孫子

孫子/photo by vlasta2 wikipediaより引用

中国

信玄や曹操などの名将たちが愛用した~兵法書『孫子』と著者の孫武は何が凄い?

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なぜ時代を超えて読み継がれるのか?

『麒麟がくる』では、前述の通り斎藤利政(斎藤道三)が『孫子』を理解していると語られました。

これも、近年の研究成果を踏まえた道三像なのでしょう。

従来信じられていたように、道三自身が油売りから美濃のトップにまで成り上がったのであれば、『孫子』をじっくりと読む環境や時間はおそらく確保できなかったはず。

しかし、成り上がりの二代目となれば、父が教育として『孫子』を与えても不思議ではないところです。

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ではなぜ『孫子』は時代を超えて読み継がれるのか?

現代でも書店に行けば、『孫子』の書物は山ほど見つかります。

まったく別の書物を読んでいても、時代物ではないのに孫子の言葉が引用されているケースがしばしばある。

なぜでしょうか?

一言でいえばそこに普遍的な道理が含まれているからですね。

 

パワハラ防止にも『孫子』は有効

当然のことながら、武器や技術は、時代により進歩します。

戦国時代であっても、鉄砲伝来されてからの戦術は変わりました。【大坂の陣】では、東軍の大砲が猛威をふるうほどです。

だとすれば、大昔の戦闘技術の書籍など役に立つはずがありません。

それでも『孫子』が有効であるのは、人間にとって普遍的な心理的、組織運営の手法を説いているから。

現代の職場や教育現場でも、孫子を引用すれば解決へのヒントが見えてきます。

一つ例を挙げてみましょう。

【地形篇第十】

卒をること嬰児えいじ(赤ん坊)の如し、故にこれと深谿しんけいに赴くべし。

卒を視ること愛子の如し、故にこれとともに死すべし。

厚くして使うことあたわず、乱れて治めること能わざれば、たとえば驕子きょうし(調子こいたワガママっ子)の如く、用うべからざるなり。

【意訳】

部下は赤ん坊のように愛おしい存在だと思いましょう!

そうすれば、どんなデスマーチにでもついてきてくれます。

部下に対して我が子のように愛情をかければ、彼らなどんなピンチでも付いてきてくれます!

ただ、あまりに親切にしすぎて、調子に乗りすぎてセーブできなければ、もうこれはよくありません。

ただの調子こいただけの存在になる。スポイルされてしまうのです。

いかがでしょう?

パワハラ防止にも『孫子』は有効。

いくら歴史小説を読んでいると自慢し、武田信玄を尊敬する上司だと自称していても、パワハラを行使するようでは「まったく理解できていない」ということになります。

役立つとされている戦術書物は、クラウゼヴィッツの『戦争論』はじめ、数多くあります。

そんな中でも読みやすく、普遍性が高く、戦争だけではなくビジネスにおいても応用できるとなれば『孫子』が随一。

歴史ウンチクでカッコつけるだけではなく、よりよい組織運営や効率化を目指すためにも『孫子』は応用できるのです。

『麒麟がくる』で明智光秀と斎藤利政(斎藤道三)が語り合ったこの言葉も、応用性が高いものでした。

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彼を知り己を知れば百戦殆うからず

情報入手が重視だという現代社会。

インターネット普及以前からそれは変わらぬものでした。

『孫子』の執筆年代でも、情報収集とその分類について、ノウハウが練られています。

たくさん集まってくる情報。

SNSで流れてくる情報。

洪水の如き文字の流れを全て見ていると、頭がパンクしてしまうかもしれませんが、そんな時こそ『孫子』が使えるのです。

戦争に興味はない。

歴史知識でマウンティングをするつもりもない。

されど『孫子』は人の生活や心理に役立つマニュアルそのもの。

今からでも遅くありませんので『孫子』デビューをしてみてはいかがでしょうか。

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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
金谷治『新訂 孫子 (岩波文庫)』(→amazon
中島悟史『曹操注解 孫子の兵法 (朝日文庫)』(→amazon
並木頼寿/杉山文彦 『中国の歴史を知るための60章 (エリア・スタディーズ87)』(→amazon

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