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その日、歴史が動いた

全天で最も輝くシリウス発見! 天体・神話から見る日本人の価値観アレコレ

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空を見上げると良いストレス発散になるそうです(例によってどこで見た話だったか忘れてしまいましたが・・・)。
昼であれば青という色自体に鎮静効果があるといわれていますし、夜なら夜で星の鋭い光や、冷たくも柔らかい月光にも似たような作用があるのでしょうね。あるいは、確実に存在する「異世界」を垣間見ることができるからでしょうか。
「珍しい天体現象が見られそうだ」というニュースが出ると、普段興味のない方も何となく空を見上げてしまうのもそういう理由なのかもしれません。

というわけで(どういう)本日は歴史に出てくる天体のお話です。
1862年(日本では江戸時代の文久二年)、シリウスの伴星(ばんせい)・シリウスBが発見されました。
シリウスとは全天で一番明るい恒星(自ら光る星)のことです。伴星とは恒星にお供のように寄り添って見える星で、シリウスの他にもいくつか確認されています。
そしてより明るく見えるほうを主星と呼び、二つあわせて連星ともいいます。

ハッブル宇宙望遠鏡で撮影したシリウスA(中央)とシリウスB(左下)/Wikipediaより引用

ハッブル宇宙望遠鏡で撮影したシリウスA(中央)とシリウスB(左下)/Wikipediaより引用

 

厳密に言うと太陽が一番明るい恒星のハズですが・・・

「二つで一つなら明るくなるに決まってるじゃない! ずるい!」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどの場合は主星のほうが明るいので、合計しても他の星を大きく凌駕するようなことはありません。シリウスの場合はそれが顕著で、ぱっと空を見上げたときに「シリウスだ!」と思ったら、まず間違いなく主星のほうしか見えないでしょう。そのくらい伴星のほうは小さくか弱い光なのです。
無理やり歴史関連の言葉で例えるとすれば、将軍と江戸の町人くらいでしょうかねえ。

とはいえ天文学の世界だと「光の速度で一年かかる距離」=光年という単位を使うので、地球からは二つの星がすぐ側にあるように見えても、実際はものすごく離れているというケースが珍しくないのですが。
もっと極端に言うと、「地球から見えているのは何百年も前の光である」=「地球から見えるタイミングでその星が存在しているかはわからない」なんてこともありますし。

太陽も恒星の一つなので、厳密にいえば地球から見て一番明るい恒星は太陽ということになります。が、それだと当たり前すぎるのでシリウスが全天で一番ということになっています。屁理屈っぽいですが気にしない気にしない。

NASA-によるシリウスAとシリウスBの想像図/Wikipediaより引用

NASAによるシリウスAとシリウスBの想像図/Wikipediaより引用

シリウスはその明るさゆえに昔の人々もよく目にしていたはずですが、案外というか何というかあまり神話や伝承の類がありません。南アメリカのドゴン族という民族に、西洋人が見つけるよりはるか前からシリウスBの存在を示唆していたとされる神話がありますが、はてさて。
でもナスカの地上絵といい、南アメリカには”何か”ありそうですよね。オカルトっぽいですけど、個人的にはロマンの宝庫な気がして大好きです。
このまま話を続けると完全に理科の世界になってしまいますので、歴史のほうへ戻しましょう。

 

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天照大御神もいいけど月読命もね

日本人にとって縁の深い天体といえばやはり太陽と月。
最もエライ神様が天照大神=太陽なのですから当然といえば当然ですが、その割に月の神様である月読命(つくよみのみこと)の話がほとんど忘れられているのは不思議なものですよね。多分太陽のほうが影響力が強いと見られていたからなのでしょうけども。

もしかしたら「天岩戸」の話のとき、月読命は片隅で「私だって光ってるんだけどな(´・ω・`)」なんて思ってたかもしれませんねえ。当時は「月は太陽の光を反射している」なんてこと誰も知りませんし。
これで「天照大神が隠れたとき、月読命もまた力を失った」とか書いてあったら「その時代にそれ知ってたの!?( ゚д゚)ポカーン」みたいになって面白いんですが。
というか姉弟の争いというかドタバタに関して、月読命は何もしなかったんでしょうか。「八百万の神が集まった」ってことはその中にいたと思うんですけども。そりゃ忘れられるわ。

