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本物でもケタが一つ違う!? 空海ゆかりの巻物はなぜ6億円もの値が付いた? 本郷教授の「歴史キュレーション」

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日本中世史のトップランナー(兼AKB48研究者?)として知られる本郷和人・東大史料編纂所教授が、当人より歴史に詳しい(?)という歴女のツッコミ姫との掛け合いで繰り広げる歴史キュレーション(まとめ)。

今週のテーマは「本物でもケタが一つ違う!? 空海ゆかりの巻物はなぜ6億円もの値が付いた?」です。

 

【登場人物】

本郷くん1
本郷和人 歴史好きなAKB48評論家(らしい)
イラスト・富永商太

 

himesama姫さまくらたに
ツッコミ姫 大学教授なみの歴史知識を持つ歴女。中の人は中世史研究者との噂も
イラスト・くらたにゆきこ

 

◆興正寺の前住職、6億円で巻物購入 空海ゆかり、真贋不明 中日新聞 7月31日

「え?なにこの事件。さっぱりわけが分からないわ」
本郷「全くだね。どういうことなのかな。ええとね、まず興正寺というお寺さんなんだけれども、『尾張高野』と称する名刹らしいね」
「わたし京都の興正寺というお寺に行ったことがあるけれど、そこではないのね。あ、そのお寺は真宗だったわ。このお寺は真言宗だものね」
本郷「興正寺(こうしょうじ)さんは、愛知県名古屋市昭和区八事本町にある。中京大学のすぐとなり。高野山で修行した天瑞圓照という僧侶が1686年(貞享3年)に建立したんだ。尾張藩二代目藩主である徳川光友の厚い帰依を受け、それ以来、尾張徳川家の祈願寺として繁栄した。だからお堂などがたくさんある。なかでも、1808年(文化5年)に建てられた五重塔は、東海地区に現存する唯一のものとして、国の重要文化財に指定されているんだね」
「立派なお寺さんなのね。でも、そんな大きな真言宗のお寺さんなら、弘法大師ゆかりの品物はぜひにも欲しいんじゃないの?」
本郷「いやあ、それがそんなに簡単な話じゃないらしいんだよ。まずね、前住職、とあるでしょう。この人、高野山からすでに住職を罷免されているらしいんだ」
「え?クビにされているっていうこと?何でそんなことになったの?」
本郷「いやそれがね、その人が住職だったときに、お寺の土地を売却したんだな。ところがこのことによって高野山との争いになり、2014年1月、高野山側は住職を罷免する処分を下した。ところが住職は高野山の決定を不服として、いまでも住職として興正寺を離れていないんだ」
「うわあ、ドロドロしてるわね」
本郷「高野山側はお寺の正面にプレハブの本堂を建て、こちらが本当の興正寺です、と主張しているらしい。また、寺の建物や書類などの引き渡しを求めて2015年の5月に裁判所に訴えてるみたいだ」
「たいへんなことになっているのね」
本郷「このほかにも、なんだか、いろんな問題が起きていてね。2013年2月には、お通夜でのゴタゴタも報告されている。2012年にこのお寺が通夜などの弔事を、ハローワークなどで募った見習い(僧としての資格を取得してない)に行わせていた事が、発覚したんだね。そりゃあ、お通夜を催した家族は怒るよね。きっと高額なお布施を払ったんだろうから」
「あらら。それで、お寺は何と言ったの?謝罪したの?」
本郷「いや。興正寺側は、僧籍がない者に任せたことについて『修行の一環で問題ない』と反論したんだ。朝日新聞が入手した内部資料によるとね、元・見習い経験者は2012年1月から9月にかけて、少なくとも計11回の通夜を任され、『わからない作法は省略した』とか、『興正寺からは、見習いと言うなと釘を刺された。遺体の枕元で経をあげる枕経(まくらぎょう)や通夜を1人で担当した』と話しているそうだ」
「いやあ、それは、いくら何でもひどいでしょう」
本郷「そういう体質のお寺さんなんだけれども、2009年9月28日の中日新聞の記事によると、不正経理事件とか、住職による僧侶の不当解雇事件とか起こしているみたいだ」

遍照院内に建つ弘法大師像/wikipediaより引用

「今回の事件は、巻物の売買が単独で問題になったわけ?」
本郷「いや、そうじゃなくて、2015年3月期までの3年間で、約6億6千万円の申告漏れが指摘された。中京大に対する土地売却益の138億8千万円の使途が名古屋国税局によって洗い出された結果みたいだ。その中で、高額な売買の不自然さがクローズアップされたんだな」
「うーん。わたし、前に聞いたことあるのよね。政治家とか政府高官のところに現金をもっていったり、値段がはっきりしているものを贈ったら、賄賂になっちゃう。だから贈り物には、絵画が選ばれるんだって」
本郷「そうそう、そうなんだよ。ゴッホとかルノアールとか、すでに評価が定まっている画家の絵はダメだけれども、まだそこまで有名ではない絵画なら、値段にものすごく幅がある。昨日までは100万円にしかならなかったものが、高名な画商が『これは1億円です』と値をつけた、なんてことはありうるわけだ」
「そんな絵を政治家に贈ったとして、『いやあ100万円のつもりでした。それで100万円の献金の手続きはちゃんとしてありますよ。え?1億円ですって?そうですか、現在はそんなに価値が高騰しているんですか。いやあ、知らなかったなあ』でごまかすことはできるわよね」
本郷「ざっくりいうと、そうでしょう? それでね、実は歴史資料も同じようなことがいえたりするんじゃないかな?」
「ああ、そうか! そうね、そうだわ! もしもこの文書がたとえば弘法大師のホンモノだとしたら、数億円でもとても買えない。でも、真っ赤な偽物だとしたら、100円にもならない。そんな状況は作り出せるわよね」
本郷「それで、『いやあ、資料の価値は分かりませんから、損しましたねえ』っていっておいて、お金を操作する、という手口が容易に考えつくんだよね。それがこの事件に関係するかどうかは、全く分からないけれども。いいかい。証拠も全くないんだから、この事件には今のところ、問題は全くないんだからね」
「そうね。ここまで話してきたことって、あくまでも、こういうこともあり得る、という仮定の話ね。この事件とは、何の関係もないのよね」
本郷「この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」
「この文章はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません」
本郷「だけどね、こうした問題は、実は古くから、そうだね、中世の昔からあったんだよ」
「へー、そうなの?」
本郷「学問的にいうとね、『永代の職、遷代の職』っていってね」
「あなたが尊敬している笠松宏至先生の論文があったんじゃない?」
本郷「そのとおり。神社やお寺の財産というのは何代、何十代にもわたって、ずっと守り伝えていくべきもの、という観念があった。ところがたまたましかるべき地位に就いた神主さんなりお坊さんが、神社やお寺の財産を私物化して売却してしまう。そういう事件が多発した。こういうときにどうすべきか、ということなんだね」
「なるほどね。人間は昔から、そうは変わらないのかあ」
本郷「まあ、そういうことなんだね」

 

 

 

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