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その日、歴史が動いた 明治・大正・昭和時代

『山月記』や『李陵』の中島敦はパラオで代表作を執筆! 小説家だった期間はわずか数ヶ月だった

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生前よりも死後に評価される人、というのは一定数いますが、実際にどの人がそのパターンなのか……というのは、あまり知られていませんよね。
有名所ではモーツァルトやゴッホなどでしょうか。むしろ、彼らが生前評価されていなかったということを知って、驚いた人のほうが多そうですね。

言うまでもなく彼らはヨーロッパ人ですが、日本にも死後評価された人はいます。
本日はその一人、特に高校生以上の人がよく知っているであろう、とある人のお話です。

明治四十二年(1909年)5月5日は、作家の中島敦が誕生した日です。
『山月記』の作者として有名な人ですし、いかにもこの時代の作家らしい丸眼鏡をかけた写真がいくつかありますので、ご存じの方も多そうですね。
本日は彼自身の生涯と、他の作品についても少しみていきましょう。

 

江戸時代までは駕籠職人 祖父の代から漢学に目覚める

東京都新宿区で生まれた中島は、家庭の事情により、幼少期~青年期は国内外を点々としておりました。
中島家は江戸時代まで駕籠職人を営んでいたのですが、中島の祖父が「こんな仕事嫌だ! 漢学で身を立ててやる!」(※イメージです)と一念発起して以来、漢学に強くなったそうです。
中島が後々「山月記」などの漢語調な作品を得意としたのもうなずけますね。

17歳の頃帰国し、第一高等学校(東大教養学部・千葉大医学部&薬学部の前身)に入学しました。
が、在学中に胸膜炎(肺の外側にある胸膜という部分が炎症を起こす病気)を発症。
胸膜炎そのものが単独で起こるよりも、がんや結核などの後に起こることが多いそうなので、おそらくは結核の後に胸膜炎になったのでしょう。この頃から喘息など、呼吸器系の病気に悩まされていたようですし。

その後は東京帝国大学・大学院という国内トップの学校を卒業し、国語・英語教師として私立横浜高等女学校(現・横浜学園高等学校)に赴任。女学校で若い男の先生ときたらさぞモテモテだったのではと思われますが、中島は8年程度で休職の後、辞職しています。
別にそういう方面のトラブルがあったわけではなく、胸膜炎になって以来体調を崩すことも多かったそうですから、おそらくは体調悪化により職を諦めざるをえなかったのではと思われます。

 

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『山月記』や『李陵』はパラオで執筆

退職後、数ヶ月間は静かに過ごしていたようです。

そしてそのうち、お上から「パラオで教科書作る仕事してきて」と命令が下りました。
パラオは16世紀にスペイン人に統治された後、ドイツに売却され、第一次世界大戦の後は国際連盟から「日本が統治しておk」と言われていたため、中島の時代には日本の海外領土扱いになっていたのです。

南洋の気候は中島の体に合ったのか、後に中島はパラオを始めとした南洋の島々を舞台とした小説もいくつか書いています。「山月記」や「李陵」といった漢語表現の多い作品が有名なので、ちょっと意外な感じもしますね。

個人的には「環礁」と「光と風と夢」がいいなあと思います。

「環礁」は中島がミクロネシアにいた頃の紀行文のようなもので、小説よりもとっつきやすいかもしれません。途中にR15くらいのところがありますが、たぶん中島の文体を中学生以下の人が読むことは少ないでしょうから、結果オーライということで。
「光と風と夢」は中島と同じような(?)、病気の西洋人のお話です。熱帯のほうが調子が良い、母国に帰ることなど考えられない、という風変わりな人で、「環礁」で描かれているような体験が活かされた作品と思われます。

当然戦時中&仕事で行っていますから、楽しいバカンスや療養とは行かなかったようですが、9ヶ月のパラオ赴任は、中島の作家としての良い土壌になったのではないでしょうか。

 

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小説家だった期間はほんの数ヶ月!?

戦況の激化により帰国した後、デビュー作である「山月記」、上記の「環礁」「光と風と夢」他多くの短編小説を発表しました。特に「光と風と夢」は芥川賞候補にもなっているので、当時の分断では活躍を期待されたことでしょう。
が、中島本人は同じ年の12月に喘息が悪化して亡くなってしまいました。つまり、中島が「小説家」だった時期は、ほんの数ヶ月だったことになります。

それが今や教科書に掲載され、ほとんどの日本人に知られているような存在になったのですから、人間の運命とはわからないものです。
こういうネタになるくらいですし。

【怒ってた猫が急に話しかけて来たけど、どうやら李徴だった】

まあ、ネタにされるがいいかどうかは別として……作品がここまで知られたことを、中島はあの世で喜んでいるでしょうね。
彼の作品は青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で読めるものも多いですし、興味を持たれた方はぜひ「山月記」以外も読んでみてはいかがでしょうか。

長月 七紀・記

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参考:中島敦/Wikipedia 山月記/青空文庫 光と風と夢/青空文庫 環礁/青空文庫

 





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