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【ファニー 13歳の指揮官】
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勇敢な少女がレジスタンスを救う
ファニーたちはショーモン城を出て、母親とも再会、ムジェーヴという街で過ごしていました。
ある日、ファニーは妹が忘れ物をしたため、一人でその場所へと向かいます。
そこで髭だらけで、銃を持った怪しい男に発見されてしまうファニー。
緊張で硬直していたファニーは、やっとの思いで口にします。
「あなたたち、レジスタンス?」
そうだ、と答える男にファニーは感激。
「じゃあ、きみもドイツ相手に戦う気があるかい?」
割と気軽に13才少女を勧誘するレジスタンス。これが実話とは凄い。
「もちろん!」
ここで即答するファニーもかなりの度胸です。
かくしてファニーは、手紙を仕込んだパンをレジスタンスに届ける任務を日々続けることになるのでした。しかも母親にも秘密です。
こんな小さな女の子ながら、レジスタンスの適性抜群でうなってしまいます。生き延びる者というのは、やはり機転が利く者なのでしょう。
さらに別の日、村のパン屋がドイツ側であることに気づくと、夜にベッドからコッソリ抜け出し、夜間外出令も無視してレジスタンスのアジトへ報告。
少女が夜中に一人で……。このあたり、どうにもこうにもハラハラさせられます。
ここでファニーが亡くなるわけがないと思いつつも、こんな危険なことで大丈夫か。もはやスパイ小説並の緊張感なのです。
しかしその活躍がどれほど重要であったか。明らかになるのは、ずっと後のことです。
太陽の位置から時刻を知り、星の位置から場所を探る
8月。ファニーたちは児童救済協会から、スイスへと送られることになります。
サロン夫人という女性が手はずをととのえ、ファニーは母親と別れて出立。
ところが思わぬことが起こります。リーダーの17才少年が、病気の親が気になって途中の駅で降りてしまったのです。
代わって13才のファニーが、11人の子供を引率することになりました。
ショーモン城で習った地図の読み方、太陽の位置から時刻を知ること、星の位置から場所を知ることを学んでいました。
そうした知識と勇気、生まれながらのリーダーシップで、ファニーは子供たちを引率します。
時には貨物列車の隅に乗り、妹とはぐれ探しに戻り……小さなノートに何が起きたかを書き付けながら、ファニーは旅を続けます。
トラックでついにスイス国境近くまでたどりついたファニーたち。やっとこれで助かる! と、思っていると……なんと刑務所に送り込まれてしまうのです!
飢えと渇き、不安にさらされて怯えるファニーたち。憲兵が「親の名前を言うんだ!」と彼女らを脅しつけます。
ファニーは妹にユダヤ人風ではない偽名を教え込みます。
誰かが口を割ったらそれまで。しかし、どの子供たちも黙っていました。
菓子を分けて食べ、飢えをしのぎ、健気にはげましあう子供たち。
いつしか他の子供たちも合流し、総勢28人になっていました。そして……。
「あの子たちに最後の食事をあげましょう」
憲兵たちは子供たちに食料すら与えようとしませんでした。
ファニーたちは機転を利かせ、親切な女性用務員に空腹を訴えてなんとか食料を得ます。
しかし、彼女は恐ろしい目撃談を語ります。
駅でユダヤ人が、老人や子供まで家畜用車両に押し込められ、護送されていたと。
これからどんな酷いことが起こるのか。ファニーは気分が暗くなります。
さらに看護婦たちの会話を耳にしてしまいます。
「あの子たちに最後の食事をあげましょうか」
「そうね、そうすれば気分がよくなって、おとなしくするわね」
押し込められた部屋の外には、武装した衛兵がいます。このまま、むざむざと最後の食事をとって、護送されることになるのでしょうか?
いえいえ。
このあと、ファニーはなんと食事の場から大脱走を果たすのです!
その手に汗握る展開は、是非本書でお確かめください。
絶体絶命のピンチの中、ファニーが下した決断とその機転には驚かされます。子供たちはできる限りのことをして、生きることへと望みをつなぐのでした。
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