阿片を吸う中国人/wikipediaより引用

中国

アヘンにみる薬物乱用と英国の恐ろしさ!ケシを吸ったらサヨウナラ

やめられないとまらない~♪

と言えば「カッパえびせん」がアタマに浮かぶ皆さま。

もっと危険なものを忘れちゃいませんか?

違法薬物ですよ、薬物。

歴史的に見てみれば、イギリスと清(中国)の間で戦争も引き起こした危ないクスリが、どれだけ恐ろしかったか。

なんとなく想像はできても、実際どれぐらい凄まじいのか、なかなかピンとは来ないでしょう。

1840年に始まったイギリスvs清(中国)のアヘン戦争は、1842年8月29日の南京条約で終了となりました。

今回の歴史診察室は、戦争をも引き起こす要因となる『アヘン(阿片)』に注目してみましょう。

 


最古の記録はなんと紀元前3000年!

アヘンはケシ(芥子)から採れる麻薬の一種です。

ケシの花が散った後の未熟な果実から出る分泌液で作られており、モルヒネを10%含有。

精製しなくても強い薬効があるため、大昔から薬として使われていました。

ケシの実

どんだけ古いのかと申しますと、紀元前3000年頃のシュメール人が残した石板に分泌液の採取方法が記されているほどです。

また、紀元前1500年、エジプトのパピルスにもアヘンの精製方法が記されているなど、まさに文明と共にその生命を育んできたのです。

ギリシャや三国時代の中国でもアヘンは用いられましたが、あくまで鎮痛剤や睡眠薬としてであり、遊興的な使用例はほんの一部だったようです。

 


ドパミンが洪水状態で快楽が止まらない

アヘンの中には、モルヒネをはじめとする『アルカロイド』という成分が含まれます(タバコに含まれるニコチンもアルカロイドです)。

モルヒネは「麻薬」に指定されている成分ですが、主に癌を原因とした痛みを和らげる薬として医療現場でも常用。

痛みを抑制する仕組みは完全には解明されておらず、脊髄において痛みを伝える神経を抑制するのが主因です。って、なんかややこしい表現でゴメンナサイね。

鎮痛作用だけなら、特に問題はないのでしょう。

ところが、皆さんもご存知の通り、モルヒネやアヘンを乱用した場合、極度な依存性が浮かび上がってきます。

なぜ人々が乱用してしまうのかと申しますと

『気持ち良いから』

です。

モルヒネは脳内でドパミン放出を抑えているGABA神経に作用し、その働きを抑制します。

平たくいうとドパミン放出のブレーキを効かなくした状態を作りますので、脳内はいつでも洪水状態。

そりゃー、もう、この上ないほど気持ちよくなるそうで(私は試したことないからわかりませんが)。

この状態は精神依存を形成し、結果、薬物が手放せなくなります。

しかもモルヒネは、やめた時の不快な身体症状(禁断症状、離脱症状)もヒドイため、肉体的にも薬物に頼ってしまう身体依存も併発。

毒性も持っており、乱用すると幻覚を見るなど、精神、身体を蝕まれて廃人に……そりゃあ禁止されるワケですな。

作用の強さは若干違いますが、モルヒネを含むアヘンの乱用も同様の経過を辿ります。

ただし、癌などの痛みの治療で用いる場合、疼痛(とううつ)下ではドパミンの遊離が抑制されているため依存性は起こりにくく(気持ちよくもなりにくく)、医者の処方の場合は心配御無用です。

ちなみに、モルヒネをエステル化して脳に入りやすくした『ヘロイン』は「ドラッグの王様」と呼ばれています。

快楽作用も禁断症状も依存性も、とにかくダントツ!

発見当初はモルヒネより依存性が少ないと考えられ「咳止め薬」として発売されたそうで……って、恐ろしすぎっ!

 


英国「売るもんがない? アヘンがあるだろ、アヘンが」

さて、ココからは歴史の話です。

ヨーロッパでのアヘンは経口で用いらていました。

一方、中国で流行っていたのが「吸引」。

実は吸引の方が麻薬作用が強く出現するため、明代末からアヘンの吸引が広まって急速に風紀が乱れ、健康を害する者が増えていったのです。

そこで清は1796年にアヘンの輸入を禁止。国内でも取り締まりを行うのですが、さして効果はあがらず、中毒者は増すばかりでした。

イギリスが「これでもか!」とばかりに密輸していたのですから、止まるワケがありませんね。

では、なぜ、世界に冠たる大英帝国が、そんなアコギな真似をしたのでしょう。

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