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【ファニー 13歳の指揮官】
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太陽の位置から時刻を知り、星の位置から場所を探る
8月。
ファニーたちは児童救済協会から、スイスへと送られることになります。
サロン夫人という女性が手はずをととのえ、ファニーは母親と別れて出立。
ところが思わぬことが起こります。リーダーの17才少年が、病気の親が気になって途中の駅で降りてしまったのです。
代わって13才のファニーが、11人の子供を引率することになりました。
ショーモン城で習った地図の読み方、太陽の位置から時刻を知ること、星の位置から場所を知ることを学んでいました。
そうした知識と勇気、生まれながらのリーダーシップで、ファニーは子供たちを引率します。
時には貨物列車の隅に乗り、妹とはぐれ探しに戻り……小さなノートに何が起きたかを書き付けながら、ファニーは旅を続けます。
トラックでついにスイス国境近くまでたどりついたファニーたち。やっとこれで助かる! と、思っていると……なんと刑務所に送り込まれてしまうのです!
飢えと渇き、不安にさらされて怯えるファニーたち。憲兵が「親の名前を言うんだ!」と彼女らを脅しつけます。
ファニーは妹にユダヤ人風ではない偽名を教え込みます。
誰かが口を割ったらそれまで。しかし、どの子供たちも黙っていました。
菓子を分けて食べ、飢えをしのぎ、健気にはげましあう子供たち。
いつしか他の子供たちも合流し、総勢28人になっていました。そして……。
「あの子たちに最後の食事をあげましょう」
憲兵たちは子供たちに食料すら与えようとしませんでした。
ファニーたちは機転を利かせ、親切な女性用務員に空腹を訴えてなんとか食料を得ます。
しかし、彼女は恐ろしい目撃談を語ります。
駅でユダヤ人が、老人や子供まで家畜用車両に押し込められ、護送されていたと。
これからどんな酷いことが起こるのか。ファニーは気分が暗くなります。
さらに看護婦たちの会話を耳にしてしまいます。
「あの子たちに最後の食事をあげましょうか」
「そうね、そうすれば気分がよくなって、おとなしくするわね」
押し込められた部屋の外には、武装した衛兵がいます。このまま、むざむざと最後の食事をとって、護送されることになるのでしょうか?
いえいえ。
このあと、ファニーはなんと食事の場から大脱走を果たすのです!
その手に汗握る展開は、是非本書でお確かめください。
絶体絶命のピンチの中、ファニーが下した決断とその機転には驚かされます。子供たちはできる限りのことをして、生きることへと望みをつなぐのでした。
フランスに戻るためには莫大な費用が必要だと
勇気と機転で他の子供たちとスイスへ逃れたファニーたち。
彼女らは、スイスにこそ未来があると信じていたのに、学校に滞在する許可が下りません。
こんなに素晴らしい少女によくそんな仕打ちができるものだと、がっかりさせられます。
かくして、再びフランスに戻ったファニーを待っていたのは、帰化申請のためのテストと莫大な費用でした。
役所から意気消沈して出てくると、ファニーはある人物に出くわします。
レジスタンスの青年でした。
彼は役所にかけあい、150名ものレジスタンスの命を救った少女が、なぜ帰化のために金を払わねばならないのか、とかけあいます。
ファニーの勇気は、こうして報われました。
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