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米国発・日本人論の元祖「菊と刀」とは? 「ここがヘンだよ日本人」を真面目に描いた必読の一冊

以前「ここがヘンだよ日本人」という番組がありましたが、日本史と世界史両方を知れば知るほど、「確かに」と言わざるをえない点が多々ありますよね。
バカにされると「何だコノヤロー(#^ω^)」という気にもなりますが。
本日はその辺の溝を少し浅くできそうな、とある本のお話です。

昭和二十三年(1948年)12月28日は、アメリカ人の文化人類学者ルース・ベネディクトが書いた「菊と刀」が日本で出版された日です。
有名な本ですので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんね。
筆者は女性です。本のタイトルより、こっちのほうが意外でしょうか。

ルース・ベネディクト氏/wikipediaより引用

 


黄禍論激しい時代に真正面から向き合った

「菊と刀」について批判する方も一定数いるようですが、いくつかの点を考えると、全体的に類稀な本だと言える気がします。

それは、ルースが戦時中からこの本を書いていたということです。

当時のアメリカは人種差別まっしぐら。特に日本人については黄禍論(おうかろん・黄色人種ムカつくからとりあえずいじめようぜ論)により、反感が強かった時代です。
余談ですが、中国人もこれより前にアメリカで割と無茶苦茶な差別を受けています。ひどい話や。

そんな中、ルースは日系移民への取材や、日本に関する文献を参考にこの本を書きました。インターネットもない時代に、「敵国」に関することを詳細に調べて著作にまとめるというのは、並々ならぬ努力と誠意がなければできないことでしょう。来日したこともなかったようですし。

 


藤原氏の摂関政治にまで触れている!?

「菊と刀」には、ただ単に天皇や武家、文化を並べただけではなく、日本がどの時代にどんな社会を作っていたか、どのように変遷していったのかが書かれています。
戦中から書き始められたものなので、最初は戦時中の話から始まりますが、古代に中国から大きく影響を受けたこと、藤原氏の摂関政治、武士の台頭と幕府の起こり、江戸時代から明治維新などなど、これだけで日本史のおさらいができてしまうほどの内容です。

……家康のことを”the great Ieyasu”って書くのはどうかと思いますが。ワタクシ、この原稿を書くのにIBCオーディオブックスというシリーズの朗読版を聞いていたのですけれども、グレートって聞こえた瞬間吹きました。
「海外で一番評価されている武士は家康だ」という話はたびたび聞きますが、ルースもそう思っていたのでしょうかね。
日本語が英語の中に混じったときにこれだけ違和感があるということは、和製英語を聞いた外国人も似たような気分になるのでしょう。多分。

ちなみに「忠」とか「孝」はそのまんまです。解せぬ。いや、外国人の視点だから仕方ないですかね。
家族構成や家父長制度の話や言葉の使い分けに関する話、夏目漱石の「坊っちゃん」についての話題も出てきますし、日本人が「外国から見た日本」をイメージするのにも良い本なんじゃないでしょうか。

CD付 菊と刀 The Chrysanthemum and the Sword (IBCオーディオブックス)

菊と刀

 

どうせなら原書版を英語で聞いてみても良さそうで

ルースは「アメリカ式を世界に押し付けるべきではない」とも言っていたそうなので、彼我の違いをよく理解していたのでしょう。学者さんなら当たり前……といいたいところですが、そうじゃない人もたくさんいますしね。

「菊と刀」は日本語訳も複数出ていますが、どうやらアレな訳もいくつかあるようですね。まあ、古い本だから仕方がありません。
いっそ「英語の勉強もできて一石二鳥!」ととらえ、英語で呼んだり聞いたりするのがいいかもしれません。これを取っかかりにして、自分の考えがまとまることもあるでしょうし。

IBCオーディオブックス版だとCDで2時間超ありますが、トラックが細かく分かれているので、ちょっとずつ聞くのでもいいと思います。TOEIC用の教材なので、まえがきに「細切れに聞くのはおすすめしません」(超略)と書いてありますけども、TOEIC受験にしか使っちゃいけないということもないでしょうし。
テキトーに聞き流して、知ってる単語や名前が出てきたときにニヤけるところから始めてもいいのではないでしょうか。そのうち、音読と同じ速さで単語を追えるようになってきますし。

あ、出版社様から袖の下とか黄金色のおまんじゅうはいただいておりません(キリッ)
もらってたらもっとヨイショするに決まってるじゃないですかー、ヤダー!w

長月 七紀・記

参考:菊と刀/wikipedia ルース・ベネディクト/wikipediaより引用


 

 



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