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その日、歴史が動いた アメリカ

死者96名・負傷者22名 グレート・ノーザン鉄道ウェリントン雪崩事故から学ぶこと

更新日:

 

「ヒヤリ・ハット」という言葉をご存知でしょうか。

医療や工事現場、あるいは食品関係等で事故防止のために掲げられている標語で、文字通り”「ヒヤリとした」「ハッとした」タイミングでは、事故が起きかねないから注意しなくてはいけない”という意味です。
重大な事故の前には300件ものヒヤリ・ハットがあるとも言われており、日頃些細なことにどれだけ注意しているか、そして対策をしたかで大きな事故を防ぐことができるというわけですね。

これは比較的最近できた言葉ですけれど、感覚としてはもっと前からあったでしょう。歴史を見ていくと、「このくらい平気さ」と思い込んだことによって、悲劇が生まれた例も多々あります。
今回はその一つ、春先につきもののある自然現象による重大な事故のお話です。

1910年(明治四十三年)の3月1日、アメリカ合衆国ワシントン州のウェリントン付近を走っていたグレート・ノーザン鉄道で雪崩事故が発生し、死者96人、負傷者22人の被害が出ました。

グレートノーザン鉄道2

事故前のウェリントン/Wikipediaより引用

 

除雪しては雪が降り積もり、ぜんぜん前に進めない 

普通、事故はいつ起きるかわからないですから、突然起きたものであれば仕方のないことです。が、事の経緯を見てみるとなんとも言いがたいものが今回の事故です。
というのも、犠牲者をもっと減らせたタイミングがあったのです。

同年2月21日からの豪雪のため、この地域一体は数メートル単位の積雪を記録していました。日本でもよく聞く話ですが、除雪作業を行っても一晩経てばまた同じ高さに降り積もる……といういたちごっこ状態で、何とも手のつけがたい状況だったようです。

グレート・ノーザン鉄道は大陸横断鉄道の一つで、事故が起きた列車も除雪作業を待ちながら少しずつ西へ進んでいました。
乗客からの不満を抑えるため、そして「ちょっとずつ進めば大丈夫さ」という楽観視といった感情的な理由によって運行が続けられたようです。それまでの間に周辺で何回も雪崩が発生していたのにもかかわらず、です。
今より伝達手段が未発達とはいえ、雪崩の音は聞こえていたと言います。危険な状況であることは皆わかっていたはずなのですが……。

 

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車内では乗務員に当たり散らす者や乗客同士のイザコザも 

しかも、途中で食事のため乗客たちはウェリントンの町に行っているのです。それなら町で復旧を待てば良いですよね……? しかし一分一秒でも惜しかったのか、ほとんどの乗客は再び列車に戻っています。

車内では苛立って乗務員に当り散らす人もいたそうで、当然のように乗客同士のいざこざもありました。一人が「危険だからトンネル内まで列車を戻せ!」と言えば、別の一人が「煤で息が詰まるだろ、バカじゃねーのw」と反論するなど、実にイヤな雰囲気だったようです。

不幸中の幸いといっていいのかどうかは微妙なところですが、たまたま神父さんが乗り合わせており、2月27日(日曜日)にはミサをやってくれたので、車内は一時落ち着きを取り戻したとか。

しかし、運の悪いことに、ここに来て周辺一体の気温が上昇。降り続いていた雪がみぞれに、みぞれが雨になり、さらには南風が吹いてきました。雪崩が起きる要素が完璧に揃ってしまったのです。

 

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線路は変更され、結局、街はゴーストタウンに 

そして3月1日の真夜中に大雪崩が発生。

列車ごと雪に押し流された人々は、そのほとんどが帰らぬ人となってしまいました。

 

救助作業は速やかに行われ、最後の生存者は女性の方。「子猫の泣き声のようなか細い声」が聞こえたため発見されたそうで。

男性よりも女性のほうが脂肪が多いことから、こういうときの生存率は女性のほうが高いともいわれていますけれど、よく声が出せたものですね。

結局、死者は96名、負傷者22名という大惨事に発展してしまいます。

その後ウェリントンの町はこの付近を流れる「タイ」という川の名に変更したそうです。

が、この事故の教訓から線路が変更されたため、結局、町は寂れてゴーストタウンに。建物も焼却処分されたらしいですが、閉鎖されたわけではないので行くことは可能だとか。よほどの目的がなければそうそう訪れる人もいないでしょうけど。

 

首都圏では数センチの雪でも列車の遅れや運行休止が発生することが珍しくありません。程度の差はあれ、何かしら事故が起きるよりはマシだからそうしているんでしょうね。

たまに駅員さんを相手に怒鳴り込んでいる人は、そういうことが予測できない人なんでしょうか。

急いでいたり大切な用事があるときはイライラしがちになるのもわかりますが、「命あっての物種」と思ってちょっくら落ち着きたいところです。自分が被害者になることもあれば、相手を被害者にしてしまうこともあるのですから。

そして運送業の方々、毎日朝晩、良い子も駄目な大人も相手にしてらっしゃってお疲れ様ですありがとうございます。できればシニア層だけでなく若年層への乗り放題切符も増やしてくださいm(_ _)m

 

長月 七紀・記

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画像・参考:グレート・ノーザン鉄道ウェリントン雪崩事故/Wikipedia

 

 




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