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今度はクレオパトラやチンギス・ハンのお食事も!『英雄たちの食卓』遠藤雅司(音食紀行)書評&実践レポート

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ダ・ヴィンチやビスマルクなど、歴史著名人たちは一体何を食べていたんだろう?

ということで、そのレシピを一冊にまとめ、現代の我々でも再現できる――として話題となった
歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる』(著:遠藤雅司/柏書房)
の第二弾が発売されました。

第して『英雄たちの食卓』(著:遠藤雅司/宝島社)。
TOP画像の表紙がそれです。

早速、第1弾『歴メシ!』からのパワーアップ点をまとめてみますと……。

・以前は時代ごとにまとめられていたレシピが、個人単位で紐付けされました
・食べたシチュエーションが想像できるのがイイ!(レオニダス1世がテルモピュライの戦いを前に食べる、マリー・アントワネットが故郷を思い出しつつ食べる等)
・前作はヨーロッパに偏りがちだったカバー地域が広がり、モンゴルのチンギス・ハン、南米のモクステマ2世レシピも登場!
・特別コラムが充実している! ベートーヴェンのこだわり偏食レシピが最高!

より具体的に、生々しく味を楽しむことができる――そんな感じでしょうか。

前作の場合、章ごとに人名はついていました。
ただし、リチャード3世やビスマルクの時代にはこういうレシピがありました、という意味であり、その人が食べたという具体的なエピソードとは紐付いていませんでした。

今回は、誰かが実際に食べていて、しかもだいたいのシチュエーションがわかるところがプラスです。

 

英雄の性格や食習慣がよりわかる

では実際に、どんな英雄たちの食卓が掲載されているのか?

気になるラインナップは以下の通りです。

・ラムセス2世
クレオパトラ7世
・レオニダス1世
・アレクサンドロス3世
・ロムルス
・カリグラ
・チンギス・ハン
・クビライ・ハン
・インノケンティウス3世
・ロレンツォ・ディ・メディチ
・カトリーヌ・ド・メディシス
・フェリペ2世
・モクテスマ2世
・エリザベス1世
・マリア・テレジア
・マリー・アントワネット

スペシャルコラム
・コロンブス
ジャンヌ・ダルク
・ベートーヴェン

いやぁ、凄まじいリストですよね。

日本はないの?と思う方もいるかもしれませんが、たとえば玄米でおにぎりを作ればいつでも「戦国武将ッス!」と主張できる一面もあり……。
池波正太郎レシピ本なんかはありますので、気になる方はトライしてみてください。

池波正太郎・鬼平料理帳 (文春文庫 (142‐34))
むかしの味 (新潮文庫)
江戸の味を食べたくなって (新潮文庫)

ともかく、本書を読んでいくと、
「偉い王様だからといつでも好き勝手に食べられたわけでもないんだな」
ということがわかります。

宗教的制約があるため、今日はあっさり魚のスープということもあったわけでして。
味わう状況を想像しながら食べることも、また一興です。

肉が駄目な金曜日でも、なんとか粘って鶏肉だけは食べられるようにしたフェリペ2世のエピソードなんて、なかなか面白いものがあります。
しかもその鶏肉料理がインスタ映えしそうなピンクなんですね。

鶏肉でピンクって何?っていう方。
是非本書をお買い求めください。

なかなかインパクトを感じるビジュアルです。

 

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味とはもっと自由なものだった

フリーダムだ!
と、何をイキナリ叫んでいるんだと思われるかもしれませんが、本書を読んでいると本当に食の自由さにハッとさせられます。

和食からは想像できないような、オレンジジュースで黄金色に焚いたお米のパイ。
ペンネパスタに砂糖というぎょっとするような味付け。
挽肉とドライフルーツを混ぜたミートパイ。
蜂蜜入りのトウモロコシ粥。

それってありなのかな、と思いますが意外と美味しそうです。

日本人の味覚に歩み寄らない歴史的なレシピというのはともかく面白そうで興味が尽きないもの。
料理とは? 食べることとは? 味覚とは? もっと自由なのだと気づかされるのです。

それと思わず膝を打ってしまったのが、トルティーヤの起源です。
言われてみれば当たり前ですが、アステカ文明起源でした。
そうか、そうだったのかと目から鱗が落ちます。

 

