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飛鳥・奈良・平安時代 本郷和人歴史キュレーション 寺社

毛や越の国にない地域第一のお寺・毛越寺/日本の城ランキング 本郷教授の「歴史キュレーション」

更新日:

 

日本中世史のトップランナー(兼AKB48研究者?)として知られる本郷和人・東大史料編纂所教授が、当人より歴史に詳しい(?)という歴女のツッコミ姫との掛け合いで繰り広げる歴史キュレーション(まとめ)。

今週のテーマは「毛や越の国にない地域第一のお寺・毛越寺/日本の城ランキング」です。

 

【登場人物】

本郷くん1
本郷和人 歴史好きなAKB48評論家(らしい)
イラスト・富永商太

 

himesama姫さまくらたに
ツッコミ姫 大学教授なみの歴史知識を持つ歴女。中の人は中世史研究者との噂も
イラスト・くらたにゆきこ

 

◆文化財伝承に尽くす 毛越寺中興17世貫主 岩手日日新聞 8月31日

本郷「おう。世界遺産の毛越寺のニュースだね」
「浄土庭園がすばらしいわよね。極楽浄土って本当にこういうのかしら、って思わせてくれるもの。それに、建物の基礎である礎石とかも、すごくよく残っているのよね」

毛越寺浄土式庭園/wikipediaより引用

毛越寺浄土式庭園/wikipediaより引用

本郷「そうなんだ。発掘してみたら、礎石が当時のまま保存されていたのが分かった。学問的な価値はものすごく高いよね。その礎石に基づくならば、宇治の平等院鳳凰堂のような建物があったと推定されている」
「ふーん、すごいのね。あら? そういうわりに、浮かない顔ね」
本郷「ごめん! もうこれは、ぼくの想像力の貧困さに基づくものなんだけれど、ぼくはダメなんだよ、『ここに、これがありました』式の遺産や文化財は」
「ん? ああ、実際に建物として残っていないと、ダメなのね。本当に想像力が貧困ねー。今はなくなっちゃったけれど、かつてここにこんなりっぱな建物があった、と想像して、歴史ロマンに酔いしれてこそ、歴史マニアと呼べるんじゃないの?」
本郷「うん、おっしゃるとおり! みんなぼくの貧しい想像力が原因なんです。でも、苦手なんだよ。◯◯跡、って。それが好きになれたなら、古代史を専門にしてるか、考古学者になってる。あくまでも『かたち』にこだわっちゃうので、中世史なんだよな-」
「うーん。あなたは発想が素人くさいわね。プロっぽくない。まあ、でも好みの問題っていうことで許してあげましょう。ところで、そうしたすばらしい建物は、やっぱり源頼朝の平泉攻めの時に燃えてしまったの?」
本郷「いや、違う。鎌倉幕府は毛越寺の価値をちゃんと理解していて、これを保護する姿勢を見せたんだ。でも、残念ながら、1226年(嘉禄2年)に火災に遭い、さらに戦国時代の1573年(天正元年)には兵火に遭って、土壇と礎石を残すだけになったんだ」
「つくづく、もったいないわねー。再建する動きはなかったの?」
本郷「うん。平泉に本拠を置く政治権力が政権がなかったからね。強力なスポンサーがいないと、再建はムリだよ。平泉は江戸時代は伊達藩領だったので、伊達家は平泉の保存に努めたみたいだけれど」
「毛越寺、っていう名前はどこから来ているの? 変わった名称よね」
本郷「ああ。これはぼくの先生の五味文彦の意見なんだけれど、『毛』は上野(群馬県)と下野(栃木県)に分かれた『毛(けぬ)の国』。『越』は越前(福井県)と越中(富山県)と越後(新潟県)に分かれた『越(こし)の国』をあらわすという。これらは、平泉のある陸奥国に隣接する地域だよね。それで、『毛の国や越の国にもない、地域第一のお寺』という意味で、毛越寺と名付けたんじゃないか、っていうんだ。ぼくはなるほどな、と納得しているけれどね」
「そうなんだー。私も納得したわ。ああ、また毛越寺に行きたくなっちゃったなあ」

