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アメリカ国歌『星条旗』は独立戦争で生まれた~他の国歌事情も調べてみた

1931年(昭和六年)3月3日、「星条旗」がアメリカ国歌に制定されました。

日本人にとっては、右手を胸に当てて歌うポーズのほうが印象深いでしょうか。

全体を覆い尽くす「U・S・A!U・S・A!」というノリは、いかにもジャイアン米国を象徴しているようにも見えますが、ともかく今回は国家「星条旗」に注目してみたいと思います。

Francis Scott Keyが記した『星条旗』/wikipediaより引用

 

捕虜救出のため英国軍監に乗り込んだ詩人が作った

アメリカの国歌は、歌詞と曲が別々に作られました。

まず歌詞が作られたのは、1812年米英戦争の時のこと。

第二次独立戦争とも呼ばれるこの戦いに参加していたフランシス・スコット・キーという詩人が、捕虜救出のためイギリスの軍艦に乗り込むという勇気ある行動を取りました。

イギリスの司令官は捕虜とフランシスを解放することに同意。
しかし、直後に戦闘が始まったため、しばらく留め置かれます。

そんな中、翌日の朝に解放された二人は、味方の砦の上に、朝日に照らされた星条旗がたなびいているのを目にしました。
これに感動したキーは、詩の着想を得て手持ちの紙に書き留め、無事に帰ってから公表しました。

その詩は当時の流行曲に合わせて歌われるようになり、アメリカ全体へ拡大。
そして約80年の時を経て、正式に国歌として採用されたのでした。

 

肝心の歌詞は以下の通りです(和訳バージョンをwikisourceより引用

『星条旗』
おお、見ゆるや 夜明けの淡き光を受け(おお、言ってくれ、あの旗をまだ見ることが出来ると)
先の夕暮れ 陽が落ちる時 我等が歓呼したもの
其は太き縞と輝く星条旗を我々は目にした 危き戦の間
城壁の上に見た 勇壮に翻りし 彼の旗/
狼煙の赤き炎立ち 砲音宙に轟く中
耐え抜き 旗は尚其処にあり
おお、星散りばめたる旗は 今猶棚引くか
自由なる大地 勇者の故郷に

 

国歌の歌詞は主に二種類?

さて、国家は当然アメリカのものだけではありません。

当然ながら自国を称えるようなフレーズが多く、眺めていると大まかに分けて2種類に分類できる気がします。

・血みどろ系(仮)
・神仏系(仮)

「血みどろ系」は文字通り戦闘シーンであり、
【我々が戦いで勝ち取った権利!自由な国!】
といった感じですかね。

一方、「神仏系」もまた文字通り
【神仏のご加護を願う】
というものです。

あくまでワタクシの主観ですがせっかくですから例を挙げて参りましょう。

 

血みどろ系国歌

・フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」

これこそ血みどろ国歌として有名ですね。
フランス革命のときの市民軍が作ったものなので、勇ましく容赦がない。
その後、国自体が二転三転したため、改正する間もなく現代まで来てしまいました。

最近は「こんなエグい歌詞を子供に歌わせるのはどうよ」という意見も出始めていますが、改正には至っていません。
いきなり変えたらそれはそれで問題が起きそうですしね。

・ロシア国歌「ロシア連邦国歌」

一昔前のフィギュアスケートの表彰式ではよくかかってましたね。
ファンの方ならすぐメロディーが思いつくんじゃないでしょうか。

ソ連崩壊後に作られたものですが、ソ連国歌のメロディに新しく歌詞をつけています。
歌詞に「強国(一等国)」って出てくるんですが、「自分でそれ言うか???」とかツッコむのは怖いのでやめておきます。

・ドイツ国歌「ドイツの歌」

フランス同様、ずっと昔に作られた歌詞なので国際事情的に問題が発生してしまい、
【現在公の場で歌えるのは三番だけ】
という切ない状態になっています。

むしろ新しく作ればいい気もしますが、三番だけでも成り立つからいいんですかね。
作曲者は「ぶんぶんぶん 蜂が飛ぶ」で有名なあの曲と同じ人です。

・タイ国歌「タイの国歌」

朝8時・夕方6時に公共施設やラジオ・テレビで流され、そのときは特殊な場合を除いて、起立&直立不動しないと罪になるそうです。怖っ!
歌詞のほうも、「自由のために命を捧げん」などなど、仏教国の割に勇ましい感じになっています。これは制定された歳が1939年=第二次世界大戦直前の緊張した時代だったからでしょうか。
この他に、「国王賛歌」という、国王を称える歌もあります。以前はこちらが国歌扱いでした。

 

ご加護系国歌

・イギリス国歌「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」

王様の性別によっては「~キング」になる、ということで有名ですかね。
なにせタイトルからして「神よ女王を守り給え」ですから、ご加護系といって差し支えないかと。

「人類皆兄弟」的な歌詞もあるんですが、歴史的に見ると「おまえは何を言っているんだ」とツッコミたくなってきます。
ついでにいうと、スコットランドはモロに敵視されています。
だから独立騒ぎに……ボソボソボソ……

・ブータン国歌「雷龍の王国」

何やら厨二心をくすぐられるタイトルですが、国旗に描かれている「ドゥク」という龍からきていると思われます。
王様を称える部分もあります。

歌詞全体としては「仏の教えが広まり、民に安楽がもらたされますように」という穏やかな歌詞です。
ブータン人と日本人にはいろいろ似ている点があるといわれていますけれど、国歌の意味も似ている気がしますね。

 

おまけ:分類不可能系

・イタリア国歌「イタリア人達の唱歌」

歌詞も曲も勇ましくてカッコいいです。
ただ、イタリアの歴史を知るとなぁ(´・ω・`)

やっぱり国の象徴として定められるだけあって、どの国歌もお国柄は表れるものになっていますね。

長月 七紀・記

【参考】
星条旗_(国歌)/wikipedia

 



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