食卓の「格差」

巻末のスペシャルコラムもみどころです。

ジャンヌ・ダルクが初めて口にしたであろう、貴族の肉料理について読んでいると唸らされました。
歴史的なエンタメ等で出てくる料理は、たいていがその国の上位数パーセントだけが味わえる特別なものであったはず。ということを久々に思い出させてくれるのです。

この感覚は、『ベルサイユのばら』でオスカルがロザリーの出したスープにショックを受けて以来です。
珍しいハーブで香り付けた羊肉を味わい、ジャンヌは何を考えたのだろう……。
と、こんなふうに想像できるのは、本書ならではの強みですね。

味覚という観点から歴史や英雄を考えられる。
我々凡人にも辿れる軌跡であります。

 

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スパイスとハーブの可能性

本書は割と再現しやすいレシピを掲載しているものの、難易度には差があります。

食材の入手難易度も様々で、スーパーで買えるもので間に合うものもあれば、チョウザメの肉というなかなか難しいものまで。
時代のある一点から、スパイスとハーブが頻出することにも気づきました。

そう言えば世界史の授業で、
【スパイスの値段は同じ重さの黄金に等しい】
ということを習いましたよね。

今では当たり前になってしまったスパイスも、かつてはステータスシンボルであったことが実感できます。
これみよがしに何種類もスパイスを使う料理は、当時の感覚でいえば金粉を振りかけているようなものだったのでしょう。

食の価値の転換点を、自宅の台所で実感できる。
そういう、すごい一冊だと思います。

 

作ってみたレポート

恥ずかしながら実際に作ってみた料理もあります。

同時にご報告させていただきましょう。

カトリーヌ・ド・メディシスの婚礼フィレンツェパスタ

あの大金持ちで、フランス料理に変革をもたらしたカトリーヌのパスタです。
どれほど特殊なのか?
と思っていたら、現代人からするとそうでもないんですよね。

本書でも原材料費はおそらく最低ラインではと思うほど、あっさり揃います。
スーパーで材料がコンプリートできる枠なのです。うーん、意外。

このパスタの特徴は、スパイスと砂糖をふんだんに使うこと。
現代人からすれば何でもありませんが、当時は貴重な食材です。

メインディッシュでもないパスタに、ここまで貴重なスパイスをバサバサかけることに、当時の人は度肝を抜かれたのではないでしょうか。

ここでハタと気づくわけですね、当時のスパイス入手難易度に。
ああ、現代人ならば簡単だけど、昔なら私にこんなことは許されなかったんだなぁ、と。

カトリーヌ・ド・メディシスの婚礼フィレンツェパスタ

実食してみますと、ありそうでありえない不思議な味でした。
ペンネにからまるスパイスが、複雑な味わいを為しています。

シナモンと砂糖を使っているため、京都銘菓「八つ橋」を思い出してしまうかも。
現代人の食べ慣れた味とは違うものの、これもありだなと思える逸品です。

なかなか、シンプルなようで奥深いんですわ。

 

エリザベス1世の肉断ち布告中のサーモンスープ

食にこだわりのないエリザベス1世らしい、さっぱりとしたスープで調理過程はシンプルです。
ビールと水を1:1で煮込むところが面白いですね。

このスープは実にシンプルで、簡単に作ることができます。
マリア・テレジアのオリオスープとは比べものになりません。

ともかくローズマリーが大事です。
ローズマリーがない状況では作らないほうがよいと思うほど、香りがともかく重要でして。それ抜きにしたらおそらくここまで美味しくないはず。

ローズマリーとサーモンの組み合わせが絶妙で、シンプルだけど十分美味なのです。
当時の料理人がうまく考えたんだな、いいアイデアだな、と感心しました。

栓を開けた瓶ビールが余っちゃった、なんて時に作りたくなるシンプルさ。
やさしい味ですよ。

最後に。
第一弾『歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる』でもしみじみ思いましたが、こういう様々なアプローチのできる、ユニークな歴史本が発刊される状況は素晴らしいと思います。
ただ暗記したり、知識として身につけたりするだけではなく、作って食べるということで、文字通り身につく気づき、学ぶことができるからです。

そして何より、多くの文献からレシピを調べ、実際に再現して作った著者には敬意しかありません。
続編も、今から心待ちにしております!!

第一弾の書評&実践レポートは以下の記事になります。

ダ・ヴィンチやビスマルクはどんな料理を食べてたん!?『歴メシ! 世界の歴史料理をおいしく食べる』

文:小檜山青

【参考】




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英雄たちの食卓』(著:遠藤雅司/宝島社)

 



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