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西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ視聴率 第31回「龍馬との約束」

更新日:

こんにちは。武者です。

とある西郷どんレビューを読んでいたら、
「全て天子様が悪い」
という一文があり、思わず頭を抱えてしまいました。

本作の孝明天皇は史実をかすってすらおりません。どうか信じないでください。

それと、幕末大河の史実がズレることを、各藩の立場の違いゆえと思う視聴者もおられるようですが、いいえ、それだけではありません。

作品ごとに史実や悪意の量が違います。

『花燃ゆ』もトンデモでしたが、本作は最低最悪レベル。
見た後は忘れるか、信頼のおける書籍等で調べ直すことをお勧めします。

大河はドラマだから史実を期待するな――そんな声もあるようですが
「そっかー、何もかも孝明天皇がグズグズしているのが悪いんだ」
と信じる視聴者がいる以上、本作が無害とは言えないのではないでしょうか?

今週も史実との総意に激怒しながら、突っ込みます。

【31話の視聴率は11.0%でした】

 

VIP扱いの龍馬がどういうこっちゃ

今週は、西郷どんに会いたいと勝海舟がきたと思ったら、坂本龍馬の変装でした、という寒い場面からスタート。
突っ込みどころしかなくてイライラしてきます。

土佐藩士が幕臣のふりをしておとがめなし?
ユルユルですし、薩摩側のセキュリティはどうなっているんでしょうか。

あのですね、そもそも龍馬がおかしいです。

「こうてくれんかよ」
って、はぁ?

坂本龍馬は、薩摩藩に二度来ておりまして、VIP待遇です。
それというのも、他ならぬ勝海舟の【海軍操練所】にいたからです。

一度目は慶応元年(1865年)。
操練所が閉鎖された翌年のことで、小松帯刀が勝海舟から卒業生を預かるように依頼され、引き受けているのです。

もうひとつ。
薩長がらみで生々しい事件がありまして。

薩長が犬猿の仲なのはナゼか、にも通じますけど、薩英戦争のあと薩摩藩がイギリスと仲良くなるばかりか密貿易すらしていることに、長州藩士が激怒したのです。
外国と仲良くしやがって!という単純な理屈ですね。

結果、長州が薩摩の船を沈め、操船技術を持つ藩士を大量に殺したのです。
さらには、島津久光殺害予告まで散布します。

こんな調子じゃ早々に【薩長同盟】なんて結べるワケがないことはご理解いただけるでしょう。
吉之助こと西郷隆盛は、だいぶ早い段階から薩長同盟のことを匂わせておりますけど、ありえませんよね。

ともかく、こうした背景があって龍馬は薩摩に呼ばれました。
長州藩の凶行によって失われた薩摩の操船技術者を補うためです。

【関連記事】池田屋事件

こういう大事なことを無視して、先週、放送したのって何でしたっけ?
岩倉具視の家で、薩長藩士が博奕やお掃除?

いや、もう、本当におふざけも大概にしてほしい。

 

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【いくら偉くなっても家がボロい】

このあと、西郷家に来た龍馬も無茶苦茶です。

雨漏りをしていることを気にかけ修理する流れになります。
どうやら、
【いくら偉くなっても家がボロい】
そんな西郷ってスゲー!という構図ですね。

にしたって龍馬の言い草が少し気になりました。
当時の武士階級の人に、こんな礼儀作法ゼロのヤンキー漫画の登場人物みたいなことをさせてほしくない。

あと、龍馬が雑に土佐藩の身分制度を語る場面も酷いです。
薩摩藩はそんなことがないようなパラダイスのように語られるのがもうね。

これ、超基本的な知識ですけど、当時の薩摩は男尊女卑が激しいのです。

本作みたいに、男女が並んで話し合っている時点で、嘘っぱち。
身分はどうかと言いますと、来年の大河ドラマ『いだてん』の人物である三島弥彦の父・通庸は、身分によるいじめで苦しんでおります。

