『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ視聴率 第35回「戦の鬼」


小御所会議スタート

このあと、王政復古の大号令。
明治天皇の幼い顔は見せないあたりは、まぁ、しゃあないか。

小御所会議で山内容堂が、慶喜を呼べといいます。

「まだ若い天皇を操って好き勝手してんじゃねえよ」
と言われ、岩倉が逆ギレ。

ここでみんな、幕府に寛大な処置を望む意見が多いと語られます。

御所門前に西郷どんが立っているから射殺しろと松平容保らがいい出します。
このドラマ、会津に何か恨みでもあるのでしょうか?

慶喜が切れるのも意味不明です。

「御所に銃を向けるなどできぬ」
おう。それ、禁門の変で長州藩がやってたけどな。
本作ではあの事件、何もかも会津が悪いみたいになってたけどな。

禁門の変(蛤御門の変)
禁門の変(蛤御門の変)はなぜ起きた?孝明天皇が長州藩の排除を望む

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それにしても、慶喜を全て知っているはずの西郷どんがバカすぎてお話にならないっちゅうか。
全部知っていると言うわりには、水戸徳川家の天皇への忠誠心とか、まるっと無視

ここで「短刀一本あれば事足りる」と西郷どんがいいはります。

史実準拠にするなら、先週から残酷キャラにしちゃダメだよ。キャラが変わりすぎていて意味がわからない。アナキンがフォースの暗黒面に堕ちるところなんか、フラグあったでしょ!!

 


結局、小御所会議もヤンキー漫画になっていた……

このあと、形勢が逆転と説明されるんですけど。

逆ギレしたり、短刀でぶっ殺す宣言でまとまっただけですよね。

これを美談にするってどういうこと?
緊迫感とか史実を無視しすぎて、小御所会議までヤンキー漫画の高校生レベルだよ。

このあと、西郷どんが慶喜を脅す夢の場面が最・低!!
いちいち顔をつきあわせないと盛り上げられないのかよ。

『八重の桜』が恋しくなることはわかっていた。
しかし、『花燃ゆ』までまさかマシに思えることがあるなんて、と思っていると幕末が流れてゆきます。

慶喜もとっとと大阪へ逃げます。このあと江戸まで高速で逃げるよ~。そして……。

大阪で、江戸城の火災について聞く慶喜。

江戸っ子を殺しまくり、篤姫をキレさせた薩摩御用盗も、結局は、本質を描かれません。

ともすれば目的のために美化されるような雰囲気さえ漂っていて、庄内藩による薩摩藩邸焼き討ち(というか砲撃にパワーアップ)を描きます。
江戸の民まで犠牲になった――と語る西郷どん。

ん?
んんん?
江戸っ子は、庄内藩と会津藩が大好きだったんですよ。

ガチで嫌われていたのは薩摩藩士。
江戸っ子を! 殺しまくったのは!! 庄内ではなく、薩摩サイドの人間だよ!!!

 


なんで薩摩隼人がこんなにぬるいんだろう?

本作がナゼ関東で視聴率が低いって?
何もかも東日本が悪いんだもんと幼稚な責任転嫁をして、東日本の民を殺すことをシューティングゲームの的かゾンビ映画のゾンビみたいに描いたら当たり前でしょ。

ラストで慶喜が「必ず勝つ!」とかいうのも意味不明。
慶喜は、江戸城内の主戦論派をなだめて、処分すらして、勝海舟らと和睦に持って行こうと努力していました。

史実を真逆に描いて何がしたいんですか?
本当にナゾです。
慶喜がフランスに日本を売ろうとしたうそまでまた持ち出すし。

「大戦を前に喜ぶなんてドン引き」と言われても、カッコつけてニヤニヤしている西郷どんが最低すぎる。
信吾もぬるい。

なんで薩摩隼人がこんなにぬるいんだろう?
偽善者、嘘つき、ぬるい、バカ。ただの最低集団にしか見えないです。

「戦の鬼になってしまった、西郷どん」
はいはい。もうええわ。

 

【総評】

今週のよかった点:薩摩御用盗を出した
今週の最低最悪だった点:庄内藩に謝罪せよ

先週の時点で、何もしていない薩摩藩邸を庄内藩が焼き討ちにするんじゃないの、と予測しました。
ところが斜め上を行く展開。
砲撃にパワーアップされた上に、江戸っ子を殺しまくったことにされていて、流石に激怒しています。

SNSで検索をかけたら、
「幕末の庄内藩はひどい」
という、庄内藩は悪いと言う書き込みを見かけて頭を抱えてしまいました。

いや、江戸っ子に人気があったのは、新徴組で警備をしていた庄内藩と、京都を守っていた会津藩です。
江戸っ子を殺したのは、暴れまくった薩摩御用盗。
煽るだけ煽ってコントロール出来なかった西郷の責任も大きいでしょう。

