グリーンジャケット

イギリス

世界初のスナイパー部隊・英軍グリーンジャケットがナポレオンを撃破

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半島戦争で活躍する「グリーンジャケット」

1809年、イベリア半島に戦禍が及びました。

半島戦争の始まりです。

この戦いに参戦したイギリス軍は、ついに宿敵フランスと陸上で戦うことになりました。

第95連隊他兵士を率いたムーアもフランス軍と対峙。

フランスのニコラ=ジャン・ド・デュ・スールト元帥率いる軍に追われ、圧倒的な不利の中で撤退します。

中でも機動力を生かしたユサール(軽騎兵)の威力は圧倒的で、多くのイギリス兵が餌食となりました。

撤退戦を見事に指揮したムーアですが、敵の砲弾が命中、戦傷死してしまいます。

撤退戦で討たれるジョン・ムーア将軍/wikipediaより引用

一方、総大将を討ち取り、勝利したフランス軍も、素直に喜べない不気味な兆候がいくつかありました。

ありえない距離から、コルベール将軍が狙撃されて斃れたのです。

まぐれ当たりではない証拠に、二発目の銃弾は横にいた将軍副官に命中しました。

トーマス・プランケットという、第95連隊所属の狙撃兵が放った銃弾でした。

プランケットの射程は、マスケット銃の80メートルはもちろん、ライフル銃の200-300メートルという射程をさらに越えるものだったのです。

コルベール将軍/wikipediaより引用

コルーニャ撤退戦のあとも、第95連隊は半島戦争を転戦。

名将ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーの快進撃にも大きく貢献します。

彼らの、突如、予想もしない方向から飛んでくる銃弾は、フランス軍にとって恐怖そのものでした。

正確な狙撃は将官をなぎ倒し、指揮能力を奪ってゆきます。

1815年、ナポレオンにとどめをさしたワーテルローの戦いまで、グリーンジャケットの狙撃手たちは活躍します。

「訓練された狙撃兵というのは大変手強いものである」

そう世界に知らしめたのは、彼らの功績あってのものでした。

 

日本だと幸村レベル?大人気の第95ライフル連隊

第95ライフル連隊は、イギリス人にとってあこがれの対象であり、高い人気を誇ります。当時の装備で再現を行う人もいるほど(95th-rifles)。

人気となる要素はたくさんあります。

通常の歩兵とは異なる緑色の軍服。日本人にとっての「赤備え」のようなプレミア感があるうえに、デザインがシブいんですね。

更には、戦場での活躍ぶりがすごい。

ナポレオンを破った半島戦争やワーテルローでの勝利はイギリス人にとって誇らしいものですが、その中でも切り札として活躍したのがグリーンジャケットでした。

そして、何といってもフィクションでの人気作品が多い。

20世紀初頭、作家セシル・スコット・フォレスターは、狙撃手ドッドが主人公の『フランス人に死を』を発表しました。

さらに90年代になると、人気歴史作家バーナード・コーンウェルの狙撃手シャープを主人公とした『炎の英雄シャープ』シリーズが大人気を博します。

貧しい家の出である主人公が、ウェリントン公を救出したことをきっかけに出世し、イベリア半島からワーテルローまで転戦してゆく物語。

シャープシリーズはテレビドラマ化もされ、有名俳優ショーン・ビーンが主役をつとめました。

イギリスでは彼の出世作。

ドラマ放映当時、ショーン・ビーンは「全イギリス人の恋人」のような扱いだったとか。

 

英国内でのモテ要素を色々と見ていると、日本人にとっての真田幸村レベルの鉄板コンテンツかもしれません。

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第95連隊は、ナポレオン戦争もののゲームでも、人気ユニットとして登場します。

『炎の英雄シャープ』は日本語化、配信もされています。

興味のある方は是非ご覧ください。

ショーン・ビーンといえば作中でよく死ぬことで知られた俳優ですが、このシリーズでは死にませんよ!

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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考】
warlordgames.com(→link
Rifle_Brigade_(The_Prince_Consort%27s_Own)/wikipedia
History_of_British_light_infantry/wikipedia

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