西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ第14回「慶喜の本気」

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将軍継嗣問題で大奥も揺れる

建白書の件で、大奥にも激震が走ります。
篤姫輿入れは将軍継嗣問題の工作だったか、と怒りだしたのです。

「おのれ~薩摩おのれ~御台所め~」
むしろ今まで気づかなかったんだ、とちょっとビックリ。

怒りまくる本寿院演じる泉ピン子さんを見ているうちに、この人の出番が序盤の『マッサン』でマイナスだったことを思い出しました。
ピン子さんが扮する鬼姑が出た週は、視聴率が低下したこともあったほど。
こういうキャラクターが果たして本作に必要なのでしょうか。

それ以上に問題なのが幾島です。

「建白書なんか出されて政治が絡んでくるなんて」と文句を言いたげな態度です。
本作の幾島は、史実を無視してただの怖い教育係にしてしまいましたからね。
賄賂をバラ撒いて、大奥工作をガンガンやっていたのは忘れてしまったのでしょうか。

ここで家定がふら~っと来て、
「御台ともいくひさしくゆーこーのために」
と言い出します。

ここで篤姫が次の将軍は慶喜に、と推したらあっさり家定承知しちゃいましたよ。
3分間くらいで。こんなにあっさり決まるモンなのか(史実ではンなわけないです)。

 

吉之助は軟弱な薩摩隼人ですなぁ

それでも慶喜はどこ吹く風で、エピソード集が出回っていることが不満そうです。

こんなつまらない薄い本の配布に効果があるなら、井伊は、慶喜が遊郭に入り浸っている情報をバラ撒きゃいいんですよ。それで終わりでしょ。

と、ここで慶喜、刺客に襲われます。
つくづくこんなことしないで、遊郭で遊んでいるとバラして政治的に始末すればいいのに、と呆れてしまいます。

遊郭にも用心棒はいたと思いますが、腕を怪我してろくに戦えないはずの西郷どんが奮戦して倒します。
このへんも雑。腕が使えなくても戦うことのできるピストルを持たせるとかやりようがないのでしょうか。

「人の血は熱かもんじゃ。あっああああーうわああああー」
どうやら西郷どん、人生初の殺人を劇的に描きたいようです。

そんな感慨知ったことではないんですけど、にしてもなんという軟弱な薩摩隼人でしょう。
カッコイイ薩摩隼人のイメージ、ブチ壊し……。

別に、犬の腹に米詰めて炊いて食えとか、薩摩ルーレット(=肝練り)しながら酒を飲めとか言いませんけど、脚本家さんは薩摩隼人のことなどどうでもよくて、ご自分の考えた、ちょっとドジっ子な好青年キャラのほうが大事なようで。

そんな西郷隆盛に、何の魅力を覚えろというのでしょうか。

 

俺が将軍になったら世が乱れて血が流れる

死骸をぞんざいに始末する慶喜。
彦根藩の者だと掴んでいるのに、その程度の対処しかしません。だから嫌なんだよな~とかぶつくさ言うだけ。

ってさすがに言わせて貰いますけど、アナタ、馬鹿?

刺客が彦根藩と明白ならば、証拠を揃えて幕府に提出すれば、井伊直弼の失脚は確定でしょうに。
慶喜は、西郷どんが刺客に対して合掌していることに対して、文句タラタラ。そこ、気にしてる場合か???

「俺が将軍になったら世が乱れて血が流れるし~」とか抜かす慶喜。
それならさっさと出家でもすればいいのに。

ちょうど時間も20時35分頃なので、ここで西郷どんが刺客のことを思い、命がけで国を動かすナンタラカンタラスピーチするのが見せ場なんでしょうね。
人を殺しておいて、殺害現場で堂々と大声でペラペラ思うことをそのまま喋っておいて、何がしたいんだろう?
とっとと立ち去りなさいよ。

そんなこんなでなんだか覚醒した慶喜。
さてどうするのか?

と、思ったら。井伊直弼の屋敷に乗り込んで、啖呵切るんですよ。
将軍になってやる、徳川はお前のもんじゃない、って。

ヤンキー漫画なら、カッコイイのかもしれない。
相手の学校に乗り込むなり、高圧的な教頭のもとに乗り込むなりして、こういうこと言うのはカッコイイのかも。

しかし、本作はヤンキー漫画じゃないんですよ……。

 

MVP:岩瀬忠震

ハリス相手に一歩も退かない交渉術、見事です。
橋本左内も舌を巻くその知性。ドラマには出ませんが、多くの方に知っていただきたい活躍です。

日米修好通商条約の真実と岩瀬忠震~ハリスを圧倒した凄腕の交渉人が幕臣にいた!?