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本作ではしつこく「ええじゃないか」をさせますけど、それはあくまで西日本のみ。
江戸っ子は、会津と庄内に期待を寄せていたのです。

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「江戸が見たくば会津へござれ、いまに会津が江戸になる」
という流行唄があったほど。

庄内藩を悪役にしたことには、強い怒りを感じます。

庄内藩の名将・酒井玄蕃は、戊辰戦争でも正々堂々と戦いました。占領された場所ですら、庄内藩将兵の振る舞いがあまりに人道的であったため、喜ぶ民がいたと伝わるほどです。

そんな庄内藩をダークな悪役にしおった本作。

駄作大河として悪名高い『天地人』は、長谷堂合戦をスルーしたことで山形県民を失望させました。
放映後の舞台地トークショーでも、容赦ない質問が浴びせられたとか。

んで、今回の庄内藩貶め……NHKの大河チームは、山形県民に恨みでもあるんですか?
もう、芋煮鍋で煮られてしまえっ!

 


考察:脚本家が一人だから一貫性がある?いやいやいや

【それでも『西郷どん』は、『花燃ゆ』と違って脚本家が交替しないから、話に一貫性がある。そのぶんだけでも本作はマシ!】
そんな擁護を見かけます。

一年という長期スパンで描く歴史ものならば、脚本家交替はそこまでマイナスでもない、むしろ個人的には取り入れてほしいものです。

『八重の桜』や『坂の上の雲』ですら、脚本家が複数おりますからね。
『ゲーム・オブ・スローンズ』はじめ、海外の長期スパンドラマならば、むしろ脚本家のチーム体制は当たり前です。
まぁ『花燃ゆ』の場合は、そういう狙って交替したわけではないから、ちょっと別ですけれども。

んで、本作。いつから一貫性を感じておりましたか?

「将軍継嗣問題」であれだけ熱心に推していた徳川慶喜をゲスなバカに描く。
あの問題で協力していた越前・松平春嶽の扱い。

ソレより何より、
「内戦で同じ日本人を殺すのは悪いんだーーー!」
と連呼していた主役の変貌ですよ。

「内戦で慶喜をぶっ飛ばさないと駄目なんだーーーーー!!」

ダブルスタンダードっていうか、もう完全におかしい。
せめて内戦を起こすことへの苦悩もあればいいのに、振り切って「戦の鬼」(ドヤ)と言い出しています。

ここまで主役が変貌する話の、どこに一貫性があるというのでしょう?

本作の脚本家について言うのならば、『花燃ゆ』で最終バトンを受け取った、アンカーの作風によく似ております。

それまでの脚本家は、史実を描きたい葛藤を微かに滲ませることがありました。
あの作品のあと、時代劇で秀作を書いた方もおりますし、せめてもの抵抗があったのではないかと。

それがすっぽ抜けるのは、アンカーがバトンをキャッチしてから。
あの戦国ワースト大河候補、直江兼続主役なのに慶長出羽合戦をすっ飛ばした『天地人』の脚本家氏になってからでした。

私は、本作の脚本家人選の鍵はこのへんにあると思いますね。
大河脚本家という名誉が得られるのであれば、史実を完全無視しても心が痛まない、そういうタフネスさで選んだのではないでしょうか。

『花燃ゆ』アンカーは『天地人』、今回は『花子とアン』で。
史実を土足で踏んづけてでも書き上げると実証されておりますからな。

 

新キャスト

次々にキャラを登場させては消費していく本作。
新たに出演者が発表されました。

明治天皇…野村万之丞さん

別府晋介(べっぷ しんすけ)…篠原悠伸さん

山県有朋(やまがた ありとも)…村上新悟さん

大隈重信(おおくま しげのぶ)…尾上寛之さん

三条実美(さんじょう さねとみ)…野村万蔵さん

ざっと注目人物だけ挙げてみました。
この中で大隈重信は、来年の『いだてん』にも登場します。

大隈と言えば早稲田や政治家のイメージが強いので、幕末~維新の過渡期をどう描くのか?
今回の興味はそこになりますが、どうせだったら慶應義塾の福沢諭吉も出せば、ねぇ。

福沢は中津藩から幕臣になったという経緯の持ち主。
スマートな慶応ボーイというイメージなんかゼロで、かなりぶっ飛んだ武士であります。

美味しいネタは史実にいくらでも転がっているんですよね。


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著:武者震之助
絵:小久ヒロ

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【参考】
西郷どん感想あらすじ
NHK西郷どん公式サイト(→link)等

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