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週刊武春 ギリシャ

藤村シシン『古代ギリシャのリアル』が空前絶後のぉおおおお~極彩色!

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星矢の夢を追い続けリアルにまで昇華させたシシン氏!

『週刊少年ジャンプ』の黄金期。日本の小学生の間には「星座カースト制度」という不可解な慣習が存在しました。出生時の十二星座に基づくこの身分制度では、獅子座と乙女座が権威をふるい、魚座はクスクスと笑われ、蟹座は指をさして笑われるという悲惨なものでした。

この理不尽な状況を生み出した名作漫画が『聖闘士星矢』です。
黄道十二星座に対応した金色の聖衣(クロス)を身にまとった十二人の戦士たちは、主人公の前に立ちふさがる強敵ながら、彼らと戦う主人公以上に人気を集めました。熱狂的に『聖闘士星矢』を読みふけった小学生たちは、自分の星座の黄金聖闘士(ゴールドセイント)はどんな人物だろうかわくわくしながら待ち受け、そして登場した際には興奮や落胆を味わったのです。

全国の小学生が熱狂的に読みあさり、こんな理不尽な制度まで生み出した名作『聖闘士星矢』。アラサー・アラフォーの人に話を振れば、「懐かしいなあ!」と語り出すはずです。
そこまで人気があった『聖闘士星矢』ですが、当時の読者は成長するにつれ、別の漫画やアニメにハマる、漫画やアニメそのものから卒業する等して、この作品から興味をうつしていったことでしょう。ずっと興味があったとしても二次創作で同人誌を作る、続編を鑑賞するといった方向に向かったはずです。

しかしこの膨大な『聖闘士星矢』読者の中に、興味関心を斜め上に発揮した女性がいました。
彼女は『聖闘士星矢』の元ネタである古代ギリシャとギリシャ神話の世界にハマり、大学院で古代ギリシャ史を専攻し、本を出すまでになったのです。さらには自宅で古代ギリシャの儀式や料理を再現しだすほど。現代日本にあらわれた巫女のように、古代ギリシャの魅力を発信し始めたのです。

彼女こそ藤村シシン(@s_i_s_i_n)氏。
シシン氏の魅力は情熱とエンターテイナー性です。著書『古代ギリシャのリアル』は、読んで数分であなたの脳を直撃し、古代ギリシャまで連れてゆきます!!

 

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冒頭から「古代ギリシャは極彩色だ!」と引き込む

冒頭で、作者は恩師から「ギリシャといえば青い海、白亜の神殿!」なんていうイメージは嘘だと言われ、ショックを受けたと書き始めます。

それから作者はこう続けます。
「古代ギリシャ人は、海をワイン色だと表現するし、神殿も極彩色だった」

そして本書は、いかにしてギリシャ神話がヨーロッパ人によって漂白されていったかの説明へ。ヨーロッパ人にとって都合のよいイメージのために変化していった神話は、作者の手によって彩色されていきます。作者の語り口は軽快かつ饒舌であり、好きなものの魅力を伝えたいとぐいぐい迫る熱気にあふれています。
たとえるならば「趣味を布教したいオタクのマシンガントーク」です。その語り口に導かれ、極彩色の神殿をくぐると、そこには意外なものが広がっています。

 

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自由過ぎる発想「神々の履歴書がスゴイ」

本書一番の見どころは、第2章に収録された「神々の履歴書」です。
神の名、別名、容姿、シンボル、主な職業(権能)、紹介文、名セリフ集、周囲からの評価、家族構成、経歴が記載されています。

ユニークなのが「女性遍歴」と「男性遍歴」で、その神が関係をもったのは誰かということが書かれています。大抵の男性神のこの欄は、書ききれないほどモテモテですが、ヘファイストスはほぼ空欄で「神なのに非リア充」という言葉が浮かびます。

この履歴書、作者は、とにかく面白いものを厳選したのでしょう。ページをめくるたびに笑いがこみあげてきます。
例えば戦争を司るアレスは、なぜか負けた戦績を並べられます。有名なセリフは、英雄ディオメデスに脇腹を刺されてこのままだったら生きながらえなかったかもしれない、とヒーヒー言っているもの。周囲からの評価では、アテネから「この煩わしい犬ハエめが」と罵倒され、ゼウスからは「神々のうちで私はお前が一番大嫌いだ」とダメ出しされています。

