歴史戦国でワクワクしたい!

BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)

鉄道を開業した横浜駅の様子/wikipediaより引用

日本史オモシロ参考書 明治・大正・昭和時代 その日、歴史が動いた

鉄道・ガス灯・電気は日本でどのように始まった? 文明開化で今なお残るモノ、消えたモノ

投稿日:

明治時代に、さまざまな西洋文化が入ってきた――歴史の授業でもお馴染み「文明開化」であります。
その中には今なお使われているもの(前身)があったり、はたまた時代の流れとともに消えていったものもあり……。

昨日の明治時代の衣食住に続き、今回は明治時代の鉄道・ガス灯・電気について見て参りましょう。

 

鉄道~起源は江戸幕府!? ペリーが模型を献上

鉄道は商業&経済を目的として作られる――。
と、これはあくまで現代的な視点であって、明治時代は軍事目的と大きく関係しておりました。

そもそも鉄道の構想が導入されたのは江戸時代の後期です。
幕府はいくらかのツテで「西洋には鉄道というものがあって、これこれこういった目的で使われている」と情報を入手していました。

その後、ペリー来航の際に鉄道の模型が将軍への献上品として横浜に持ち込まれ、試運転されたこともあります。
また、長崎ではロシア艦隊からもたらされた模型を元に、自国内での模型製作をしていました。

この時点では、鉄道そのものよりも
「蒸気機関を研究して、より高度な軍艦を作れないか」
という目的が強かったようです。

そのため薩摩藩や福岡藩が模型を作ったり、長州藩・加賀藩が機関車の模型を購入したり……と、密かに関心を集めていました。
島津斉彬などは積極的に西洋文明を先取しようとしておりましたので、もしかしたら来年の大河ドラマ『西郷どん』で触れられたりして……。

いずれにせよ明治時代に突然ポッと出てきたものではなく、幕末の遣米使節や遣欧使節が実際に鉄道へ乗車したことにより、
「これを日本に導入できれば、様々な面で役立つのではないか?」
と考えられるようになっておりました。

 

スポンサーリンク

インドで実績あった英国式鉄道を取り入れる

そして江戸幕府も単にアイデアだけではありませんでした。

鉄道建設計画を立てており、この頃出入りしていた外国人からも、具体的なプランが提出されていたのです。
残念ながら、その前に徳川慶喜によって大政奉還を迎え、幕府自体が消滅してしまうので、実現はしませんでしたが……。

一方、計画を携えた外国人たちは、明治政府にも似たようなものを提出しています。

そこで新政府がパートナーに選んだ相手はイギリスでした。
駐日イギリス公使のハリー・パークスとの間で打ち合わせが行われ、明治二年に建設が決定されるのです。

当時のイギリスが、既にインドで多くの鉄道敷設を経験していたのが導入の理由でした。

英国の鉄道開通式(リバプール・アンド・マンチェスター鉄道)/wikipediaより引用

ただし、立ち上がったばかりの明治政府には資金が乏しく、内部からの反対意見も根強かったとか。
実際、やることが多すぎてお金がいくらあっても足りない状況でしたし、全く新しいものを導入するときって「そんなことにお金をかけるなんてムダ使いだ!!」という意見が強いものですよね。

そこで政府は外債(外国からの借り入れ)で資金をまかない、そんなこんなで完成したのが明治五年(1872年)。

新橋~横浜間で日本初の鉄道が開業したわけです。
その後は断片的に開通されており、以下のリストにしてみました。

・明治七年(1874年) 大阪~神戸
・明治十年(1877年) 京都~大阪 ※西南戦争
・明治十三年(1880年) 大津~京都
・明治十三年(1880年) 長浜~金ケ崎(敦賀港)

当時は、都市同士や市街・港を結ぶだけで、国内全体や地域間の移動手段としては、まだまだ役割を果たせていませんでした。

そこで、意外な出来事が鉄道の後押しになります。
西郷隆盛でお馴染みの西南戦争です。

実はこのとき、鉄道による陸上輸送の利便性が実感できたため、陸軍が鉄道建設に積極的になっておりました。
国が本腰を入れると、民間でも注目を集めますし、事業家たちが投資を始めます。

そんな流れで、明治二十年前後には私鉄も増え、官営(国営)鉄道よりも私鉄のほうが営業距離が長くなったほどです。

 

2度の戦争を経て軍事輸送がより重視され

さて、順調に増えていった鉄道ですが、明治二十三年恐慌により私鉄会社も大打撃を受け、一時、鉄道業界は停滞します。

この頃まで鉄道関連は工部省の担当だったのが、新たに鉄道庁が作られて独立。
それまでの間にも、官営の新橋~神戸間&高崎~直江津間、私鉄の上野~青森間などが開業し、国内の交通は大いに発達していました。
江戸時代までは何十日もかかる距離だったのが、ぐっと短縮されたのですから、人やモノの流れ、そしてお金の動きが活発化することにも繋がっています。

