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12星座のヒミツに熱狂!藤村シシン氏講座「古代ギリシャの謎に迫る」リポート!

更新日:

『古代ギリシャのリアル』の著者として話題の藤村シシン氏。
聖闘士星矢がキッカケで始まった熱狂的な研究生活は十数年に及び、今や、彼女は現代日本に生きる【精神的古代ギリシャ人】そのものであります。

そんな彼女のイベントは、ハイテンションかつ軽妙トークが人気で、講座を開けば満席必至。

2/25の仙台講座に参加しましたので、早速、12星座を中心に報告させていただきます!

藤村シシン『古代ギリシャのリアル』が空前絶後のぉおおおお~極彩色!

 

服装からして古代ギリシャ人!

今回の講演は、講演を超えた何かだった気がします。
まずシシン先生の服装が古代ギリシャ人!!

2月末の仙台は屋内でも肌寒く、受講生はセーターやフリース着用なのに、エーゲ海直送モード。
足下はサンダル、頭には月桂冠、そして手や耳には黄金色に輝く装身具の数々を纏っております。

あのアクセサリはやはり現地調達でしょうか。
さすがに竪琴は持っておりませんでした。

しかし、ここまで凝った服装だと、
「入ってくるときに、花びら撒いたりした方がいいのかな……?」
「ワインの水割りで喉の渇きを癒やすのかな……?」
とも思いましたが、そこは流石にペットボトルの水のようでした。

 

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羽生選手が星座になる?

シシン先生の挨拶では、まず仙台出身の五輪二連覇メダリスト・羽生結弦選手の話題に。
「おめでとうございます! 古代ギリシャなら星座になっていたと思います」
さすがシシン先生、発想が違う。

平成日本人は、まず
「すごい! この人は星座になるべき!」
とは思いませんもんね。ナルホド、羽生選手のような人が英雄であり、星座になるわけですね。

 

オリオンの名前ってそんな意味だったのか!

ここから、星座になったオリオンの話になります。
私が知っていたバージョンは、これです。

昔、オリオンという超イケメンで行動のイケてるオリオンという狩人がいました。
あまりにイケていたので、あのアルテミスすら彼とつきあっているほど。
これにアルテミスの兄・アポロンは怒ります。

アポロンは、大きなサソリを放ちました。
たまらずオリオンが海中に逃げると、アポロンは妹アルテミスをけしかけます。

「いくら弓の名人であるお前でも、あの海にある光るものを射貫くことはできないだろ」
アルテミスは挑発に乗り、たちまちその光る物体を射貫きました。
それは、オリオンの頭でした――。

そういえばこの話を読んだ時は気にしなかったんですけど、「光ってた」ということはオリオンの頭はつるつるだったのでしょうか。
そしてなぜ海面から頭が出ていたのでしょうか。立ち泳ぎかな?

先生いわく。このオリオンは、神々が牛の死骸に連れションしたところから誕生しました。
名前の意味も「小便たれぞう」みたいな意味だそうです。
「ウーロン=尿)言われてみれば英語にurine(尿)にも近かった……。結構いろんな商標に使われているのに。

ここで先生からクイズ。
「オリオンの身長は何メートルでしょう?」

どうでしょうねえ。
だいたい2メートルくらいかなぁと思っていたら。
「1500メートルです! 彼はエーゲ海を歩いて渡ったんです」
うわぉ!!
なるほど、だから海の中から頭が出ていて、アルテミスに射貫かれるんですね。

びっくりです。いきなり「小便たれぞう」さんが身長1500メートルって。

小便たれそうことオリオンさん/wikipediaより引用

 

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古典期「お前、星の動きに興味あるの? ありえなくね」

ショッキングかつ大笑いものの話が続く中、次にはこんなことを言われました。

「古代ギリシャは1200年続きまして、400年ごとに別れています。古典、ヘレニズム、ローマですね。古典の時代が、一番花形なんですけど、実はこのころの古代ギリシャ人は星座に興味がなかったんです」