【関連記事】三島通庸

三島家では、父の藩内での役目が太鼓演奏者であることを馬鹿にされ、弟が切腹して死亡するほどです。
薩摩藩だって、身分制度や差別はありました。
本作は、薩摩藩のことを勉強したとすら思えません。

ついでに言っておくと、坂本龍馬の西郷家訪問エピソードは、史実の方がはるかに面白いです(以下の関連記事に掲載されています)。

【関連記事】岩山糸(西郷糸子)

絶望的に時代劇センス(というか知識)がない――それを自覚して、史実をそのまま使ったほうがよろしいのではないでしょうか。

 

そもそも異国に無茶を続けたのアナタのお仲間でしょ

そしてこのあとの西郷どんの台詞に、私はガチギレました。

「日本は今異国っちゅう雨にさらされてる。諸藩を弱らせて自分のことばっかり慶喜は考えてる」

その雨漏りを直すために幕府を潰すのか、と乗り気の龍馬。

はぁ〜〜〜?

あのですね、幕府が異国と交渉した際、それを邪魔したの誰か?
尊皇攘夷を唱え、外国人や外国に通じているとみなした連中をテロで殺しまくった、西郷どんと龍馬のお仲間ですよ。

【関連記事】
岡田以蔵
幕末の訪日外国人たちは日本をどう見てた?

一例をあげますと……。
本作のようにデタラメ好きなドラマだと、幕府が弱気すぎて結ばされた不平等条約で、幕臣が無能のように言われます。
が、幕府が提携した時点では関税に不平等さはないのです。

むしろ無謀な尊皇攘夷派がテロを起こしまくり、その結果ゴリ推しされて、明治政府も困るほど、税率を変えられています。

【関連記事】日米修好通商条約の真実と岩瀬忠震

だいたいですね。
生麦事件で外国人を殺害した結果、薩英戦争になってギリギリだった薩摩が言える義理ですか?
異国の雨の前で屋根にデカイ穴開けるような真似をしたのはアナタたちでしょ!

【関連記事】生麦事件 薩英戦争

もう、歴史認識が酷すぎてイライラしてきます。

こういう、日本のために倒幕しなきゃという話、嘘八百もよいところ。
実際には、孝明天皇の信任篤い「一会桑政権」の前で、存在感を失いつつあった薩摩が、巻き返しを狙っていたのです。

本作は西郷どんのゴリ押しだけで進むのも不条理で、実際には島津久光の意志も大きいのです。

【関連記事】島津久光

そういうのを丸無視して、倒幕すれば幸せになれるからやろうぜ!というノリ。

倒幕の結果はちょっと置いといて、江戸っ子は倒幕にブーイングだらけ。
腹一杯どころか、倒幕による餓死者すら出ております。

【関連記事】
西郷の倒幕で民は腹いっぱい食えるようになった?
江戸っ子と明治維新

 

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久光や孝明天皇の意図はドコに?

ここで二条城の徳川慶喜登場。
孝明天皇の慎重な意見で第二次長州討伐が遅れたようなことが描かれます。

えぇと……。
繰り返しますが、長州藩が大嫌いで、幕府に討伐するようせっついたのは孝明天皇なんですってば!

だからなぜ、史実を真逆にするのでしょう。
それってアレンジとかのレベルじゃないんですって。

鹿児島では大久保が、「倒幕すれば島津斉彬を超えられます」と久光を徴発し、アホそのものの久光は喜ぶ図。
久光って、イギリス人のハリー・パークスから日本屈指の政治家と絶賛され、史実を見ても極めて有能です。

本作って、本当に薩摩にとってよいドラマですか?
薩摩のお殿様を馬鹿扱いして、何がしたいんですか?

