葬儀も墓もとにかく地味が一番!乱世の奸雄・曹操の墓はリアルに質素だった

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曹操の墓
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死せる曹操の墓、中国考古学界を騒がす

ナゾだった曹操の墓がついに見つかった。

こんなビッグネームの大発見は滅多にないこと――2009年12月にそう結論づけられると、歴史ファンは喜びました。

しかし、同時に起こったのが真贋論争です。

「本当にこの墓は曹操のものなのか」

「そもそも死後の諡号である『武王』が刻まれているっていうのがおかしい。誰かが意図的に刻んで置いたのでは?」

調査隊が決定打と判断した「魏武王」の文字が、かえってツッコミどころとされたのです。

それに、中国史には「魏武王」という諡号の持ち主は他にもいます。

冉閔(五胡十六国時代の冉魏の初代天王)

姚襄(五胡十六国時代の羌族の部族長)

彼らの可能性がないわけでもありません。

他にも夏侯惇の墓という可能性も指摘されました。

夏侯惇は、曹操の忠実な重臣として知られた人物ですから「魏武王」の所有した武器を、副葬品としておさめることは考えられる話。

彼の墓からそう書かれた石碑が出てきても不思議はないのです。

その他にも、

・文献に記された場所と一致しない

・墓誌や印章が出てこない

・周囲に功臣の墓がない

といった不備が指摘されます。

なんだか重箱の隅をつつくような感じですが、歴史のニセ発掘は日本でもかつて話題になったように、遺物の審査は慎重を要するものであります。

発掘された証拠だけではちょっと弱い――そう指摘されても仕方なく、更には事前に、盗掘者が多くの副葬品を持ち出していたのも痛い損失でした。

しまいには「曹操の墓なら観光の目玉になるから、話を作ったんでしょ?」なんて、悪意ある推察まで出てくる始末です。

結局、考古学者の間では様々な論争がありながら、中国考古学界の結論は「本物」となりました。

ただし、その後の発見次第ではこの結論が覆る可能性も否定できません。

文物の鑑定には時間がかかるものです。

そして、2018年3月末、河南省文物考古研究院は、発掘された遺骨は曹操のものであると断定しました。(参照:香港BS

発見された遺骨は、

・曹操(魏武帝、死亡時65才)

・卞氏(武宣皇后、魏文帝らの母、死亡時70才)

・劉氏(生没年不詳、夭折、曹昂らの母)

と結論づけられたのです。

これから身長や体型、復顔がされるかもしれません。

となると、実に1800年ぶりに、あの曹操の見た目がわかるかもしれない!

ワクワクしますね。

 

誰の墓だろうと、結局は大発見なんですよ!

また、この発掘で判明したこともあります。

まず民間伝承の「曹操の墓には罠が仕掛けてあるので入ったら死ぬ」説。

発掘チームから死者は出ませんでしたから、あくまで伝承だったということですね。盗掘者の中にはひょっとして死者がいるかもしれませんが……。

そしてショックなのは曹操の頭蓋骨に踏んづけたあとがあったこと。

盗掘者が「こいつ曹操らしいぜ、憎たらしい奴だな! 踏んづけたれ!」と、悪さでもしてしまったのでしょうか。何とも悲しいことですね。

悪いことの後は、良いことです。

曹操の墓がもたらす経済効果です。年間50億を超すという試算もあるとか。

そりゃあこんだけのビッグネームですからね。日本から三国志ファンが現地を訪れたって不思議じゃないでしょう。

さらには「曹操の墓があるなら劉備があってもいい」と発掘に情熱を燃やす機運も高まっているとのことで、こうした現象は世界中の三国志ファンから見ても喜ばしいことではないでしょうか。

西高穴2号墓は曹操の墓なのか?

いや、これが誰のものであるにせよ、後漢時代に埋葬された貴人のものであることは間違いなく、それはそれで素晴らしい発見であることは確か。

更なる調査が進んで、誰もが納得できる状態まで確定されれば嬉しいですね。

そして今度は劉備の墓発掘を期待したいです!

絵・小久ヒロ

※追記ニュース

曹操の墓と見られる遺跡で出土していた白い壺が、三国志時代には存在しないとされていた「白磁」であると発表されました。

壺のサイズは高さ13.4cmで口径8.7cm。

2009年に出土されてから、東京国立博物館の研究チームが現地で調査を重ね、「白磁」であると確認したとのことです。

これまで最古の白磁は6世紀末の遺跡から出土したものとされていましたが、実に300年以上も時期が早くなることに……うわぉ、BIG NEWS!

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絵:小久ヒロ
文:小檜山青(noteもご覧ください)

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『三國志14 TREASURE BOX』WIN版 PS版/amazonより引用

【参考文献】
『曹操墓の真相』(→amazon

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