さらに、日清戦争(1894年)&日露戦争(1904年)で、軍事輸送の有用性が改めて証明されたことや、世間の景気悪化などにより、十七社あった私鉄が国有化し、規格の統一も図られています。
日清戦争後には台湾と朝鮮、日露戦争後には中国北東部の一部へ、日本によって鉄道が敷かれました。この辺はいかにも、軍が絡んでいるという感じがしますね。

ちなみに、日本の地下鉄が生まれるのはもう少し後のことです。
大正時代には構想があったようですが、関東大震災などにより着手が遅れ、昭和初期にやっと開業しています。

なお蛇足ですが、朝ドラ『わろてんか』で高橋一生さん演じる伊能栞が、後に阪急電鉄の経営者となる小林一三のモデルとされております。
彼は国営の阪鶴鉄道を私鉄化して、関西地方の発展に大きく貢献しました。詳細は以下の記事をご参照ください。

わろてんか伊能栞(高橋一生)のモデル 小林一三の生涯84年をスッキリ解説!

 

スポンサーリンク

ガス灯~やっぱり初めては横浜なのね

もしかして我々庶民が最も文明開化を感じられたのは日用品かもしれません。

それがガス灯やランプです。
いかにも明治や大正時代らしいロマンが感じられますよね。

ガス灯は書いて字のごとく、ガスを使った照明器具のことです。
街灯としては、横浜の事業家がフランス人に設計を依頼し、明治五年に初めて一定範囲で設置&使用されました。
幕末にもガス灯を使ったことはあったようですが、常設ではなかったので「国内初」とはみなされていません。

横浜で成功した後は、東京でも数か所に街灯としてのガス灯が作られ、その後は屋内でも使用されるようになりました。
また、光度の改良も行われています。

しかし、ガスの生産がまだまだ追いつかなかったため、一般家庭では明治時代を通してランプを使っていました。

このころ夕方にガス灯をつけて回る「点灯夫」という仕事があり、庶民の憧れの職業のひとつだったとか。
ガス灯自体が一般家庭にないものだったからなのかもしれませんね。

その後、電灯が登場し、さらに発電技術の向上によって遠距離への送電が可能になったことで、早くも大正時代にガス灯は廃れていきます。

現在では観光用に一部残っていたり、演出の一部として復刻させているるところもありますね。
消えていった文明開化の一つでありましょう。

 

電気~実は当時から水力発電が活躍していた

現代社会にとって最も重要かつ今も残っている文明開化は電気(電力事業)でしょう。
そもそもはアメリカで1879年に始まり、日本に初の電力会社ができたのはその四年後、明治十六年(1883年)のことでした。

資金不足のため、実際の開業はさらに三年後になりますが、発祥の地ではない割に早い段階から導入されておりますね。

電気は、お役所や富裕層への照明に用いられたことなどにより、電力会社の業績も順調に上がっていきました。
それを受けて大阪や神戸でも電力会社設立が進められています。

ちなみに、当時の電気料金は9ワットで17円/月でした。
お米10kgが1円+α、公務員の初任給が50円だった頃の話ですから、メチャメチャ高いです。
それでも「電気なら火事の危険が少なく、扱いが簡単」であり、多くの人にとって魅力でしたから、利用者はどんどん増えていきました。

当時の主力発電は、火力によるものです。
しかし石炭の価格上昇によってコストが激増し、電力会社の業績は落ち込み始めてしまいます。

そのため、京都市が「琵琶湖の水を利用して発電できないか」と考え、明治二十五年から水力発電が始まっています。
火力発電は主に夜間に行い、水力発電は昼夜を問わず発電・送電が可能となり、24時間連続での電力供給を可能になっています。

これらの技術向上によって、火力発電と比べて料金を3~4割も引き下げることに成功。これがさらに利用者増加に繋がり、電力会社の利益も向上したのでした。

水力発電に目をつけるのは、日本人らしい発想かもしれませんね。
明治四十四年には総発電出力の半分以上が水力発電でまかなわれています。そしてこうした状況はしばらく続き、1960年代まで、日本は水力発電を中心としていました。

「明治時代に生まれた方法が、高度成長期の時期まで主流だった」
と考えると、なかなかにスゴイ話ではないでしょうか。

大量発電が可能になったことによって、それまで主に照明用だった電気が工業にも使えるようになりました。

発電所で電気を作って工場に送り、工場はモノを作って売り、そのお金を電力会社に投資して、また新たな発電所や技術ができる――まさに資本のサイクルです。
水力発電所は計画~開業まで数年かかるので、タイムラグもありましたが、工場が利益を得てまとまった金額を投資できるようになるまでの時間も考えると、そう悪い話でもなかったでしょう。

こうして、日本人の生活は少しずつ現代に近づいていったのでした。

明治時代の「衣食住」に注目~江戸時代から何が変わって何が流行った?

長月 七紀・記




スポンサーリンク


参考:国史大辞典「鉄道」「電力事業」「ガス灯」 文明開化/wikipedia 鉄道/wikipedia ガス灯/wikipedia

 



-日本史オモシロ参考書, 明治・大正・昭和時代, その日、歴史が動いた

Copyright© BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン) , 2018 All Rights Reserved.