な、なんですと……。
古代ギリシャ人はずーっと星の話ばかりしているのだと思っていました。あんなにたくさんの星座と、その神話があるわけですから。

しかし古典期は、星座はたった6つしかなかったのです。

しかも、農耕と関連していました。
この星座が上るようになったら種を撒けとか、借り入れの時期だとか、そういう農暦と関連があったわけです。

彼らにとって、農耕を含めた労働とは一般市民がすることではなく「働いている=ダサい」という認識。
余暇を楽しみ思索にふけることこそ理想でした。

なので、もし、古典期のギリシャ市民が、
「そろそろあの星が上る季節だね」
なんて言おうものなら、ロマンチックどころか。
「え、お前星の動きに興味あるの? 農耕? つまりは労働してるとか!? ありえなくね!?」
ってなるんですね。

ポセイドン神殿(この手の神殿が古典期になります)

 

ヘレニズム期「この星座の設定は何だあ! ガバガバじゃないか!」

ヘレニズム期――アレクサンドロス大王の東方遠征によって、東方へと文明が拡大します。
文明の中心地は、アレクサンドリアになりました。

このアレクサンドリアには、知恵の中心ともいえる伝説的な「アレクサンドリア図書館」がありました。

アレクサンドリア図書館想像図/wikipediaより引用

そしてこの時代、星座についての設定も整合性をつけていこう、という流れになっていきます。

現代でたとえると、熱心なファンが考察サイト、掲示板、Wikiを作って設定を議論するようなものでしょうか。

ここから本日のメインイベント、12星座の神話に。

12星座。それは哀しい記憶を呼び覚まされるものもいます。
アラサー以上の方が苦しめられ、今も『聖闘士星矢』新シリーズが出るたびに古傷を抉られる……「星座カースト制度」。
これは12星座をモチーフにした黄金聖闘士というキャラクター設定に違いがありすぎて、特定の星座の少年少女は肩身の狭い思いをしたという、そんな話です。

ここで、会話形式でヘレニズム期の論争を記させていただきます。

 

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牡羊座

「はい、まずは牡羊座ね。春分点が移動してこいつがあてはまるようになったけど、ぶっちゃけ、ちょっと地味っちゅうか、星が暗いよね~」
「神話の設定だと、この羊は黄金の毛皮の持ち主ってことになってるんですけどね」
「はあ? ありえなくね。なんでそんなゴージャスなのに毛皮部分の星が暗いの。設定ミスでしょ。誰だよ考えた奴、設定ガバガバだろ」
「ん~、それはこう解釈すればいいんじゃないかな。この牡羊は毛皮をはがれてしまったんだね」
「あーなるほどね、そういうことねー」

※春分点は移動しており、現在は水瓶座。三角座は「春分地点なのに牡羊座が地味すぎるから、ゼウスが頭文字を追加したんだよ!」という神話もあるんだそうです。

 

牡牛座

「これはもう文句ないよね。牛は神聖」
「農耕でも役立つし、綺麗な星が多くて、なんかおめでたい気がする」
「設定当初は春分点で、スタート地点ここだったもんね」
「異議なし!」

※牛は農耕にも使われる神聖な動物。この位置でこの豪華さ、文句なしということ

 

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双子座

「双子座の双子は、特にこの誰かと特定していないんだよ。いろんな説があるけど、どれも正解」
「キミの推し双子を入れてね」
「カストルとポルックスが一番有名やな」

 

蟹座

「蟹座か……ま、蟹はよくやったしいい奴だよな」
「健気でマジ泣ける。全俺が泣く」
「瞬殺だけど」
「瞬殺とか言うなよ! 立ち向かったのが偉いんだよ」
「えー、この蟹さんは。かのヘラクレスがヒュドラと戦った際、水辺の仲間として唯一ヘラクレスに立ち向かった、律儀で勇敢な蟹のことでございます。その姿を見たヘラが哀れみ、星座にしたのです」

ヘラクレスに踏みつぶされる一秒前の蟹さんが描かれた絵。ヘラクレスの後ろにいるのは女神アテナ。こんな強いコンビに立ち向かった蟹さん、えらい!/wikipediaより引用

※この蟹は「カルキノス」と呼ばれています。固有名詞ではなく、固有名詞「蟹」。本当にただの勇敢な蟹だったのです

 

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ロバ座?

