩書き!?「戦国軍事考証」担当が語る 『真田丸』ココだけの話

http://oshiete.goo.ne.jp/watch/entry/4078b8157c1fb0f40ab9f0226b658fe8/

家康は、好きな層もいることですし。

・骨太からキュートまで 内野聖陽が「真田丸」の“バカ殿”で新境地(オリコン) – Yahoo!ニュース

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160311-00000345-oric-ent

視聴率はともかく、観光面では好調とか。

・真田丸大河ドラマ館の入場者「66666人」達成 2カ月足らずで「花燃ゆ」の年間入館者超え! 産経ニュース

http://www.sankei.com/entertainments/news/160310/ent1603100006-n1.html

低視聴率にあえぎ続けた前作「花燃ゆ」のドラマ館(山口県防府市)の年間入場者数は6万1544人にとどまった。1月17日に開館した「真田丸」のドラマ館は2カ月足らずでそれをあっさり超えた。

ええと、これについて書くと屍に鞭打つようで気が引けるのですが……『花燃ゆ』で思い出したので、昨年ふれた銅像問題をちょっと調べてみました。

・NHK大河ドラマ:「花燃ゆ」銅像寄付、不足分800万円は税金 公金投入は計1300万円に 前橋市 /群馬 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20160224/ddl/k10/200/352000c

・「花燃ゆ」銅像 寄付金の目標届かず… 市が1000万円支出へ : 上毛新聞ニュース http://www.jomo-news.co.jp/ns/8214562442074609/news.html

・東京新聞:「花燃ゆ」にちなんだ銅像の制作 寄付目標に届かず:群馬(TOKYO Web) http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201603/CK2016030302000196.html

……結構洒落にならないことになっているようですね。屍といえど、土にかえり次の種を育てることはできます。昨年は犠牲になったと、折に触れて思い出しましょうね。

さて本編です。

 

今週もブチ切れ室賀さん

今週は室賀正武がブチ切れるところからスタート。

「おまえは徳川と北条にナメられてんだよ! 領土全部取られたじゃねーか! 勝手に分けられてもう信じらんない! ふざけるなーーー!」

そう昌幸を罵り、走り去る室賀さん。今週は「黙れ小童」はおあずけのようです。

意外な場面で突如「黙れ!小童!」とは……。視聴者に飽きられないよう、工夫して発言させているのかもし

意外な場面で突如「黙れ!小童!」とは……。視聴者に飽きられないよう、工夫して発言させているのかもし

徳川家にとどまっている真田信尹は、約束が守られていないと抗議。しかし家康は「雑魚はほっとけ」とやる気なし。本多正信は、「雑魚は雑魚でも猛毒があるから、呼び寄せた方がいいですよ」とアドバイス。やはり策士は策に敏感ということでしょうか。さて、昌幸はここでどう出るのか?

根っからのギャンブラーの昌幸はこれにノリノリ。信幸と信繁を名代として派遣します。信幸は最初からフルスロットルで、北条と和睦するなんて信じられないですねえ、これからどうするんですか、と釘を刺します。ここで信幸は上杉方の虚空蔵山城(こくぞうさんじょう)に対抗して、その正面にある海士淵(あまがふち)に城を作るから協力して欲しいと持ちかけます。なかなか図々しいですね。この城がのちに上田城となります。上田城をよりにもよって徳川の協力で作ったというのが、のちにパンチとなって効いてくるんですねえ。とりあえずここは、信繁が示した城の図面に家康も納得します。家康は城の普請にゴーサインを出すのですが、それと引き替えに沼田領を渡せと迫ります。実は北条方が、織田方から沼田城を追い払ったのだから、こちらに引き渡せと家康に迫っていたのです。これがのちにこじれにこじれる沼田領問題となります。

この家康のオファーを、信幸は断固として拒否。上野領を一気に失うわけにはいかないのです。ここでのきりっとした兄上、実に格好よいです。「じゃがではござらん!」という決め台詞も最高です。しかしこの態度に本多忠勝が激怒し、切り捨ててくれるわと信幸に迫ります。ぎりぎりのところで、信繁が止めに入ったあ! 信幸、クールな顔をしているようで「やべえ、俺今ちびりかけたわ……」という動揺が顔に出ている気がします。だって相手はあの忠勝ですよ。そりゃ怖いわ。

霜月けい真田丸真田信幸

やはり信幸は疲れて、交渉が終わるとへろへろになって倒れてしまいます。きりっとした演技も、脱力演技も、流石です。まだ実年齢は高校生くらいですからね。ここで信繁と信尹は、上田城はいつか徳川と戦うための城になると見通しを語り、信幸を激励。信幸は家康の隣にいるあの男(忠勝)マジ怖い、ああいうの苦手……と言います。その後の展開、つまりあの男が未来の信幸の舅であると、ここで有働アナがナレで語ります。兄上の胃壁がやっぱり心配です。

