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恐るべき実力と歴史の伝書鳩 紀元前から20世紀半ばまで現役で一次大戦での通信成功率はなんと95%だった

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人間一度くらいは「空を飛べたらいいなあ」と思いますよね。某猫型ロボットのテーマソングでも「空を自由に飛びたいな♪」と歌われてますし。
未だに生身に近い状態での飛行は人間には不可能ですけれども、「飛ぶ生き物」を利用する技術は紀元前から存在していました。
本日はとある生き物を利用した、通信手段のお話です。

明治二十年(1887年)3月23日は、旧日本陸軍が伝書鳩の実験に成功した日です。

飛ばした区間は東京~静岡・久能山で、これ以降日本で平時・戦時の連絡に伝書鳩が使われるきっかけとなりました。

【TOP画像】伝書鳩/wikipediaより引用

 

紀元前3000年頃に中近東で始まった

昨日のラジオの話(詳細はコチラ)と比べると、通信方法としてはかなり文明レベルが落ちるように思えますが、そう捨てたものでもありません。
伝書鳩による通信は、紀元前3000年頃の中近東で使われ始めてから、20世紀の中頃まで現役だったからです。
現在でも「レース鳩」として愛好者がたくさんいますしね。

伝書鳩という概念が生まれた頃は、漁船から漁の成果を連絡するために使われていたそうです。これは、伝書鳩……というより、鳩の特性をよく理解した使い方でもあります。
というのも、伝書鳩は「鳩は帰巣本能が強いので、巣に帰るついでに手紙を持って行ってもらおう」という仕組みになっているからです。
つまり、巣のある場所への連絡はできるが、巣から他の場所に飛ばしたり、知らない場所を渡り歩く(飛ばす)ことは不可能ということになります。
伝書鳩の存在とともにこの性質も広く伝わったらしく、古代ギリシアのポリス間であるとか、ローマ帝国時代のローマと地方間などの連絡には、盛んに伝書鳩が使われました。

 

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撃ち落とすためのショットガンまで配備されるようになり

伝書鳩はやがて、戦場での連絡にも使われるようになります。

空には人間の手は届きませんから、人間がこっそり伝令をするよりも安全だと考えられたのです。「敵の伝令を捕まえて情報を引き出す」というのは、戦争をテーマにした創作作品の中でもお馴染みですものね。
19世紀の普仏戦争では、パリがプロイセン軍に包囲された際、パリ市民たちは熱気球を使って一度鳩を外に運び出し、他の国々に状況を伝えたとか。

第一次世界大戦でも、伝書鳩は盛んに使われました。各国で数十万単位の鳩が飼われており、通信成功率は95%にも登っていたそうです。

しかし、対策もいくつか出てきていました。伝書鳩を撃ち落とすためのショットガンが配備されたり、鳩を襲わせるために鷹を離したり、情報戦(物理)も行われていたといいます。
現代でいえば、電話線や海底ケーブルの切断のようなものでしょうか。

第二次世界大戦の頃には、鳩を通信手段以外にも使おうという動きが出ていました。
イギリス議会では、「鳩に、文書ではなく爆薬や生物兵器を持たせたらどうか」なんて案が出たこともあります。否決されたので実現に至らなかったのは幸いでしたが、実際に使われていたら人間にも鳩にも多くの犠牲が出たことでしょう。
まあ、当時はどこの国も動物兵器を使ったり考えたりしていましたからね……その辺のお話は以前していますので、よろしければ併せてどうぞ→過去記事:カエサルが変えた戦術の革命!ファルサルスの戦いは騎兵攻略がポイント

米軍が用いた軍用鳩/wikipediaより引用

 

しまいには小さなリュックを背負わせた伝令犬まで登場

また、鳩の他に犬も通信に使われることがありました。小さなリュックサックのようなものを背負わせ、その中に文書を入れて運ばせる「伝令犬」というものです。
しかし、鳩は猛禽類に襲われたり、磁気の影響で帰巣本能が乱されることがあり、犬は銃撃・砲撃に怯えてしまって役目を果たせないということも度々起きていました。
第二次世界大戦ともなると銃火器がかなり発達していますし、人間ですら爆音や戦況でのストレスでノイローゼになることは珍しくないですからね……。

また、旧日本軍では「移動鳩」という特殊な訓練を受けた伝書鳩がいたといわれています。上記の通り、伝書鳩は基本的に帰巣本能を利用したものですが、移動鳩は「戦場に設置された移動式の鳩舎に戻ってくるよう、しつけられた鳩」でした。つまり、鳩舎を持ち運べればどこでも連絡が取れた……かもしれないわけです。
日本で伝書鳩の研究が始まったのは、上記の通り明治時代。ということは、第二次世界大戦時では「伝書鳩」という概念が伝わってからたった数十年しか経っていなかったはずなのですけれども……よくそんな訓練法を考案できたものです。

しかし、この訓練法は記録が少なく、ロストテクノロジーと化しています。軍事利用されていたものですから、教本がGHQに接収されてしまったか、自主的に処分してしまったのでしょうか。

「鳩は絵を見分けることができる」「タッチパネルの操作ができる」など、最近は鳩の知能が優れているという研究結果もいくつか出ています。ということは、もっと鳩の特性が理解された上で、通信手段が限られるような状況になったら、伝書鳩が重宝する場面がまた来るかもしれません。
そんな日が来ないほうがいいですけれどね。

長月 七紀・記




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参考:伝書鳩/wikipedia 軍鳩の友

 




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