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【「タイタニック号」生き残り貴族の言い分】
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40人収容の救命艇に乗ったのは12人だけ
もっとも、突っ込まれる素地はありました。
救命艇は40人まで収容可能だったのに、実際に乗ったのは12人でしかなかったからです。
その上、ルシール自身が当時の有名なファッション・デザイナーで、裕福な暮らしぶり(だからこそ、タイタニック号にも乗れたのでしょう)。やっかまれていた可能性があります。
当時のタブロイド紙には、こんな事が書かれたそうです。
「救命艇を漕ぐ乗組員に金を渡して早く漕ぐように命じた。その為、近海に溺れている人が助からなかった」
記事には「マネー・ボート」という見出しまで付けられたのですから、デマだとすればたまったもんじゃありませんね。
では、実際はどうだったのか?
聴取から、夫妻は救援をしようとする乗組員を邪魔した節は無かったと調査委員会は結論づけています。
しかし、救命艇が周回して乗客らを助ける事は出来たかもしれないとも見なしていたそうです。
つまり、話に尾鰭が付いて、気が付けばスキャンダルネタに化けていたという訳です。
仮に現場海域から早く去ろうとしていた事が本当だとしても、巨大船が沈没する際には周りに浮かんでいる物体が巻き込まれて一緒に沈んでしまう現象は知られていますし、そのような判断が一概に間違っているとは言えません。
ルシールは、事故後もずっと否定的な報道をされたので、夫は傷ついていたと後に語っています。
「このような例のない内容を持つタイタニック号の著名な乗客の手紙は、滅多にお目にかかれません。あの悲劇の直後である事を思えば、特にそう言えます」
RRオークションのエグゼクティブ副社長であるボビー・リビングストン氏はそう話しています。
恨みと無念の詰まった手紙という所でしょうか。
落札したら祟られるかもしれません。
南如水・記
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【参考】
リバプール・エコー紙