天照大御神/Wikipediaより引用

天照大御神/Wikipediaより引用

 

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源平合戦の最中に日食で源氏ガクブル、平氏はウマー

まあ与太話はそのへんにしておきまして、この二つが関わる天体現象といえばやはり日食や月食。
天岩戸も日食を元にしていると言われていますので、有史以前から日本人が特に日食を「てぇへんだてぇへんだ!」と思っていた可能性は高そうです。
記録上確かかどうかがはっきりしないのですが、卑弥呼の亡くなった年とその翌年にもあったので、日本ではよりそのイメージが強まったようです。

正確な記録上は推古天皇=飛鳥時代が最初で、それから毎年日食の予測をしていたとか。年々ある程度確実に予測できるようになっていったようで、「源平の合戦の最中に日食が起き、源氏は混乱したが平家は一門の中に予測担当者がいたので平気だった」なんて話があります。出典が物語なので真偽にはハテナがつきますけども。

他に凶事の前触れと思われていたのは彗星で、縁起が悪いとか病気をもたらすとか、「今のお偉いさんがダメだから神様が起こってるんだ」とかいろいろ言われていたようです。科学の発達していない時代の自然現象はだいたいそう受け取られていますから、彗星に限った話でもないのですが。

ちなみに「暴れん坊将軍」でネタになったことがあるそうで、何度か再放送されているとか。何それ見たかった。
一部分だけ動画サイトに上がってましたので、ご興味のある向きはどうぞ。

【ニコニコ動画】『暴れん坊将軍』で江戸にアレが衝突する驚愕のシーンが放送された件


……まあいろいろツッコミどころが多いのはともかく、多分パニックぶりはこんな感じだったでしょうね。
史実を無視しているのに謎の爽快感が残るという意味では神回じゃないでしょうか。どうせならこのくらいやってほしいものです。

 

枕草子「星は昴、彦星、宵の明星が良い」

さて、ここまで凶事の前触れ云々ばかりだと「日本人は空に嫌な思い出しかないのか」としてきますが、恒星に対しては素直に美しさを称えています。

一番有名なのはやはり「昴」の愛称でお馴染みプレアデス星団です。枕草子に「星は昴、彦星、宵の明星が良い。流れ星も少し趣がある。尾を引かなければもっといいんだけど」(意訳)という記述があります。
自分だって裳裾(もすそ)を引いているくせに、星が尾を引くのはお気に召さなかったようです。星ごときが人間様と同じ姿になるなんてけしからんということでしょうか。なるほどわからん。

原文というか古語では流れ星のことを「夜這い星」といって、女性の下に通ってくる男性になぞらえていたようなので、未練がましいとかそんな印象があったのかもしれません。全然忍べてないというか、燃え尽きちゃアカンやろという気もしますが。

彦星は七夕伝説のアレですが、星としてはわし座という星座の中にあるアルタイルのことです。こちらも全天で12番目というなかなかに明るい星で、平安時代も肉眼でよく見えたと思われます。
男の彦星を挙げておいて、それより明るい織姫(こと座のベガ、全天で5番目)を褒めないあたりは女性だからでしょうか。色からしてもベガは青白い=プレアデス星団と似た色ですので、そういうわけでもなさそうです。男勝りで知られる清少納言の女性らしさが表れて……るんですかね。

清少納言/Wikipediaより引用

清少納言 枕草子絵巻/Wikipediaより引用

宵の明星は夕方に見える金星のことで、西洋では「天使のトップが堕落して悪魔の王様になった」とされるルシファー=サタンの象徴として忌み嫌われていましたが、日本ではそんな概念がないので親しまれていました。
海洋生物への反応と並んで、日本と西洋の考え方が真逆に近いことがよくわかりますねえ。宗教も絡んでくるので一概には言えませんけども、「泳いでるやつはだいたい食べ物」な日本ってよく考えるとすげえ価値観だ。

民間伝承と同じく、星や天体に関する記録や神話もそれぞれの民族の価値観や歴史をうかがえて面白いものです。
そういう意味では、社会科と理科の勉強を同時にできていいかも?

 

長月 七紀・記

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参考:シリウス/Wikipedia 連星/Wikipedia 明るい恒星の一覧/Wikipedia

 

 





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