「蟹座の上にはロバ座が重なっているんだよね」
「ヘラに個人的怨恨があるディオニソスが、蟹を踏んづけるように置いたというよ」
「なんでや、蟹は関係ないやろ! 生前も死後も踏まれているって、蟹がかわいそすぎるやろ!」

※蟹座には胸のあたりに二つ星があります。これがロバ座、という説があるのです。重なった星座はあまりないため、蟹を星座にしたヘラへのディオニソス嫌がらせ説があるわけです

 

獅子座

「獅子はそもそもかっこいいし、星の並びもパーフェクトです」
「何の設定の破綻もないから、別の話題にいくか」
「俺的には、近くにあるかみのけ座がありなのかと、すごく気になっている」

※獅子座は論争にならないのだそうです。それよりも、獅子座の近くにある「かみのけ座」の存在がそれってどうなの、と突っ込まれています(参照

 

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乙女座

おとめ座/wikipediaより引用

「これも文句ないな」
「双子と同じで、キミの推しであるかわいいあの乙女をあてはめていいよ」
「そんなの文句つける奴いないじゃんね」

 

天秤座

天秤座/wikipediaより引用

「ぶっちゃけて言うと、こいつは後付け組だ。本当は蠍座が天秤座の領域も担当していたんだ。傲慢な人類を戒めるためには、蠍座が2倍使うのはありだと思っていた」
「でも11ってなんか収まり悪いよね。だから天秤座を入れたよ。ちょうど半分経過したところだし、天秤座ならバランス取れるね、って」
「そういう調整の産物だから、設定上問題はないんやで」

※当初は11星座しかなく、蠍座が現在の天秤座の位置も占有していました。しかし11ではおさまりが悪いということで、天秤座が後付け設定で追加。ちょうど半分の位置で追加されるし、天秤はぴったりということになりました

 

蠍座

「あの小便たれぞう=オリオンを殺した蠍だ。オリオンは蠍を避けて上ってくる」
「人類はこの蠍を見て、その傲慢さを反省するといいと思います」

 

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射手座

「この設定を考えた奴は誰だあっ! ガバガバだろうがあ!」
「確かにこれはおかしいね。ケンタウルスだとしたら後ろ脚の部分の星がない」

残念な感じに踏まれるケンタウルス/wikipediaより引用

「そもそもさあ、他にもケンタウルス座あるじゃん。設定かぶってるし。その差は何って話よな」
「だいたい、ケンタウルスって野蛮でしょ。弓矢なんて文明的な武器使わないって思うんですよ。飛び道具使ってもせいぜい投石程度でしょ」
「じゃあこいつ何? 人間の射手なのかな」
「いや、下半身獣っていう設定は残すべき」
「下半身獣で後ろ足がないってえと……サテュロスあたりかねえ」
(強引なナンパをするサテュロス 右 https://en.wikipedia.org/wiki/Satyr#/media/File:Hirschvogel_Satyr.jpg)
「特別なサテュロスだったんでしょうねえ。ムーサイに気に入られていた、クロトスが弓を引いている……という設定ではどうでしょうか」
「納得した! それでいこう!」

※と、ヘレニズムの学者たちは決めましたが、クロトスよりも元の設定のほうがルックス的にイケてたせいか、設定が残りませんでした……

 

山羊座

山羊座/wikipediaより引用

「山羊座かあ……」
「あー……こいつね……」
「なんで山羊なのに、下半身魚やねん」
「意味わからなすぎて。設定がガバガバっていうより、ひたすらわかんない」
「牧神パーンの一発芸ってことでどうでしょうねえ?」
「パーンならやりそうだよね、そういうの」
「その場のノリでそういうことして、山羊関連っていうとまあ、無難な設定だよね。じゃあ、それでいいか……」
「いいんじゃないすかね。それでいきましょう」

※結局モデルが正体不明の存在、山羊座。射手座論争で考える気力がなくなったような

 

