学生までは好き嫌いで単純に分けられますけれども、社会人になると生々しいトラブルで絶交状態になったり、結婚を機に友人との付き合いが減ってしまうこともあるでしょう。
個人間ですらそうなのですから、国同士の関係となればもっと面倒くさい。
特に「同盟」とは一体なんなのか?
あるいは「協商」とは?
両者の違いは?
本日はその辺について見ていきましょう。
状況次第でアッサリ裏切りも!?
「同盟」とはおおむね、「軍事同盟」の略称です。
ものすごく簡単に言うと
「君が攻めこまれたら僕が助けるからね!」
「一緒に強い敵を倒そうぜ!」
という約束をお互いに取り交わすのが「同盟」です。
国内では戦国時代の甲相駿三国同盟(武田信玄・北条氏康・今川義元)、外国とでは日英同盟や日独伊三国同盟などが有名でしょうか。
軍事的な性格を含むゆえに、状況に応じてあっさり破棄されたり無意味になったりするのはお約束。
特に戦国時代の場合、「約束しないよりマシ」程度の同盟のほうが多い気さえしてきます。
例外は、織田信長と徳川家康が結んだ清洲同盟で、本能寺の変が勃発するまで続きました。
その前の長篠の戦いでは織田家・徳川家が協力して武田軍と戦い、その前には姉川の戦いで浅井長政・朝倉義景ともドンパチやってますね。
あれこそ軍事同盟が正式に発動した例です。
日本海海戦にも影響与えた
日本の立地上、外国と結んだ同盟の数は少ないながら、日英同盟も日独伊三国同盟も、それなりに効力は発揮しています。
特に日英同盟ではイギリスのサポート(バルチック艦隊を追い込んだドッガーバンク事件)がなければ、日本海海戦での勝利もなかったかもしれません。
日独伊三国同盟では、ドイツから技術などが入ってきたりしましたね。
基本的には、
「植民地を持っていない」
「国内統一が19世紀」
という不利さが共通点の国が、なんとか集まって他の国に対抗しよう程度。
きちんと連携が取れていたかというとアレで、ユダヤ人の扱いを巡っては不穏な空気になったこともありますね。
イタリアは……ノーコメントで(#^ω^)
北大西洋条約も軍事同盟と見なされる
現代の日本で「同盟」というとやはり日米同盟です。
あれはつい最近までビミョーに意味が違っていました。
自衛隊に集団的自衛権がなかったために「お金出す代わりにウチを守ってね」(超略)という内容だったからです。
乱暴な言い方をすれば、日本がお金と設備を出してアメリカ軍を雇っていたようなものですね。衣食住完備の傭兵とでもいえましょうか。
今後どうなるかは神のみぞ知るというやつですが。
また、現在では「同盟」という名称でなくても、軍事同盟とみなされる条約が多々あります。
有名なのが北大西洋条約(=NATO条約・ワシントン条約)でしょうか。
その太平洋版である太平洋安全保障条約もですかね。
NATO加盟国は多すぎて列記するのもイヤになるくらいですが、太平洋安全保障条約はアメリカ・オーストラリア・ニュージーランドだけなので実にわかりやすくてありがたいものです。事実上ニュージーランドは抜けたも同然なので、実質的にはさらにシンプルです。
合意さえあればOKで書面は不要 悪く言えば口約束
さて、同盟とごっちゃになりそうな「協商」についても少し見ていきましょう。
字面からすると「商売で協力すること」のような気もしますが、ちょっと違います。
元はフランス語の”entente”で、これは「合意」「一致」という意味です。合意さえあればいいので、書面を取り交わさずに結ぶことができます。
ものすごく悪い言い方をすると
【国家同士の口約束】
です。
口約束であるがゆえに義務もなく、相手国が何かしら困っていても、必ず助けなくてはならないというわけではありません。
つまり、軍事的な意味合いを含まないお付き合いということになります。
結果的に商売に関することが多くなるので、日本語では「商」という字を入れたのでしょう。
他国に刺激を与えにくい協商
「協商」って何だか縛りがユルくてアテにならない感じですね。
しかし、もちろんメリットもあります。
例えば、A国とB国が協商関係になり、C国がA国に攻め入る予定だったとします。
ここでもしAB両国が「同盟」を結んでいたとしたら、C国はおそらくAB二国を相手に戦争をすることになるでしょう。
一方、AB両国の関係が「協商」であれば、C国はA国とだけ戦えばいい可能性があります。
B国に「A国を助ける」義務がないからです。
そんなわけで、他国に刺激を与えにくいのが「協商」です。
といっても、裏で軍事同盟化していることもあるので、必ずしも「協商を結んでるヤツらは安全」とは言えません。
まあ、外交なんて握手をしながら蹴り合うのが当たり前の世界ですしねえ。
同盟にしろ協商にしろ。
今後は発動することがない世界を祈るばかりです。
長月 七紀・記
【参考】
軍事同盟/Wikipedia
協商/Wikipedia