これに対する作者のコメントも「ギリシャではボコボコにされているが、ローマでは大人気の軍神」という身も蓋もないもの。ただし本書ではギリシャでボコボコにされている理由もちゃんと説明されているので、ただアレスを意味もなくいじめているわけではありません。本書はまずユーモアでぐっと読者を掴み、そこから理由をきっちりと説明するのでとても楽しく、わかりやすいのです。

 

古代ギリシャの考え方をありのままに解説

本書が素晴らしいのは、「神々の履歴書」のようなユーモアだけではなく、現代人の尺度でみた古代ギリシャ人の考え方ではなく、ありのままの古代ギリシャ人の考え方を読者に提示しているところです。

例えば冒頭にあった「古代ギリシャ人にとって海はワイン色である」という言葉。「古代ギリシャではともかくそうだったから」という説明で終わらせません。
古代ギリシャ人にとって、色とはうわべや表面的なものではなく、そのものの状態をあらわします。紫色は流れたり、動いたりするものに対して使われます。つまり「ワイン色の海」とは「波が打ち寄せる海」ということなのです。

このように懇切丁寧に説明されると、なんだこれはと困惑していた古代ギリシャ人の考え方や発想が、ユニークで今とは違うもののそれはそれでよいものだと思えてきます。

例えば労働感ひとつとっても、まるで違います。古代ギリシャ人にとって「働いて生活してゆく」ということは美徳でも何でもなく、むしろ恥ずかしい状態です。働かず、ぼーっと思索にふけり、気の合う仲間と論議をすることこそ、古代ギリシャ人にとっては文明人として人間的な生活を送っていることに他ならないのです。もちろんそんな古代ギリシャ人の生活を支える奴隷はいるわけですが。

本書を読み、ここまで現代と正反対の価値観に接していると、何か心が癒されていくような、奇妙なセラピー効果すら感じます。

例えば、休日に結局何もしないまま沈む夕日を眺めて「ああっ、一日何もしないで終わった! 俺は何てダメな奴なんだ!」と思うところを、「古代ギリシャ人風に考えるならば、今日は人間らしい素晴らしい日だったんだな」と思えるようになります。
働かずに生きていこうものならばバッシングされかねない現代日本社会に、「そんなわけないだろう」とつきつけてくる古代ギリシャ人の価値観に痛快なものを感じてしまいます。

 

この本は、ギリシャ産ハーブが原料の読む合法ドラッグか

本書が教えてくれるのは、古代ギリシャ人の素晴らしさだけではありません。
異なる文化や歴史を受け入れること、そして現代人にとって都合のよく歴史をねじ曲げないこと、それがいかに大事かも教えてくれます。

前世紀、古代ギリシャにあこがれた人々は、発掘されたものが自分たちの描いていた像と違っていたとわかると、漂白してしまいました。
その白さに再度極彩色を取り戻した本書は、現代日本人を時に困惑させ、笑わせ、納得させ、様々な感情をもたらしてくれます。この本はカバーにしか色がついていません。それなのに読み終えたあとは、サイケデリックな映像を堪能したような、不思議な陶酔感があふれてきます。
古代ギリシャ人の発想や考え方が極彩色で、それを情熱的にプレゼンしてくる作者の語り口も極彩色だからでしょう。

本書を読み終えると、誰かに「古代ギリシャは、本当は白くなくて、極彩色で、めっちゃ面白いんだよ!」と語りかけたくなるそんなパワーにあふれているのです。

ギリシャ原産のハーブをテンションの高い製造業者が精製し、キメると頭の中が極彩色に染まるような、読む合法ドラッグのような一冊。
ハイテンションな古代ギリシャトーク全開ですから、おそらく性に合わない人はひたすら合わないであろう……とは思いますが、これはイケそうだと思ったらとりあえずショッピングカートに突っ込んで下さい。
古代ギリシャなんて全く興味がない、アテナなんてそれこそ『聖闘士星矢』以来無縁だったよ、というあなたこそハマってしまう一冊です。

これからもこんなヤバいブツを世に出してしまった作者の藤村シシンさんから目が離せません。

 

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