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漫画『キングダム』への疑問vol.4 趙の旧三大天「廉頗・藺相如・趙奢」の伝説に迫る

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『キングダム』に登場するメジャーな秦の将たちは、おおむね実在の人物だ。では、同国以外の武将はどうだろうか。

まず気になるのは、何と言っても趙の“三大天”であろう。
その呼称はおそらく筆者の創作だが、驚くなかれ、該当の3武将はすべて実在しているのだ。

 

秦の昭王相手にハッタリ! 完璧の語源となる

旧“三大天”は、「廉頗」「藺相如」「趙奢」であるとされている。

廉頗は長平で白起と死闘を演じた人物。秦から昔陽、斉から陽晋を奪うという功をあげ、上卿に任じられた。その廉頗よりも上の地位にあったのが藺相如。どちらかというと武力よりも智謀と胆力に秀でた人物である。

たとえば、あるとき秦の昭王(六将を率いたボス)がこのような交渉を趙に持ちかけた。
趙の国宝“和氏の璧(宝玉の一種で壁(かべ)にあらず)”を寄越すなら、秦は趙から奪った十五城を返す用意がある、と。どう考えても秦にはそんなつもりはなく、ただ“和氏の璧”を我がものにして、趙が秦の属国であることを天下に知らしめたいと企んでいるのが見え見え。そこで使者に抜擢されたのが藺相如だった。

「私にお任せいただけるならば、きっと璧を完うして(損なうことなく守り切って)帰ってきます」

藺相如は秦の首都・咸陽に入って秦の昭王と対面、“和氏の璧”を渡す。と、昭王はそれをみんなに見せびらかすばかりで、どの城を渡すかという交渉には一向に応じない。
そこで藺相如は「実はこの璧には傷があって……」と言いながら昭王から璧を奪い取り、「城を寄越さないのならば、こんなモノ叩き割ってやる!」と喚いた。

これに驚いたのが昭王。せっかくの璧が割られては困るので、慌てて地図を取り寄せ、十五城の話をした。

藺相如はしぶしぶ頷きながら、こう答えた。
「結構です。しかし、この璧を趙王から預かるときに、5日間、斎戒沐浴して穢れをはらいました。なので、秦王にお渡しするときも5日間、清めの儀式を行いたい」

昭王がこの要求を受け入れたところ、隙を見て藺相如は璧を趙へ送り返してしまう。
そして怒り狂った王に対して、藺相如は涼しい顔で答えるのである。

「秦王は城を渡す気がないみたいでしたので。なんなら私を殺してください」

結局、昭王は藺相如を殺すことをあきらめ、城を渡さない代わりに、璧も要求しないということになった。
これが、「完璧帰趙」、つまり「完璧」の語源である。

 

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「刎頸の交わり」もまた藺相如が語源

このようにして趙王の信任を得た藺相如に腹を立てたのが若き日の廉頗。
自分は戦場で命を賭けて出世したのに、藺相如は口先だけで自分よりも高い地位を得ている。そう思った廉頗は、藺相如を殺してやろうと付け狙う。

漫画の中の豪気なキャラとはまるで違う、かなり陰湿な性質が垣間見えるが、藺相如はなるべく廉頗と会わないようにし、参内中に遭遇しそうになったら自分から道を変えるという有様。これに不満を持った従者の一人が、とうとう藺相如に仕えるのはもう嫌だと言い出してしまう。

そこで藺相如はこう諭した。
「今、秦が趙を攻めないのは、私と廉頗がいるからだ。なのに両者が争っていては、二虎が争うようなもので、互いに傷つき、趙が弱体化してしまう。だから、私は恥を忍んででも廉頗と争わないようにしているのだよ」

それを耳にした廉頗は自分の行いを恥じ、「藺相如にならば首を刎ねられても文句はない」と詫びを入れた。一方の藺相如も「廉頗将軍のためなら、喜んで首を刎ねられましょう」と応じる。
これが “刎頸の交わり”の語源となるのであるから、もう、藺相如に関しては名言の宝庫でもある。

 

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最後まで君主に恵まれなかった悲運の廉頗

また、3人目の「趙奢」も歴戦の将軍であった。
あるとき、秦の六将・胡傷が趙の閼与を攻めた。閼与へ至る道は狭く、救援を出しても秦に撃退される恐れが高い。

そこで廉頗と楽乗は救援に反対したが、趙奢だけは救援すべしと主張。あの手この手で秦を油断させ、見事撃退し、閼与を守り切る。この功績で、趙奢は馬服君に封ぜられ、廉頗や藺相如とともに長く趙を守ったのである。

趙奢・藺相如の死後も廉頗は白起と死闘を演じる。

が、やがて趙王に疎まれ、司令官を趙奢の息子・趙括に替えられてしまう(そのせいで趙軍は長平で大敗北を喫し、白起に40万人の捕虜を穴埋めにされた)。

そこで廉頗は魏へ亡命するが、同国でも重用されずに、次は楚へ亡命。

しかしそこでも「会見中におしっこを3回も漏らした、もうボケてる」などと讒言されるなど、ついに力量にあった役割が与えられることなく、生を終えた。

作中では、秦を迎え撃つ魏軍の実質的大将として廉頗が活躍するが、彼の不遇な余生を知ると、これぐらいの活躍はあってほしい。心底そう思わずにはいられない。
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文・やなぎ ひでとし(33歳、独身♂)

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1980年、大阪府大阪市で爆誕。中学・高校時代は伊賀、大学時代は京都で過ごしたため、あちこちの言葉が混じった怪しい関西弁を操る。
現在は東京・千葉を経て、愛媛・松山に在住。普段はWindowsソフトウェアを専門とするフリーライターと、舞鶴鎮守府サーバーの提督(大将)の二足わらじ。
中国史(とくに春秋戦国時代など)が割りと好物で、好きな人物は漢の光武帝、尊敬するのは管仲・晏嬰。コーエイの『三国志』シリーズではもっぱら馬騰で遊んでいる。日本の武将では武田信玄が好き。

 

 




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