 

総評

今週は、もう……無茶苦茶で。

すごいですよ。政治的ではない場面が描かれてもつまらないけど、政治的局面にいくとデタラメばかりで、ストレスが半端ないのです。

先週の感想で、文句ばっかり言っている江戸の政治話でもまだマシ、と書いたんですけど……やっぱり、どっちもダメですね。
ダラダラと引き伸ばすホームドラマかなのか? 史実を踏んづける政治ドラマなのか?という感じで。

こんなにスローペースなのに、早送りしたような政治展開は、一体何なのでしょうか。

 

蛇足1:暗殺とは誰の手段なのか?

本作は「謎の男の正体は実は!?」パターンを使いすぎだと以前指摘しましたが、また同じパターンを繰り返すことがあるとわかりました。

それは「暗殺または暗殺未遂」です。

当時珍しくもない乳幼児の死を安易に「暗殺だ!」と結びつけるのも問題ですが。

ホイホイと大名やその子息クラスを暗殺できると思っているあたり、当時の規範が全然わかっていないで、
「暗殺計画とかおもしろそ〜っ!」
と思っているのが丸わかりですね。

大体において井伊直弼が暗殺する動機はありません。
確かに、彼からすれば一橋派は邪魔です。

ただ、彼の思考としては、
【国難に対して一致団結して当たるべき局面で、勝手に自分たちに有利な政治を行おうとする、そういう一橋派は許せない】
なのです。

島津斉彬なり、一橋慶喜なりを暗殺したら、薩摩藩士や水戸藩士は黙っていないでしょう。それこそ内戦に突入し、日本はバラバラになる可能性がある。そんなリスクのあることをするはずがないのです。

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もう一点。
暗殺というのは、誰が取る手段でしょうか?

答えは、権力を持たざる者の手段です。

織田信長明智光秀を殺そうと思えば、寝首を掻くような面倒なことをせず、切腹を言いつければいいだけです(実現可能であったかはさておき)。
ところが逆の立場となると、不意打ちで寝首を掻くしかないのです。光秀のほうが、立場が下だから。

そういう追い詰められた弱い者の反撃だからこそ、「義挙」とみなされ、窮鼠猫を噛んだという爽快感もあるわけです。
幕末には、権力者を手に掛けることを「天誅」とみなして正義の鉄槌であると見なす者も多かったわけです。

権力を持っている者は、暗殺なんてまどろっこしいことをしなくても、処刑を命じればよいだけ。
井伊直弼は幕府の中枢で権力を有している以上、権力でいくらでも叩き潰せるわけです。

実際に彼は「安政の大獄」で、そうするわけです。

脚本家はそこまで考えずに、暗殺はただ卑怯者が取る手段だとでも考えているのでしょう。
だから、
「井伊直弼って卑劣でしょ~、西郷どんの大切な人を暗殺しようとするのよォ~」
とでも言いたくてこんなプロットにした気がしてなりません。

歴史からすれば、むしろこのあと西郷どんの仲間、序盤で健気な姿を見せた中村半次郎あたりが暗殺を本当に実行に移すことになるんでしょうけど。
そこをまるっきり無視して、でっちあげた井伊直弼により暗殺計画をやるつもりだとしたら、さすがに悪どい。

 

蛇足2:ファンタジーに謝って欲しいぐらい

本作があまりに史実から離れすぎているため、「大河というよりファンタジー」と評価する声があるようです。

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西郷隆盛を主人公としたNHK大河ドラマ「西郷どん」が歴史好きや幕末好きの視聴者から不興を買っている。ストーリーに史実と異なる箇所があまりにも多すぎて、もはや“ファンタジー”と化しているというのだ。(上記、アサ芸プラスより引用)

正直、これはファンタジーに失礼としか言いようがないです。

ファンタジー作品には、ドラゴン、魔法、強大な力を持つ指輪といった、現実ではありえない設定が出てきます。
ただし、だからこそファンタジー世界の時代設定に関してはむしろ厳しかったりするのです。

その世界にある規範をハズしていていたら、ただのデタラメです。
ファンタジーファンが、作品そのものだけではなく、ハリー・ポッター世界の図鑑や教科書まで熟読するのは、世界観にこだわりを持っているからです。

本作は、まるでちがう。
本作のルール違反は、ただのデタラメなのです。

郷中教育に女が紛れ込んだり、幕府の老中が刺客をしつこく放ったり、一橋慶喜が遊郭でダラダラしている。
それは世界観の破綻です。

『指輪物語』が映像化された際に、登場人物たちが指輪をはめて遊んだり、婚約指輪にしたりしたら、ファンは激怒するでしょう。

そういうレベルの、幕末という世界観の基本設定を平然と踏んづける本作はファンタジーというより、ただのデタラメご都合主義としか言いようがないのです。

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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