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その日、歴史が動いた

20世紀以前に爆発するのは中国ではなく欧米!樽が爆発でロンドンがビールまみれ【その日、歴史が動いた】

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「事実は小説より奇なり」

歴史好きなら誰もが一度は呟いたことのある言葉でしょう。
今日はそんな事件を三連発でご紹介します。
1814年の10月17日、ロンドンでビール樽が爆発し、9人もの死者を出した「ロンドンビール洪水」が起きました。
ここだけでもう(°Д°)ハァ?ですね。

Beers and Glassware / Cambridge Brewing Co.

ビール樽がドミノ倒し

事件が起きたのは、ロンドンのド真ん中にあるセントジャイルスという地区。
ここにあったモイクス醸造所に保管されていたビールの大樽が爆発したのです。
しかも一つでは収まらず、同じ場所で保管されていた樽が次々とドミノ倒しの如く倒れ、まさにビールの大洪水になってしまいました。

これだけなら笑い話で済みますが、問題はこの醸造所の環境。
醸造所の地下室は従業員の居住スペースになっていて、その中には小さな子供もいました。
逃げ場のない地下室で迫り来る大量のビール……いくらお酒好きでも遠慮したいシチュエーションです。
可哀想に、この地下室で7人が溺死してしまいました。

ビールの被害は醸造所の外にも及びます。
あまりにも大量だったため、その勢いは凄まじく、家屋を二つなぎ倒すほどだったそうです。
崩れた壁に押しつぶされて一人亡くなり、一度は助かったものの大量にビールが体内に入ったため、急性アルコール中毒で翌日亡くなった人もいました。

こんな事件を起こして、醸造所側はさぞ厳罰をくらった……と思いきや、何と「原因わからないから、君達が悪いわけじゃなさそうだね。きっと神様のイタズラさ!」と法的には不問になってしまうのです。
それでも損害賠償はしたようですが。
現代の日本だったら「ビールの保管所が地上で、従業員の居住スペースが地下なんて構造だからこんなに被害が大きくなったんだ!経営者と建てたヤツに責任がある!」ってことで間違いなく塀の向こう行きですよね。

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プーさん憤死!とろ~り蜜が時速60キロで襲いかかる

樽が一つ一つかなりデカかったらしいので、「倒れるなんてことないだろHAHAHA」と思ってたのかもしれませんが。イギリスってほとんど地震ないですし。
それにしても死人が出てるのに「神様のイタズラ」で済まされる大英帝国の裁判すげえ。
こんなもんそうそう起きるはずありません。
……と言いたいところですが、何と約百年後、元植民地のあの国で似たような事故が起きています。
1919年1月15日のボストン糖蜜災害(糖蜜大洪水)です。


Honey / Siona Karen

糖蜜は糖分を含んだ液体のことで、当時北米地域で甘味料や酒などの原料になっていました。
ボストンでは港に近いノースエンド地区に糖蜜用の巨大な貯蔵槽があり、これが1919年1月15日の昼過ぎ突如として崩れ落ちたのです。
中に入っていた大量の糖蜜は、時速60kmもの波になってボストン中を暴れまわりました。

糖蜜は高架鉄道の鉄橋や近所の建物を破壊し、人々を浚って甚大な被害を出しました。
救出に向かおうとしても、糖蜜が邪魔になって移動すること自体が困難なほど。
結果として21人の死者、150人の負傷者、プラス鉄橋やその他周辺の建物が壊滅という甚大な被害になってしまいました。
アメリカンスケールにもほどがあります。

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ボストン茶会事件ならぬボストン糖蜜事故

無事だった建物の清掃にも半年以上かかったそうで、糖蜜が流れ込んだボストン港は茶色く染まったとか。
当然管理会社は訴訟を起こされ、現代の金額にして660万ドル(日本円で6億超!)もの賠償金を支払うことになりました。
さすが訴訟大国。

Boston financial district skyline / Willem van Bergen

こちらの事件も原因ははっきりしていないものの、いくつか説は挙がっています。

・「そもそも貯蔵槽のつくりがお粗末だったんじゃね?」→貯蔵槽欠陥品説
後日の調査で管理会社側が安全検査を怠った上、漏れた糖蜜を周辺住民がこっそり持って帰るのが当たり前になっていたことが判明しているため、かなり有力かも?

・「急に気温が上がったせいで、貯蔵槽の中で糖蜜が発酵しちゃって爆発したんだよきっと」→内部発酵説
・「急に(略)で貯蔵槽が破損したのかもしれない」→気温による破損説
事件前日のボストンは異常気象レベルの気温変化が起きていました。
マイナス17度だったのがプラス4度まで上がったそうですから、一気に21度も気温が上がったことになります。
これじゃ内部で何が起きても不思議ではありません。

・「禁酒法が出る前に酒作りたいからって過充填してたんだろ!そうに決まってるこのアル中が!」→糖蜜過充填説
当時アメリカでは「酒は悪魔の飲み物だから法律で禁じるべき!」という過激な聖職者が主体となって、禁酒運動が盛んになっていました。
酒を売っているお店にまさかりで襲い掛かったキャリー・ネイションという女性もいたほどです。
「ワインはキリストの血じゃないのか」ってツッコむ人はいなかったんですかね。

ボストン糖蜜災害が起きたのはこの運動が高まり、禁酒法ができる1年前のことでした。
そのため、お酒や工業用のエチルアルコールの精製を急ごうとしたのでは?という可能性も無きにしも非ず……というわけです。

2600トンの火薬が爆発、大惨事


fire works 2 / shino 誌野

信じがたい爆発事故はまだあります。
イギリスともアメリカとも縁の深いカナダでも、戦争でもないのに町が丸ごと吹き飛ぶほどの事件が起きました。
1917年12月6日のハリファックス大爆発です。
こちらは食べ物でもお酒でもなく、火薬によるものだったためにより被害が大きくなってしまいました。
カナダ東部にあるハリファックス港で、軍用火薬を積んだ船に別の貨物船が衝突したことにより着火してしまい、2600トンもの火薬が爆発したという最悪の事故。
死者2000人、負傷者9000人、ハリファックス市街のほとんどが廃墟になったといいます。

事故の原因は、当時の世界情勢にもあります。
本来なら危険物を載せた船は「この船アブナイですよ!」という印の旗を掲げることになっていたのですが、ときは第一次世界大戦の真っ只中。
敵国の潜水艦から標的にされるのを防ぐため、この旗を使っていなかったのです。
しかもハリファックスは不凍港の上、イギリス・フランスへの最短航路になっていたため常に周辺が混雑しており、小さな衝突は日常茶飯事でした。
多少の事故が珍しくない港で、普通の貨物船だと思った船が火薬満載とかロシアンルーレットにしても規模でかすぎ。

燃え始めた時点で船員は周りにも逃げるように叫びながら逃げたらしいのですが、フランス語だったため大多数の人に通じなかったとか……。
しかも爆発が起きるまでには約25分のタイムラグがあり、消防隊はもちろん見物客が大勢集まってしまっていたそうです。
もちろんこちらも裁判になり、双方の船の持ち主に責任が問われています。
爆発するのは芸術かギャグ漫画のオチだけにしてもらいたいものですね。

長月七紀・記

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みなさん台風にはおきを付けくださいませ。

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