カリナン

カリナンⅠ~Ⅸ/wikipediaより引用

アフリカ

世界最大のダイヤ原石「カリナン」は桁違いの3106カラット!1905年の今日発見

女性の憧れ、ダイヤモンド。

その美しさゆえに多くの人が魅了され、血生臭い争いが起き、現代の日本男性にとってはプロポーズをためらう原因となっている石ですが、珍重されるようになったのは比較的最近のことだったりします。

1905年(明治三十八年)の1月26日、トランスヴァール共和国(現・南アフリカ共和国)で当時【世界最大のダイヤモンド原石・カリナン】が発見されたのもそのきっかけの一つでした。

なぜ「原石」かというと、ダイヤに限らず多くの宝石はそのままの状態だと宝飾品等に使えないからです。

掘り出したときには輝きがなかったり、別の鉱石の間にめり込んでいたりするので、周りの余分な鉱物を削ったり研磨しなくてはいけません。

ダイヤは屈折率が高い=光る=目立つため原石の状態でも比較的わかりやすいほうですが、宝石の価値が絶対的になる前は、他の宝石はただの石と勘違いされるということも珍しくはありませんでした。

 

600グラムのずっしりなダイヤモンドをバラバラに

カリナンは3106カラットというまさに桁違いの大きさでしたから、鉱夫や鉱山の持ち主を一瞬で魅了したでしょう。

1カラット=200mgですので、原石の状態で約621g。

カリナンの原石

カリナンの原石/wikipediaより引用

重さで考えると500mlペットボトル以上のダイヤ……想像もつきませんね。

実際の形状としては長さ11センチ・幅5センチ・高さ6センチだったといわれていますので、見た目の大きさとしてはもう少し小さかったようです。

しかし、この巨大な原石をそのまま研磨したのでは宝飾品として使えませんし、高価すぎて誰も購入できなかったでしょう。

その他諸々の理由もあって、カリナンは大小あわせて100個以上にカットされました。

そのうち大きなものには【カリナンⅠ~Ⅸ】という9つの番号がつけられ(TOP画像)、主にイギリスの王族が所有する事になります。

 

なぜ南アフリカのダイヤがイギリスへ?

というと、トランスヴァール共和国の政府がイギリス国王・エドワード7世(現女王のひいおじいさん)の誕生日に贈ったからです。

トランスヴァール共和国自体はアフリカにあったイギリスの植民地から独立した人々が建てた国だったのですが、カリナンが出た鉱山の持ち主(トーマス・カリナン)がイギリス人だったことが影響したのかもしれません。

現在、カリナンⅠ(別名・偉大なるアフリカの星)はイギリス王笏に、カリナンⅡは同じくイギリス王冠を飾っていて、儀式で使うとき以外はロンドン塔で展示されています。

ロンドン塔

かつては処刑場であり、今も幽霊の目撃談が絶えないロンドン塔がイギリス屈指の観光名所になっているのも、おそらくこの二つのダイヤを見たいという人が多いからなのでしょうね。

ちなみにカリナンよりも前に見つかったダイヤで名前がついているものでは「ユーレカ」というものがありまして、こちらは川辺で遊んでいた少年達が偶然見つけたのだとか。

ユーレカとはギリシア語のエウレカの英語読みで「見つけた!」という意味です。スゴさの割には何というか……ひねりのない名前……。

アルキメデスが重力と浮力のときに叫んだ言葉でもありますし、某大作RPG第三弾におけるラスダンの悪夢を思い出す方もいるかもしれません。

よくゲームでダイヤの武具がでてきますけど、そんな大きさの原石が存在したら多分戦争になってるでしょうね。

 

伝説のダイヤモンド「ホープ」

二次元の話はそこまでにしまして、ついでに歴史に関係のある宝石を並べてみましょう。

歴史で宝石ときたら誰もが思い出すのは「ホープ」ではありませんか?

ホープダイヤモンド

ホープダイヤモンド/photo by 350z33 wikipediaより引用

大きさは45.5カラット(9.1g)。希望という意味のくせに所有者を次々呪い殺したというブラックジョークにもほどがある石ですが、被害者とされている人物の中にはかなり創作が含まれているとか。

史料に初めて出てくるのは17世紀で、インド神話のシータという女性の像に嵌っていたのをフランス人が盗んだ……のではなく、インドのどこかで買い取ったそうです。

これを太陽王・ルイ14世が買い取り、約120年ほどはフランス王室の宝物庫へ。

しかしフランス革命の際盗賊に奪われ、どこをどうたどったのかイギリス商人の手に渡りました。既に当初の大きさでなく、いくつかにカットされたうちの一つとなっていたそうです。

このため「実は”呪いのダイヤ”は二つ以上あるのでは?」ともいわれていますね。怖い怖い。

1824年にはヘンリー・フィリップ・ホープという人物が所有していたとの記録が残っており、彼の孫がこのダイヤを「ホープ」という名付けることによって相続権を主張したといいます。