家康が休みながら今後の策を検討していると、阿茶局が人質の中にふてぶてしい老女=昌幸母=とりがいると明かします。これは使えると思いついた家康、早速とりに面会に行きます。とりはあくまでマイペースで、薬草摘みをしてきたようです。家康を前にしても平然としています。

その約束がトラブルのもと……

その約束がトラブルのもと……

交渉後の宴会で、家康はとりを三人に引き合わせます。信繁には笑顔なのに信幸には「ああ?」と言うとりのふてぶてしさに、やっぱりいつものばばさまだ〜〜と孫兄弟は大喜び。信尹はとりの肩を揉み、母にサービス。このマッサージする信尹叔父さん、本当に人がよさそうで、あの春日謀殺をした人とは見えないんですよね。そこがかえって怖かったりします。家康はとりを返すから沼田の件をよろしくね、と念押し。そりゃまあ、ただで人質はかえって来ませんよね。

真田の郷に戻った兄弟は、父に首尾を報告。流石の昌幸も沼田返還を承諾し、城に向かいます。ところが沼田城代の矢沢頼綱(昌幸の叔父)は激怒し断ります。

「この城は勝頼公から預かったんだぞ、ファッキュー! 帰せというなら俺を殺してからにしなーッ!」

そう交渉にきた信幸を脅す頼綱。ジ、ジジイーッ!

人質はかえってきたのに、これではどうするのかと焦る昌幸たちです。

かえってきたとりは、真田の女たちを前に結束を固めようとミーティング。とりはこの非常時に女に何ができるか考えましょう、と提案するのですが、薫はさりげなく「私は人質になりたくない」アピールするし、こうは相変わらずゲホゲホしています。さらに薫は「信繁に嫁をとって人質にしたらどうか」とさりげなく提案。そこで空気を読まないことに定評があるきり。

「人質要員として信繁の嫁取るとかどうよ、って私思うけどぉ〜」

と、視聴者の声を代弁します。この子、やっぱり鋭い。それとも、まだ自分が信繁の嫁になるかもとワンチャン狙ってる?

沼田が戻らないことに家康は焦りますが、正信は北条が攻めるから問題ないとアドバイス。正信の読み通り、北条氏政は沼田攻めを決行します。沼田は北条の関東制覇のため大事な城です。

北条の使者が沼田に向かいますが、なんと頼綱は「うっせーバーカ!」と槍で突き殺します。ジ、ジジイ……どんだけ血の気が多いんだ! ちなみに古今東西、使者や交渉担当者を殺すのは禁じ手です。ルール無用のように見える戦国時代でも、使者を殺すのは禁忌中の禁忌です。使者を殺してしまうと、話が悪い方向へこじれることが多いのです。使者を殺すというのは、不退転の決意を示します。

案の定激怒した北条勢は沼田を責めるのですが、七十近い頼綱はノリノリで防ぎます。もうやだこの一族……。あ、そういえば氏政の心情はお菓子の食べ方でわかります。落ち着いている時は丁寧な食べ方ですが、イライラしているときはつかみとって口にガッと放り込んでボリボリ噛みます。

クククッ

クククッ

昌幸は上田城を建設中。ここで高梨内記と碁を打っていますが、碁盤をひっくり返します。アルファ碁にでもこれで勝ちそうだな、昌幸。昌幸が囲碁で負けそうになると、やけになって盤面をひっくり返し、そのため周囲から囲碁の相手にしたくないと思われていたのは史実だったとか。昌幸は頼綱の息子・三十郎に父を連れ帰るよう指令。信繁には、上杉を頼るしかないから、頭を使って何とかしてこい、と言い出します。あの、上杉を騙くらかしたのって、ついこの間の八回目でしたよね。もうやだ、この一族。

これが信幸ならどん引きするところですが、信繁は策大好きの変態的なところがあるので、なぜかうれしそうです。出立前に堀田家で梅と語り合う信繁は、梅から「やや子ができちゃったみたい」と告げられます。おおっ、そうなのか! 先週帰りが遅いと思ったら、やけにニヤニヤしていると思ったら、そうかそうか。梅も身分差を考えたら、既成事実を作るのが策ではあります。うーん、でもこれって……そりゃきりも饅頭ブン投げるわな。

 

