文久遣欧使節団

文久遣欧使節団(右から二番目が福沢諭吉)/wikipediaより引用

幕末・維新

あの福沢も苦労した文久遣欧使節団の洋食事情 マズい!醤油をもう一杯!

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オランダで醤油! ロシアで大根おろし!

よほど刺身でも食べ続けていたのでしょうか?

一行が持参した醤油は、どんどん減り続けていました。

ところがなんと、オランダで醤油が販売されていたのです。

まさか日本人が来るとは思っていなかったでしょうに、なぜ大量の醤油がオランダにあったのでしょうか。

貿易をしていたとはいえ、ちょっと不思議ですね。

福沢は「さすが三百年貿易している国は違う!」と大喜びでした。

福沢諭吉
勝や榎本にケンカを売った福沢諭吉~慶応ボーイの先生は誇り高き武士だぞ!

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オランダの次にロシアに立ち寄った一行は、更にびっくり仰天。

今度はなんと、

・日本酒
・緑茶
・大根おろし
・箸

までついてきたのです!

福沢はじめ、一行は動揺しつつも冷静に考えました。

「ロシア人がこんなことを思いつくわけがない……絶対に日本人が背後にいるだろう」

果たしてその通りで、密航していた日本人・増田甲斎がもてなしていたのです(画像は港区HPにあります)。

密航者らしく、彼は使節団の前に現れることはありません。和食を食べる一行を遠巻きに見守っていたのです。

ロシアのあとの目的地はポルトガルでした。

ポルトガルは海産物が多く、タコやイワシが名産物。

名物料理「サルディーニャス・アサーダス」は、シンプルなイワシの塩焼きですから、日本人の口にあいます。

こうした料理を肴にポートワインを楽しみ、一行は帰路についたのでした。

ポルトガルの旧市街地

 

果物とアイククリームとお酒が大好き

果敢にも洋食にファーストコンタクトをした日本人の記録を見ますと、食べ慣れない肉類、乳製品に苦戦したようです。

現在ではバターの風味は香ばしく風味豊かなものとして人気がありますが、当時の日本人にはきついものでした。

そういえば、いかにも西洋めいていて口に合わない、西洋かぶれだという意味で「バタ臭い」という言葉もありましたね。今は半ば死語のようなものですが。

一方で好まれたのが、果物、アイスクリーム、酒です。

パイナップルやデーツといった初めて出会う果物を、桃のようだとか、干し柿のようだとか、知っている味と比較して、熱心に記録に残しています。

アイスクリームについては驚異的な人気。

乳製品でも甘く冷たいアイスクリームは、不思議で美味しい食べ物として日本人を魅了したようです。

果物やアイスクリームが好まれたのは、あまり甘味を食べなかったという事情もあったかもしれません。

そして酔っ払いは国境を越えるのか、飲み慣れないはずのワイン、シャンペン、ジン、ブランデーの類いも、飲んべえにはあっさりと受け入れられます。

シャンペンは巨大なとっくりが突如ポンと音を立て、蓋が吹っ飛び、しかも泡立つので、度肝を抜かれたようで。

しかし、飲んでみると甘くて美味。すっかり魅了されたようです。

何かと殺伐として、攘夷を叫んでいたように思える幕末。

そんな時代でも、アイスクリームに感動したり。

デーツは干し柿そっくりだと感心したり。

フランスで魚をおろして刺身にしたり。

オランダで醤油を買う足したり。

ロシアで接待にびっくり仰天したり。

ポルトガルでイワシの塩焼きを喜んで食べたり。

そんな日本人がいたと思うと、なんだか微笑ましくなりますね。

洋食とファーストコンタクトした幕末の侍たちの軌跡を想像すると、微笑ましくて口元が緩んでしまいそうです。

こうした歴史もまた面白いものですね。

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文:小檜山青

【参考文献】
熊田忠雄『拙者は食えん!―サムライ洋食事始』(→amazon

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