持ち物には名前を書かないといけませんが、ダイヤにサインするわけにはいきませんものね。

 

呪いというわりに82歳まで生きた所有者

その後ホープ家が破産した事により、さらに多くの宝石商の間を渡り歩いたようです。

結婚指輪で人気のハリー・ウィンストンも一時保有していた事があります。

鋭い方なら、ここでお気づきかもしれませんね。

世間一般に知られているホープの呪いは「所有者が次々と不幸な死を迎えた」というものなのに、彼は82歳まで長生きしている上、会社も現在まで存続しています。

ハリーは1958年にホープをスミソニアン博物館(アメリカ)へ寄贈しているため、呪いを免れたと見ることもできますが、その間9年も無事なのです。

いや、それでいいんですけど、この一点だけでも呪いについては疑問符をつけることができそうな気がしてきます。

おそらくはフランス王室が所有していたこと、ルイ16世マリー・アントワネットが非業の死を迎えたことで不吉なイメージが強まったため「”ホープ”は呪われている」と噂されたのでしょう。

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ハリー・ウィンストンの前の持ち主だったエヴェリン・ウォルシュ・マクリーンが話をかなり脚色したという説もあります。

なんせ縁もゆかりもないロシアの女帝・エカチェリーナ2世が所有したとまで言っていたそうですから、呪いの半分くらいは創作していてもおかしくありません。インド人もびっくりの想像力ですね。

ちなみにエカチェリーナ2世が持っていたのは「オルロフ」という名前のダイヤで、同名の愛人から献上されたものだそうです。

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こちらも呪いの噂が絶えない石なので、多分どこかで話がごちゃ混ぜになったんでしょうね。

「オルロフ」は現在モスクワ・クレムリンにある武器庫(という名の宝物庫)に保管されているとか。

公共機関が持ってると呪いって発動しないもんなんでしょうか。ロシアとアメリカが共倒れしたらどうなっちゃうんでしょうね。見たいような見たくないような……。

 

すんごいエメラルド「イサベル」

ダイヤばかりだとつまらんので、他の石についても少しだけ触れておきましょう。

デカイ石に名前がつくというのはここまででなんとなくおわかりになるかと思いますが、ダイヤ以外でもそういうものはたくさんあります。

例えば、スペインが中米のアステカ文明をぬっころしてしまったときに見つけたといわれている「イサベル女王」は964カラット=193gもあるエメラルドです。

エメラルドという石は「構造的には硬いはずが、何故か内側に傷ができるせいで極端に割れやすい」という摩訶不思議な性質を持っているため、これほどの大きさのまま切り出された事自体が奇跡ともいえるシロモノでした。

しかも1756年に大西洋の底に沈んでいながら1993年になってフロリダで見つかるという、呪いとは別の意味で恐ろしい石でもあります。

 

ルビーとサファイアは同じ石

ダイヤとエメラルドときたら次はサファイアとルビーですね。

実はこの二つは鉱物としては同じコランダムという石で、混在する金属によって色が変わります。

コランダム自体に色はなく、ルビーはクロム、サファイアは鉄やチタンが混ざっているので赤や青などの色に見えるのです。

クロムが混入する事は珍しいため、宝石としての価値もルビー>サファイアなのだとか。

世界最大のルビーである「Rosser Reeves Ruby」は138.7カラット、同じく最大のサファイア「インドの星」は約560カラットということなので、価値の差がうなずける話です。

Rosser Reeves Ruby/photo by thisisbossi wikipediaより引用

ルビーとサファイアはどちらもアジア圏が主な産地であり、今でも最高品質の石はほとんどタイやミャンマー、スリランカなどで産出します。

ちなみにエメラルドはコロンビア産のものが質も量も良いそうです。

大航海時代から帝国主義の頃にかけて、欧米列強がこぞってアジアや新大陸を目指したのはこうした宝石目当てでもあったのでしょうね。

紛争中のカシミール地方も、昔はコーンフラワーブルーと言われる極めて深い青色のサファイアが産出していましたので、争う原因の一つになっていると思われます。

カシミール産のサファイアはドンパチのせいなのか掘り尽くしたのかわかりませんが現在ほとんど出回っておらず、1カラット(何度も言いますが200mg)あたり1万ドル以上の値がついたこともあるそうです。

ここまでくると日本円に換算するのもアホらしく感じてきます。

ちなみに、婚約指輪は相手の誕生石(4月以外)にすると安上がr……もとい、ちょっとひねりが効いてて面白いですよね。

誕生石は国によって違いますし、中にはマイナーでも綺麗な石もありますし。

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長月 七紀・記

【参考】

『宝石の歴史 (「知の再発見」双書)』(→amazon
カリナン/wikipedia
有名な宝石の一覧/wikipedia
JewelleryHousekiMall(→link

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