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フランス その日、歴史が動いた

人類初の輸血は「羊の血」から しかも350年も前にフランスで成功していた

更新日:

 

人を救うということは尊い行為です。
宗教的・精神的・肉体的などさまざまな方法がありますが、いずれにせよ大切なことには変わりありません。

本日はその中でも、最も直接的な(?)人助けに関わるとある医療のお話です。

1667年(霊元七年)6月15日は、フランスの医師ジャン=バティスト・ドニーが輸血を世界で初めて成功させた日です。

輸血っていかにも難しそうですが、もう350年近く前からあったものなんですね。

ジャン=バティスト・デニ。なんだかマッドサイエンティストの雰囲気も…/Wikipediaより引用

 

15世紀頃から犬同士の輸血も行われていた!?

実は、輸血そのものは15世紀あたりから試みられており、これより前にも犬同士の輸血の成功例はありました。
そのためドニーの発想そのものは斬新というわけではありませんでした。彼がスゴイのは、「羊の血を人間に輸血して成功させた」ということです。

ですが、これはたまたま被験者が拒絶反応に耐えることができたからであって、「動物の血が人間に良い」ということではありません。そりゃそうだ。
というか、19世紀に入ってから「ソレ、まずいって!」ということが証明されたので、その後、人間を含めた異種動物間の輸血は行われていないと思われます。多分。

人間同士の輸血が成功したのは、ここから約150年ほど後のイギリスでした。
しかし、当時は血液型という概念がなかったため、不適合による拒絶反応や、衛生面の問題で亡くなる人も多かったといいます。
また、血液はそのままだと固まる性質を持っていますので、それを防ぐことも重要でした。これは20世紀の始めごろに抗凝固剤という薬が開発されたことによって解決しています。第一次世界大戦に間に合ったのは不幸中の幸いでしたね。

現在、輸血用の血液には、目的によって必要な成分のみを残したものやそのままの状態のものなど、いろいろなタイプがあります。

が、有効期間は一番長いものでも採血から一年程度。
そのため、街中の血液センターではいつも「ご協力をお願いします!」という呼びかけがされているわけですね。
協力する側・される側の安全のため、いろいろ条件はありますが、条件をクリアしていて気が向いた方はぜひ協力してあげてくださいね。

 

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血を出す治療法「瀉血」 その歴史はかなり古く……

さて、ここで「血」というものに関する歴史について見てみましょう。
実は輸血以外にも、血液に関係する治療法があります。

「瀉血(しゃけつ)」です。

現在では「メディカルカッピング」とも呼ばれているので、聞いたことがある方もいらっしゃるでしょうかね。
これは、人為的にある程度の量の血液を対外に排出させ、体内の有害物をなくして体を治そうという治療法です。元祖デトックスといえばわかりやすいでしょうか。
一説には古代ギリシア時代から存在していたともいわれている、とても歴史の長い治療法です。

しかし、それだけ古いということは化学も医学も発展していないわけですから、当然のことながら多くの問題がありました。
頭痛の改善にこめかみを切開するといったアレなやり方が多く、感染症を起こして亡くなる人もたくさんいたそうです。12世紀には危険を感じたローマ教皇が瀉血禁止を命じたといいますから、かなりの犠牲者がいたのでしょうね。

が、近代ヨーロッパの王侯貴族でも、瀉血をしたという記録はたくさんあるので、教皇の命令を忠実に守った人がどれほどいたのかというと……(´・ω・`)

中世ヨーロッパで行われていた瀉血の様子/Wikipediaより引用

海を越えたアメリカでも、ごく最近まで「瀉血しかしない」という医師もいたほど、万能な治療法だと思われていたようです。初代大統領ジョージ・ワシントンの死因は瀉血による失血死ではないかという話があるくらいなので、やりすぎる医師が珍しくなかったのも事実でしょうね。
医療ミスってレベルじゃねーぞ!!

とはいえ、瀉血は全くダメな方法というわけではなく、多血症の一部など、現代医学でも効果が認められている病気もあります。
肩こりや更年期障害に効くという説もありますが、血を大量に失うことは間違いないので、貧血その他で調子が悪い人はやめたほうがいいかもしれません。
ワタクシは血液検査ですら気を失いかけたことがあるので、試す勇気がありませんgkbr。

欧米では近代まで瀉血治療が行われておりました/Wikipediaより引用

 

血は生命か、それとも穢れか

さて、医療行為から少し離れてみると、「血」というものに対しての認識が古今東西でずいぶん変わっていることがわかります。
大きくわけて、生命力の象徴として食べるか、穢れとみなすかのどちらかのようですね。

前者の代表例は、ブラックプディングをはじめとする家畜の血を用いたソーセージでしょう。
ヨーロッパやモンゴル・中国・朝鮮半島の一部など、広い範囲でみられます。
全体的に見ると、寒冷地に多いことになるわけですが、本能的に栄養不足を補おうとしたのかもしれませんね。

また、北極圏の先住民族については、アザラシなど獲物の血を飲んでビタミン類を補ってきたともいわれています。
もちろん、ビタミンの存在が知られたのはごくごく最近のことなのですけども、本能の力ってスゴイですね。

血=汚れと見なす文化圏もこれまたたくさんあります。
我らがニッポンでも、神道ではごく普通の怪我から女性の月例イベント、出産に至るまで、血のかかわるものは全て穢れとみなされました。
よく平安時代の文学で「お産のため宮中の女性が実家に帰りました」という話が出てきますが、あれは実家で世話をしてもらうためというより、穢れだから宮中にいてはいけないという意味合いが強いんですね。

 

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宗教によっては非常に細かい規定も

ヒンドゥー教でも「血=不浄」と考えられ、三大宗教のうちイスラム教とユダヤ教でも血はNGなものとして教えられています。
この二つの宗教は血だけでなく、食についてものすごく細かい規定がありまして、全部挙げるときりがないので割愛しますね。ご興味のある方はググる先生へどうぞ。
どちらも乾燥地域で生まれて広まった宗教ですし、ユダヤの人々は放浪せざるを得ない歴史を歩んできたゆえに、食=グルメ=贅沢を禁じる目的でそうなったのかもしれません。

こうしてみると、温帯~熱帯・砂漠地域では血が忌避される傾向のような気がしてきますね。においがきつく感じるからでしょうか。
例外と思しきものもいくつかありますが、これ以上詳しく書くとグロすぎるのでここらでやめておきましょう。

歴史では事件や人物を扱うことが多いですけれども、こうした特定のモノに対する認識や進歩を比べてみるのも面白いですね。

長月 七紀・記




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参考:輸血/Wikipedia 瀉血/Wikipedia 日本赤十字社

 

 




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