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イギリス その日、歴史が動いた 女性

英国王家の歩む道を決めたアン王女 本人は17回妊娠するも跡継ぎは残せず……

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以前にもお話ししたような、していないような気がしますが、君主として成功する人には二つのタイプがあります。

一つは、誰が見てもわかりやすいリーダータイプ。自らの才能をもって、政策や軍事をガンガン執り行うような人です。アレクサンドロス大王やピョートル大帝などが当てはまるでしょうか。行動派ともいえますが、一歩間違うと独裁者にもなってしまいます。

そしてもう一つは、実務を臣下に割り振り、舵取りをするタイプです。地味ではありますが、適した人物に仕事を与えるというのも重要な役目ですよね。参謀タイプともいえましょうか。

人気なのはやはり前者の人ですが、後者として成功を収めた人もたくさんいます。地味だけど。本日はその一人と思われる、とある女性君主のお話です。

1665年(日本では江戸時代・霊元五年)2月6日は、後にイギリス女王となるアンが誕生した日です。

イギリスには「女王の代に栄える」というお約束というかお決まりというか、ジンクスのようなものがあります。エリザベス1世やヴィクトリア女王がいい例ですね。
まあ、他にもアレなイギリス女王はいるのですが……アンは恐らく、その中では一番目立たない人ですね。でも、実は彼女、現代のイギリスにとって重要な立ち位置にいます。
どんな点なのか。彼女の生涯と共に見ていきましょう。

アン王女/Wikipediaより引用

 

デンマーク王子と結婚し、なんと17回も妊娠

アンは、当時のイギリス王家の次女として生まれました。姉がメアリー2世(過去記事:デキるオランダ人が協力した無血の「名誉革命」 そのとき新たな騒乱の種も蒔かれていた)です。
小さい頃から勉強よりも体を動かすほうが好きだったらしく、乗馬なども好んでいました。
そのおかげか体は頑丈で、デンマーク王子の一人・ヨウエン(結婚後ジョージと改名)と結婚してからは、なんと17回も妊娠しています。仲が良いってレベルじゃねーぞ!

しかし流産や死産が多く、無事に生まれた子も一人として成人しませんでした。
これもある意味すごいですね。丁重に扱われるはずの王家の子供ですらこれですから、庶民は言わずもがなというところでしょう。

アンは「ブランデー・ナン」と呼ばれるほどのブランデー好きだったそうなので、妊娠中にも飲んでいた可能性は非常に高いですが……。
当時は「妊娠したらお酒はダメ」なんて概念なかったでしょうしね。

加えてアンは「抗リン脂質抗体症候群」という病気を患っていた可能性があるといわれています。
血栓ができやすくなるという難病で、妊娠した場合に胎児へ栄養が供給されず、やはり不幸な結果になることが多いとされているものです。
不幸な偶然が重なってしまったんですね。

 

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元首相チャーチルやダイアナ妃の祖先にあたる人物登場

しかし、姉のメアリー2世にも子供ができなかったため、比較的早いうちから彼女自身も次期国王とみなされていました。
そのためでしょうか。「とある有能な人物」が姉によって投獄された際、強固に反対して絶交したことさえあります。いずれ自分の下で働いてもらいたかったのでしょう。

やがてメアリー2世とその配偶者・ウィリアム3世が亡くなると、いよいよアンが女王として即位します。そして、獄から出されて雌伏していた「とある有能な人物」を、スペイン継承戦争のイギリス軍司令官に抜擢しました。

ジョン・チャーチル――。イギリス首相を務めたウィンストン・チャーチルや、ダイアナ元皇太子妃の祖先にあたる人物です。

アンは上記の通り勉強が嫌いで、自分に政治や軍事を取り仕切る器量がないからこそ、有能なジョンのような人物を掬い上げたのでしょう。
もしくは、ジョンの妻とアンが親しかったので、メアリー2世やウィリアム3世よりも、ジョンの人柄を詳しく聞くことができたのかもしれません。

そして、彼女の素晴らしいところは、自分のお気に入りばかりを贔屓しなかったことでしょう。

 

イングランド王になる条件 「王位継承法」を制定

内政は、アンの代まで5人もの王に仕えたシドニー・ゴドルフィンという人物に任せ、戦時にはジョンと協力させて政治をうまく取り仕切らせておりました。

そうです。アンは国家の舵取りだけは上手な女王だったのです。

しかし、それだけでは国を保てません。上記の通り、実子が一人も育たなかったことで、彼女は別の対策を練らねばなりませんでした。
早くしないと、血縁をタテにしてカトリックの王族がしゃしゃり出てくる恐れもあったからです。
詳細は割愛しますが、イングランドは王様がカトリックかプロテスタントかで散々モメたことがあるので、「また繰り返してたまるものか!」というわけでした。

そこで、アンは新たな法律を作ります。現在のイギリス国王にも大きく影響している、「王位継承法」です。そのまんまですね。
この法律に関わる人名がものすごく多くてややこしいので、テキトーに割愛すると「プロテスタントかつ、王族ステュアート家の一人・ゾフィー(英語名ソフィア)の血を引いていないとイングランド王にはなれません!!」という内容です。
このゾフィーに行き着くまでの血縁がめんどくさ……複雑なので、ご興味のある向きはググる先生にお尋ねください。

 

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晩年は棺が正方形になるほど太った!?

当然のことながら、時代が下れば下るほどゾフィーの血を引く人物も増えるので、現在のイギリス王位継承者を名乗れる人がン百人もいるというわけです。
今ではたぶん三位くらいまでで何とかなるでしょうけれども。

まぁ後世の事情はともかく、これによってアンの時代からカトリックの王が立つことを禁じ、ひとまず危機を脱することができました。
アンの次には、ゾフィーの息子ジョージ1世がイギリス国王となり、ハノーヴァー朝が始まります。ドイツの地方名と同じですが、これはゾフィーの嫁ぎ先=ジョージ1世の実家からきているのです。

その後、時勢によって王朝の名前は変わりましたが、現在のイギリス王家も元をたどればジョージ1世やゾフィー、そしてステュアート家に行き着きます。
アンは血筋を残すことこそありませんでしたが、現在のイギリス王家の道筋を決めたことになるんですね。

そうした意味でも、やはり「上手な舵取り」をした人と見るのが良い気がします。

何もかもうまく行ったわけではないですし、晩年には自分の体重をコントロールできず、亡くなったときには棺が正方形になるほどだったそうですが。どんだけだよ!

長月 七紀・記




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参考:アン_(イギリス女王)/Wikipediaより引用

 

 




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