本作では朝廷を盾にしたり、はたまた、
「わがままな慶喜が可哀相な長州をいじめてアホか!」
みたいなことを言いますけど、薩摩藩が倒幕に回ったのは徳川慶喜や松平容保らの「一会桑政権」に負けっぱなしで権力から遠くなり、久光が警戒したからですよ。

それで自分たちも危険視していた長州と手を組み、政治を牛耳ろうとした。
その結果が、薩長閥が仕切る明治政府です。

島津久光や孝明天皇の意図を無視して、幕末薩摩を描こうとしている時点で、本作がいかにヤバイ意味でぶっ飛んでいるか、ご理解いただけましょう。

もう、史実を無視とかそういうレベルじゃない。
むしろ捏造する意志、下手すりゃ悪意等がなければ、ここまで酷い話にならないとすら思ってしまいます。

 

知ってます 薩摩は龍馬を知ってます

ここで、龍馬が自らを売り込み、「自分は操船力があるから雇って」と西郷どんが言い出します。

が、前述の通り、薩摩藩はとっくの昔に龍馬の実力を知っています。
勝海舟が船に力を入れていたことくらい、武士ならば常識ですからね。
そこにいた龍馬がそうなのも、当たり前でしょ。

にもかかわらず西郷どんに指摘されるまでわからないだなんて、ドラマの制作陣が
「薩摩藩ってアホの集まり」
と、見ているのと同義ですよ。

薩摩のネガティブキャンペーンなら、うまい手!
と思ってしまうほど、ビックリな描き方なのです。

本作の史実丸無視も大概ですが、登場人物の思考回路や行動パターンも、幕末の武士階級とは思えないほど下品でゆるゆるなのもキツイです。
八重の桜』の時は、武士なら武士らしく、凛々しい姿でした。

それが今や全員が『クローズZERO』から飛び出してきたよう。
いや、ヤンキー映画はそれはそれでカッコ良いものですが、本気で殺し合いをしていた当時の武士とは生きてる次元が違います。

 

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こんな調子で総責任者に任命される?

一ヶ月後、西郷どんは長州征伐を止めるために上洛しました。

このへんも必要ですかね?
長州征伐の流れからすると、おかしいですよ。

第二次長州征伐のときの西郷は、実は総責任者という超重要なポジションになって、それゆえ勝手に戦争を治めてしまいます(つまり長州を征伐しない)。
それが京都でこんな対応していたら、そんな責任者に任命されるワケがないでしょうが。

公家の中川宮が登場します。

先週も書きましたが、本作の皇族公家は重要人物以外モブ麿という描き方、ふざけすぎていますね。
幕末のこうした階層はいろいろで、将として戊辰戦争を戦った宮もおりますし、暗殺者と対峙した貴族もおります。

我々の想像よりも、はるかに骨太なのです(関連記事に詳しくありまし)。

【関連記事】意外に戦闘的な幕末の【皇族&公家18名】

まったく、本作って、どこまでこの国の歴史を馬鹿にしたら気が済むのでしょう。
皇族や公家すら踏んづけるって、勇気がありすぎる行動だと思います。

薩摩には、中岡慎太郎がやって来ました。
龍馬のおまけみたいな中岡という時点で、またコレかよ、とため息。

中岡は長州藩と懇意で、薩長同盟では長州側で活躍しております。超重要人物です。

それが薩摩側で交渉した龍馬のおまけというか、パシリ扱いって……。中岡まで侮辱するのだから、本作の侮辱ターゲットは広い。出たら負けっっすわ。

【関連記事】中岡慎太郎

 

だから最初は、倒幕のためじゃないんですって

西郷どんは下関ではなく、調停工作のために京都へ。

こうやって、当事者が動かないとダメ――というヤンキー漫画みたいな作りが痛いんだよなぁ。
国の話というより、不良高校テッペン同士の話し合いみたいじゃないですか。
決裂したらタイマンだって?

薩摩藩の人材不足にビックリです。

そもそも、なんで倒幕のために薩長同盟という流れになるんですか。
だから、それって典型的な勘違いなんですってば!

【関連記事】薩長同盟

ここでまた慶喜が酷い。
悲しいぐらいにアホ(´・ω・`)

中川宮の手紙を落として大久保を睨むって、またもヤンキー漫画じゃないですか。
つか、手紙の中身を読まれたら岩倉具視と揃って「アウト!」じゃないの?

