嘴平伊之助

『鬼滅の刃』7巻/amazonより引用

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『鬼滅の刃』嘴平伊之助を深掘り考察~ヒトと獣の境界線上にある人物像とは

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表情を読み取りにくいようで、極端で……

伊之助はそもそもが被り物をしているからそうなのですが、取っていても無愛想というか無表情なことが多い。

ヒトと動物を比べてみましょう。

ヒトは表情筋が豊かであり、かつコミュニケーションのためにその動きを細かくするように進化してきました。

伊之助はそれが未発達ともいえます。

ただ、そのぶん動物は威嚇します。

伊之助は感情がたかぶると極端な行動を見せます。そこも獣なのです。

この特性は魘夢戦で役立っています。

人間の心理操作のエキスパートである魘夢は、細やかな表情の変化や目線の動きで相手に対抗する。だからこそ伊之助には通じにくい。

表情が読み取りにくく、周囲を困惑させる人物といえば、冨岡義勇も該当します。彼もクールなようで、感情が昂るとかなり激しい。

 


負傷の程度がわからない

周囲からすればどう見ても重傷なのに、伊之助は猪突猛進する。

そんなに血が出ているのなら、とにかくおとなしく止血してくれ……そんな状況下でも暴れます。

獣は自分で獣医にはかかりません。治らなければ野生の掟で命を終えるまで。ひとまず対戦相手を倒すか!

そういう人間に捕まらない限り暴走して、自らは獣医師などへは行かない。そんな思考回路をしています。

そして、それでは役に立たないと冨岡義勇に断言拘束されたこともありました。

善逸と比較すると面白いかもしれません。

善逸は人としての生存本能があります。彼はメンバーの中で比較的軽傷でも大仰に「痛い!」と叫ぶ。危険を察知すると大袈裟に怖がる。

ヘタレだのなんだの言われますが、生存率が高いヒトとはこういう個体です。

 


喧嘩したい、強さを認め合いたい!

伊之助はやたらと喧嘩をふっかける。お前より強いと言いたがる。

これも獣の縄張り争いや群れでの順位をあげるための行為だと思えば理解できなくもありません。

再び善逸と対比するとわかりやすいでしょう。

善逸はヒトとしての承認欲求ありきで動いています。社会がよいとみなす美女を求め、皆に役立って感謝されることを求める。

一方で伊之助は、ひたすら獣として群れのボスになりたいと考えているのです。

両者ともに変わっていることは確かです。

チームプレイでも独特で、足手まといになるくらいなら加勢すらしない冷静さもある。生き延びるために獣の習性に従っています。

 

二刀流、ギザギザの刃、高い柔軟性と敏捷性、低い重心

伊之助は、すべて【獣】ということで説明がつきます。

他の隊士が用いる日輪刀の長い刃。鈍器。湾曲する武器。合成した毒物……こうしたものは当然のことながら、野生動物は利用しません。

人類の進歩を辿る上で重要な要素として、石斧のような武器の発見は重要です。

「おおっ、かれらは武器を作って使用している! ヒトとして進化し始めているぞ!」

こう判定できますよね。

両手で持つ武器を振るう動きはヒト特有の動作。伊之助の二刀流は獣に近い動きの再現です。

刃がギザギザになっていて、攻撃された相手に複数の傷が同時につく。爪で相手を攻撃する獣に近いですね。

高い柔軟性と敏捷性、低い重心。こうした特性も獣らしい戦い方です。

ちなみに『鬼滅の刃』は、フィクションのお約束としての動きよりも、武術由来の構えや重心移動をしているキャラクターが登場しています。

デフォルメされているとはいえ、かなり説得力のある構えや切り方をしているのです。

そうした「ヒトが洗練した武術」と「伊之助の動き」はかなり異なります。

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