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その日、歴史が動いた

「ブッダと同じ日に死にたい」と詠んだから命日が1日ずれた平安の名僧・西行【その日、歴史が動いた】

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僧侶というとひたすら質素倹約で生真面目な方を想像しますが、実は「おいおいおい」とツッコミたくなるような方も結構います。
例えば百人一首には恋の歌がたくさん納められていますが、その中には僧侶が詠んだものも多いのです。
実際に僧侶が恋愛をしていたわけではなく、歌の中だけのお話なのでそういうことも認められていました。
とはいえ、結構生々しくエ□スを漂わせている歌もあったりして……。
お坊さんといえど人間ですから、人情もありますし恋心の予測くらいはついたんでしょうね。これも慈悲の心ということでしょうか。
が、世の中には慈悲の真逆を行った名僧もいました。
2月15日は西行忌です。

かねてから西行は「願はくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃」と詠んだ通り、釈迦入滅の日である2月15日に死ぬことを望んでいて、その通りになった……といわれていますが、実は微妙なズレがあります。
西行が亡くなったのは文治六年(1190年)の2月16日なのです。
もっとも釈迦入滅の日も15日だか16日だかよくわかっていませんので、もしかしたらこんな微調整をしなくても合致していたかもしれませんが。
むしろ西行の意を汲んだ人々が「この日にお弔いをしてあげよう」と決めた深イイ日といったほうがいいですかね。

この場合の「花」は桜のことです。
旧暦の2月ですので、新暦に置き換えるとほぼ3月半ばになり、ちょうど桜の咲く頃合だったというわけですね。
現代では「桜」というとソメイヨシノですが、これは江戸時代に出てきたものですので、恐らく西行が指したのはヤマザクラでしょうね。こちらは古くから奈良の吉野山に植えられていましたので、都出身の西行は間違いなく知っていたでしょうから。

現に、東北の平泉を訪れた時に束稲山の桜をみて

「聞きもせず たわしね山の 桜ばな 吉野の外に かかるべしとは」(山家集)

聞いてないよ!吉野の桜のほかにこんなにすごい桜あるなんて(ダチョウ倶楽部)

ところで生前の西行はどんな人だったかというと、意外にも?人間くさい逸話がいろいろ残っています。
西行の俗名は佐藤義清(のりきよ)といい、武家の出身でした。しかも代々御所の警備を任されていた、いわば生まれつきエリートになることが約束されていたようなお家です。
なぜそんな人が仏の道を進んだのか、はっきりしたことはわかっていません。
しかし、出家の時には4歳の娘を蹴り落として出て行ったといいますから、よほどのことがあったのでしょう。でも虐待ダメ絶対。

「友人の死にショックを受けた」「失恋した」などいろいろ説はありますが、妻子のいる身だったとするとどちらもちょっと無理があるような……。

出家後は気の向くままに旅をし、これと思った場所に腰を落ち着けてはまた旅に出るという暮らしをしていたそうです。
日本各地に「西行戻しの○○」と名のつく所がありますが、どこも概ね”地元の子供に言い負かされて引き下がった”というちょっと情けない出来事があった場所だそうです。あれだけ綺麗な歌を読める人にしては意外というかなんというか、全て真実だったとしたら何回同じようなことをやってるのかと聞きたくなるところです。

西行の名が今に知られているのは、歌の美しさわかりやすさに加えて、こうした人間くさい話がいろいろ伝えられているからなのでしょうね。

崇徳上皇が無念のうちに亡くなった後は慰霊に行ったり、弘法大師の足跡を辿ったりと、僧侶らしいこともしていますが。

ちなみに西行の命日が本当に旧暦2月15日だった場合、ちょっと興味深いことになります。
この日は、以前当コーナーでご紹介した熊谷直実(平家の美男子殺して出家)一遍(お坊さん)の誕生日でもあるのです。(もちろん年は違います)

ただの偶然といえばそれまでですが、お釈迦様はもちろん仏教徒と強い縁のある日なんでしょうかね。




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長月七紀・記
参考:http://ja.wikipedia.org/西行
   http://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/saigyo.html




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