ちなみに実際の慶喜は、そんな馬鹿じゃありません。
徳川家康と比較されるほど有能な方で、外国人からの評価も抜群でした。

【関連記事】徳川慶喜(一橋慶喜) 西郷どんの低評価っぷりを覆します!

 

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「チェストー、気張れー、チェストー!」

西郷どんが宿屋にいくと、お虎がおります。
さらには龍馬も。

龍馬は非常に険しい表情。
どうやら下関に行けないという手紙を海江田信義有村俊斎)に託したのに、彼が破棄して届かなかったそうな。

「信用、義理、人情を失った」
と嘆く西郷どん。

本作についてならば、その通りだと思いますよ。本作を信じてはいけません。

そのあとネチネチ愚痴愚痴する西郷どんを、大久保が励まします。

「チェストー、気張れー、チェストー!」

もう、こっちの気分的にはこれ。
チェスト竹書房ォ゛ーイ゛!!

「誤チェストでごわす」
「またにごわすか!」

あーあ、来週から大河ドラマ『衛府の七忍』にならないかなあ。

ってなわけで、今週は総評の前に2つほどツッコミさせていただきますね。

 

総評前のツッコミ①「型破り」でなくて「形無し」よ

ニフティにこんなニュースがありました。

『西郷どん』笑福亭鶴瓶の“岩倉具視役”抜擢に、伏線があった!?|ニフティニュース 

というのも04年の『新撰組!』、08年の『篤姫』、13年『八重の桜』と、近年の岩倉具視役がどういうわけか、お笑いジャンルのタレントが担当しているのだ。大河にこんなバラエティ枠があったとは驚きだ!

「芸人さん」が使われているということで、たしかに大河にはそういう枠がありますよね。
あの名作『独眼竜政宗』でも、いかりや長介さんが、猛将・鬼庭左月を熱演されておりました。

ただし、まっとうな大河とそうでない大河には、隔たりがあります。

まっとうな大河では、どんなに個性が強かろうが、別枠の方だろうが、その歴史上の人物の特徴を演じます。
確かにここであげられた大河でも、お笑い枠の方が岩倉具視を演じておりましたが、そこまで違和感はありません。

が、しかし!

駄作大河は、出演者で数字を取りたいため、その人まんま、モロそのまんま、コスプレのような演じ方をさせます。

『花燃ゆ』は、数字が徹底的に落ち込むと、アイドルを側室役として大量投入。
落語家さんが落語まんまのイントネーションで突如長々と喋る――そういった迷走をしており、思わず苦笑したものです。

『西郷どん』も、コレですね。

プロレスラーの長州力さんにラリアットをさせておりました。
長州という名前だから長州藩士という洒落も痛すぎました。

長州力、『西郷どん』で“リキ・ラリアット”!zakzakより

そしてこの岩倉具視も、喋り方が京都の公家とは到底思えない姿です。

【西郷どん】「鶴瓶にしか見えなかった」岩倉具視の舞台裏 | ORICON NEWS

この記事を読むと、現場がお笑いノリのアドリブを放置、脚本家が断片的な情報で適当に話を作ったようにしか思えません。
『花燃ゆ』もそうでしたけれども、「演者そのまんま」って褒め言葉にならないでしょう。

「今までにない斬新な像!」といっても、こういう場合は斬新じゃなくて、型が崩れているだけです。

型破りでなくて、形無し。

今年の大河は、こういうことばかりやらかしてます。

例えば2016年『真田丸』で名演しておられた迫田孝也さんもそうでしょう。
薩摩弁ネイティブで言語指導も兼任されている彼が、薩摩ではなく、むしろ明治政府では薩摩閥と対立した、肥前出身の江藤新平にキャスティングしたあたりも、センスゼロを通り越してマイナスです。

ネイティブ薩摩弁話者を肥前出身にするなって!
適材適所って言葉、知らんのか!

