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【ロバート・キャパ】
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インドシナ戦争に出向いて地雷を踏んで……
第二次世界大戦中はパリ解放や西部戦線の取材を続け、その後も第一次中東戦争・第一次インドシナ戦争などを取材しました。
経緯が非常にややこしくデリケートなので今回は割愛しますが、第一次中東戦争は1948~49年のイスラエルvs周辺諸国+αの戦争で、第一次インドシナ戦争は1946~54年に起きたベトナムvsフランスの戦争です。
特に後者については日本も少なからず関わっていますので、当時の新聞社も少なからず関心がありました。
そこでかねてから日本人の知己も多く、ちょうど来日していたロバートに「取材をお願いします」という依頼があったのです。
戦争は既に終盤に向かっていたこともあってか、ロバートは快くこれを引き受け、さっそく現地に向かいました。
が、フランス軍に合流して取材を始めたその日に、地雷で落命してしまったのです。
経験豊富なカメラマンがなぜ? と思った方もいらっしゃるかもしれません。
これは地雷という武器の特性によります。
使う側からすれば、一回埋めてしまえば見張りも管理も必要ないので非常に便利ですよね。
しかし、当然のことながらその後は敵であろうが味方であろうが、一般人だろうが動物だろうが爆発します。
しかも地雷除去というのは極めて高度な技術と時間とお金が必要なため、戦争の真っ最中にいちいち撤去するようなことはほとんどしません。
それでも地雷原を突っ切らなくてはならないような場合、「当たったら不運だと思え」という強行策をとることもままありました。
地球上には現在7,000万~1億個が眠っている
さらに面倒なことに、地雷には対人用と対戦車用があります。
ものすごく乱暴に言うと、上に乗ったものの重さを感知して爆発するのです。
つまり、対戦車用地雷の上を人間が一人二人通ったところで爆発することはなく、人命を賭けたとしても安全確認をしきれません。
ロバートだけでなく有名無名の多くの人々、そして動物が今も地雷によって大きな被害を受けています。
さらに悪いことに、爆発しなくても社会に与える悪影響はあなどれません。
「この辺に地雷があるかもしれない」というだけでその土地は使えなくなってしまうので、経済的にもシャレにならないのです。
現在、地球上には7000万~1億個ほどの対人地雷が埋まっていると言われ、この面積をきちんと活用することができれば、どれだけの経済効果を産むか……。
一応、日本を始め先進国では、地雷撤去用のロボットや機材を研究・開発しております。
しかし、ほとんどの地雷は発展途上国にあり、費用面から実用はまだまだ非現実だとか。
中には、地雷除去作業員を失業政策の一環としてとらえている国もあるそうなので、たくましいのか勇敢なのか外道なのか……。
対人地雷全面禁止条約に批准してない国もあり
ちなみに日本はODAの資金から、地雷撤去に携わるNGOへの援助を提供しています。
中には自衛隊OBが発足したものもあり、職務を終えても人のために危険な仕事をされている方には感服するばかりです。
現在は通称「対人地雷全面禁止条約」が日本を含めた多くの国で批准されているので、もうこれ以上地雷が使われることはない、と思いたいところですが……現実はそう優しくありません。
アジアでも批准してない国が結構あり、物騒きわまりない状態はまだ続いています。
ロバートは生前
「戦場カメラマンの一番の願いは失業することだ」
と言っていたそうです。
残念ながら、しばらくは地雷の脅威は続きそうですが……。
長月 七紀・記
【参考】
ロバート・キャパ/Wikipedia
LAUGHY