人類史にとって新たな時代の始まりとも言えそうですが、そんなタイミングで大ヒットを記録した『鬼滅の刃』には、ニューノーマルな生き方のお手本となりそうなキャラクターが登場します。
主人公の炭治郎や、人気キャラの善逸と並ぶトリオであり、各種のコラボ商品やサービスで彼は絶対に欠かせない存在です。
しかし、その一方で彼は非常に癖が強い。
「獣」という特殊な性質が組み込まれているからには、それも当然だろ――なんて言われそうですが、だからこそ色々と引っかかる一面があり、目が離せなくなる。
4月22日は、そんな伊之助の誕生日。
もちろん物語上の話ですが、本稿で彼を深堀り考察してみたいと思います。
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嘴平伊之助と友達になれるかな?
『鬼滅の刃』には、おもしろい特徴があります。
主人公の炭治郎以下、スンナリとは友達にはなれそうもない人物が揃っていることです。
炭治郎は妹思いではあり、よい子過ぎるとすら言われますが、どこかズレている。
善逸もテンションの上下が激しすぎる。
そんなトリオの中でも、最大の問題児かもしれないのが伊之助です。
伊之助が同じクラスや職場にいたとしましょう。このときどんな風に表現されるか?というと「アイツって、なんか変わり者で、困った奴で、トラブルメーカーだよな」となりがちではありませんか?
『鬼滅の刃』は、問題行動を起こす者が多く出演し、特に主人公の同期は目立ちます。
善逸はあの歳で借金持ちで、セクハラを嗜められるし、いろいろうるさい。
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カナヲは判断を人に委ねてしまう。
胡蝶姉妹が辛抱強くなければ、そして炭治郎が心を開かなければ、どうなっていたことか。
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玄弥は最終選抜で暴力的な行動を取り、炭治郎に注意を受けています。
炭治郎だって、いい子で生真面目なようで「ズレてる」とはよく指摘されます。
今なら、問題児だらけで学級崩壊してしまうかもしれませんね。
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その中でも伊之助ですが……彼はそもそも人間社会の常識が通じなかったりします。
しかも、そこになんだかリアリティがある。以下のような要因が、信憑性を演出しているのでしょう。
・暴力的
・割と酷いことを平然という
・「殺すぞ」「死んでる」等、生命的倫理観がないことを平気で言う
・人の名前を間違える
・煽って挑発してニヤニヤしている
・落ち着いて食べられない。勝手に食べ出す
・服をちゃんと着られない
・猪をかぶっているため、表情がわかりにくい
・作った人の心も踏まえずに、いきなり日輪刀をぶち壊し始める
・「(鬼に味方した人に対し)死んでいいと思う!」「髪の毛全部毟っといてやる」等、なかなか過激な発言をする
むろん彼レベルでの野生児は現実的ではありません。
それでも「実際のクラスに一人ぐらいは居そう」だと思わせるリアリティがあり、もしも実際に存在したら除け者にされそうではあります。
個性として片付けられないズレがあるのです。
獣のように生きるその行動
どうして伊之助がおかしいのか?
それは彼が【獣の呼吸】の使い手であることをふまえれば、理解に近づけそうです。
各人の呼吸は、その個性とマッチしています。
伊之助が獣であることは、以下の特質からも肯定できることでしょう。
埋葬の意味がわかっていなかった
響凱の屋敷ででた犠牲者を、炭治郎と善逸は埋葬しようとします。
けれどもそんな中で、伊之助はそもそも埋葬の意味すら理解できず、無駄なことだと片付けようとしていました。
これに対して周囲はギョッとしますが、実は人間の根幹に迫ることだったりします。
【人類の始まりはどこか?】
その分岐点として重要視されるのは「埋葬」です。
仲間だと思った相手の遺骸を埋め、花を供える――そこには獣ではなくヒトの証があるとされます。
つまり、あの時点での伊之助は
【獣とヒトの境界線上にいる】
んですね。
猪の被り物をしていて美貌に無頓着
獣に近いからこそ、そのまんま毛皮を着ているといえばそう。
しかしその下は紅顔の美少年……と、この点で重要なのは、ワニ先生とそれ以外のイラストレーターのタッチの違いです。
アニメ等の公式よりも二次創作では特に顕著になるのですが、表情が違います。
ワニ先生の絵は【自分の美貌にそもそも無頓着】な表情です。
無愛想だったり、煽るためにニヤニヤしていて、美形だということをまったく意識できない顔をしている。
それ以外の方が描くとなると「美少年にはこういうニュアンスのある顔やポーズをして欲しいよね……」という手癖や欲求が出ていると思えます。
「黙っていればあいつは結構美形だ……」
「普通にしていればかっこいいのに……」
「すごく綺麗な顔をしているのに、なんか気持ち悪い……」
現実社会ではそういう失礼な感想を相手に抱かれる、それが野生児です。
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