しかも『真田丸』以来、大河ファンに人気があるというのに、本作がいかに大河や大河ファンを蔑ろにし、話題性だけで乗り切ろうとしているのか、よくわかります。
こんな作りで数字が伸びないのはナゼ、とかご冗談でしょ?

それと、気になった点。
本作って脚本家さんご自身がきちんと資料当たっていますか?
時代考証担当者が、ちょっとイイハナシ、面白そうなネタを脚本家さんにご披露しているものを拾っているだけでは?

そうでなければ、ここまで歴史認識ぶっ壊れた話にならないでしょうよ。
『花燃ゆ』の時のほうが、まだ脚本家が調べていそうな雰囲気がありました。

 

ツッコミ②「朝敵認定を西郷どんが出来るのか?」

今週、こんなあらすじ説明を見かけまして。

すでに幕府を見限った吉之助は、長州は朝敵ではなく倒幕のために共闘すべき相手だと考え始めていた。

朝敵って誰が認定するのでしょうか?
孝明天皇ですよね。

幕末って、ややこしいところがあります。
孝明天皇だけではなく、長州藩と結びついた公卿が、勝手に自分こそ天皇の意志を代弁できると言い張ったケースもありますので。

【関連記事】意外に戦闘的な幕末の【皇族&公家18名】

ただ、これだけは言っておきたい。

孝明天皇を無視して勝手に長州の朝敵認定取り消す?
はっ?
まるで天皇の御意思を左右できそうな思考。もしそれをやったとしたら、ただの嘘つきですから。

長州藩が大嫌い、討伐を断固支持していたのは、孝明天皇ですからね。
本作ではナゼか騙され、自分の意志を持っていない設定となってますけど、天皇ご自身には、倒幕の意志はありません。

朝廷と幕府が連帯していくことが、目的でした。「公武合体」も、そうした孝明天皇の意志ゆえです。
曲げちゃいけない史実までガシガシやらんで欲しいっす……。

ライバルを蹴落とし権力を得る為には、ハブられている長州と手を組めば手っ取り早いから。たとえ彼らが朝敵だろうと。
西郷に朝敵認定取り消しの権限なんてない以上、朝敵だという点に目をつぶったということにしかなりません。

それなのに孝明天皇を馬鹿にする本作スタッフ。
この人たちも嘘つきで時代が時代なら朝敵ですぞ。

【関連記事】孝明天皇を知れば幕末のゴタゴタが超わかる!

薩摩美化もここまで来ると、寒々しいですね。

西郷どんとそのフレンズを美化するためなら、島津久光、徳川慶喜のような幕末きっての秀才でも馬鹿扱い。
そして孝明天皇まで洗脳扱い。

もう、人を馬鹿として描くという点では『花燃ゆ』より酷いかもしれない。
あの長州藩士も大概でしたけど。

 

総評

はい、総評です。
今日は薩長同盟前夜というところでした。

イケメンの龍馬と西郷どんが、まるでヤンキー漫画のように、対立した薩摩高校と長州学園高等部と結びつけるぜ――みたいな描き方をして何の意味があるのかと突っ込みたい。

本作の、
「史実を調べるのが面倒臭いので、ヤンキー漫画ぽくしたよ」
には、吐き気がします。

だったら普通に『HiGH&LOW』の方が面白いですよ。

※「HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION」

むしろ今週強くなった薩長同盟って、『花燃ゆ』との幕末駄作大河平成の薩長同盟ですよね?

視聴率も『花燃ゆ』と同じく一桁は見えて来ました。
前回の視聴率が10.3パーセントと最低を更新したそうです。

前々回が、
「京都と長州の民を泣かせるのが可哀相だから、倒幕(=東日本大打撃)をしよう!」
だったことを考えれば、これも予想通り。むしろ2桁あるだけマシでは?