 

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◆トリップアドバイザー「行ってよかった!日本の城ランキング 2016」を発表 PRTIMES 8月24日

本郷「これですよ、これ。やっぱり文化財はかたちがなくっちゃあ!」
「うーん(苦笑)。これって、一般の方を対象にしたランキングよね。本当にあなたって、プロっぽくないわよねえ」
本郷「ほっといてください。ぼくは『歴史読本』を愛読していた歴史オタクがそのまま歴史研究者になったタイプなんだから。いいんだよ、プロっぽくなくても」
「まあ、それはおいておいて。ざっと見た感じ、感想はどう?」
本郷「うーん。松本城の健闘がすごいなあ。去年も今年も2位でしょう?」
「それはどういう意味で、『健闘』なのかな?」
本郷「うん。だって、1位の姫路城は、『百万石の城』なんだよね。この城を作ったのは池田輝政だけど、徳川家康の次女の婿になった輝政は、関ヶ原の戦いの後、大きな領地を得て『西国将軍』なんて呼ばれた。池田一族あわせて92万石。その総力を挙げて作ったのが姫路城なんだよ」
「ああ。だから、あなたは『百万石の城』っていうのね。一方で松本城は?」
本郷「5重6階の大天守と乾小天守がくっついたかたちの天守閣を作ったのは、石川数正だね。石高は10万石だ。それであとで、東面に辰巳附櫓・月見櫓が付け足されたんだ」
「そうかあ、こちらは『10万石の城』なのね。その『10万石の城』が『100万石の城』と張り合ってるのだから、『健闘している』っていうわけね」
本郷「そういうこと。松本城は背景の自然がすばらしいからね。それでポイントが高いんだよね。ふむふむ。あれ?ある1つの県のお城がたくさん20位までに入っているね。おっと、なんと5つだ。この県はどこでしょうか?」
「え?あ、たしかに沖縄県のお城が5つね。これはなんで? もしかしたら、一国一城令が関係しているのかしら」
本郷「お、するどい。ぼくも同意見だ。これは慶長20(1615)年に江戸幕府が制定した法令なんだね。豊臣家は滅ぼしたし、もう戦争はない。だから一国に大名が居住あるいは政庁とする一つの城郭を残して、その他の城はすべて廃城にせよというものだ」
「この場合の一国って、大名の藩のことでしょ?1つの国に藩が3つある、なんてことはあるから」
本郷「うん。そうだね。それから、1つの大名家が2つの国を領有しているときは、国ごとに城を認めてもらってる場合(たとえば伊勢の津と伊賀上野に城をもっていた藤堂家)と、毛利家(長門国と周防国を領有)のように、萩城だけしか認められなかった場合とがある。運用は弾力的なんだけれど、ともかく、この法令で取り壊された城は多いんだ」
「それは琉球国には適用できないわよね。だから、首里城の他にも4つか。18位の座喜見城なんて、知らないんだけれど」
本郷「ああ、それはね。10位に中城城ってあるじゃない。その城にいたのが護佐丸という豪族だったんだけれど、彼が中城城に入る前に作ったのが読谷にある座喜見城だといわれているんだ。小ぶりだけれど、いい城だよ」
「護佐丸というと、琉球を統一した第一尚王朝に仕えた、15世紀の人物よね。彼と争った阿麻和利の居城である勝連城もランクインしてるわね」
本郷「あとは『天空の城』竹田城が12位だ」
「本当だ。あら?あなたが推してた『天空の城』は?」
本郷「岐阜県の苗木城だね。残念ながら、20位には入ってないね。でも、巨石の上に建てられた城でね。ぜひ行ってみてほしいな」

苗木城跡(中津川市HPより)

苗木城跡(中津川市HPより)

 

 

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