映画里見八犬伝

映画『里見八犬伝』/amazonより引用

歴史ドラマ映画レビュー

映画『里見八犬伝』は時代劇系エンタメの元祖~若干チグハグがいい!

現代の自衛隊がタイムスリップするトンデモ映画ながら、その真髄は「人間の本質をエグるような」名作だった映画『戦国自衛隊(昭和版)』。

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さらには同じくトンデモ設定(転生モノ)ながら、数多の歴史人物が登場して熱い世界観を醸し出している映画『魔界転生』。

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いずれも日本映画界に新風を吹き込んだ角川作品であり、歴史ジャンルでもう一つ大きく話題となったのが、今回の映画『里見八犬伝』でしょう。

お馴染みの薬師丸ひろ子さん、真田広之さん、千葉真一さんらが出演し、しかも原作は日本を代表する長編小説。

「こりゃ前2作に続いて、絶対に面白いだろう!」

と、考えたくなりますが、どうにも里見八犬伝自体が映像化とは相性が悪いようで……。

角川映画の本作も、残念ながら出来がよいとは言いかねます。

ただしこの時代特有の空気を背負った一本として、見ておくのもありかもしれないと思います。

基本DATAinfo
タイトル『里見八犬伝』
原題Legend of the Eight Samurai
制作年1983年
制作国日本
舞台日本各地
時代室町時代後期
主な出演者薬師丸ひろ子、真田広之、松坂慶子、千葉真一
史実再現度史実ベースのファンタジー作品
特徴この時代ではないと作れないような、不思議なアイドル映画

※『里見八犬伝』(→amazon)アマゾンプライム会員「KADOKAWAチャンネル」なら無料・レンタルは324円

 


あらすじ 八つの玉に導かれし剣士

里見家の居城が落ちた。

攻め落としたのは妖婦・玉梓とその子・素藤。

しかし、城主の一人娘・静姫の姿だけは見当たらない。

その百年前。

蟇田領主・蟇田定包は妖婦・玉梓の色香に迷い、領民を苦しめていた。

里見義実は定包を討ち取るものの、玉梓は里見に呪いをかけてしまう。

呪いのせいもあるのか、里見は別の軍勢に攻撃され、あわや落城にまで追い詰められたのであった。

その時、義実は飼い犬の八房にこう語るのである。

「もし敵将の首を持って参れば、娘の伏をやろう」

果たして八房は敵の首を持ち帰る。

戯れに語ったことが真実となってしまい驚く義実。伏せ姫は約束であるからと、八房とともに山中に向かう。

義実は伏姫捜索隊を出す。

その時、捜索隊がはなった銃弾が、八房ではなく伏姫に当たってしまった。

死に瀕した伏姫の体から、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌と刻まれた、八つの光り輝く玉が飛び散った。

「百年後、この玉に導かれし剣士が、里見の姫を奉じて呪いに打ち克つでしょう」

伏姫は息絶える。

その死から百年後。言葉通り、八つの玉に導かれ、八人の剣士が静姫のもとに集うのであった――。

※八犬伝の導入部とコンセプトは守りつつ、映画の枠におさめるため改変しております。

 


80年代の「角川映画」って凄かったんだな……

前述の通り『戦国自衛隊(昭和版)』や『魔界転生』と比べると少々落ちるというかチグハグな作品です。

主演の二人が若く、アイドル映画の一面もあるのです。

前述の二作は千葉真一さんが主役、真田広之さんが脇役でしたが、今回は逆。

健気な静姫の薬師丸ひろ子さんは本当に可愛らしいです。

お風呂をのぞかれて「キャー!」なんていう古典的な場面も。

ただ、若手がフレッシュで可愛らしい一方で、玉梓を演じる夏木マリさんがオールヌードで血の池風呂に入るようなエログロ描写が出てきます。

極端といえば、ごく普通の日本の光景が広がる場面と、玉梓はじめとする妖怪軍団のアジトの質感の差も極端です。

オーソドックスな時代劇と、ファンタジーが混ざった世界観は、敢えて比較するならば『47 RONIN』あたりに近いものがある気もします。

ただし、完成度はこちらの方が上だとは思いますが。

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BGMが洋楽ロックであったり、壁画がクリムト風であったり、今見ると冒険心も感じます。

現在ではチープな特殊メイクやセットも、制作当時としては最新鋭のもおです。

発泡スチロールがバレバレの柱なんか、今見るとご愛敬で頑張りは感じるんですよね。

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