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戦国時代の教会には「茶室」が必須~宣教師が積極導入した理由

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「すきやくわし」とは?

『近世菓子製法集成』(東洋文庫)の編者・鈴木晋一氏は、『日葡辞書』には2800種ほどの食に関する語彙が並び、そのうち120語ほどが茶の湯に関する語彙だと指摘しています。

『日葡辞書』は長崎県島原で刊行されたと考えられる辞書です。

また慶長5年(1600年)までに、西九州のいずれかのイエズス会修道院で書かれたと推測される『南蛮料理書』には、45種の料理が紹介されていて、その3分の2の数が菓子の製法として充てられると言います。

「かすてら」「こんぺいとう」などの南蛮菓子が並ぶなかに「ういろうもち」「くじらもち」などが「但しすきやくわし」との但し書きを添えられて並んでいるとも鈴木氏は指摘しています。

「すきやくわし」とは、「数寄屋菓子」で、つまり茶菓子のこと。

教会堂に設らえられた茶室で使うために、茶菓子のレシピが添えられていたのです。

シノギをけずるように、領土の切り取りあいを行っていた戦国大名達が、情報の収集や接待の目的で茶ノ湯の場を利用していたことは、よく知らていることですが、宣教師たちの布教戦略に茶が使われていたということは、意外なことです。

かたことの日本語で差し出される茶を、接待を受ける大名達はどのような思いで味わっていたことでしょう。

FrcoDon・記

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【参考】
鈴木晋一『近世菓子製法書集成〈1〉 (東洋文庫)』(→amazon
若桑みどり『クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国 (上)(下)巻セット (集英社文庫)』(→amazon

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