1814年(日本の文化十一年)5月18日、ノルウェーが「スウェーデンから独立したい!」という宣言を出しました。
憲法その他いろいろ準備を整え、本当に独立できたのはそれから約90年後の1905年でした。
というのも、ここに至るまでノルウェーを始めとした北欧地域は、非常にややこしい経緯で出来上がっていたからです。
今でこそ北欧はお互いにトラブルもなく、唯一紛争の起きていない地域ということになっていますが、長い歴史の中ではなかなかどうして複雑なすったもんだになった時代がありました。
といっても北欧の歴史については学校でほとんど習いませんし、いきなり始めてもワケワカメになりそうなので概略で進めて参りましょう。
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北欧の歴史をざっくり3つにまとめる
個人的には、北欧の歴史は大きく分けて三つに区分することができると思います。
こんな感じです。
①人が住み始めてからヴァイキングとして外国に出て行くまで
↓
②デンマーク・スウェーデン・ノルウェーの同君連合時代
↓
③同君連合の終わり・他地域との戦争と各国の独立
では順番に話を進めましょう。
①人が住み始めてからヴァイキングとして外国に出て行くまで
北欧諸国の祖先は、ゲルマン人のうちトナカイを追って北上した人々だといわれています。
いわゆる”ゲルマン民族の大移動”で北に向かった人たちということですね。
「マンモスを追いかけて地続きだった日本に来た」とも言われる我らがご先祖(の一部)と似ているようないないような。
そのうち帰るのが面倒になったのか。
あるいは「ここ寒いけどナイスなとこじゃん。寒いけど」と気に入ったのか。
彼らの多くはそのまま現在の北欧地域に住み着きました。
1世紀ごろには独自の文字(北欧ルーン文字)も生み出しましたが、なぜか彼らは自らの記録を文字で残すことにほとんど興味がなかったらしく、10世紀ぐらいまでの北欧の歴史はあまりよくわかっていません。
他地域と比べると特色といっていいところでしょう。
寒い土地ながらに知恵を凝らし、やがて北欧の人口は増えて行きます。
しかしいくら工夫をしたとしても、人が増えれば食料や土地もそれだけ必要になることは避けられません。
そこで分け前を巡って互いに争う人々と「もっと豊かな土地へ出て行こうぜ!」という人々が出始めました。
後者がいわゆるヴァイキングです。
海賊のイメージが強いので【ヴァイキング=乱暴者】と思っている人が多いかもしれません。
が、彼らの一部はフランスやイギリス、はたまたイタリアの歴史に大きな影響を残します。
フランス(当時は西フランク王国)ではキリスト教に改宗して正式に領地をもらい、ヴァイキングたちがノルマンディー公国という国を作りました。
さらに、その子孫が何を思ったか、イギリス(当時はイングランド)の王位継承権を主張し、戦争をおっぱじめて勝利を収め、ノルマン朝というイギリス初の王朝を作っています(すぐ終わったけど)。
イタリアのシチリア島まで出向いた人々は、しばらくの間、王様としてデカい顔をしていました。こっちも数十年で終わってますけど……。
ヨーロッパの歴史や文化はギリシャ神話などに大きな影響を受けているとされますが、こうしてみると一部では北欧の影響もあったりするんですね。
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