知識や技術を活かして大活躍!
歴史をバンバン変えてしまう――そんな歴史IF作品は数多くありますが、果たして、そう上手くいくのか? 逆に嬲り殺されてしまうのでは?
と、恐怖に震えそうになる作品があります。
映画『戦国自衛隊』です。
本作は、タイムスリップものの元祖ですが、内容は、そんな生易しいものではありません。
現代の火力を持った自衛隊さえも、容赦のない戦国の掟、非情な倫理の前において、アッサリと犠牲になってしまう。
何より恐ろしいところは、戦闘訓練を施された自衛隊員でさえも理性を失ってしまう点でしょう。
人間の本質をズバリと見抜いたかのような。
腹の底をえぐり出されるかのような。
単純にドンパチやらかしてスッキリ!ではなく、CGがなくとも大迫力の映像となった骨太の名作。
まずは、あらすじから見て参りましょう。
※アマゾンプライム(→amazon)でレンタル324円(2024年4月28日現在)
基本DATA | info |
---|---|
原題 | 『戦国自衛隊』 |
英語TITLE | G.I. Samurai |
制作年 | 1979年 |
制作国 | 日本 |
舞台 | 日本、越後国他 |
時代 | 戦国時代、永禄年間あたり(1558-1570年) |
主な出演者 | 千葉真一、夏木勲、渡瀬恒彦、江藤潤、岡田奈々 |
史実再現度 | 歴史+SF・人物関係は史実準拠 |
特徴 | 元祖自衛隊異世界スリップものにして最高峰の作品 |
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【あらすじ】自衛隊、戦国時代でかく戦えり
198X年、伊庭義明(千葉真一)三等陸尉以下21名の自衛官たち。
彼らは移動中、不思議な空間の歪みに呑み込まれて、新潟県の補給地ごとドコかへ飛ばされてしまう。
一体何が起きたのだろうか。
砂浜のような場所で隊員たちが戸惑っていると、数騎の騎馬武者が接近してきた。
「お祭りでもやってんのかなぁ」
彼らの姿を見て、訝しむ自衛官たち。
と、騎馬武者たちはイキナリ彼らに矢を射かけて来た!
やむなく機関銃で応戦する彼ら。
しばらくの戦闘を経た後、豪快に笑いながら登場したのが「越後の龍」こと長尾景虎(夏八木勲)だった――。
この長尾景虎の誘いに応じて戦国に巻き込まれながら、それぞれの道を模索していくことになるのが本作のメインストーリー。
タイムスリップした現実に向き合おうとする者。
戻る道を模索する者。
適合して生きていこうとする者。
そして命を落とす者。
皆それぞれがもがき苦しむ。
そんな中、長尾景虎と意気投合した伊庭の胸には『このまま景虎と共に、天下を狙えるのではないか?』という野心が渦巻いてくるのであった……。
現代兵器があっても楽勝にあらず
本作の魅力は何か?と問われたらこう返します。
「(敵攻略の)難易度が高すぎる」
これに尽きます。
槍や弓で戦っているところに、ヘリコプターや機関銃を持ち込むのだから、バッタバタと敵をなぎ倒せるだろう。
そう考えてしまうのは大間違いで、まったく思い通りにいかない。
本作の戦国武士がやたらと強いのは、考えてみれば当然で、現代人よりも当時を生きる上では優れた点がたくさんあるのです。
互いの長所をピックアップしてみましょう。
◆自衛官の強み
・現代の兵器を持っている
・歴史の結果を知っている
◆戦国時代人の強み
・倫理観がハードで殺しにためらいがない
・補給と数の面で圧倒的に有利
・戦術戦略面で工夫をこらしてくる
要するに、現代人の利点は武器が優れていることだけ。
『それで十分じゃないの?』と思われるかもしれませんが、この武器とて有限ですから使ったら終わりなのです。
補給と数の面で不利であるというのは大きなハンデです。
序盤、景気よく機関銃をぶっ放している場面を見ると「おいおいそんなペースで大丈夫か?」と心配になってしまいます。
弾切れ・燃料切れになったら、現代兵器はただのガラクタなのですから。
能天気に「ぶわははっ! 戦国武士がゴミのようだ!」と喜んではいられないのです。
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