この数字をもって、
「東が低いから西を!」
「BS先行視聴率も足して!」
という意見もあるそうです。

しかし、大河は毎年関東の数字で測るもの。その上で近年と比較すればよいだけの話でしょう。

これだけは言っておきたいのですが、今年ほど長期間にわたって番宣番組が流され、かつ豪華出演者をかき集め、トークショーはじめファンを得るイベントが行われている大河って、ここ数年ありませんからね。
トークショーは特に好評で、熱烈なファンを生み出してもいるとか。

申し訳ございません。
私はこの手のイベントに出ませんので、そのような方の心を推察することはできかねます。

出演者が一生懸命なのは理解します。
しかし、そういう熱心な出演者を人質にし、
「ホラホラ、こんなに熱心な役者を叩くの?」
と言いたげな甘ったれた制作側姿勢には怒りしかございません。私の好きな役者も、本作の犠牲者なんですよ。

いいですか、本作がチートめいたほど環境的には恵まれているのに、ここまで苦戦するのは出来が悪いから。
そこは認めて、二度とこのような失敗が起こらないようにして欲しいのです。
本当に切実です。

こんなニュースもあります。

NHK「西郷どん」視聴率ジリ貧で最低を更新!歴史好きには物足りないメロドラマ

原作・林真理子、脚本・中園ミホの女性コンビが描く「西郷どん」は、前半は「女性にとって好ましい青年たち」を描くのに一生懸命のメロドラマで、歴史スペクタクルを期待した向きからはそっぽを向かれてしまった。

だーかーらー!
この手の【女性だから駄目】という風潮も、もうヤメましょうよ。

男性原作・脚本家コンビでヌルい駄作になることもあれば、女性が骨太の歴史ものを描くこともあります。
それに本作は、歴史的に見れば女遊びをさほど好まなかった硬派な薩摩藩士が、やたらと妓楼に入り浸り、若手女優をセクシーな設定で目立たせるという、男性向けサービス要素も強い部分もあったはずです。

女性脚本家・山本むつみ氏の『八重の桜』は、傑作でした。

あのドラマは、「薩長にも義があった」と主人公たち会津側に言わせたのです。

幕末対立した両者に義があったということは、あのドラマの基本的スタンスです。

例えば、「禁門の変」の描写。
この戦いでは、孝明天皇の信頼が篤い会津藩が、長州藩を倒しました。

その惨禍の中、逃げる長州藩士・桂小五郎の姿が同情的に描かれ、街を戦闘で焼かれた京都の人々が会津藩士を罵倒していたのです。

物語の結末では、会津戦争で敵を撃っていた八重が、空に向けて銃を放ちます。
それは、敵ではなく義を重視する、会津や彼女の姿勢のようでもありました。

それと比較すると、今年は……主人公とそのフレンズがエエ人で、敵はチンピラという最低最悪の描き方です。

『八重の桜』のみならず、敵味方正義がありうるというのは、一昨年と昨年にもあった姿勢です。
そんな大河のあとで、こんな駄作が通るのはナゼですか?

そうそう、先週も倒幕で身分制度がなくなるかのような描き方がありましたね。

先々週の「民を食わせる明治維新」といい、こんなものは視聴率が下がるだけマシ。
炎上してもおかしくないと思います。

イギリス・BBCの人気ドラマに『SHERLOCK』というものがあります。
シャーロック・ホームズの舞台を現代にうつした作品です。

※BBC Sherlock (Season 1) Official Trailer 

日本でも大人気ですね。
これをきっかけに、現代設定のホームズ映像化はブームになった感すらある。
『エレメンタリー』、『ミス・シャーロック』もありますね。

※竹内結子×貫地谷しほり、史上最も美しいシャーロック・ホームズ誕生/ドラマ『ミス・シャーロック/Miss Sherlock』予告編 

この現代版ホームズ、メリットはたくさんあります。
オシャレだし、人物の性別を変えられるし、スマートフォンを片手に推理できる……実はこれだけではありません。

原典のホームズシリーズは、その時代準拠の人種はじめ、差別要素が盛り込まれてしまうのです。
それをそのまま映像すれば、視聴者に不快感を与えかねません。

かといって、出来の悪い大河ドラマのように、
「この物語の誰もが差別意識なんて持っていませんでした!」
と安っぽい美化をすれば、炎上することでしょう。現代版にすれば、そうしたリスクも回避できるのですね。

