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その日、歴史が動いた 明治・大正・昭和時代 寺社・風習

靖国神社に祀られる戦死者が「英霊」と呼ばれるのは日露戦争の頃からです

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夏休みが近づいて参りましたね。そろそろ予定を決めている方も多いかと思いますが、皆様はいかがでしょうか。
旅行で遠出するのも良いですが、お休みが短めの方や、そもそも夏休みがない……という方は、近隣で今まで行ったことがないところを訪れてみるのはいかがでしょう?
特に、神社仏閣や博物館・美術館などは、木陰や屋内で涼みつつ、興味深いモノやエピソードなどの発見があって面白いものです。
本日はその候補として、東京のド真ん中にあるあの場所のお話をご紹介します。

明治二年(1869年)6月29日は、東京・九段坂上に幕末以来の戦死者を祀る”招魂社”が造営された日です。現在の靖国神社となります。

毎年いろいろな意味で話題になる施設ですが、その始まりや経過については、あまり大きく取り上げられませんよね。一応、毎年記事やニュースで少しは出てくるのですが、いかんせん右とか左の話のほうが圧倒的に多く……その辺の話はちょっと置いておき、今回は成り立ち+αを見ていきましょう。

 

戊辰戦争後の戦死者たちが祀られている

招魂社が作られたのは、上記の通り明治の最初期。日付からしても、戊辰戦争の最終局面である箱館戦争が終わった直後です。
戊辰戦争の話題では旧幕府軍側の被害がよく知られていますが、もちろん明治政府側の戦死者も多くいました。

明治政府としては、新たな国の礎になった人々を手厚く葬らないと、格好がつかないわけです。会津などで旧幕府軍側の死者の埋葬をしばらく許さなかったのも、格差をつけるためという面があったでしょうしね。
実際の遺体は家族や軍に任せるにしても、政府として何か特別扱いをしなければなりません。

そこで、新しく皇居となった、かつての江戸城のすぐ北に、戦死者を祀る社(やしろ)を作ったわけです。
ですので、現在の靖国神社にも遺骨や棺はありません。境内の別の場所に遺品などはありますが、それはまた後ほど。

祀られている対象者は、主に「戊辰戦争~第二次世界大戦、そして戦後、東南アジアなどの独立戦争に参加した人々」です。
軍人の戦死者・戦病死者が一番多いのですが、準軍属とみなされる人々も多数祀られています。

例えば、戦時徴用されて軍需工場で働いているときに空襲を受けた女性たちや、満州開拓に携わった人々、沖縄戦に巻き込まれた一般人などです。
当コーナーで挙げたものですと、真岡郵便電信局事件で自決した女性たちも含まれています。

 

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職業、性別、年齢に関わらず全てが等しく「命」です

当初、祭神は「忠霊」・「忠魂」と称されていました。現在のように「英霊」と呼ばれるようになったのは、日露戦争の頃からです。

これは藤田東湖の漢詩「文天祥の正気の歌に和す」の「英霊いまだかつて泯(ほろ)びず、とこしえに天地の間にあり」の句から取られています。
「死んだとしても、その霊はずっとこの世に留まる(そして家族や国民を見守っている)」というところが、故郷から離れた遠い戦地で、死と隣り合わせの状況にある兵を慰めたのでしょうね。

戦争に関連して亡くなった人々を対象としているため、戦後に殉職した自衛官・海上保安官等は対象外となっています。
また、維新に関わった人物でも、後に明治政府にとっての賊軍となった西郷隆盛などは対象外で、戊辰戦争の際、幕府軍に属した人も同様です。ある意味、明治~戦中までの価値観が凝縮された場所ともいえますね。

一方で、靖国神社では身分や職業、年齢・性別にかかわらず、全ての祭祀対象者に「神」を意味する「命(みこと)」をつけて呼ぶという平等さもあります。
海軍のトップだった山本五十六も、一兵士も全て「○○命」です。
境内各所の説明書きなども同様です。

拝殿で手を合わせるかどうかは個々人の自由なので、そのあたりをどうこう言うつもりはありませんが、歴史サイトとしては境内にある「遊就館(ゆうしゅうかん)」への訪問をオススメいたします。
一言でいえば、日本史の教科書をぎゅっと詰め込んだような場所です。靖国神社の祭神となった人々の時代はもちろん、古代から近代までの日本の歴史を「武」や「軍」の面から捉えた展示が多くあります。
そのため、日本刀や戦国時代の変わり兜・当世具足なども所蔵されています。

御魂祭のときの靖国神社

 

遊就館の中には興味深い展示室が

遊就館を見回る際には、近代化後の西洋式軍服や、軍人の正装、明治~昭和天皇が着用していた軍服なども興味深いポイントの一つです。
もちろん個人差はありますが、日本人の体格がだんだん良くなっていったことがうかがえます。

軍艦や兵器の模型、戦場となった場所から回収された遺品など様々なものもあり、中でも、ここでしか見られないのは英霊となった人々の写真や遺書でしょうか。
私事で恐縮ですが、実は私の遠い親戚に「太平洋上で戦死」した人がいます。当時を知る人がもういないので、それ以外のことを調べようがなく、個人的にも遊就館を訪れたいと思っていました。

なぜなら遊就館の一階に、祭神の生前の写真が集められた展示室があるのです。

遺族から奉納されたもので、1万点あるとか。2017年6月現在は受付を中止していますが、これほど集まっている場所は他にないでしょう。
「その部屋に、写真が収められている人のリストが置かれていて調べられるようになっている」と聞いてから、もしかしたらその親戚の顔くらいはわかるかと思いましてね。
知ってどうするというわけでもありませんが、好奇心を持つのに理由はいりませんし、祖父と曽祖父がめちゃくちゃ似ているので、一族全体的にこんな感じだったのかな、と思った程度です。

調べた結果、私の親戚の写真は所蔵されていないことがわかりました。
同姓の人は載っていましたが、出身地が別の県の方だけだったので、たぶん全く違う家の方でしょう。

 

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国内だけでなく世界中からも観光客

もし私と似たようなことが気になっている方は、リストを見てみてはいかがでしょうか。入館料も大人から中学生まで数百円ですし、アクセスもしやすいですし。
夏場はいろいろな意味で混み合う場所なので、それ以外の季節を狙って行くといいかもしれません。

私が行った日は西洋系と思われる親子やカップルの他、中国系っぽい若者のグループを見かけました。
日本人はご年配の夫婦や近隣(?)のサラリーマンっぽい人、歴史が好きなのかな?と思われる女子大生らしき二人連れなど、老若男女・国籍にかかわらず、さまざまな方が来ていましたよ。
学校が多いエリアだからか、参道には幼稚園か小学校低学年くらいの子供たちもいました。通学路としてこの辺を通っているようです。

ほとんどの場所で、説明書きは日本語と英語で書かれています。
すでにその歴史がある程度頭に入っているのでしたら、英語バージョンを読んで英文の勉強にするのもいいかもしれません。

また、展示場所によっては空調が直撃する場所もあるので、調節できるような薄手の羽織ものやストールがあるとよさそうです。
靖国神社への参拝時、よろしければ遊就館へ。

長月 七紀・記




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参考:遊就館 靖国神社/wikipedia 招魂社/wikipedia

 




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