歴史ドラマ映画レビュー

ケネディの妻 その後を描いた『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

エレガントで若く美しく、知的――。

まさに最高のファーストレディとして伝説に残るジャクリーヌ・ケネディ。

しかし彼女を有名にしたのは、そうした彼女自身の長所よりも、夫の暗殺時、隣にいたという悲劇的な事件でした。

ピンクのシャネルスーツについた、夫の脳漿と血。彼女がこの悲劇にどう対処したのか。

この作品は彼女にとって最悪の日々に迫ります。

基本DATAinfo
タイトルジャッキー/ファーストレディ 最後の使命
原題Jackie
制作年2016年
制作国アメリカ
舞台清、北京
時代1963年11月22日、ケネディ大統領暗殺のあと
主な出演者ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード
史実再現度史実準拠
特徴ナタリー・ポートマンの熱演を見るべし
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あらすじ ダラスの銃弾

1963年11月22日、テキサス州、ダラス。

シャネルのピンク色のスーツに身を包んだファーストレディ・ジャッキー(ナタリー・ポートマン)は、夫のケネディ大統領(キャスパー・フィリップソン)と共に大統領専用車でパレードをしていた。

その時、一発の銃弾が大統領の頭部に命中。

ジャッキーは脳漿がこぼれないよう、必死で夫の頭を支えた。

しかし、大統領は即死したのであった。

華麗なるファーストレディは、一発の銃弾で悲劇の女性となってしまう。

 


ナタリー・ポートマン熱演の事件再現映像

この映画の出来は、主演のナタリー・ポートマンにかかっていると言えます。

優雅なファーストレディらしい話し方や仕草を身につけた様は見事です。呆然としながら夫の血を拭う鬼気迫る演技には引き込まれます。

撃たれた瞬間のケネディ大統領。

大統領専用機内でのジョンソン大統領宣誓式。

大統領のおごそかな葬儀。

こうした歴史上のイベントを再現する映像も見応えがあります。

そうはいっても、本作は何が言いたいのかわかりにくい作品です。時系列は飛びますし、ふらふらと行動するジャッキーに戸惑う観客も多いかもしれません。

結論から申しますと、同事件に興味のある方にはオススメできます。

なんせ、殺されたケネディ本人や犯人に関する映像・書籍は多い中、彼女にクローズアップしたものはなかなか無いのでは?

 


不思議の国のジャッキー

本作のジャッキーは、ほぼすべての場面において錯乱しているようにすら見えます。夫が横で死んで脳漿と血を浴びたヒロインであるからには、仕方ないことではありますが。

彼女はもう世界のどこにも安全な場所などない、と悟りました。

夫を殺したオズワルドも銃撃されたというニュースを聞いて怯え、我が子をなんとしても守りたいあまり、錯乱気味の言動をします。

安全を求めて髪を振り乱しているジャッキー。

実は彼女の姿は、遠い過去のものではありません。年がら年中、乱射事件が起きているような国。大統領すら射殺されてしまうアメリカにおいて、安全な場所とは一体どこなのでしょうか……。

なんせアメリカで暗殺されたのはケネディだけじゃありません。

・1865年リンカーン
・1881年ガーフィールド
・1901年マッキンリー
・1963年ケネディ
・1981年レーガン(未遂)

未遂事件を入れたら過去に5件。錯乱状態のジャッキーは、暗殺された大統領の名を次から次へとあげ、リンカーンにならった葬儀にしたいと思い始め、資料を取り寄せます。

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