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その日、歴史が動いた 江戸時代

日本人には絶対欠かせない調味料の王様「醤油」 いつ頃から広まった?

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皆様、ラーメンのスープは何味がお好きですか?
某メーカーのお菓子「きのこ・たけのこ」や、おまんじゅうの「こしあん・つぶあん」ほどではないにしろ、好みは色々と分かれましょう。ラーメンにおいてそれが“戦争”にならないのは、味だけでなく麺の太さや、そもそものダシなど、他にも関わる要素が多いからでしょうかね。
本日はその一角を成すであろう、調味料のお話。

10月1日は「醤油の日」です。

料理の「さしすせそ」の一員でもあり、食卓には欠かせない存在ですよね。最近は減塩のために控える、という方も多そうですけれども、いったいどのようにして、今日のような存在になっていったのでしょうか。

【TOP画像】醤油/wikipediaより引用

 

「醤」(ひしお)は「何かを漬け込んで作る調味料」

醤油の「醤」(ひしお)という字は、元々「何かを漬け込んで作る調味料」という意味があります。中国料理で使う豆板“醤”などもそうですね。

醤自体は紀元前8世紀ごろから中国で作られており、日本でも弥生時代には「醤」とつくさまざまな調味料が存在していました。
肉醤、魚醤、草醤など、さまざまなものを漬け込んだ醤があったようです。ただし、肉醤と草醤はそれぞれ肉や野菜の保存食とみなされていました。

このうち、魚醤は「しょっつる」や「ナンプラー」などで現在も有名ですね。においはキツイものの、独特のコクやうまみでハマる人も多いのではないでしょうか。
また、中国から伝わったものは「唐醤」と呼び、区別していたようです。調理する食品や、個々人の好みで使い分けていたのかもしれません。

日本史の授業でおなじみの「大宝律令」に、醤を扱う「主醤」という官職名が書いてありますので、この頃までには醤が主要な調味料の一つとして認識され、製造法も確立していたようです。

また、醍醐天皇の時代の法律である「延喜式」には、大豆から作れる醤の割合が記されていました。この時代には既に京都で醤を製造・販売する業者が複数いて、産業として成り立っていたことになりますね。
平安中期に作られた辞書「和名類聚抄」にも醤の記述があります。

 

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味噌を原型とする説が2つ

その後、どのような変遷を経て現在のような「醤油」になったのかは、諸説分かれていて決定打がないようです。
味噌を原型とする説が2つほどありますが、「仕込み方を間違えた」「上澄みをすくった」という程度の違いなので、あまり大差はないかと。

また、奈良の興福寺多聞院の記録「多聞院日記」の1576年の記事に「唐味噌を絞り、固形分と液汁分が未分離な唐味噌から液を搾り出し、唐味噌汁としていた」という記述があります。
これを真ととらえるのであれば、後者の説が強くなりましょうか。

「たまり」という呼び方は、慶長八年(1603年)の日葡辞書に「たまりは味噌から取る非常においしい液体で、食物の調理に用いられる」と出ています。
少なくとも戦国末期には、南蛮人が存在を知ることができるほど生産量や用途が増えていたのかもしれません。この頃は堺産の物が名産とされていましたし、何かの機会に存在を知る機会はあったと思われます。

 

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千葉県野田が一大生産地となった理由は?

さて、江戸時代に入ると、江戸の人口増加にともなって、上方で作られたたまり醤油が江戸へ輸送されるようになりました。
しかし、需要が多すぎて生産・輸送が追いつかなくなり、1640年頃から「これ、江戸でも作れるんじゃね?」と考えられます。そこでたまり醤油の製造法を改良して、関東で「こいくち醤油」が作られるようになりました。
「ないなら工夫して作れるようにしよう!」は日本のお家芸。現代の諸々の予算もその方針でお願いしたいものです。

江戸生まれの醤油は、当時の料理として有名な寿司・蕎麦・うなぎの蒲焼きなどにも用いられております。量産できるようになったからこそ、これらの料理も発展したといえるわけです。
もし、こいくち醤油が作れなかったら、関東でもだしをより重視した料理や、味噌味が人気になっていたのかもしれません。

野田(現・千葉県北西部)で醤油製造が盛んとなったのは、塩や穀物といった原料が調達しやすかったということもあり、それが現在の最大手メーカー・キッコーマンまで続くわけです。
ちなみに、もう一つの大手メーカー・ヤマサ醤油も本拠を置いているため、千葉県が醤油生産全国一位となっています。

 

「関東はこいくち、関西はうすくち」なのは江戸中期から

では二位は?

と、これが意外(?)にも兵庫県だとか。おそらく「うすくち醤油の発祥が兵庫県だから」という面が影響しているかと思われます。
うすくち醤油はこいくち醤油より20年ほど後に作られるようになり、江戸時代の中頃から京都にも流通しました。
これによって「関東はこいくち、関西はうすくち」という構図ができたのでしょう。

さらに、天明元年(1781年)には山口県で甘露醤油というものが作られました。「再仕込み醤油」「さしみ醤油」ともいわれているものです。ちょっと甘くてとろみがあるアレですね。

ちなみに、味噌も江戸時代あたりから各地の人の好みを反映し、いろいろな種類ができています。味噌汁が広まったのも江戸時代です。
それまで上流階級のものだった「食文化」が、江戸時代になって庶民も楽しめるものになった、ということでしょうね。

江戸時代は飢饉や冷害の多い時代でもありますが、その合間の期間には、さまざまな醤油や味噌によって作られる料理が、多くの人の心を慰めたのでしょう。「衣食足りて礼節を知る」ともいいますし、もし食文化が発展していなかったら、儒教も広まらず、もっと殺伐とした時代だったかもしれません。
ご飯は大事。

明治時代に入ると、日本の文化はいろいろと否定されることも増えましたが、政府は「醤油は生活必需品」とみなし、「醤油税」を課しました。これは大正時代まで続いたのですけれども、字面がシュールですね。
地方によってずいぶんと税収が変わってきそうです。

 

あのフランスの太陽王=ルイ14世も好んでいたって!?

現在では日本食ブームにより、外国でも醤油を愛好する人が多いとか。
実は江戸時代からオランダ東インド会社を通して、ヨーロッパへ醤油が輸出されていたそうですよ。
中でも、太陽王ことルイ14世は醤油を好んだといいます。

どのように使われたのかはっきりしないのですが、江戸時代の将軍と同じように、王様は毒味や調理場からの運搬のため、時間が経って冷めた料理しか食べられなかったので、自分で&食卓で、味を調整しやすい醤油を好んだのかもしれませんね。コクや香りも楽しめますし。
例によって勝手な予想ではありますが。

最近では、作家のクライヴ・ウィリアム・ニコル氏のエピソードがなかなか面白いです。
ニコル氏は日本に来た頃、醤油が大のお気に入りになったそうで、極地探検の際イヌイットに紹介したところ、彼らの間でも大フィーバー。イヌイットといえばアザラシ・セイウチ・ヘラジカなどが重要な食料ですが、これらに醤油が合うのだとか。
味の想像がつきにくいですけれども、日本国内でも鹿刺しなどで醤油を使いますし、ジビエ一般に合うということでしょうか。

最近は減塩・無塩醤油や、酸化しにくい作りの容器に入ったものもありますし、これからも長くお世話になる調味料の一つでしょうね。

長月 七紀・記

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参考:今日は何の日?徒然日記 醤油/wikipedia 醤/wikipedia C・W・ニコル/wikipedia

 





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