愛染明王の怒りの炎に火をつけろ

上杉家は新発田の乱を鎮圧できず、さらに佐々成政とも一触即発という状況。ここにどのツラさげてか信繁がやって来ます。直江兼続は不快感をバリバリに見せて、

「どのツラさげてきた? おまえが裏切ったのを忘れたと思ったのか?」

と言います。ですよねー。ここで信繁が信尹の息子であると嘘をついていたこともバレ、ますます兼続激怒。許せぬ、斬り捨てましょう、と提案します。しかし景勝は「逆に興味がわいてきた」と言い出します。景勝さん、いい人すぎ。兼続の胃壁も、辛いと思います……。

確かに冷酷感が漂ってますよね…

確かに冷酷感が漂ってますよね…

ここで信繁、

「虚空蔵山城と沼田城で八百長の戦しない? 上杉が攻めて、真田が撤退すると。それで、上杉が沼田から北条めがけて攻めて来るって嘘を流すんだ。どう? 面白いでしょ!」

と厚かましくも提案。兼続はもうこいつ本当に死ねよと言いたげですが、景勝は引き込まれています。ここでレアものの景勝の笑顔も登場。話に乗ります。ちなみにこの間、信繁は上杉の兵士から刃を突きつけられています。見ていて本当に胃痛がしてきそうです。ここで景勝は、信繁の勇気に免じて乗ることにした、と言うんですよね。どこまでいい人なんだ。景勝の人のよさに兼続はイライラしています。顔は冷静なんですけど、兼続はイライラすると声のトーンが高くなって、早口になるんですね。声だけで心情を示していて、とてもよいと思います。

それにしても信幸が忠勝に切り捨てるぞと迫られたのに、信繁はホワイトエンジェル枠の景勝相手でラッキーではあるんですよね。人質奪還失敗の時も、相手が滝川一益だから助かったようなものですし。

沼田ではアイアンジジイ頼綱が粘っていました。とはいえ、だんだんと追い詰められているようです。三十郎はまもなく信繁が敵を追い払いますと告げるのでした。

はい、ここで今日の八百長開始。真田と上杉は対峙し、戦の作法に従って矢をつがえ、鉄砲を構えます。法螺貝を鳴らし、太鼓を叩き、「えいえいお〜」と声をあげる敵と味方。こういうところがちゃんとしっかり考証しているから本作はぬかりないんですよね。一通り戦うとデモンストレーションをしたところで、信繁が兼続の前にやってきて八百長を確認。上杉勢が勝ちどきをあげます。ここで兼続は「猿芝居じゃ……」と吐き捨てるのでした。

真田が大敗したことは各地に広まります。徳川、北条は息を吹き返した上杉対策を迫られます。北条の陣では、一人の足軽が「このままでは真田を倒した勢いにのって、上杉がこっちに来るぞ!」と言い出します。その足軽の顔をよく見ると、佐助です。本当にいい仕事をするプロですね。北条はプラン変更を迫られます。またしても真田、うまく騙しました。ここで撤退する北条勢が映るのですが、戦いそのものはカットされがちでも、軍装がどうなっているかとか、わかるのがいいですね。

家康は西の羽柴秀吉のことが気になり始めています。北条から沼田の件を持ちかけられても、もう知らんと吐き捨てます。ここで正信は真田を潰す、昌幸暗殺計画を提案。その実行役に選ばれるのは果たして?

そんなことはつゆしらず、上杉から戻った信繁はデキ婚を提案。身分の差を越え、プロポーズします。梅ももちろん感激し、承諾するのでした。

正信が暗殺実行役に選んだのは何と、室賀正武! このままでは「おのれ小童……!」になってしまうのか!?

家康をたしなめる重要な役どころ・本多正信さん

 

今週のMVP:

矢沢頼綱。アイアンジジイとか失礼なことを書いてしまいましたが、あまりに元気で血の気が多すぎてそう呼んでしまいました。使者を瞬時で突き殺す場面は黒い笑いがありましたね。ちなみに史実だともっと北条方の使者を殺していたらしいです。

昌幸&信繁の強さが有名だけど、それ以外も強い。本当に真田一族は敵に回したくありません。

僅差で次点は直江兼続。景勝の決断にイライラしながら従う様子が伝わって来ました。彼はまだまだ見せ所がありそうなので、今回は次点で。

今回の兼続はLOVEじゃなくて、紛れもない、愛染明王にかわって俺が殺す系の直江だ、という感じです。

・「堺さんから笑顔がすごくかわいいと言われて…」村上新悟(直江兼続) 【真田丸 インタビュー】

http://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1038784

・「真田丸」の直江兼続は“愛の武将”じゃない!? | ニュースウォーカー http://news.walkerplus.com/article/73842/

このインタビューは必読ですね。特にここ。

姿勢と視線は気を付けています。例えば、信繁と景勝が話しているシーンでは、話している信繁を見ながらも、お館さま(景勝)がまた難題を引き受けないか心配なので、そちらに意識を向けている…という芝居をしました。