いいですか。
幕末は150年前です。
戦国だと四百年前です。

その当時、現代の差別への忌避感情や、正義、人権意識からみて、満点を出せる国家や政府なんて、存在しませんでした。

ですから、そうした時代を描く作品は、良識的で勇気があれば、そこを通ります。
例えば映画版『SHERLOCK 忌まわしき花嫁』は原作と同じ時代背景ですが、当時あった女性の人権迫害がテーマとして選ばれています。

ですから、その時代設定が舞台であれば、斬首や虐殺、差別や掠奪も、描かれてこそ正しいのです。
こうした設定を生かしたシェイクスピア作品が何度も映像化演劇化され、人気を集めています。

現在、世界一人気があるとされるほどのHBOのドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の魅力も、そのあたりにあります。

この作品は、シェイクスピアを意識した部分もあるという中世欧州レベルの残虐劇ゆえに、
「なんて酷いんだ!」
「こんなもん見せ付けおって、こんなんトラウマもんや!」
と視聴者に衝撃を与え続けています。

映像作品、テレビドラマでも最低最悪の展開をぶっちぎるために、視聴者は怒りつつも、怖い物見たさで見てしまうのです。

斬首、親の死体を見ろと強制される、宴会で虐殺、生きたまま焼死、まとめて爆殺。
そんな残酷な要素がなければ、本作はここまで人気が出なかったことでしょう。

※Game of Thrones Season 7: Official Trailer (HBO) 

言いたいこと、おわかりですか?

時代劇の魅力のひとつとして、人権思想も正義も差別への忌避感もなかったころの、
【人の悪】
を描くところにあります。

出来の良い大河は、こうした現代人ならば絶対遭遇しない、厳しい状況に遭遇した際、登場人物がどんな生き方を選ぶかを見所にします。

前述の『八重の桜』は、メインビジュアルにライフルを構えてこちらを睨み付けるヒロインを起用しています。
現代女性ならばまず会わない、戦場で銃を構えることこそ見所と言い切ったわけです。

一昨年の『真田丸』は、それなりに安定した妻子との引きこもりライフを捨てて、主人公・真田信繁は大阪の戦場へと向かいました。
武士だからこそ、戦うことで栄誉が欲しかった。そんな理由で、安定した暮らしを捨てたのです。

彼がまだ若い頃、父と叔父の卑劣な暗殺を見せ付ける場面からは、このスタッフの「こういう残酷劇についてこい!」という、強い引き込みを感じたものです。
ファンはこうした場面に文句をつけるどころか、この大河は本物だと引き込まれたものでした。

ちなみに『真田丸』のスタッフは前述の『ゲーム・オブ・スローンズ』について強く意識していたそうです。
納得です。
彼らはあの作品がナゼ人気なのか、しっかり理解していたわけです。

翌年の井伊直虎も、この点で成功したと言えます。

視聴率だけ比較して、去年と今年を同程度と言いたげな意見も時折見かけますが、番宣や特番等の宣伝量を比較すれば、今年の方が圧倒的に気合いが入っていることをお忘れなく。

そんな昨年の『おんな城主 直虎』には、ここ数年の大河で屈指の話題となり、視聴者にトラウマを植え付け、涙を流させた名場面がありました。

ヒロインが、心通じ合う幼なじみであり家臣である小野政次の胸に、処刑のために槍を突き刺した場面です。

そこまでギリギリ、ありえないほど厳しい決断と悲劇こそが、大河の見所という認識あってこその、あの場面でした。
昨年も、戦国だからこそ迫られる辛い決断を、見所としたわけです。