水瓶座

水瓶座(ヘレニズム期の学者が見たら「おっさんじゃねえか!」ってマジギレしそう)/wikipediaより引用

「これは、ゼウスがあまりの美少年ぶりについついさらって、お酌させていたガニュメデスの星座ですね」
「なんでワインのお酌させたいのに誘拐したのに、水瓶やねん! おかしいやろ」
「ガニュメデスがさらわれた頃はね、きっとワインがなかったんだよ」
「えー、でもさ、酒の神ディオニソス活動してんじゃん。ワインちゃんとあるてことでしょ」
「じゃ、じゃあ、ディオニソス活動以前の、とある王様をさらったんです!」
「……ガニュメデスが美少年だからさらったんですよねえ。おっさんの王様なら、ゼウスだってわざわざさらってお酌させないんじゃないですか。設定からはずれますよ」
「じゃあ結局なんでワインをつがせるためにさらったのに、水瓶なのよおおお!」

※結論出ず。力尽きた? ワインを割るチェイサーを注いだ、という説はいかがでしょう

 

魚座

「これはアレですね。魚です」
「ただの魚ちゃうやろ。みなみのうお座の子供やな」
「それでいいんじゃね」

※水瓶座論争で力尽きたのか、全く揉めていない

と、こんな感じで決まったのだそうです。

しかし、こんなにがんばったのに、射手座のように後世にまで設定が残っていないものもあります。
とりあえずむちゃくちゃな設定に整合性を持たせよう、というヘレニズムの学者さんたち、お疲れ様です。

あとスライドでシシン先生が見せてくれた「ガニュメデスをゲットしたゼウス」のドヤ顔がいろいろとひどいと思いました。

すごくいい笑顔ですけど、人でなしっぽくて。

 

ローマ時代「なんで星占いを信じてくれないのおおお!」

星占いというと、皆さん現在でも割と気にしますよね。
朝の星座占いを見ておでかけ、という人も多いはず。

実は、星占いはローマ時代から。
それまでは「天空の星と人の運命を結びつけるなどおそれ多い!」ってことだったそうです。

ここでマニリウスによる「星座占い」が出て来るのですが、シシン先生が突っ込んだ通り、
「そのまんまじゃん!」
です。

牡羊座は羊っぽいおとなしい性格だし、農耕に用いられた牛の星座である牡牛座の適職は「農業」なんですな。
しかも蠍座は「殺戮のことしか考えていない」し、山羊座は「恋愛を成就するためなら、罪を犯すことを辞さない」という、それぞれオリオンの敵である蠍や、パーンをふまえた性格なのです。
現代なら炎上したぞ、マニリウス!

マニリウスは太陽星座と月が何ハウスに入るかで計算する、余命計算術も考案していました。
しかし、これは組み合わせによっては上弦は100才近いのに、下限は30才そこそこという、厳しいもの。
でもそんな星だけで決まるわけないじゃん、という突っ込みに対して。
「いい質問ですねえ。惑星の配置によって変わるんですよ」
と書いているそうですが、その肝心の惑星位置による結果は書いていない……んだそうで。責任逃れかよ~、書き忘れかよ~。

このマニリウスは、こう嘆いているんだそうです。
「なんでみんな鳥占いや臓物占いを信じるのに、星占いを信じてくれないのおお!」
鳥占いは鳥の飛び方によって吉凶を占うもの。
臓物占いは、生け贄とした動物を解体して、内蔵の配置等から占いもの。

ナルホド。
当時の人からすれば、そうした占いと比較したら「星占い? 最近出てきたけどあやしいね」だったのか!
21世紀も現在、この中で星占いだけがバリバリ世界中で人気と知ったら、マニリウスはどう思うでしょうね……ということで、講座は終わりました。

※臓物占いの詳細については以下の記事をご参照ください

生死のかかった剣闘士やガレー船の漕手 ブラック労働というのはマジか!?

楽しいです、最高です!
講義の間ずっと笑いっぱなしでした。
講義を超えた総合エンターテイメントではないかと思うほどです。

当たり前のように接してきた星座にこんな由来があるのも驚きましたし、ものすごく賢そうなイメージのあるヘレニズム時代の学者が、山羊座の設定を投げっぱなしのあたり本当に爆笑しました。
昔からあれは何なのか気になっていたんですけど、昔の人もわからなかったんだ!
結局なんなんだろう、アイツ。

牧神の一発芸/wikipediaより引用

皆さんも是非受講してみてはいかがでしょうか。

まだ若干ながら、席はあるようです!

都内青山教室(3月11日 3月25日)
名古屋教室(3月31日)




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文:小檜山青

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