わかる……わかります。そういう感じが出ています! インタビューを読むとしっかり役作りをしているのが伝わって来ます。「直江状」の音読を聞いてみたいですね。

総評:

天正壬午の乱は先週まででしたが、第十四回までは徳川・北条・上杉間を泳ぎ回る展開になるようです。

今週の「上田城を作るスポンサーに徳川を引き込んだ件」は、最近研究で判明した成果です。このあとの展開は、徳川が作った城に真田が居座って、二度も徳川の邪魔をするわけで、本当にそれは腹が立つ展開だなと思ってしまいます。覚悟の足りないスタッフならば最新学説は無視して、ひたすら徳川が悪いとするはずです。そこを敢えて真田の汚さを表現するのは、本当にチャレンジ精神を感じます。頼綱の使者殺しもやるなあ、と思いましたね。汚い、流石真田汚い。徳川も北条も真田の被害者ですし、上杉も騙されている感が出ています。

それにしても、弱小勢力ながら、びしっと物言う真田には独特の爽快感があります。

本作は世代間で評価に断絶がありますが、それもこの真田の行動に感情移入できるかどうかではないかと思うのです。どうしても上の世代は、上司の目で真田を見てしまうのではないでしょうか。そうなると言うことを聞かずに自分本位な彼らが腹立たしくて仕方ありません。

一方若年世代には、大きな力に逆らう真田が爽快感を伴って見えるのかもしれません。サビ残はしない、休日出勤はしない、有給休暇は絶対にすべて使い切る、賞与が足りなければ抗議、昇給されなければ抗議。あまりに理不尽な扱いを受けたら労働基準局に駆け込む。条件が悪ければ転職、しかも自分の考えた技術は持ち出す! こう書くと上司は眉をしかめるかもしれませんが、部下の自分がそうできるのならば最高だと思えませんか? 武士の価値といえば主君への忠義が第一にクローズアップされますが、本作の真田家のように自身と家族の財産や幸福を追求するのだって、武士である前に人として当たり前のことであるはずです。俺が俺らしく生きて何が悪いと高らかに叫ぶ、これはある意味戦国版『ありのままで』ではないでしょうか。

そうそう、今週「おおっ!」と思ったのが真田と上杉の八百長合戦です。八百長ですから血は一滴も流れないわけですが、法螺貝や太鼓を鳴らして臨場感を出していました。軍事考証がある成果が出ていると思います。小競り合いでこれですから、第一次上田合戦が楽しみでなりません。

 

みんなで歌おうコーナー:

OPが「だまされた〜」と聞こえるという話を読みました。これはもしかして、『風林火山』のコッペパーン以来のソングができるかと思い、実験してみました。利用はご自由に。

ほんと色々と楽しい昌幸さん像ですなぁ

ほんと色々と楽しい昌幸さん像ですなぁ

「真田丸」のテーマ

作詞:武者震之助

歌:真田昌幸被害者の会のみなさん

騙された 今日も騙された

許せない おのれ昌幸め

騙された またも騙された

許すまじ おのれ安房守

だ〜ま〜され〜た〜 だま〜さ〜れた〜

嗚呼 だま〜された〜 嗚呼だまされた〜 嗚呼ま〜た だまされた

騙された 今日も騙された

許せない おのれ昌幸め

だ〜ま〜され〜た〜 だま〜さ〜れた〜

嗚呼 だま〜された〜 嗚呼だまされた〜 嗚呼ま〜た だまさ〜〜れ〜〜た〜〜

嗚呼〜 う〜そつきめ〜 この野郎 嘘つきめ〜

ひどい奴 ゆるせない また〜だま〜され〜〜た〜〜

謀略 策略 ま〜た〜も〜騙し討ち

騙しう〜ち〜騙し討ち〜 またも騙し討ち〜〜

騙された〜 また騙された〜

騙された〜 また騙されたぁぁ〜

ひどい奴許せない

ほんとにもう許せない〜

ひどい奴 まさに外道な奴

ずるい奴 本当にずるい奴うう〜〜〜

だ〜〜〜ま〜〜〜さ〜〜れた〜〜 だまされ〜〜た〜〜だまされた〜〜

だ〜〜〜ま〜〜さ〜〜〜れた〜〜〜〜

騙された 今日も騙された

許せない おのれ昌幸め

許すまじ 許すまじ おのれ安房守

それではまた来週!

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