ところが、今年ときたら……。

臆病で偽善的な駄目な大河は安直に、戦国だろうが幕末だろうが、主人公周辺は現代人と同レベルの人権思想と差別への忌避感を持っていたとねじ曲げます。

メインビジュアルも、主人公がにこやかに笑っているだけ。
主役が笑いを浮かべたメインビジュアル大河って、気をつけたほうがよい、そんな法則が言えるかもしれません。
戦う決意よりも、スマイル重視ってことだもの。

ヒロインが薄ら笑いを浮かべ、イケメンにおにぎりを提供するメインビジュアルの時点で、大河ファンを絶望させた『花燃ゆ』。
西郷どんが、謎の薄ら笑いを浮かべてトランポリンジャンプしているメインビジュアルの『西郷どん』。

やる気ないでしょ?
視聴者を、その時代ならではの、辛い決断を向き合わせる気、ないでしょ?
時代劇ならではの魅力を、ドブに捨てた時代劇なんて、受けるわけがないんですよ。

案の定、ゆるいデタラメばかりを主張し、明治維新を嘘っぱちだらけにする。

本作の描き方は、150年前に成立した倒幕と明治維新によって、現代の差別への忌避感情や、正義、人権意識からみて、満点を出せる政府が生まれたかのように描きます。
こんな嘘っぱちを垂れ流して、炎上が怖くないんですかね?

先週も突っ込みましたが、本当に明治政府が真っ平らで平等な身分政策をしましたか?

日本に生まれながらも、ルーツが先住民だからと、差別された人々がいます。
幕臣や佐幕藩出身者は、二級市民扱いを長いことされました。
戦前日本領とされながら、その国出身者は生粋の日本人ではないからと差別された人々がおります。

そもそも明治政府の特徴は、出身地で露骨に差別する「藩閥政治」ですよ。

それが、明治維新のおかげで人は身分によらず、平等を実現したって?
こんな描写は、到底許せるものではないばかりか、大嘘です。

今年の大河チームは、明治維新150周年を、大嘘をつきまくるには最適のタイミングだとお思いなのでしょうか?
それじゃ数字が出ないのも、無理はないことです。

明治維新への賛否は両方あります。
どちらを主張しても自由です。

ただし、『ゲーム・オブ・スローンズ』がヒットするこの現実世界では、明治維新でみんなハッピーですと主役以下ヘラヘラ笑うドラマはヒットしません。
視聴率が一桁になってもよいから明治維新礼賛ドラマを作りたいのであれば、仕方ありません。誰がそんなことで喜ぶのか、私にはわかりませんが。

嘘をつけばつくほど。
維新に反対した勢力を馬鹿にすればするほど。
それで燃え上がる炎上を楽しんでください、としか言いようがありません。

※『西郷どん』のストーリー上では、すでにかなり歪んできました「薩長同盟」についての史実は、以下の記事で説明しております

【関連記事】薩長同盟(さっちょうどうめい)で倒幕の約束はしてない!ではなぜ長州と薩摩は手を組んだ?

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ご覧いただければ幸いです!

この歴史映画が熱い!正統派からトンデモ作品まで歴史マニアの徹底レビュー

著:武者震之助
絵:小久ヒロ

 

【編集部より】

西郷どんのここが好きだ!

西郷どんのここが嫌いだ!

という作品に対するご意見を、コメント欄にご自由にお書きください。

多様性は大切です。
『西郷どん』に対する好き・嫌いはすべて尊重いたします。

作品・歴史についての是非を語り合う話としてください(著者への意見がある場合は【問い合わせ】からご一報ください)。

互いを尊重し合う議論は大歓迎です。
異なる意見でも問題ありません。

ただし、コメントを寄せられた他者への攻撃や批判等はすべて削除します。
判断基準はこちらの感覚です。
作品に対する意見に見せかけ丁寧に描かれた、他の作品支持者・作品批判者に対する攻撃等も削除します。




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では、また来週よろしくです!

 



-西郷どん感想あらすじ

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